札幌地方裁判所 平成10年(行ウ)19号 判決 2003年1月24日
原告
株式会社A
同代表者代表取締役
甲
同訴訟代理人弁護士
矢野修
同
高嶋智
被告
札幌西税務署長 川村利満
同指定代理人
角井俊文
同
山崎克敏
同
鈴木光彦
同
横田啓一
同
杦田喜逸
同
青山哲雄
同
小森睦雄
同
天満三樹
主文
1 被告が、原告に対し、平成8年12月24日付けでした平成4年4月1日から平成5年3月31日までの事業年度の法人税の更正処分(ただし、平成10年6月29日付け裁決で取り消された部分を除く。)のうち、本税額1920万9900円を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち同税額126万3500円を超える部分を取り消す。
2 被告が、原告に対し、平成8年12月24日付けでした平成4年4月1日から平成5年3月31日までの課税事業年度の法人特別税の更正処分(ただし、平成10年6月29日付け裁決で取り消された部分を除く。)のうち本税額38万0200円を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち同税額2万8000円を超える部分を取り消す。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は原告の負担とする。
事実
第1請求の趣旨
被告が、原告に対し、平成8年12月24日付けでした次の処分(以下「本件各処分等」という。)を取り消す。
1(1) 平成4年4月1日から平成5年12月31日までの事業年度(以下「平成5年3月期」という。)の法人税の更正処分のうち、本税額1681万5900円を超える部分及び重加算税の賦課決定処分のうち同税額42万7000円を超える部分(ただし、平成10年6月29日付け裁決で取り消された部分を除く。)
(2) 平成5年4月1日から平成6年3月31日までの事業年度(以下「平成6年3月期」という。)の法人税の更正処分のうち、本税額1753万5600円を超える部分及び重加算税の賦課決定処分のうち同税額54万2500円を超える部分(ただし、平成10年6月29日付裁決で取り消された部分を除く。)
(3) 平成6年4月1日から平成7年3月31日までの事業年度(以下「平成7年3月期」という。)の法人税の更正処分のうち、本税額3417万0300円を超える部分及び重加算税の賦課決定処分のうち同税額25万9000円を超える部分(ただし、平成10年6月29日付け裁決で取り消された部分を除く。)
(4) 平成7年4月1日から平成8年3月31日までの事業年度(以下「平成8年3月期」という。)の法人税の更正処分のうち、本税額4786万3600円を超える部分並びに過少申告加算税賦課決定処分及び重加算税賦課決定処分のうち、79万4000円を超える部分
2(1) 平成4年4月1日から平成5年3月31日までの課税事業年度(以下「平成5年3月課程事業年度」という。)の法人特別税の更正処分のうち、本税額32万1400円を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち同税額1万0500円を超える部分(ただし、平成10年6月29日付け裁決で取り消された部分を除く。)
(2) 平成5年4月1日から平成6年3月31日までの課税事業年度(以下「平成6年3月課税事業年度」という。)の法人特別税の更正処分のうち、本税額34万4500円を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち同税額1万0500円を超える部分(ただし、平成10年6月29日付け裁決で取り消された部分を除く。)
3(1) 平成4年4月分ないし同年7月分、同年9月分及び同年10月分までの各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分及び不納付加算税の各賦課決定処分
(2) 平成4年8月分、同年12月分、平成5年11月分、平成6年2月分、同年4月分、同年10月分ないし12月分、平成7年1月分ないし同年3月分及び同年6月分ないし12月分の各月分の源泉徴収に係る所得税の各納税告知処分並びに平成4年8月分、平成5年11月分及び平成6年4月分の各月分の不納付加算税の各賦課決定処分(ただし、平成10年6月29日付け裁決で取り消された部分を除く。)
第2当事者の主張
1 請求原因
(1) 当事者
ア 原告は、肩書地において貨物自動車による運送業等を営む同族会社であり、代表者は、甲である。
イ 被告は、原告の住所地を所轄する税務署の長である。
(2) 被告による処分等
ア 法人税
原告の平成5年3月期、平成6年3月期、平成7年3月期及び平成8年3月期の法人税について、原告がした確定申告、被告がした更正処分、重加算税及び過少申告加算税の各賦課決定処分並びに原告の不服申立及びこれに対する応答は、別表1(1)ないし(4)記載のとおりである。
なお、原告は、上記各更正処分の後、税務当局からの指摘を一部認めて、次のとおり任意納付した。
(ア) 平成5年3月期の法人税 126万6700円
(イ) 平成6年3月期の法人税 149万8800円
(ウ) 平成7年3月期の法人税 148万0500円
(エ) 平成8年3月期の法人税 432万6300円
(オ) 平成5年3月課税事業年度の法人特別税 3万1600円
(カ) 平成6年3月課税事業年度の法人特別税 3万7400円
イ 法人特別税
原告の平成5年3月課税事業年度及び平成6年3月課税事業年度の法人特別税について、原告がした申告、被告がした更正処分及び重加算税の賦課決定処並びに原告がした不服申立及びこれに対する応答は、別表2(1)(2)のとおりである。
ウ 源泉所得税
被告がした原告の平成4年4月分から同年12月分までの各月分及び平成5年5月分から平成7年8月分までの各月分の源泉徴収について、所得税の納税告知処分及び不納付加算税の賦課決定処分、平成5年2月分及び平成7年9月分から同年12月分までの各月分の源泉徴収についての所得税の各納税告知処分並びに原告がした不服申立及びこれに対する応答は、別表3(1)ないし(4)のとおりである。
(3) しかし、被告がした上記(2)の各処分は後記4のとおり一部違法である。
(4) よって、原告は、上記(2)の各処分のうち、請求の趣旨掲記の違法部分の取消を求める。
2 請求原因に対する認否
(1) 請求原因(1)、(2)の事実はいずれも認める。
(2) 請求原因(3)の事実は争う。
3 抗弁(本件各処分等の適法性)
(1) 被告主張の所得金額
被告が主張する原告の所得金額は、原告の申告所得金額に加算金額を加え減算金額を減ずる方法で算出した金額であり、その内訳は以下のとおりである。
ア 平成5年3月期 5340万6322円
(ア) 申告所得金額 4372万5422円
(イ) 加算金額 968万5636円
・受取利息除外 656万8374円
・売上除外 183万8057円
・雑収入除外 121万9755円
・預金利息除外 5万5954円
・道民税利子割額の損金不算入額 3496円
(ウ) 減算金額 4736円
・雑費認容 4736円
イ 平成6年3月期 5791万6705円
(ア) 申告所得金額 4529万3672円
(イ) 加算金額 1378万6957円
・受取利息除外 985万9021円
・売上除外 346万8596円
・雑収入除外 44万4273円
・預貯金利息除外 1万4182円
・道民税利子割額の損金不算入額 885円
(ウ) 減算金額 116万3924円
・事業税認容 116万1700円
・雑費認容 2224円
ウ 平成7年3月期 9860万1741円
(ア) 申告所得金額 8726万1785円
(イ) 加算金額 1285万6404円
・受取利息除外 937万0113円
・売上除外 317万0295円
・雑収入除外 29万1858円
・預貯金利息除外 2万2719円
・道民税利子割額の損金不算入額 1419円
(ウ) 減算金額 151万6448円
・事業税認容 151万4800円
・雑費認容 1648円
エ 平成8年3月期 1億3188万8675円
(ア) 申告所得金額 1億1417万2989円
(イ) 加算金額 1947万7755円
・受取利息除外 922万0098円
・売上除外 393万3992円
・雑収入除外 52万8678円
・預貯金利息除外 2万5399円
・道民税利子割額の損金不算入額 1588円
・修繕費否認 576万8000円
(ウ) 減算金額 176万2069円
・事業税認容 175万9700円
・雑費認容 2369円
(2) 以下、上記の加算金額と減算金額について説明する。
ア 加算金額
(ア) 受取利息除外
原告は、B銀行手稲前田支店の甲名義の普通預金口座(以下「甲口座」という。)を利用して、C株式会社(以下「C」という。)が振り出した手形(以下「本件手形」という。)及びD株式会社(以下「D」という。)が振り出した手形(以下「D手形」という。)の割引を行い、受取利息の収入を得ていたにもかかわらず、これらの手形割引に関する取引の全部を、原告の簿外預金口座である甲口座並びに同口座から払い出した金員を資金源としたE信用金庫手稲前田支店の乙名義の普通預金口座(以下「E信用金庫乙口座」という。)、B銀行手稲前田支店の丙名義の普通預金口座(以下「丙口座」という。)及びF銀行新琴似支店の乙名義の普通預金口座(以下「F銀行乙口座」という。)のいずれかに入金することによって、原告の所得金額に計上しなかった。
甲口座は原告に帰属する簿外預金口座である。すなわち、原告は、平成4年8月18日から実施した被告による税務調査(以下「平成4年調査」という。)において、甲口座が、原告に帰属する簿外預金であるとの指摘に異を唱えることなく、これを自認した上で、税理士の丁(以下「丁税理士」という。)の関与のもとで修正申告をしており、甲口座が原告に帰属することを自認していたことは明らかである。これに対し、原告は、上記修正申告をした理由として、平成4年8月の税務調査の際に、担当調査官から、修正申告に応ずれば、認定賞与を不問にするとの慫慂を受け、やむなくこれに従ったと主張しているが、そもそも申告納税制度下で税務調査を行い、確定申告の内容が税務調査の結果と異なる場合は、調査担当者が納税者に修正申告等の慫慂を行うことは当然のことであり、仮に納税者が修正申告等の慫慂に応じなかったとしても、課税庁ほ職権による更正処分等により誤りを是正することができるのであるから、修正申告を強要する必要性などない。また、租税法律主義の下にあっては、租税法規の定めによらず、税務官署と納税者間において自由に租税負担の軽減をなし得るものではなく、課税標準に明らかな誤りがあるのを放置することはない。
甲は、甲口座が同人に帰属する旨の申立てをしているものであるが、同口座での手形割引に係る受取利息について一切個人申告をしていない。甲口座が原告に帰属することは、このことからも明らかである。
なお、原告の受取利息収入のうち、本件手形の割引分とD手形の割引分の区分は以下のとおりである。
<1> 平成5年3月期
本件手形分 636万5655円
D手形分 20万2719円
<2> 平成6年3月期
本件手形分 923万6136円
D手形分 62万2885円
<3> 平成7年3月期
本件手形分 937万0113円
<4> 平成8年3月期
本件手形分 922万0098円
また、本件手形の割引に係る受取利息の額については以下のaないしjのとおりである。D手形の割引に係る受取利息の額は別表4記載のとおりである。なお、原告は、当初、D手形の割引に係る受取利息を自白し、後にこれを撤回して否認したが、その自白の撤回には異議がある。
a 平成5年3月期の甲口座での取立分について
(a) 受取利息87万6166円
本件手形7枚の額面合計3500万円の融資として、平成4年4月28日にG銀行前田支店からG銀行美瑛支店のC名義の当座預金口座(以下「G銀行C口座」という。)に送金された3352万6194円は、同日、甲口座から現金で払い出した1912万3834円と出所不明の1440万2360円の合計額3352万6194円を資金源としており、本件手形のうち2000万円は平成4年8月25日から同年9月2日までの間に甲口座で取り立てられているから、本件手形の取立額2000万円と本件手形の割引に係る送金額のうち1912万3834円との差額87万6166円を本件手形の割引による原告の受取利息とした。
(b) 受取利息86万1495円
本件手形4枚の額面合計2000万円の融資として、平成4年5月29日にB銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された1913万8505円は、同日、甲口座から現金で払い出した1914万5205円(内送金手数料700円)のうち、1913万8505円を資金源としており、本件手形は同年9月16日から同月30日までの間に甲口座で全額取り立てられているから、本件手形の取立額2000万円と本件手形の割引の資金源とした送金額1913万8505円との差額86万1495円を原告の受取利息とした。
(c) 受取利息85万7934円
本件手形4枚の額面合計2000万円の融資として平成4年6月29日にB銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された1914万2066円は、同日甲口座から現金で払い出した1274万8766円とF銀行手稲支店の原告名義の普通預金口座(以下「F銀行原告口座」という。)から現金で払い出した640万円(内送金手数料700円)の合計額1914万8766円のうち、1914万2066円を資金源としており、本件手形は、同年10月15日から同年11月2日までの間に甲口座で全額取り立てられているから、本件手形の取立額2000万円と本件手形の割引の資金源とした送金額1914万2066円との差額85万7934円を原告の受取利息とした。
(d) 受取利息105万0481円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成4年7月30日にB銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された2394万9519円は、同日、甲口座から現金で払い出した2005万8219円とG銀行前田支店の原告名義の普通預金口座(以下「G銀行原告口座」という。)から現金で払い出した390万円(内送金手数料700円)の合計額2395万8219円のうち、2394万9519円を資金源としており、本件手形は平成4年11月10日から同月30日までの間に甲口座で全額取り立てられているから、本件手形の取立額2500万円と本件手形の割引の資金源とした送金額2394万9519円との差額105万0481円を原告の受取利息とした。
b 平成5年3月期のE信用金庫乙口座での取立分について
(a) 受取利息23万7668円
本件手形7枚の額面合計3500万円の融資として平成4年8月28日にB銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された3352万9463円は、甲口座からの払出金であることが明らかな541万9039円と出所不明の金員2811万0424円を資金源としているところ、本件手形のうち、2500万円は平成4年12月21日から同月31日までの間にE信用金庫乙口座で取り立てられているが、残りの1000万円の取り立て銀行は、被告の税務調査においても把握できなかった。
したがって、上記送金額3352万9463円のうち541万9039円に対応する受取利息を23万7668円と認定した。
計算式 (3500万円-3352万9463円)×(541万9039円÷3352万9463円)=23万7668円
(b) 受取利息86万3842円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成4年9月29日にB銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された2391万9916円は、甲口座からの払出金であることが明らかな1913万0958円と出所不明の金員478万8958円を資金源としており、本件手形のうち2000万円は、平成5年1月25日から同年2月1日までの間にE信用金庫乙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査によっても把握できなかった。
したがって、上記送金額2391万9916円のうち1913万0958円に対応する受取利息を86万3842円と認定した。
計算式 (2500万円-2391万9916円)×(1913万0958円÷2391万9916円)=86万3842円
(c) 受取利息81万8069円
本件手形6枚の額面合計3500万円の融資として、平成4年10月30日にB銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された3369万1938円は、甲口座からの払出金であることが明らかな2107万1123円と出所不明の金員1262万0815円を資金源としているところ、本件手形のうち2200万円は平成5年2月22日から同年3月1日までの間にE信用金庫乙口座で取り立てられているが、残りの1300万円の取立先銀行は被告の税務調査においても把握できなかった。
したがって、上記送金額3369万1938円のうち2107万1123円に対応する受取利息を81万8069円と認定した。
計算式 (3500万円-3369万1938円)×(2107万1123円÷3369万1938円)=81万8069円
(d) 受取利息80万円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成4年11月27日にB銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された2393万6500円は、甲口座からの払出金であることが明らかな1920万円と出所不明の金員473万6500円を資金源としているところ、本件手形のうち2000万円は平成5年3月22日から同月31日までの間にE信用金庫乙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査によっても把握できなかった。
したがって、上記送金額2393万6500円のうち1920万円に対応する本件手形の割引料85万3057円(計算式〔2500万円-2393万6500円〕×〔1920万円÷2393万6500円〕)を原告の受取利息とするべきところ、上記送金額のうち1920万円と上記割引料85万3057円との合計2005万3057円が上記取立額2000万円を超えるとの理由から、取立額2000万円と送金額のうち1920万円との差額80万円の限度で、これを原告の受取利息の額とした。
c 平成6年3月期のE信用金庫乙口座での取立分について
受取利息62万9055円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として平成4年12月25日にB銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された2870万9987円は、甲口座からの払出金であることが明らかな1400万円と出所不明の金員1470万9987円を資金源としているところ、本件手形のうち1500万円は平成5年4月26日から同月30日までの間にE信用金庫乙口座で取り立てられているが、残りの1500万円の取立先銀行は被告の調査においても把握できなかった。
したがって、上記金額2870万9987円のうち1400万円に対応する受取利息を62万9055円と認定した。
計算式 (3000万円-2870万9987円)×(1400万円÷2870万9987円)=62万9055円
d 平成6年3月期のE信用金庫乙口座からの払出金を丙口座で取り立てた分について
(a) 受取利息102万8335円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成5年1月29日から同年2月1日までの間にG銀行手稲前田支店からG銀行C口座に送金された2397万1665円は、E信用金庫乙口座からの払出金2397万4247円を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成5年5月17日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、上記払出金2397万1665円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、被告は、本件手形の取立額2500万円と上記送金額2397万1665円との差額102万8335円を、原告の受取利息と認定した。
(b) 受取利息48万3893円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成5年2月26日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2393万9366円は、E信用金庫乙口座からの払出金1434万1095円と出所不明の金員959万8271円を資金源としているところ、本件手形のうち1500万円は平成5年6月25日から同月30日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの1000万円の取立先銀行は被告の調査によっても把握できなかった。
そして、E信用金庫乙口座からの上記払出金1434万1095円のうち1092万1856円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1092万1856円に対応する受取利息を48万3893円と認定した。
計算式 (2500万円-2393万9366円)×(1092万1856円÷2393万9366円)=48万3893円
(c) 受取利息82万1424円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成5年3月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2397万2053円は、E信用金庫乙口座からの払出金1915万5890円と出所不明の金員481万6163円を資金源としているところ、本件手形のうち2000万円は平成5年7月15日から同年8月2日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査においても把握できなかった。
そして、本件手形の割引の資金源とした送金額2397万2053円のうち1915万5890円は、すべて甲口座の払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1915万5890円に対応する受取利息を82万1424円と認定した。
計算式 (2500万円-2397万2053円)×(1915万5890円÷2397万2053円)=82万1424円
(d) 受取利息78万8712円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として、平成5年4月28日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2874万9450円は、E信用金庫乙口座からの払出金2352万3348円と出所不明の金員522万6102円を資金源としているところ、本件手形のうち2500万円は平成5年8月16日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査によっても把握できなかった。
そして、E信用金庫乙口座からの上記払出金2352万3348円のうち1813万2070円は、甲口座の払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1813万2070円に対応する受取利息を78万8712円と認定した。
計算式 (3000万円-2874万9450円)×(1813万2070円÷2874万9450円)=78万8712円
e 平成6年3月期の丙口座からの払出金を丙口座で取り立てた分について
(a) 受取利息85万4422円
本件手形5枚の額面額合計2500万円の融資として平成5年5月28日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2393万1095円は、丙口座からの払出金1912万9178円と出所不明の金員480万1917円を資金源としているところ、本件手形のうち2000万円については平成5年9月20日から同月30日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査においても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金2393万1095円のうち1912万9178円はすべて甲口座の払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1912万9178円に対応する受取利息を85万4422円と認定した。
計算式 (2500万円-2393万1095円)×(1912万9178円÷2393万1095円)=85万4422円
(b) 受取利息74万2101円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成5年6月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2398万2738円は、丙口座からの払出金1916万8355円と出所不明の金員481万4383円を資金源としているところ、本件手形のうち2000万円は平成5年10月15日から同年11月1日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査によっても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金のうち1749万5611円はすべて甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1749万5611円に対応する受取利息を74万2101円と認定した。
計算式 (2500万円-2398万2738円)×(1749万5611円÷2398万2738円)=74万2101円
(c) 受取利息60万5798円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成5年7月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2394万7902円は丙口座からの払出金1654万3424円と出所不明の740万4478円を資金源としているところ、本件手形のうち2000万円は平成5年11月22日から同月30日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査によっても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金のうち1378万9210円は、甲口座の払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1378万9210円に対応する受取利息を60万5798円と認定した。
計算式 (2500万円-2394万7902円)×(1378万9210円÷2394万7902円)=60万5798円
(d) 受取利息87万5214円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として平成5年8月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2878万1505円は、丙口座からの払出金2396万5342円と出所不明の金員481万6163円を資金源としているところ、本件手形のうち2500万円は平成5年12月25日から平成6年1月4日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査によっても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金のうち2067万3032円はすべて甲口座の払出金を資金源としているから、上記送金額のうち2067万3032円に対応する受取利息を87万5214円と認定した。
計算式 (3000万円-2878万1505円)×(2067万3032円÷2878万1505円)=87万5214円
(e) 受取利息105万4660円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成5年9月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2394万5340円は、丙口座からの払出金2394万5752円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は、平成6年1月17日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金2394万5340円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、本件手形の取立額2500万円と上記送金額2394万5340円との差額105万4660円を原告に対する受取利息と認定した。
(f) 受取利息85万9477円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成5年10月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2397万3835円は、丙口座からの払出金2397万4247円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成6年2月10日から同月28日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座の上記払出金のうち2007万9583円は、甲口座の払出金を資金源としているから、上記送金額のうち2007万9583円に対応する受取利息を85万9477円と認定した。
計算式 (2500万円-2397万3835円)×(2007万9583円÷2397万3835円)=85万9477円
(g) 受取利息49万3045円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成5年11月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2396万3150円は、丙口座からの払出金1696万3562円(うち送金手数料412円)と出所不明の金員699万9588円を資金源としているとこる、本件手形2500万円は平成6年3月15日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金のうち1139万5008円は、すべて甲口座の払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1139万5008円に対応する受取利息を49万3045円と認定した。
計算式 (2500万円-2396万3150円)×(1139万5008円÷2396万3150円)=49万3045円
f 平成7年3月期の丙口座からの払出金を丙口座で取り立てた分について
(a) 受取利息71万0197円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として平成5年12月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2876万5478円は丙口座からの払出金1914万1664円と出所不明の金員962万3814円を資金源としているところ、本件手形のうち2000万円は平成6年4月25日から同年5月2日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの1000万円の取立先銀行は被告の税務調査によっても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金のうち1654万8246円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1654万8246円に対応する受取利息を71万0197円と認定した。
計算式 (3000万円-2876万5478円)×(1654万8246円÷2876万5478円)=71万0197円
(b) 受取利息83万5887円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年1月28日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2395万4245円は、丙口座からの払出金1914万6986円と出所不明の金員480万7259円を資金源としているところ、本件手形のうち2000万円は平成6年5月20日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査においても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金1914万6986円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1914万6986円に対応する受取利息を83万5887円と認定した。
計算式 (2500万円-2395万4245円)×(1914万6986円÷2395万4245円)=83万5887円
(c) 受取利息52万4262円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年2月25日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2393万9999円は、丙口座からの払出金1184万0411円と出所不明の金員1209万9588円を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成6年6月10日から同月30日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金1184万0411円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1184万0411円に対応する受取利息を52万4262円と認定した。
計算式 (2500万円-2393万9999円)×(1184万0411円÷2393万9999円)=52万4262円
(d) 受取利息87万1147円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年3月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2395万4245円は、丙口座からの払出金1995万4657円と出所不明の金員399万9588円を資金源としているととろ、本件手形2500万円は平成6年7月15日から同年8月1日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金1995万4657円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1995万4657円に対応する受取利息を87万1147円と認定した。
計算式 (2500万円-2395万4245円)×(1995万4657円÷2395万4245円)=87万1147円
(e) 受取利息65万8601円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として平成6年4月28日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2873万1641円は、丙口座からの払出金1491万9039円と出所不明の金員1381万2602円を資金源としているところ、本件手形のうち2500万円は平成6年8月22日から同月31日での間に丙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査においても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金1491万9039円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1491万9039円に対応する受取利息を65万8601円と認定した。
計算式 (3000万円-2873万1641円)×(1491万9039円÷2873万1641円)=65万8601円
(f) 受取利息103万3289円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年5月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2396万6711円は、丙口座からの払出金2396万7123円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成6年9月12日から同月30日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、本件手形の取立額2500万円と上記送金額2396万6711円との差額103万3289円を原告に対する受取利息と認定した。
(g) 受取利息54万5395円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年6月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2396万3149円は、丙口座からの払出金2396万3561円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成6年10月11日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金のうち1260万4886円は甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1260万4886円に対応する受取利息を54万5395円と認定した。
計算式 (2500万円-2396万3149円)×(1260万4886円÷2396万3149円)=54万5395円
(h) 受取利息89万7873円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年7月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2396万6711円は、丙口座からの払出金2396万6711円を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成6年11月10日から同月30日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金のうち2082万5804円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち2082万5804円に対応する受取利息を89万7873円と認定した。
計算式 (2500万円-2396万6711円)×(2082万5804円÷2396万6711円)=89万7873円
(i) 受取利息71万5251円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として平成6年8月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2877万0820円は丙口座からの払出金2877万1232円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形3000万円は平成6年12月12日から平成7年1月4日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金うち1674万1540円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1674万1540円に対応する受取利息を71万5251円と認定した。
計算式 (3000万円-2877万0820円)×(1674万1540円÷2877万0820円)=71万5251円
(j) 受取利息103万6851円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年9月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2396万3149円は、丙口座からの払出金2396万3561円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成7年1月10日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金2396万3149円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、本件手形の取立額2500万円と上記送金額2396万3149円との差額103万6851円を受取利息と認定した。
(k) 受取利息61万8239円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年10月28日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2395万6027円は、丙口座からの払出金2395万6439円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成7年2月10日から同月28日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座から上記払出金のうち1418万6720円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1418万6720円に対応する受取利息を61万8239円と認定した。
計算式 (2500万円-2395万6027円)×(1418万6720円÷2395万6027円)=61万8239円
(l) 受取利息92万3121円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成6年11月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2398万0958円は、丙口座からの払出金2398万1370円(うち送金手数料412円)を資金源しているところ、本件手形2500万円は平成7年3月10日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金のうち2172万3677円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち2172万3677円に対応する受取利息を92万3121円と認定した。
計算式 (2500万円-2398万0958円)×(2172万3677円÷2398万0958円)=92万3121円
g 平成8年3月期の丙口座からの払出金を丙口座で取り立てた分について
(a) 受取利息74万9189円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として平成6年12月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2876万5478円は、丙口座からの払出金2876万5890円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形3000万円は平成7年4月10日から同年5月1日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金のうち1745万6791円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1745万6791円に対応する受取利息を74万9189円と認定した。
計算式 (3000万円-2876万5478円)×(1745万6791円÷2876万5478円)=74万9189円
(b) 受取利息101万0137円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成7年1月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2398万9863円は、丙口座からの払出金2399万0275円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成7年5月10日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、本件手形の取立金2500万円と上記送金額2398万9863円との差額101万0137円を受取利息と認定した。
(c) 受取利息47万4667円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成7年2月27日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2396万6711円は、丙口座からの払出金2396万7123円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成7年6月12日から同月30日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金のうち1100万9725円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1100万9725円に対応する受取利息を47万4667円と認定した。
計算式 (2500万円-2396万6711円)×(1100万9725円÷2396万6711円)=47万4667円
(d) 受取利息102万7947円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成7年3月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2397万2053円は、丙口座からの払出金2397万2465円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成7年7月10日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、本件手形の取立額2500万円と上記送金額2397万2053円との差額102万7947円を受取利息とした。
(e) 受取利息102万1447円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として平成7年4月28日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2874万0546円は、丙口座からの払出金2874万0958円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形3000万円は平成7年8月10日から同月31日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金のうち2330万9272円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち、2330万9272円に対応する受取利息を102万1447円と認定した。
計算式 (3000万円-2874万0546円)×(2330万9272円÷2874万0546円)=102万1447円
(f) 受取利息103万3289円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成7年5月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2396万6711円は、丙口座からの払出金2396万7123円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は、平成7年9月11日から同年10月2日までの間に丙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、本件手形の取立額2500万円と上記送金額2396万6711円との差額103万3289円を原告に対する受取利息とした。
h 平成8年3月期の丙口座からの払出金をF銀行乙口座で取り立てた分について
(a) 受取利息54万7748円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成7年6月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2397万4117円は、丙口座からの払出金2397万4529円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成7年10月11日から同月31日までの間にF銀行乙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金のうち1280万0469円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1280万0469円に対応する受取利息を54万7748円と認定した。
計算式 (2500万円-2397万4117円)×(1280万0469円÷2397万4117円)=54万7748円
(b) 受取利息105万1097円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成7年7月28日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2394万8903円は、丙口座からの払出金2394万9315円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成7年11月10日から同月30日までの間にF銀行乙口座で取り立てられている。
そして、丙口座からの上記払出金は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、本件手形の取立額2500万円と上記送金額2394万8903円との差額105万1097円を原告の受取利息とした。
(c) 受取利息23万1647円
本件手形6枚の額面合計3000万円の融資として平成7年8月30日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2876万1916円は、丙口座からの払出金2394万5753円と出所不明の金員481万6163円を資金源としているところ、本件手形3000万円のうち2500万円は、平成7年10月11日から同月31日までの間にF銀行乙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査においても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金のうち538万1404円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち538万1404円に対応する23万1647円を受取利息とした。
計算式 (3000万円-2876万1916円)×(538万1404円÷2876万1916円)=23万1647円
i 平成8年3月期の丙口座及びF銀行乙口座からの払出金をF銀行乙口座で取り立てた分について
受取利息82万8539円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成7年9月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された2396万3149円は、丙口座からの払出金1500万円とF銀行乙口座からの払出金414万8766円との合計1914万8766円と、出所不明の金員481万4383円を資金源としているところ、本件手形2500万円のうち2000万円は平成8年1月16日から同月31日までの間にF銀行乙口座で取り立てられているが、残りの500万円の取立先銀行は被告の税務調査によっても把握できなかった。
そして、丙口座からの上記払出金及びF銀行乙口座からの上記払出金の合計1914万8766円は、すべて甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1914万8766円に対応する受取利息を82万8539円と認定した。
計算式 (2500万円-2396万3149円)×(1914万8766円÷2396万3149円)=82万8539円
j 平成8年3月期のF銀行乙口座からの払出金をF銀行乙口座で取り立てた分について
(a) 受取利息82万2130円
本件手形5枚の額面合計2500万円の融資として平成7年10月25日から同月30日までの間にG銀行四番通支店からG銀行C口座に送金された2397万3423円は、F銀行乙口座からの払出金2397万4247円(うち送金手数料824円)を資金源としているところ、本件手形2500万円は平成8年2月13日から同月28日までの間にF銀行乙口座で取り立てられている。
そして、F銀行乙口座からの上記払出金のうち1919万9451円は、甲口座からの払出金を資金源としているから、上記送金額のうち1919万9451円に対応する受取利息を82万2130円と認定した。
計算式 (2500万円-2397万3423円)×(1919万9451円÷2397万3423円)=82万2130円
(b) 受取利息42万2261円
本件手形4枚の額面合計2000万円の融資として平成7年11月29日にG銀行前田支店からG銀行C口座に送金された1915万5478円は、F銀行乙口座からの払出金1915万5890円(うち送金手数料412円)を資金源としているところ、本件手形2000万円は平成8年3月15日から同年4月1日までの間にF銀行乙口座で取り立てられている。
そして、F銀行乙口座からの上記払出金は、甲口座からの払出金を資金源としているから、本件手形の取立額2000万円と上記送金額1915万5478円との差額84万4522円のうち、平成8年3月31日までの取立額1000万円に対応する42万2261円を原告の受取利息とした。
計算式 (2000万円-1915万5478内)×(1000万円÷2000万円)=42万2261円
(イ) 売上除外
原告は、主たる業務の売上である運送売上の一部及び車両整備についての整備売上を、原告の公表帳簿に記載せず、原告の所得に計上しなかった。
<1> 平成5年3月期
整備売上分 183万8057円
<2> 平成6年3月期
整備売上分 346万8596円
<3> 平成7年3月期
整備売上分 317万0295円
<4> 平成8年3月期
整備売上分 191万1730円
運送売上分 202万2262円
(ウ) 雑収入除外
原告は、自動販売機手数料収入等の雑収入の一部を、原告の公表帳簿に記載せず、原告の所得に計上しなかった。
<1> 平成5年3月期 121万9755円
<2> 平成6年3月期 44万4273円
<3> 平成7年3月期 29万1858円
<4> 平成8年3月期 52万8678円
(エ) 預貯金利息除外
原告は、原告の簿外預貯金口座であるH銀行J口座、I貯金口座、甲口座の各預貯金口座合計3口についての預貯金利息を、原告の公表帳簿に記載せず、原告の所得に計上しなかった。
<1> 平成5年3月期
甲口座分 5万5789円
H銀行J口座分 165円
<2> 平成6年3月期
甲口座分 5140円
H銀行J口座分 3216円
I貯金口座分 5826円
<3> 平成7年3月期
甲口座分 2109円
I貯金口座分 2万0610円
<4> 平成8年3月期
甲口座分 23円
I貯金口座分 2万5376円
(オ) 道民税利子割額の損金不算入
地方税法の規定による道府県民税及び市町村民税は、法人税法38条2項3号の規定により、各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入することができないから、原告の簿外預貯金口座であるH銀行J口座、I貯金口座及び甲口座の各預貯金口座合計3口についての預貯金利息についての道民税利子割額は、損金の額に算入することができない。
<1> 平成5年3月期
甲口座分 3486円
H銀行J口座分 10円
<2> 平成6年3月期
甲口座分 320円
I貯金口座分 364円
<3> 平成7年3月期
甲口座分 131円
28130545I貯金口座分 1288円
<4> 平成8年3月期
I貯金口座分 1586円
(カ) 修繕費否認
原告は、K株式会社から平成8年3月12日に仕入れたタイヤの代金を全額修繕費として損金計上しているが、これらは未使用のまま仕入先で保管されていたものであるから、損金に計上することはできない。なお、原告は、当初この事実を認めていたのに、後になってこれを否認するに至ったが、これは自白の撤回に当たるので異議がある。
平成8年3月期 576万8000円
イ 減算金額
(ア) 雑費認容
被告は、原告の公表帳簿にない本件手形及びD手形の各割引に関する送金手数料を、原告の所得金額の計算上、次のとおり損金の額に算入した。
<1> 平成5年3月期
本件手形の割引分 2924円
D手形の割引分 1812円
<2> 平成6年3月期
本件手形の割引分 412円
D手形の割引分 1812円
<3> 平成7年3月期
本件手形の割引分 1648円
<4> 平成8年3月期
本件手形の割引分 2369円
(イ) 事業税認容
被告は、平成6年3月期、平成7年3月期及び平成8年3月期の直前の各事業年度の更正処分に伴い増加した事業税を、原告の各事業年度に係る所得金額の計算上、次のとおり損金の額に算入した。
<1> 平成6年3月期 116万1700円
<2> 平成7年3月期 151万4800円
<3> 平成8年3月期 175万9700円
(3) 本件納税告知処分について
ア 被告が主張する源泉所得税の額は、以下のとおり原告代表者の給与の額に認定賞与の額を加算して算出された給与等の額を基にされた金額である。なお、加算金額の各月の内訳は、別表5のとおりである。
(ア) 平成4年分
給与の額 1200万円
(加算金額) 1430万7342円
甲口座からの払出 1430万7342円
給与等の額 2630万7342円
(イ) 平成5年分
給与の額 1200万円
(加算金額) 300万円
H銀行J口座からの払出 300万円
給与等の額 1500万円
(ウ) 平成6年分
給与の額 1200万円
(加算金額) 215万0022円
現金売上除外分 16万3616円
H銀行J口座からの払出 194万6662円
甲口座からの払出 3万9744円
給与等の額 1415万0022円
(エ) 平成7年分
給与の額 1200万円
(加算金額) 34万1214円
現金売上除外分 34万1214円
給与等の額 1234万1214円
イ 以下、上記の加算金額について説明する。
(ア) 賞与と認定した甲口座からの現金払出金
被告の原告に対する調査対象年分である平成4年4月1日から平成8年3月31日までの間の甲口座からの払出金及び入金のうち、本件手形及びD手形の割引金の払出金及び上記各手形の取立金の入金を除いたものは、甲が個人的に出入れを行っていたもので、本件手形及びD手形の割引の送金額を除くその払出額のうち、払出時に入金額を超える平成4年の1430万7342円及び平成6年の3万9744円の使途が不明である。原告代表者の甲は、その使途について合理的な説明をせず、甲口座は同人の管理下にあって、同人が自由に操作できることなどに鑑みると、上記超過額は、同人が個人として利得したものであって、同人に対する賞与として認定できるから、同人の給与に加算した。
(イ) 賞与と認定したH銀行J口座からの払出金
原告の簿外預金であるH銀行J口座は、平成4年11月20日に開設され、原告の車両整備に係る整備売上が振込入金され、すべて売上除外となっていた。また、同口座から<1>平成5年11月26日に払い出された300万円、<2>平成6年2月25日に払い出された14万8449円、<3>平成6年4月26日に同口座を解約し、同日に払い出された179万8213円の使途が、それぞれ不明となっていた。これは、前記(ア)と同様の理由により、甲に対する賞与と認定できるから、同人の給与に加算した。
(ウ) 賞与と認定した現金売上除外分
原告の売上除外である車両整備に関する整備売上の現金受領分92万1546円のうち、原告の整備工場事務所の金庫内に保管してあった現金41万6716円を除外した50万4830円の使途が不明となっていた。この使途不明金についても、前記(ア)と同様の理由により、甲に対する賞与と認定できるから、同人の給与に加算した。
(4) 各税額について
別表6(1)ないし(6)の各<3>欄及び別表7のとおりである。
4 抗弁に対する認否
(1) 抗弁(1)の事実については、被告による計算方法として認める。
(2) 抗弁(2)ア(ア)の冒頭の事実のうち、受取利息収入の区分については認め、その余は否認する。D手形の割引に係る受取利息については自白は成立していない。原告は法律上の意見を表明したに過ぎない。
また、抗弁(2)ア(ア)a(a)の事実のうち、甲口座からの払出金及び同口座での取立ての経緯・金額については認め、その余の事実は不知。取立額と送金額との差額が受取利息となることは否認する。
このとき、甲が割り引いたのは2000万円分であり、これを超える金額の本件手形については、Lが他の受取手形と混ぜて取引銀行に割引を依頼したものである。
同(ア)a(b)ないし(d)の事実のうち、取立金額と送金額との差額が受取利息であることは否認し、その余の事実は認める。
ただし、同(b)の事実については、甲がLの依頼に応じて割引いたものであり、同(c)、(d)の事実については、甲が、Lからの依頼を受けたとき、資金不足であったため、原告の簿外預金から、本件手形の割引の資金を一時借用したものである。
同ア(ア)bないしjの事実については、いずれも原告が、Cに送金した事実も本件手形を取り立てた事実もない。G銀行前田支店からG銀行C口座への送金、甲口座、E信用金庫乙口座、丙口座及びF銀行乙口座からの各払出並びにE信用金庫乙口座、丙口座及びF銀行乙口座での各取立ては、いずれもLが行ったものである。
抗弁(2)ア(イ)及び(ウ)は認める。同(エ)及び(オ)の事実のうち、甲口座が原告に帰属する簿外預金口座であることは否認し、その余の事実は認める。同(カ)の事実は争う。
原告は、Lの代表者戊(以下「戊」という。)から依頼を受け、昭和62年頃から同社と取引関係にあったCの本件手形の割引を行うようになったが、原告として本件手形の割引に応じていたのは平成元年3月までであり、その後、同年10月か11月ころから、甲が本件手形の割引を行っていた。しかし、平成4年調査において、甲口座が原告の簿外預金と疑われ、本件手形の割引によって得た金利以上に元金も減ることになりかねない状況になったため、平成4年11月ころ、本件手形の割引を止めることとし、その旨戊に伝えた。
これに対して戊は、取引先を失いたくないとの理由で、自ら本件手形の割引を行うこととし、甲に対して、本件手形の割引に必要な資金を貸すように依頼した。
甲は、戊の上記依頼に応じて、本件手形の割引に必要な資金として、取立未了となっていた本件手形と、d口座の預金通帳及び印鑑を戊に対して貸し渡し、その後の本件手形の取立て及び本件手形の割引は、戊が主体となって行っていたものである。
このように、原告は、平成元年10月か11月ころから、本件手形の割引を全く行っておらず、その受取利息が原告に帰属するとの理由でされた本件各処分等は違法である。
抗弁(2)イの事実の経過については認める。
(3) 抗弁(3)アの事実は、被告による算定方法として認める。同イ(ア)の事実については、甲口座が原告に帰属する口座であって、同口座からの払出金が原告から甲への賞与になっていることについては否認する。同(イ)、(ウ)の事実は認める。
甲口座は、原告に帰属するものではなく、同口座からの払出金については役員賞与になり得ない。すなわち、甲口座は、元々甲個人に帰属する預金口座であって、甲は、平成4年までのC及びD手形の割引を行っていたものであり、上記手形割引以外の金員の出入れを個人的に行うのは当然である。
(4) 抗弁(4)の事実については、各種加算税の算定方法として認めるが、その額については争う。
理由
第1 請求原因(1)、(2)の事実については当事者間に争いがない。
第2抗弁(本件各処分等の適法性)について
1 法人税の更正処分等の適法性について
抗弁(1)の事実については、被告による計算方法として、当事者間に争いがない。
抗弁(2)ア(ア)の事実のうち、受取利息収入の区分及び同a(a)の事実のうち、甲口座からの払出金及び取立ての経緯・金額については争いがなく、同(2)ア(ア)a(b)ないし(d)の事実のうち、送金額と取立金額の差額が受取利息になるとの事実以外の事実については争いがない。
被告は、原告がD手形の割引に係る受取利息を自白した後にこれを撤回して否認したが、これは自白の撤回に当たるので異議があると主張するので、まず、この点について判断する。
本件記録によれば、原告は、被告の抗弁に関する主張に先立つ求釈明に応じて、平成11年1月29日付け準備書面において、「原告が争う範囲」と題して、
「1 原告が本訴で主張する基本的事実は、原告が本件手形割引をしていないこと、本件手形割引に使用したとされる甲名義の銀行口座は原告の口座ではなく同人個人の口座であることである。これらの基本的事実に反する税務当局の主張に基づいて計算される所得額は争うが、それ以外の指摘された非違事項に関する所得額は争わない。
2 従って、本件裁決書(甲第22号証)33頁「ワ 本件各事業年度の法人税の構成処分について」で指摘されている各事実のうち、原告の所得の算定基礎とすることにつき争う事項と争わない事項は次のとおりである。
(イ)記載の本件手形の割引に係る受取利息については、争う。
(ロ)記載のDの手形の割引に係る受取利息については、争わない。
(中略)
(チ)記載の送金手数料のうち、本件手形の割引に係る送金手数料については争い、D手形の割引に係る送金手数料については争わない。」と記載してその旨主張し、被告は、その後、抗弁記載の主張をしたことが認められる。したがって、原告は、被告の主張に先行して、D手形の割引に係る受取利息についてはこれを自白し、被告が後にこれを主張してその自白を援用したものというべきである。したがって、上記事実については自白が成立しているものと解されるところ、原告が後にこの事実を否認したことは、自白の撤回に当たり、被告がこれに異議を述べているから、原告において、その自白が真実に反し、かつ錯誤に出たとの主張をしない本件においては、その自白の撤回は許されない(また、本件全証拠によっても、それが真実に反すると認めるには足りない。)。よって、D手形の割引に係る受取利息を所得の算定基礎とすることについては、当事者間に争いがない。
次に、甲口座の帰属と本件手形の割引に係る受取利息の帰属について検討する。
(1) 甲口座の帰属について
ア 後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。
(ア) 被告は、平成元年9月11日実施の税務調査(以下「平成元年調査」という。)により、原告がM銀行発寒支店に4口の架空名義普通預金口座(<1>N名義、<2>O名義、<3>P名義、<4>Q名義)を設け、これらにタイヤ販売等に係る簿外売上を入金するなどの方法で多額の裏金を蓄積していた事実を発見し、その旨指摘したところ、原告は修正申告に応じた(乙1の1ないし3、弁論の全趣旨)。
本件手形の割引は、原告が主体となって、昭和62年に開始され、平成元年調査終了時まで、原告が受取利息を得ていた(甲33、弁論の全趣旨)。
本件手形の額面はほとんど500万円に統一されており、割引に出してから実際に決算されるまでの期間は、90日から110日前後で、支払日は10日、15日、20日、末日と振り分けられていて、同一の機会に振り出されたものについて、支払日が別の月にまたがることはなかった(甲25、証人戊、原告代表者)。
(イ) 甲口座は、平成2年2月22日に開設された普通預金口座で、同月28日から平成4年11月30日までの間、本件手形の取立てに使用されていた。同口座には、上記期間中、77回にわたり、本件手形の取立金が入金される一方で、毎月数百万円から数千万円の金銭が払い戻されていた(乙2)。
同口座では、本件手形のほかに、株式会社R、D、有限会社S、T、U及びVが振り出した手形の取立金も入金されていた。このうちDは、原告の取引先であり、原告は、平成4年6月30日、Dに対し、原告の簿外預金口座である原告名義のE信用金庫手稲前田支店の預金口座から339万8671円を払い出し、振込手数料760円を除外した339万7971円を手形割引によって融資しており、その後、平成4年9月2日と同月30日の2回にわたり、合計350万円を甲口座によって取り立てた(乙2、乙18、乙26、乙27)。
これらの甲口座によって取り立てられた金員は、同口座に入金後、数日から20日以内に、数百万円から数千万単位で引き出されていた(乙2)。
(ウ) 平成4年6月29日及び同年7月30日、G銀行C口座に、それぞれ1914万2066円及び2394万9519円が振込入金されているが、これらは、甲口座から各同日付けで払い出された1274万8766円及び2005万8219円に、原告の簿外預金である原告名義のF銀行手稲支店及びG銀行前田支店の各普通預金口座から、それぞれ同日付けで出金された640万円及び390万円を加算したものであった(甲26、乙2、乙15の3、4、乙16、17、原告代表者)。
(エ) Cには、本件手形の割引による融資として(甲26)、前記(ウ)の振込入金のほかにも、平成4年4月28日に3352万6194円(乙15の1)、同年5月29日に1913万8505円(乙15の2)、同年8月28日に3352万9463円(乙15の5)、同年9月29日に2391万9916円(乙15の6)、同年10月30日に3369万1938円(乙15の7)、同年12月25日に2870万9987円(乙15の9)がそれぞれ振込入金されているが、これに対応して、甲口座から、同年4月28日に1912万3834円、同年5月29日に2回合計2163万7860円、同年8月28日に541万9039円、同年9月29日に1913万0958円、同年10月30日に2107万1123円、同年12月25日に1400万円がそれぞれ払い出された(乙2)。
(オ) 甲口座を利用して、本件手形の取立てが行われていた間、本件手形の割引による利益は、年間およそ900万円程度であり、この利益について、甲も原告も納税申告をしていなかった(証人W、原告代表者)。
(カ) 平成4年調査において、甲口座を含めた甲個人名義の普通預金口座が2口あることのほか、原告が、原告を名義人とするF銀行手稲支店、E信用金庫手稲前田支店、G銀行前田支店及びX信用金庫手稲前田支店の各普通預金口座を簿外預金として、これらに売上金及び架空傭車費を捻出した裏金を入金するなどして多額の裏金を蓄積していたこと、原告が、修理代収入及び車両の売却代金を除外していること、及び1億3300万円にものぼる不明朗な多額の長期借入金の計上があったことが判明した(証人W)。
被告の担当調査官は、甲口座について、本件手形の割引に利用されている口座で、原告の簿外預金口座であるとして、原告を追及したところ、原告は、甲口座が甲個人に帰属する普通預金口座であると主張した(証人W、証人丁、原告代表者)。
被告の担当調査官は、原告及び丁税理士に対して、甲口座が原告に帰属する簿外預金口座であること、長期借入金については解明を依頼するとともに、解明困難な分については、税務調整を行うことが可能であることを説明した(証人W)。
また、被告の担当調査官は、原告が否定していた架空傭車費についての反面調査を松戸税務署に依頼し、その回答があった平成4年12月下旬ころ、原告及び丁税理士に対して、調査結果を一覧表にまとめ、そのとおり修正申告に応じるように説得した(甲28の1、甲30、乙31の1、2、証人W)。
これに対して、原告は、架空傭車費については、なお原告に帰属しないことを主張して修正申告に応じることを保留したが、本件手形の割引による受取利息の帰属を含めたその他の部分については、原告に帰属することを認め、最終的には平成5年3月ころ、架空傭車費を含め、甲口座が原告に帰属するものとの前提で修正申告に応じた(甲31の1ないしa、甲32、証人W)。
(キ) 原告は、平成5年3月期において、平成4年調査によって修正申告に応じた金額について、会計帳簿の修正を行い、甲口座の平成4年3月31日現在の残高709万1894円と、前記ア(エ)のとおり原告の簿外預金口座であることに争いのない原告名義のF銀行手稲支店口座の同口座の残金369万7264円の合計1078万9158円と仮受金1000万円と借入金78万9158円の合計1078万9158円を相殺し、会計帳簿上、甲口座を甲に帰属するものとした(乙2、乙5、証人丁)。
原告は、この処理について、本件裁決に係る審査請求をした段階において、平成4年12月21日の甲からの仮受金1000万円のうち709万1894円と甲口座の平成4年3月31日現在の残高709万1894円とを相殺して、甲口座を甲個人に帰属させたこと、また、同仮受金は、平成4年12月21日、甲口座からの払出金1200万円からの1000万円であることを説明した(甲22)。
(ク) 丁税理士は、平成4年調査において、被告の担当調査官に対し、平成2年3月期において、1億7143万3074円の不突合が発覚し、解明次第処理するものとして、一時仮受金に計上し、平成3年3月期において、前記不突合金の一部が解明したことにより、解明分を差し引いた1億3343万7310円を長期借入金に振り替えたとして、原告の会計帳簿に計上されている長期借入金処理の経緯について説明した(甲29)。
イ 以上の認定事実によると、前記ア(イ)(ウ)のとおり、平成4年6月29日と同年7月30日に、本件手形の割引による融資金としてCに振り込まれた1914万2066円及び2394万9519円は、反復継続して本件手形の取立ての用に供されていた甲口座から各同日に出金された金員と原告の簿外預金口座から出金された金員を合計したものと同額であり、本件手形の割引の資金には、甲口座からの払出金のほか、原告の簿外預金口座から払い戻された金銭も含まれていると推認される。
そして、前記ア(エ)で認定した事実によると、平成4年4月28日から同年12月25日までの間、合計7回にわたり甲口座から払い戻された金員は、平成4年5月29日分を除いては、すべて同時期にCに振込入金された本件手形の割引による融資金の金額を下回っており、その不足分は、それぞれ平成4年4月28日分が1440万2360円、同年8月28日分が2811万0424円、同年9月29日分が478万8958円、同年10月30日分が1262万0815円、同年12月25日分が1470万9987円であることが認められる。そうすると、その不足金額は一様ではないものの、それぞれが相当多額であるから、その不足分を補うための資金源は、相当潤沢なものでなければならないところ、前記ア(エ)及び(カ)のとおり、当時、原告は、原告名義の簿外預金口座を開設し、修理代金や車両の売却代金等を公表帳簿に記載せず、裏金として蓄積していたものであり、他方、甲個人の平成4年の年収は、被告による認定賞与を加算しても2600万円程度であること(抗弁(3)についての認定参照)からすると、甲個人の資金により上記不足金をまかなうのは一般に困難であって、原告の裏金が甲口座に流入し、本件手形の割引に使用されていた蓋然性が高いといえる。なお、原告は、甲が相当な金融資産を有する証拠として、甲23号証の1を提出するところ、これによれば、昭和62年3月29日当時、甲名義で7900万円の定期預金が存在したことが認められるけれども、同時に、それらの預金は同年6月30日までに解約されていることも認められ、その後のその行方をうかがわせる証拠は提出されていない。したがって、平成2年に開設された甲口座で取り立てられた本件手形に係る融資金が甲個人の金融資産によってまかなわれていた証拠にはならないというべきである。
さらに、前記ア(イ)及び(カ)の認定事実のとおり、甲口座では、原告の取引先であるDからの取立金も入金されており、しかもそのうちの一つの手形については、原告の簿外預金口座からの払出金が資金源となっていることが明らかである。
加えて、原告は、平成4年調査において、本件手形の取立金及びD手形の取立金が原告に帰属することについては、当初これを争ったものの、結局、原告に帰属するものであることを認めた上で修正申告に応じており、このことからすると平成4年調査当時、甲口座が原告に帰属することを自認していたことは明らかである。
これらの事実を総合すると、甲口座の資金の実体は、原告の簿外預金として積み立てられた金員であり、甲口座は原告に帰属する簿外預金口座であると推認するのが相当である。
ウ(ア) これに対して、原告は、平成元年10月以降の本件手形の割引は、甲個人が主体となって行ったものであり、甲口座は原告に帰属するものではないと主張し、証人丁は原告からの資金の流入がないことを理由として、本件手形の割引による受取利息が原告に帰属するものではないと供述し、原告代表者も、平成元年3月ころ、取引先の銀行から融通手形であることを疑われたために本件手形の割引を止めたのであり、その後、甲が、自身に帰属する甲口座を利用して本件手形の割引を行っていたのであって、本件手形の割引の資金は、個人の自己資金と銀行及び父親からの借入金を資金源としたと供述するが、原告代表者も本件手形の割引の資金を原告から一部借り入れており、このような借入れについては、適切な会計処理をしていなかったことを認める旨の供述をしており、本件手形の割引に原告の資金が流用されていないから、甲口座は原告に帰属しないとの原告の主張並びにこれに沿う証人丁及び原告代表者の各供述を採用することはできない。
(イ) また、原告は、平成5年4月26日にした修正申告について、平成4年調査において、担当調査官に対し、同口座が甲個人に帰属するものであると主張したものの、当時、原告には内容が解明されていない1億3000万円もの多額の長期借入金が存在し、これに課税されることを回避するため、担当調査官の慫慂に従って、やむなく甲口座が原告に帰属する簿外預金口座であることを認めたものにすぎず、その後、平成5年3月期に行った相殺処理も上記修正申告の際に形式上原告に帰属していた甲口座を、甲個人に帰属するという実体に合わせるために行ったものであると主張し、証人丁及び原告代表者もこれに沿うような供述をしているが、担当調査官との折衝に当たった丁税理士も、担当調査官のニュアンスを感じ取ったというにすぎないというのであるから、そのような慫慂の事実をいう前記各供述は、これを否定する証人Wの証言と対比すると、いずれも採用することはできない。
(ウ) また、前記ア(キ)のとおり、原告は、平成5年3月期において、甲口座を原告の公表帳簿から抹消するような会計処理を行っており、これについて、原告は、修正申告によって原告に帰属するかのように公表されていた甲口座を、実体に合うように甲に帰属するようにするための処理であり、なんら不合理ではないと主張し、証人丁も、相殺の対象とするべき科目を間違えたものの、当時甲は原告に対して多額の貸付を行っていたのであるから、単純な判断ミスであり不合理な点はないと、原告の前記主張に沿う供述をしている。
しかしながら、原告は、甲口座の帰属を実体関係に符合させるために行った処理であると主張しながら、甲口座のみならず原告の簿外預金口座である原告名義のF銀行手稲支店口座の平成4年3月31日現在の預金残高396万7264円についても、甲口座と抱き合わせるようにして、仮受金及び借入金と相殺処理しており、このような処理を行う必要性が理解し難いものである上、このように特異な会計処理を実際に行った証人丁も、この点についての供述を求められると、即答できないと供述するのみで、明確に説明をすることができない。そして、このような処理をすることで、甲口座の存在を公表帳簿上不明にすることができるのであるから、このような相殺処理は、むしろ、甲口座を隠匿する行為であるとさえ評価しうるものといえる。そうすると、このような会計処理は不合理なものといわざるを得ず、原告の主張を採用することはできない。
(2) 受取利息の帰属とその額について
ア 抗弁(2)ア(ア)bないしjの事実については、原告は、原告が送金し、取り立てた事実はなく、Lが送金や取立てを行ったと主張するのみであるから、原告は、その主体を除き、Cに対する送金の事実及び送金額、取立ての事実及び取立金の額については明らかに争わないものと認める。そして、前記(1)イの認定事実及び同ウの認定判断に、後掲各証拠及び弁論の全趣旨を総合すると、以下の事実が認められる。
(ア) 甲口座での本件手形の取立ては、平成4年11月30日の入金を最後に行われなくなり、その後、E信用金庫乙口座、丙口座及びF銀行乙口座において、順次取り立てられた(乙2、乙6の1ないし3)。
(イ) E信用金庫乙口座は、平成4年11月27日に開設された普通預金口座で、主として本件手形の取立てに利用されていた。E信用金庫乙口座では、平成4年12月21日から平成5年4月30日までの間、20回にわたり本件手形の取立金が入金されており、同口座の入金のほとんどは本件手形の取立金であった。E信用金庫乙口座は、平成5年5月11日と同月18日の2回にわたり、各500万円が払い戻されたため残金が10円となり、以後、預金債権の利息が入金されただけであった。
(ウ) 丙口座は、平成5年4月28日に開設された普通預金口座で、主として本件手形の取立てに利用されていた(乙6の2)。
丙口座の名義人である丙被告は、被告の調査官によって平成8年10月8日に実施された反面調査において、丙口座が自分に帰属する口座ではなく、株式会社Yの代表者であるZに依頼されて開設したものであると説明した(乙8の1)。
丙口座では、平成5年5月17日から平成7年10月2日までの間、140回にわたり本件手形の取立金が入金されており、同口座の入金のほとんどは、本件手形の取立金であった。
丙口座は、平成7年9月7日に1000万円が払い戻され、同年10月11日に1880万7162円が払い戻されて残高が0円になった(乙6の2)。
(エ) F銀行乙口座は、平成7年9月7日に500万円の入金で開設された普通預金口座で、主として本件手形の取立てに利用されていた。
F銀行乙口座では、平成7年10月11日から平成8年7月1日までの間、本件手形の取立金が入金されたが、平成8年3月期の期間内に本件手形の取立金が入金されたのは、26回であり、同口座の入金額のほとんどは、本件手形の取立金であった(乙6の3)。
(オ) 前記(1)ア(イ)、(ウ)の認定事実のとおり、本件手形の割引による融資として(甲26)、Cに対し、平成4年8月28日に3352万9463円(乙15の5)、同年9月29日に2391万9916円(乙15の6)、同年10月30日に3369万1938円(乙15の7)、同年11月27日に2393万6500円(乙15の8)、同年12月25日に2870万9987円(乙15の9)がそれぞれ送金された。
また、甲口座からは、同年8月28日に541万9039円、同年9月29日に1913万0958円、同年10月30日に2107万1123円、同年11月27日に1920万円、同年12月25日に1400万円がそれぞれ払い出された(乙2)。
(カ) 本件手形の割引による融資として、Cに対し、平成5年1月29日に1199万9588円(乙20の1)、同年2月1日に1197万2077円(乙20の2)がそれぞれ送金された。
また、E信用金庫乙口座からは、同年1月29日に1200万円、同年2月1日に1197万4247円及び74万2298円が払い出された(乙6の1)。
さらに、本件手形の割引による融資として(甲26)、Cに対し、平成5年2月26日に2393万9366円(乙15の10)、同年3月30日に2397万2053円(乙15の11)、同年4月28日に2874万9450円(乙15の12)がそれぞれ送金された。
また、E信用金庫乙口座からは、同年2月23日に200万円、500万円、同月24日に300万円、同月25日に200万円、同月26日に234万1095円の合計1434万1095円が払い戻されており、同年3月29日に200万円、500万円、1100万円、同月30日に115万5890円の合計1915万5890円が払い出されており、同年4月26日に400万円、1000万円、400万円、同月28日に500万円、52万3348円の合計2352万3348円が払い出された(乙6の1)。
(キ) 本件手形の割引による融資として(甲26)、Cに対し、平成5年5月28日に2393万1095円(乙15の13)、同年6月29日に2398万2738円(乙15の14)、同年7月30日に2394万7902円(乙15の15)、同年8月30日に2878万1505円(乙15の16)、同年9月29日に2394万5340円(乙15の17)、同年10月29日に2397万3835円(乙15の18)、同年11月29日に2396万3150円(乙15の19)がそれぞれ送金された。
また、丙口座からは同年5月28日に1912万9178円、同年6月29日に1916万8355円、同年7月30日に1654万3424円、同年8月30日に2396万5342円、同年9月29日に2394万5752円、同年10月29日に2397万4247円、同年11月29日に1696万3562円が払い出された(乙6の2)。
(ク) 本件手形の割引による融資として(甲26)、Cに対し平成5年12月29日に2876万5478円(乙15の20)、平成6年1月28日に2395万4245円(乙15の21)、同年2月25日に2393万9999円(乙15の22)、同年3月30日に2395万4245円(乙15の23)、同年4月28日に2873万1641円(乙15の24)、同年5月30日に2396万6711円(乙15の25)、同年6月29日に2396万3149円(乙15の26)、同年7月29日に2396万6711円(乙15の27)、同年8月30日に2877万0820円(乙15の28)、同年9月29日に2396万3149円(乙15の29)、同年10月28日に2395万6027円(乙15の30)、同年11月29日に2398万0958円(乙15の31)がそれぞれ送金された。
また、丙口座からは、平成5年12月29日に1914万1644円、平成6年1月28日に1914万6986円、同年2月25日に1184万0411円、同年3月30日に1995万4657円、同年4月28日に1491万9039円、同年5月30日に2396万7123円、同年6月29日に2396万3561円、同年7月29日に2396万6711円、同年8月30日に2877万1232円、同年9月29日に2396万3561円、同年10月25日に2395万6439円、同年11月29日に2398万1370円が払い出された(乙6の2)。
(ケ) 本件手形の割引による融資として(甲26)、Cに対し、平成6年12月29日に2876万5478円(乙15の32)、平成7年1月30日に2398万9863円(乙15の33)、同年2月27日に2396万6711円(乙15の34)、同年3月30日に2397万2053円(乙15の35)、同年4月28日に2874万0546円(乙15の36)、同年5月30日に2396万6711円(乙15の37)がそれぞれ送金された。
また、丙口座からは、平成6年12月29日に2876万5890円、平成7年1月30日に2399万0275円、同年2月27日に2396万7123円、同年3月30日に2397万2465円、同年4月28日に2874万0958円、同年5月30日に2396万7123円が払い出された(乙6の2)。
(コ) 本件手形の割引による融資として(甲26)、Cに対し、平成7年6月29日に2397万4117円(乙15の38)、同年7月28日に2394万8903円(乙15の39)、同年8月30日に2876万1916円(乙15の40)がそれぞれ送金された。
また、丙口座からは、平成7年6月29日に2397万4529円、同年7月28日に2394万9315円、同年8月30日に2394万5753円が払い出された(乙6の2)。
(サ) 本件手形の割引による融資として(甲26)、Cに対し、平成7年9月29日に2396万3149円(乙15の41)が送金された。
また丙口座からは、平成7年9月29日に1500万円が払出され(乙6の2)、同日、F銀行乙口座からは、414万8766円が払い出された(乙6の3)。
(シ) 本件手形の割引による融資として(甲26)、Cに対し、平成7年10月25日に999万9588円(乙15の42)、同月30日に1397万3835円(乙15の43)、同年11月29日に1915万5478円が送金された。
また、F銀行乙口座からは、平成7年10月25日に1000万円、同月30日に1397万4247円、同年11月28日に1915万5890円がそれぞれ払い出された(乙6の3)。
(ス) 原告は、平成8年3月12日、K株式会社から、タイヤ200本を「預かり売り」との取引形態で、消費税と併せて576万8000円で購入した(乙23)。
イ 以上の認定事実をもとに、本件手形の受取利息の帰属と受取利息の額について検討する。
(ア) 本件手形の取立金の帰属について
a 上記(1)ア(イ)及び(2)ア(ア)ないし(シ)の各事実によると、本件手形の割引に利用されていた甲口座、E信用金庫乙口座、丙口座及びF銀行乙口座への入金は、本件手形の取立金によるものが大半であり、また、上記各口座から、随時多額の出金があり、その同じ日又はこれに近接した日にこれとほぼ同額の金員が反復継続して、本件手形の割引の融資金としてCに送金されていたものであって、こうした事実に照らすと、出金額が送金額に大幅に満たない場合についても同様に、その出金額は、その融資金の一部に充てられたと推認される。そして、本件手形融資が原告の口座と認められる甲口座を用いて始められ、その後、上記の他の口座も用いられてその融資が同様に続けられたこと照らすと、特段の事情のない限り、上記の他の口座も原告の計算の下にあるもの、すなわち、原告に帰属するものと推認するのが相当である。
b 平成5年3月期の甲口座での取立分について
まず、甲口座は、前記(1)イの認定判断のとおり、原告に帰属する簿外預金口座であるから、同口座を用いて取り立てていた本件手形の取立金は原告に帰属するものであると認めるのが相当であり、本件手形の割引の資金として同口座から払い戻された金員と上記取立金との差額は、本件手形の割引による受取利息として、原告に帰属するものと認めるのが相当である。
ただし、抗弁(2)ア(ア)a(a)については、3500万円の手形金のうち2000万円分の取立てがあったことは争いがないが、それを超えて取り立てられたことの証拠はないけれども、本件手形の割引がその後も継続して行われていることに照らせば、同(a)の手形割引について一部しか取立てがされなかったとは考え難く、原告又は出所不明金出捐者のいずれかによって、上記手形金の全額の取立てがされたものと推認できる。そして、原告と出所不明金出捐者との間においては、その出捐額に応じて取立金の精算が行われることが予定されていたものと推認できるところ、原告の取り分は、取り立てられたと推認される3500万円から送金額の3352万6194円との差額のうち、送金額中、原告が出捐したことの明らかな1912万3834円の占める割合に相当する金額である84万0680円(〔3500万円-3352万6194円〕×〔1912万3834円÷3352万6194円〕)となるはずであり、原告が現に取り立てた利息87万6166円から出所不明金出捐者に対してその差額が償還された可能性を否定しうるだけの証拠はないから、原告の所得金額は84万0680円にとどまるというべきである。
したがって、原告は、甲口座を利用して、合計361万0590円を本件手形の割引による受取利息として収受していたと認めるのが相当である。
c 平成5年3月期及び平成6年3月期のE信用金庫乙口座での取立分について
前記(1)ア(ア)のとおり、本件手形の支払日は、本件手形の振出日の90日ないし110日前後経過した日であり、また、本件手形のうち平成4年7月30日にCに融資金が送金された分については、同年11月10日から同月30日までの間に甲口座で取り立てられていることは争いがないから、同年8月以降に送金された本件手形に対する融資金は、同年12月以降に取り立てられることになるところ、甲口座は同年11月30日を最後に本件手形の取立金の入金がなく、また、E信用金庫乙口座は同月27日に開設されているから、以後はE信用金庫乙口座によって取り立てられたと認めるのが相当である。
そうすると、前記ア(オ)の認定事実のとおり、本件手形の割引の融資金として、Cに対して送金された3352万9463円(平成4年8月28日送金分)、2391万9916円(同年9月29日送金分)、3369万1938円(同年10月30日送金分)、2393万6500円(同年11月27日送金分)、2870万9987円(同年12月25日送金分)は、証拠(乙6の1)により本件手形が決済されたことの明らかな同年12月21日から、最終送金日から110日経過した日の属する月の末日である平成5年4月30日までの間に20回にわたり、E信用金庫乙口座によって取り立てられたものと認めるのが相当である。
そして、前記ア(オ)の認定事実のとおり、平成4年8月28日、同年9月29日、同年10月30日、同年11月27日及び同年12月25日に本件手形の割引の資金としてCに金員が送金されているが、上記送金に対応するように、上記送金日と同日に、甲口座から相当な金員が払い出されており、上記各送金額の一部は、甲口座からの上記払出金を資金源としていると推認するのが相当であり、上記1(1)イ、(2)イ(ア)aの認定判断のとおり甲口座及びE信用金庫乙口座は原告に帰属する簿外預金口座であるから、結局、E信用金庫乙口座によって取り立てられた本件手形の取立金の一部は、原告に帰属する金員であると認めるのが相当である。
したがって、E信用金庫乙口座によって取り立てられた本件手形金と本件手形の割引の資金として送金した金額との差額のうちの一部は、原告に帰属する受取利息であるというべきである。
この点、上記各送金額のうち甲口座からの払出金に由来する金員以外の金員の出所は不明であり、かつ、上記各送金額に対応する本件手形の全額が、E信用金庫乙口座によって取り立てられているものではなく、その残金の取立先銀行も不明となっている。
しかしながら、前記ア(カ)ないし(シ)の認定事実のとおり、本件手形の割引は、その後も中止されることなく長期間にわたって継続されていることから、本件手形の上記残金は、いずれかの金融機関において取り立てられたと推認するのが相当であり、また、被告が原告に帰属すると認定した受取利息額は、上記各送金額と本件手形の額面額合計額との差額に、上記各送金額総額に占める甲口座からの払出金に由来する金員の割合を乗じたものであり、原告に帰属する受取利息の額を、原告に帰属する送金額に応じて算出しているのであって、その計算方法に不合理な点は認められない。
以上から、抗弁(2)ア(ア)b及び同cのとおり、原告は、E信用金庫乙口座によって、本件手形の割引の受取利息として、平成5年3月期には271万9579円、平成6年3月期には62万9055円を収受したと認めるのが相当である。
なお、(d)については、原告の出捐額に応じた受取利息の取り分は85万3057円となるはずであるが、現に原告が取り立てた受取利息の額は80万円であるところ、出所不明金出捐者から原告に対して85万3057円と80万円との差額が支払われたと認めるに足りる証拠がない以上、原告の所得は、被告の主張どおり80万円にとどまるというべきである。
d 平成6年3月期のE信用金庫乙口座からの払出金を丙口座で取り立てた分について
前記(1)ア(ア)、(2)ア(イ)、(ウ)、(カ)の認定事実及び上記(ア)aないしcの認定判断によると、本件手形のうち、平成4年12月25日にCに融資金が送金された分については、平成5年4月30日までにE信用金庫乙口座で取り立てられているから、本件手形の割引の資金として平成5年1月29日から同年4月28日までの間にCに送金された金員は、同年5月以降、E信用金庫乙口座の次に本件手形の割引に使用された丙口座によって取り立てられていると認めるのが相当である。
そうすると、前記ア(カ)の認定事実のとおり、本件手形の割引の融資として、Cに対して送金された1199万9588円(平成5年1月29日送金分)、1197万2077円(同年2月1日送金分)、2393万9366円(同月26日送金分)、2397万2053円(同年3月30日送金分)、2874万9450円(同年4月28日送金分)は、証拠(乙6の2)により、上記の取立てが開始したと認められる同年5月17日から最終送金日から110日経過した日の属する月の末日である同年8月31日までの間に17回にわたり、丙口座によって取り立てられたものと認めるのが相当である。
そして、上記のとおり、本件手形の割引の資金としてCに金員が送金されているが、上記送金に対応するように、上記送金日の前後にE信用金庫乙口座から送金額に近似する金員が払い出されており、上記各送金額の一部は、E信用金庫乙口座からの払出金を資金源としていると推認するのが相当であるところ、上記(ア)cの認定判断のとおり、E信用金庫乙口座に本件手形の取立金として入金された金員は、原告に帰属すると認められる甲口座からの払出金を資金源としていることから、結局、丙口座によって取り立てられた本件手形の取立金の一部は、原告に帰属する金員が、E信用金庫乙口座を経由して丙口座に入金されたものと認めるのが相当である。
したがって、丙口座によって取り立てられた本件手形金と本件手形の割引の資金として送金した金額との差額のうちの一部は、原告に帰属する受取利息であるというべきである。
この点、上記各送金額のうち甲口座からの払出金に由来する金員以外の金員の出所は不明であり、かつ、平成5年1月29日から同年2月1日までの間にCに送金された分を除く、上記各送金額に対応する本件手形の全額が、丙口座によって取り立てられているものではなく、その残金の取立先銀行も不明となっている。
しかしながら、前記ア(キ)ないし(シ)の認定事実のとおり、本件手形の割引は、その後も中止されることなく長期間にわたって継続されていることから、本件手形の上記残金は、いずれかの金融機関によって取り立てられたと推認するのが相当であり、また、被告が原告に帰属すると認定した受取利息の額は、上記各送金額と本件手形の額面額合計額との差額に、上記各送金額総額に占める甲口座からの払出金に由来する金員の割合を乗じたものであり、原告に帰属する受取利息の額を、原告に帰属する送金額に応じて算出しているのであって、その算出方法に不合理な点は認められない。
以上から、抗弁(2)ア(ア)dのとおり、原告は、平成6年3月期において、丙口座によって、本件手形の割引の受取利息として、合計312万2364円を収受したことが認められる。
e 平成6年3月期の丙口座からの払出金を丙口座で取り立てた分について
前記(1)ア(ア)、前記ア(キ)の認定事実及び上記(ア)aないしdの認定判断によると、本件手形のうち、平成5年4月28日にCに融資金が送金された分については、同年8月31日までに丙口座によって取り立てられているから、本件手形の割引の資金として平成5年5月28日から同年11月29日までの間にCに送金された金員は、同年9月以降、丙口座によって取り立てられていると認めるのが相当である。
そうすると、前記ア(キ)の認定事実のとおり、本件手形の割引の融資として、Cに対して送金された2393万1095円(平成5年5月28日送金分)、2398万2738円(同年6月29日送金分)、2394万7902円(同年7月30日送金分)、2878万1505円(同年8月30日送金分)、2394万5340円(同年9月29日送金分)、2397万3835円(同年10月29日送金分)、2396万3150円(同年11月29日送金分)は、それぞれ、前同様の理由により、同年9月20日から平成6年3月31日までの間に32回にわたり、丙口座によって取り立てられたものと認めるのが相当である。
そして、上記のとおり、本件手形の割引の資金としてCに金員が送金されているが、上記送金に対応するように、上記各送金日と同日に丙口座から送金額に近似する金員が払い出されており、上記各送金額の一部は、丙口座からの払出金を資金源としていると推認するのが相当であるところ、上記(ア)dの認定判断のとおり、丙口座に本件手形の取立金として入金された金員は、原告に帰属すると認められる甲口座からの払出金を資金源としていることから、結局、丙口座によって取り立てられた本件手形の取立金の一部は、原告に帰属する金員が丙口座に入金されたものと認めるのが相当である。
したがって、丙口座によって取り立てられた本件手形金と本件手形の割引の資金として送金した金額との差額のうちの一部は、原告に帰属する受取利息であるというべきである。
この点、上記各送金額のうち、甲口座からの払出金に由来する金員以外の金員の出所は不明であり、かつ、平成5年5月28日の送金分、同年6月29日の送金分、同年7月30日の送金分及び同年8月30日の送金分については、上記各送金額に対応する本件手形の全額が、丙口座によって取り立てられているものではなく、その残金の取立先銀行も不明となっている。
しかしながら、前記ア(ク)ないし(シ)の認定事実のとおり、本件手形の割引は、その後も中止されることなく長期間にわたって継続されていることから、本件手形の上記残金は、いずれかの金融機関において取り立てられたと推認するのが相当であり、また、被告が原告に帰属すると認定した受取利息額は、上記各送金額と本件手形の額面額合計額との差額に、上記各送金額総額に占める甲口座からの払出金に由来する金員の割合を乗じたものであり、原告に帰属する受取利息の額を、原告に帰属する送金額に応じて算出しているのであって、その算出方法に不合理な点は認められない。
以上から、抗弁(2)ア(ア)eのとおり、原告は、平成6年3月期において、丙口座によって、本件手形の割引の受取利息として、合計548万4717円を収受したことが認められる。
f 平成7年3月期の丙口座からの払出金を丙口座で取り立てた分について
前記(1)ア(ア)、前記ア(ク)の認定事実及び上記(ア)aないしeの認定判断によると、本件手形のうち、平成5年11月29日にCに送金された分については、平成6年3月31日までに丙口座によって取り立てられているから、本件手形の割引の資金として平成5年12月29日から平成6年11月29日までの間にCに送金された金員は、同年4月以降、丙口座によって取り立てられていると認めるのが相当である。
そうすると、前記ア(ク)の認定事実のとおり、本件手形の割引の融資として、Cに対して送金された2876万5478円(平成5年12月29日送金分)、2395万4245円(平成6年1月28日送金分)、2393万9999円(同年2月25日送金分)、2395万4245円(同年3月30日送金分)、2873万1641円(同年4月28日送金分)、2396万6711円(同年5月30日送金分)、2396万3149円(同年6月29日送金分)、2396万6711円(同年7月29日送金分)、2877万0820円(同年8月30日送金分)、2396万3149円(同年9月29日送金分)、2395万6027円(同年10月28日送金分)、2398万0958円(同年11月29日送金分)は、それぞれ、前同様の理由により、平成6年4月25日から平成7年3月31日までの間に59回にわたり、丙口座によって取り立てられたものと認めるのが相当である。
そして、上記のとおり、本件手形の割引の資金としてCに金員が送金されているが、上記送金に対応するように、上記各送金日と同日あるいはその3日後に丙口座から上記各送金額に近似する金員が払い出されており、上記送金額の一部は、丙口座からの払出金を資金源としていると推認するのが相当であるところ、上記(ア)eの認定判断のとおり、丙口座に本件手形の取立金として入金された金員は、原告に帰属すると認められる甲口座からの払出金を資金源としていることから、結局丙口座によって取り立てられた本件手形の取立金の一部は、原告に帰属する金員が丙口座に入金されたものであると認めるのが相当である。
したがって、丙口座によって取り立てられた本件手形金と本件手形の割引の資金として送金した金額との差額の一部は、原告に帰属する受取利息であるというべきである。
この点、上記各送金額のうち、甲口座からの払出金に由来する金員以外の金員の出所は不明であり、かつ、平成5年12月29日の送金分、平成6年1月28日の送金分及び同年4月28日の送金分分については、上記各送金額に対応する本件手形の全額が、丙口座によって取り立てられているものではなく、その残金の取立先銀行も不明となっている。
しかしながら、前記ア(ク)ないし(シ)の認定事実のとおり、本件手形の割引は、その後も中止されることなく長期間にわたって継続されていることから、本件手形の上記残金は、いずれかの金融機関において取り立てられたと推認するのが相当であり、また、被告が原告に帰属すると認定した受取利息額は、上記各送金額と本件手形の額面額合計額との差額に、上記各送金額総額に占める甲口座からの払出金に由来する金員の割合を乗じたもめであり、原告に帰属する受取利息の額を、原告に帰属する送金額に応じて算出しているのであって、その算出方法に不合理な点は認められない。
以上から、抗弁(2)ア(ア)fのとおり、原告は、平成7年3月期において、丙口座によって、本件手形の割引の受取利息として、合計937万0113円を収受したことが認められる。
g 平成8年3月期の丙口座からの払出金を丙口座で取り立てた分について
前記(1)ア(ア)、前記ア(ケ)の認定事実及び上記(ア)aないしfの認定判断によると、本件手形のうち、平成6年11月29日にCに送金された分については、平成7年3月31日までに丙口座によって取り立てられているから、本件手形の割引の資金として平成6年12月29日から平成7年5月30日までの間にCに送金された金員は、同年4月以降、丙口座によって取り立てられていると認めるのが相当である。
そうすると、前記ア(ケ)の認定事実のとおり、本件手形の割引の融資として、Cに対して送金された2876万5478円(平成6年12月29日送金分)、2398万9863円(平成7年1月30日送金分)、2396万6711円(同年2月27日送金分)、2397万2053円(同年3月30日送金分)、2874万0546円(同年4月28日送金分)、2396万6711円(同年5月30日送金分)は、それぞれ、前同様の理由により、平成7年4月10日から丙口座での取立ての最終日である同年10月2日までの間に32回にわたり、丙口座によって取り立てられたものと認めるのが相当である。
そして、上記のとおり、本件手形の割引の資金としてCに金員が送金されているが、上記各送金に対応するように、上記各送金日と同日に丙口座から上記送金額に近似する金員が払い出されており、上記各送金額の一部は、丙口座からの払出金を資金源としていると認めるのが相当であるところ、上記(ア)fの認定判断のとおり、丙口座に本件手形の取立金として入金された金員は、原告に帰属すると認められる甲口座からの払出金を資金源としていることから、結局、丙口座によって取り立てられた本件手形の取立金の一部は、原告に帰属する金員が丙口座に入金されたものであると認めるのが相当である。
したがって、丙口座によって取り立てられた本件手形金と本件手形の割引の資金として送金した金額との差額の一部は、原告に帰属する受取利息であるというべきである。
この点、上記各送金額のうち、甲口座からの払出金に由来する金員以外の金員の出所は不明となっている。
しかしながら、被告が原告に帰属すると認定した受取利息額は、上記各送金額と本件手形の額面額合計額との差額に、上記各送金額総額に占める甲口座からの払出金に由来する金員の割合を乗じたものであり、原告に帰属する受取利息の額を、原告に帰属する送金額に応じて算出しているのであって、その計算方法に不合理な点は認められない。
以上から、抗弁(2)ア(ア)gのとおり、原告は、平成8年3月期において、丙口座によって、本件手形の割引の受取利息として、合計531万6676円を収受したことが認められる。
h 平成8年3月期の丙口座からの払出金をF銀行乙口座で取り立てた分について
前記(1)ア(ア)、(2)ア(イ)、(ウ)、(コ)の認定事実及び上記(ア)aないしgの認定判断によると、本件手形のうち、平成7年5月30日にCに送金された分については、同年10月2日までに丙口座で取り立てられているから、本件手形の割引の資金として平成7年6月29日から同年8月30日までの間にCに送金された金員は、同年10月以降、丙口座の次に本件手形の割引に使用されたF銀行乙口座によって取り立てられていると認めるのが相当である。
そうすると、前記ア(コ)の認定事実のとおり、本件手形の割引の融資として、Cに対して送金された2397万4117円(平成7年6月29日送金分)、2394万8903円(同年7月28日送金分)、2876万1916円(同年8月30日送金分)は、証拠(乙6の3)により、上記の取立てが開始されたと認められる同年10月11日から、最終送金日から110日経過した日の属する月の末日である同年12月末日までの間に13回にわたり、F銀行乙口座によって取り立てられたものと認めるのが相当である。
そして、上記のとおり、本件手形の割引の資金としてCに金員が送金されているが、上記各送金に対応するように、上記各送金日と同日に丙口座から送金額に近似する金員が払い出されており、上記各送金額の一部は、丙口座からの払出金を資金源としていると推認するのが相当であるところ、上記(ア)gの認定判断のとおり丙口座に本件手形の取立金として入金された金員は、原告に帰属すると認められる甲口座からの払出金を資金源としていることから、結局、F銀行乙口座によって取り立てられた本件手形の取立金の一部は、原告に帰属する金員が丙口座を経由してF銀行乙口座に入金されたものであると認めるのが相当である。
したがって、F銀行乙口座によって取り立てられた本件手形金と丙口座からの払出金によって構成される上記各送金額との差額の一部は、原告に帰属する受取利息であるというべきである。
この点、上記各送金額のうち丙口座からの払出金以外の金員の出所は不明であり、かつ、平成7年8月30日の送金分については、上記各送金額に対応する本件手形金の全額が、F銀行乙口座によって取り立てられているものではなく、その残金の取立先銀行も不明となっている。
しかしながら、前記ア(コ)ないし(シ)の認定事実のとおり、本件手形の割引は、その後も中止されることなく長期間にわたって継続されていることから、本件手形の上記残金は、いずれかの金融機関において取り立てられたと推認するのが相当であり、また、被告が原告に帰属すると認定した受取利息額は、上記各送金額と本件手形の額面額合計額との差額に、上記各送金額総額に占める甲口座からの払出金に由来する金員の割合を乗じたものであり、原告に帰属する受取利息の額を、原告に帰属する送金額に応じて算出しているのであって、その計算方法に不合理な点は認められない。
以上から、抗弁(2)ア(ア)hのとおり、原告は、平成8年3月期において、F銀行乙口座によって、本件手形の割引の受取利息として、合計183万0492円を収受したことが認められる。
i 平成8年3月期の丙口座及びF銀行乙口座からの払出金をF銀行乙口座で取り立てた分について
前記(1)ア(ア)、(2)ア(イ)、(ウ)、(サ)の認定事実及び上記(ア)aないしhの認定判断によると、本件手形のうち、平成7年8月30日にCに送金された分については、同年12月25日までにF銀行乙口座で取り立てられているから、本件手形の割引の資金として平成7年9月29日にCに送金された金員は、平成8年1月以降、F銀行乙口座によって取り立てられていると認めるのが相当である。
そうすると、前記ア(サ)の認定事実のとおり、本件手形の割引の融資として、Cに対して送金された2396万3149円(平成7年9月29日送金分)は、前同様の理由により、平成8年1月16日から同月31日までの間に6回にわたり、F銀行乙口座によって取り立てられたものと認めるのが相当である。
そして、上記のとおり、本件手形の割引の資金としてCに金員が送金されているが、上記送金に対応するように、上記送金日と同日に丙口座及びF銀行乙口座からそれぞれ金員が払い戻されており、これらを合計すると上記送金額に近似する金員が払い出されていることになるから、上記送金額の一部は、丙口座及びF銀行乙口座からの払出金を資金源としていると認めるのが相当であるところ、上記(ア)hの認定判断のとおり丙口座に本件手形の取立金として入金された金員は、原告に帰属すると認められる甲口座からの払出金を資金源としていることから、結局、丙口座によって取り立てられた本件手形の取立金の一部は、原告に帰属する金員が丙口座に入金されたものであると認めるのが相当である。
また、F銀行乙口座によって取り立てられた本件手形の取立金も、実質的には、E信用金庫乙口座、丙口座を経由しているものの、甲口座からの払出金を資金源としていると認めるのが相当であり、F銀行乙口座によって取り立てられた取立金は、原告に帰属するものと認めるのが相当である。
したがって、F銀行乙口座によって取り立てられた本件手形金と本件手形の割引の資金として送金した金額との差額の一部は、原告に帰属する受取利息であるというべきである。
この点、上記送金額のうち丙口座及びF銀行乙口座からの払出金以外の金員の出所は不明であり、かつ、上記各送金額に対応する本件手形金の全額が、F銀行乙口座によって取り立てられているものではなく、その残金の取立先銀行も不明となっている。
しかしながら、前記ア(シ)の認定事実のとおり、本件手形の割引は、その後も中止されることなく長期間にわたって継続されていることから、本件手形の上記残金は、いずれかの金融機関において取り立てられたと推認するのが相当であり、また、被告が原告に帰属すると認定した受取利息額は、上記各送金額と本件手形の額面額合計額との差額に、上記各送金額総額に占める甲口座からの払出金に由来する金員の割合を乗じたものであり、原告に帰属する受取利息の額を、原告に帰属する送金額に応じて算出しているのであって、その計算方法に不合理な点は認められない。
以上から、抗弁(2)ア(ア)iのとおり、原告は、平成8年3月期において、F銀行乙口座によって、本件手形の割引の受取利息として、82万8539円を収受したことが認められる。
j 平成8年3月期のF銀行乙口座からの払出金をF銀行乙口座で取り立てた分について
前記(1)ア(ア)、前記ア(シ)の認定事実及び上記(ア)aないしiの認定判断によると、本件手形のうち、平成7年9月29日にCに送金された分については、平成8年1月31日までにF銀行乙口座で取り立てられているから、本件手形の割引の資金として平成7年10月25日、同月30日及び同年11月29日にCに送金された金員は、平成8年2月以降、F銀行乙口座によって取り立てられていると認めるのが相当である。
そうすると、前記ア(シ)の認定事実のとおり、本件手形の割引の融資として、Cに対して送金された999万9588円(平成7年10月25日送金分)1397万3835円(同月30日送金分)、及び1915万5478円(同年11月29日送金分)は、前同様の理由により平成8年2月13日から、最終送金日から110日を経過した日の属する月の末日の翌営業日というべき同年4月1日までの間に9回にわたり、F銀行乙口座によって取り立てられたものと認めるのが相当である。
そして、上記のとおり、本件手形の割引の資金としてCに金員が送金されているが、上記各送金に対応するように、上記各送金日と同日にF銀行乙口座からそれぞれ送金額に近似する金員が払い出されており、上記各送金額の一部は、F銀行乙口座の払出金を資金源としていると認めるのが相当であるところ、上記(ア)iの認定判断のとおり、F銀行乙口座に本件手形の取立金として入金された金員は、原告に帰属すると認められる甲口座からの払出金を資金源としていることから、結局F銀行乙口座によって取り立てられた本件手形の取立金の一部は、原告に帰属する金員がF銀行乙口座に入金されたものであると認めるのが相当である。
したがって、F銀行乙口座によって取り立てられた本件手形金と本件手形の割引の資金として送金した金額との差額の一部は、原告に帰属する受取利息であると認めるのが相当である。
この点、上記送金額のうち丙口座及びF銀行乙口座からの払出金以外の金員の出所は不明となっている。
しかしながら、被告が原告に帰属すると認定した受取利息は、上記各送金額と本件手形の額面額合計額との差額に、上記各送金額総額に占める甲口座からの払出金に由来する金員の割合を乗じたものであり、原告に帰属する受取利息の額を、原告に帰属する送金額に応じて算出しているのであって、その計算方法に不合理な点は認められない。また、平成8年3月期の原告の所得を算出するに当たり、上記送金に対応する受取利息を算出したうえ、期外である平成8年4月1日分を除外して受取利息を算出していることから、被告による受取利息除外金額の算出は不合理ではない。
以上から、抗弁(2)ア(ア)jのとおり、原告は、平成8年3月期において、F銀行乙口座によって、本件手形の割引の受取利息として、合計124万4391円を収受したことが認められる。
k 以上から、原告は、本件手形の割引によって、平成5年3月期には、633万0169円、平成6年3月期には、923万6136円、平成7年3月期には、937万0113円、平成8年3月期には、922万0098円の受取利息を得ていたことが認められる。
(イ) これに対して、原告は、平成4年調査を機に、本件手形の割引からは一切手を引いており、平成4年11月以降の本件手形の割引の主体は、Lないしその代表者である戊であったと主張し、証人戊及び原告代表者も、平成4年調査以降、戊が、E信用金庫乙口座を開設した上で、甲から、取立未了となっていた本件手形及び甲口座と同口座の印鑑を借りて本件手形の割引を行っていたものであって、借用した金銭については、本件手形の割引による利息がたまった時点で返済しているが、甲と戊は無二の親友であり、利息の定めや返済時期の合意はなく、借用書の授受や備忘のための記録もとっていないと供述し、さらに、証人戊は、自分が本件手形の割引をしていた期間、取立口座を、E信用金庫乙口座、丙口座、F銀行乙口座と順次変更した理由として、乙がLの社員であり、E信用金庫の職員に本件手形が融通手形であることが発覚するおそれがあったことを供述する。
しかしながら、前記(1)(オ)の認定事実のとおり、本件手形の割引による利益は年間900万円ほどに上り、これまで2年間にわたりこのような利益を享受してきた原告が、何の対価もなくこのような利益を放棄することはにわかに考え難いこと、貸し付けたとされる金額も、1億円弱と相当高額であり、いかに無二の親友であるとはいえ、何の対価もなく、また弁済期の合意も借用書の作成もなく、本件手形の割引の資金を提供することは通常では考え難いこと、特に戊及び原告代表者の各供述によれば、戊は何度かに分けて借入金の返済を現金でしたところ、このような場合、その備忘や確認のための何らかの記録が残っていてしかるべきであるにもかかわらず、それを残していないというのであるが、それ自体きわめて不自然というほかなく、現に、その返済額について甲と戊との間で顕著な食い違いがあることからすると、甲が、戊に対して本件手形の割引に必要な当面の資金を貸し付けたとの証人戊及び原告代表者の各供述はたやすく採用することができない。
また、原告代表者は、平成4年11月ころ、戊に本件手形の割引の資金として甲口座の預金通帳と印鑑を貸しており、同年12月21日に同口座から払い戻された1200万円と同月25日に払い戻された1400万円は、戊が本件手形の割引のために下ろしたものであるとも供述しているが、一方で、前記(1)ア(キ)の認定事実のとおり、原告は、本件裁決の審査請求の際に、同月21日に引き下ろされた1200万円のうち1000万円については、原告への仮受金として原告の帳簿に計上されているとも答弁していることからすると、原告代表者の上記供述は矛盾しており、採用することはできない。
さらに、原告代表者は、株式会社aが振り出した小切手及びb株式会社が振り出した手形について、原告の整備工場の取引先についての不良債権の取立料として、戊に譲渡したものであるなどとと供述し、一方、証人戊は、株式会社a及びb株式会社が危ない会社であり、取立てが困難であるとして、小切手及び手形自体を譲り受けたと供述する。しかしながら、証人戊及び原告代表者の各供述は、小切手及び手形の授受の背景となった事実について食い違っているばかりか、原告代表者の供述については、株式会社aの小切手は、額面が1万2551円と少額であり、不良債権の取立手数料としては、その手間に見合わない少額なものであることから、採用することはできず、証人戊の供述については、そもそも不渡りになる危険をあえて引き受けたことが不自然であり、採用できない。
そして、他に上記各口座が原告に帰属するものではないと認めるべき特段の事情も認めうる証拠はない。
(ウ) 抗弁(2)ア(イ)及び(ウ)は争いがなく、同(エ)及び(オ)は、甲口座が原告に帰属する簿外預金口座であることを除き争いがないところ、前記(1)の認定判断のとおり、甲口座は、原告に帰属する簿外預金であることが認められるから、同口座の平成5年3月期ないし平成8年3月期の間の預金利息も原告に帰属するものと認めるのが相当である。
したがって、甲口座の預貯金利息である5万5789円(平成5年3月期)、5140円(平成6年3月期)、2109円(平成7年3月期)及び23円(平成8年3月期)については、法人税の課税標準である所得金額を算出するに当たり、その他の預貯金口座の預貯金と同様に、益金に算入しなければならない。
また、原告に帰属すると認められる甲口座の預金利息に係る道民税利子割額である3486円(平成5年3月期)、320円(平成6年3月期)及び131円(平成7年3月期)については、法人税の課税標準である所得金額の算出に際して原告の他の口座分のそれと同様に、損金に計上することはできない。
(エ) 修繕費否認について、被告は、原告が自白をしたと主張するが、原告は、被告の抗弁に関する主張に先立つ求釈明に応じて、平成11年1月29日付け準備書面において、「原告が争う範囲」と題して、「原告が本訴で主張する基本的事実は、原告が本件手形割引をしていないこと、本件手形割引に使用したとされる甲名義の銀行口座は原告の口座ではなく同人個人の口座であることである。これらの基本的事実に反する税務当局の主張に基づいて計算される所得額は争うが、それ以外の指摘された非違事項に関する所得額は争わない。」とするのみで、特に損金算入の適否を巡る修繕費について、これを自白したとまでは認めがたく、他に、原告がこれを自白したと認めるべき部分は見あたらない。したがって、自白の撤回に異議を述べる被告の主張は、理由がない。
そこで、修繕費否認について判断するに、同ア(ス)のとおり、原告が購入したタイヤは販売先に保管されているところ、上記タイヤは、営業用に供される消耗性流動資産であり、未使用であるから、勘定科目としては消費目的資産である貯蔵品として扱われるから、所得金額を算出するに当たって、損金に算入することはできない。
(オ) 被告の主張に係る減算金額を損金とすべきことは被告の自陳するところであるから、これを損金として算入することとする。
以上の認定判断によれば、原告の所得金額は、平成6年3月期が5791万6705円、平成7年3月期が9860万1741円、平成8年3月期が1億3188万8675円となり、上記所得金額(ただし、平成8年3月期は1億2807万2380円)を課税標準としてした本件各更正処分(平成8年3月期を除き本件裁決により一部取り消された後のもの)は、いずれも適法に行われたものであると認めるのが相当であるから、これに反する原告の主張を採用することはできない。
一方、平成5年3月期の原告の所得金額は、5337万0836円となり、これを基に算出した平成5年3月期における法人税の額は1920万9900円、重加算税の額は126万3500円となる。したがって、被告のした平成5年3月期における法人税の更正処分等(裁決により一部取り消された後のもの。以下同じ。)は、上記金額を超える限度で違法である。
2 法人特別税について
平成5年3月期及び平成6年3月期の法人税については、法人特別税が課税されるところ、平成6年3月課税事業年度の法人特別税については、平成6年3月期の法人税更正処分(裁決により一部取り消された後のもの)により算出された所得金額に基づいて、基準法人税額及び課税標準法人税額が算出され、これに基づいて法人特別税額が算出されており、適法な手続に従って課税されているものであると認められるから、本件の平成6年3月課税事業年度の法人特別税に係る更正処分は適法である。
一方、上記のとおり、平成5年3月期における原告の法人税の額は1920万9900円であり、これを基に算出した平成5年3月課税事業年度における法人特別税の額は38万0200円、重加算税の額は2万8000円となり、被告のした平成5年課税事業年度の法人特別税の更正処分等は、上記金額を超える限度で違法である。
3 役員賞与の認定の適否について
(1) 抗弁(3)アの事実経過及び同イ(イ)、(ウ)の事実は当事者間に争いがない。
(ア)について、原告は、甲口座が原告に帰属する口座であって、同口座からの使途不明金の払出金が甲に対する賞与となることについては否認するが、甲口座が原告に帰属することは前記判示のとおりであり、その余の事実については、原告は、明らかに争わない。そして、原告は、被告から上記使途不明金が甲への賞与となる旨の指摘を受けても、その使途について明らかにしようとしないばかりか、(イ)のH銀行J口座からの払出金及び(ウ)の現金売上除外分の使途不明金が甲に対する賞与となることについては争っていないこと、甲は、原告の代表者として、原告に帰属する甲口座を管理し、自由に入出金できる立場にあったことに鑑みると、甲口座からの上記使途不明払出金についても、甲個人が取得したものであって、税務上、同人に対する賞与として認定するのが相当である。
(2) 以上から、被告が、原告に対してした源泉徴収に係る所得税の納税告知処分等(本件裁決によって一部取り消された後のもの)は、いずれも適法にされたものであると認めるのが相当である。
4 付加税について
(1) 加算税の賦課決定の適法性について
ア 平成8年3月期の法人税の過少申告加算税の賦課決定処分について
請求原因事実(2)については当事者間に争いがなく、原告は、法定期間内に、被告に対し、確定申告書を提出しているところ(別表1(1)ないし(4)参照)、原告は、前記(2)イ(エ)の認定判断のとおり、貯蔵品であるタイヤについて、修繕費として損金に計上していたものであり、平成8年3月期における法人税の更正処分によって、修繕費否認されたものについて、納付するべきこととなる税額が存在することになるから、被告がした平成8年3月期の法人税の過少申告加算税の賦課決定処分は適法であると認められる。
イ 平成5年3月期ないし平成8年3月期の法人税の重加算税の賦課決定処分(裁決によって一部取り消された後のもの。以下同じ。)について
上記(1)アの認定判断に加え、上記2(2)の認定判断によると、原告は、本件手形及びD手形の割引による受取利息収入を、原告の簿外預金口座等に入金することによって、原告の所得金額を過少に申告していたと認めるのが相当であり、税額計算の基礎となるべき事実を隠ぺいしていたと認めるのが相当であるから、被告が、原告に対してした平成6年3月期ないし平成8年3月期の法人税の重加算税の賦課決定処分は適法であると認めるのが相当である。
また、平成5年3月期の法人税の額は、1920万9900円であるから、これを基に平成5年3月期の重加算税を算出すると126万3500円となり、被告のした平成5年3月期の法人税の重加算税賦課決定処分は126万3500円を超える限度で違法である。
ウ 平成5年3月課税事業年度及び平成6年3月課税事業年度の法人特別税についてした重加算税の賦課決定処分(裁決により一部取り消された後のもの。以下同じ。)について
平成6年3月課税事業年度の法人特別税についてした重加算税の賦課要件は、上記イの法人税の重加算税の賦課要件と同じであり、上記イの認定判断のとおり、原告は、税額計算の基礎となるべき事実を隠ぺいしていたと認められるから、平成6年3月課税事業年度の法人特別税についてした重加算税の賦課決定処分は、適法であると認められる。
一方、平成5年3月課税事業年度の法人特別税は、上記2のとおり38万0200円であり、これを基に平成5年課税事業年度の法人特別税を算定すると2万8000円になるから、被告がした平成5年3月課税事業年度の法人特別税の重加算税の賦課決定処分は、2万8000円を超える限度で違法である。
エ 納税告知処分の不納付加算税の賦課決定処分について
原告は、甲に対する役員賞与について、被告から、納税告知処分を受けており、同処分は、上記3の認定判断のとおり適法であると認められるから、これに伴ってされた不納付加算税の賦課決定処分も適法にされたものと認められる。
(2) 以上の認定判断のとおり、被告が、原告に対し、平成6年3月期ないし平成8年3月期の法人税についてした重加算税の賦課決定処分、平成8年3月期の法人税についてした過少申告加算税の賦課決定処分、平成6年3月課税事業年度の法人特別税についてした重加算税の賦課決定処分、平成4年4月分ないし同年10月分、同年12月分、平成5年11月分、平成6年2月分、同年4月分、同年10月分ないし同年12月分の納税告知処分の不納付加算税の賦課決定処分は、いずれも適法であると認めることができる。
5 結論
よって、原告の本件請求は、平成5年3月期の法人税の更正処分のうち本税額1920万9900円を超える部分及び重加算税賦課決定処分のうち126万3500円を超える部分、平成5年3月課税事業年度の法人特別税の更正処分のうち本税額38万0200円を超える部分及び平成5年3月課税事業年度の法人特別税の重加算税賦課決定処分のうち2万8000円を超える部分の取消を求める限度で理由があるからこれを認容し、その余の請求は、いずれも理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について、上記各認容部分が僅少であるから、原告に全部負担させることとし、行政事件訴訟法7条、民事訴訟法61条、64条本文を適用して、主文のとおり判決する。
(口頭弁論終結の日 平成14年11月15日)
(裁判長裁判官 佐藤陽一 裁判官 村田龍平 裁判官 片山博仁)
別表1 法人税について
(1) 平成5年3月期
<省略>
(2) 平成6年3月期
<省略>
(3) 平成7年3月期
<省略>
(4) 平成8年3月期
<省略>
別表2 法人特別税について
(1) 平成5年3月課税事業年度
<省略>
(2) 平成6年3月課税事業年度
<省略>
別表3 源泉所得税の納税告知処分等について
(1) 平成4年4月から平成4年12月までの分
<省略>
(2) 平成5年1月から平成5年12月までの分
<省略>
(3) 平成6年1月から平成6年12月までの分
<省略>
(4) 平成7年1月から平成7年12月までの分
<省略>
別表4 D手形の割引にかかる受取利息
(1) 平成5年3月期
<省略>
(2) 平成6年3月期
<省略>
別表5 被告が主張する役員賞与の額(加算:(単位:円)
(表中の0の表示は、本件裁決で納税告知処分等を取り消したもの。)
(1) 平成4年分
<省略>
(2) 平成5年分
<省略>
(3) 平成6年分
<省略>
(4) 平成7年分
<省略>
別表6(1)
【平成5年3月期の法人税】
(1) 課税処分等の内容
<省略>
(2) 上表<2>欄の納付すべき税額の計算
ア 課税標準 46,986,000円(国税通則輩(以下「通則法」という。)118条1項により千円未満切り捨て)
イ 税額
800万円以下の税額 2,240,000円(800万円×28% 法人税法66条2項)
800万円超の税額 14,619,175円(38,986,000円×37.5% 法人税法66条1項)
法人税額合計 16,859,750円(法人特別税の基準法人税額になる。)
控除所得税額 -43,823円(法人税法68条1項)
納付すべき税額 16,815,900円(通則法119条1項により百円未満切り捨て)
(3) 上表<2>欄の重加算税の額の計算
ア 重加算税の基礎となる税額
1,222,900円(納付すべき税額の<2>-<1>)
イ 重加算税額の計算
1,220,000円(通則法118条3項により1万円未満切り捨て)×35%(通則法68条第1項)=427,000円
別表6(2)
【平成5年3月課税事業年度の法人特別税】
(1) 課税処分等の内容
<省略>
(2) 上表<2>欄の納付すべき税額の計算
課税標準法人税額(課税標準法人税額は、基準法人税額から400万円を控除した額とする。法人特別税法9条2項)×2.5%(税率)
12,859,000円×2.5%=321,400円(通則法119条1項により百円未満切り捨て)
(3) 上表<2>欄の重加算税の額の計算
ア 重加算税の基礎となる税額
30,500円(納付すべき税額の<2>-<1>)
イ 重加算税額の計算
30,000円(通則法118条3項により1万円未満切り捨て)×35%(通則法68条1項)=10,500円
別表6(3)
【平成6年3月期の法人税】
(1) 課税処分等の内容
<省略>
(2) 上表<2>欄の納付すべき税額の計算
ア 課税標準 49,446,000円(通則法118条1項により千円未満切り捨て)
イ 税額
800万円以下の税額 2,240,000円(800万円×28% 法人税法66条2項)
800万円超の税額 15,542,250円(41,446,000円×37.5% 法人税法66条1項)
法人税額合計 17,782,250円(法人特別税の基準法人税額になる。)
控除所得税額 -246,643円(法人税法68条1項)
納付すべき税額 17,535,600円(通則法119条1項により百円未満切り捨て)
(3) 上表<2>欄の重加算税の額の計算
ア 重加算税の基礎となる税額
1,557,400円(納付すべき税額の<2>-<1>)
イ 重加算税額の計算
1,550,000円(通則法118条3項により1万円未満切り捨て)×35%(通則法68条1項)=542,500円
別表6(4)
【平成6年3月課税事業年度の法人特別税】
(1) 課税処分等の内容
<省略>
(2) 上表<2>欄の納付すべき税額の計算
課税標準法人税額(課税標準法人税額は、基準法人税額から400万円を控除した額とする。法人特別税法9条2項)×2.5%(税率)
13,782,000円×2.5%=344,500円(通則法119条1項により百円未満切り捨て)
(3) 上表<2>欄の重加算税の額の計算
ア 重加算税の基礎となる税額
38,900円(納付すべき税額の<2>-<1>)
イ 重加算税額の計算
30,000円(通則法118条3項により1万円未満切り捨て)×35%(通則法68条1項)=10,500円
別表6(5)
【平成7年3月期】
(1) 課税処分等の内容
<省略>
(2) 上表<2>欄の納付すべき税額の計算
ア 課税標準 90,247,000円(通則法118条1項により千円未満切り捨て)
イ 税額
800万円以下の税額 2,240,000円(800万円×28% 法人税法66条2項)
800万円超の税額 30,842,625円(82,247,000円×37.5% 法人税法66条1項)
法人税額合計 33,082,625円
課税保留金額に
対する税額 1,185,700円
控除所得税額 -97,965円(法人税法68条1項)
納付すべき税額 34,170,300円(通則法119条1項により百円未満切り捨て)
(3) 上表<2>欄の重加算税の額の計算
ア 重加算税の基礎となる税額
747,100円(納付すべき税額の<2>-<1>)
イ 重加算税額の計算
747,100円(通則法118条9項により1万円未満切り捨て)×35%(通則法68条1項)=259,000円
別表6(6)
【平成8年3月期の法人税】
(1) 課税処分等の内容
<省略>
(2) 上表<2>欄の納付すべき税額の計算
ア 課税標準 124,072,000(通則法118条1項により千円未満切り捨て)
イ 税額
800万円以下の税額 2,240,000円(800万円×28% 法人税法66条2項)
800万円超の税額 43,527,000円(116,072,000円×37.5% 法人税法66条1項)
法人税額合計 45,767,000円
課税留保金額に
対する税額 2,169,200円
控除所得税額 -72,555円(法人税法68条1項)
納付すべき税額 47,863,600円(通則法119条1項により百円未満切り捨て)
別表7(1)
【源泉所得税】
基本的な考え方
1.給与所得者の場合、その年中の給与等の収入金額が次の金額以下であれば、年末調整の対象となる。
平成4年分~平成6年分・・・1500万円以下(所得税法190条1項【平成5年法律第109号による改正前のもの】)
平成7年分・・・・・・・・・2000万円以下(所得税法190条1項【平成13年法律第88号による改正前のもの】)
2.したがって、認定賞与に係る源泉徴収税額を計算する際、<1>年末調整の対象となる年分については、既に年末調整を行っている給与の額に認定賞与を加算したところで再年末調整を行い、そこで算出された増差税額を認定賞与に係る源泉徴収税額とし、<2>年末調整の対象とならない年分については、所得税法別表4【賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表】により算出された税額を認定賞与に係る源泉徴収税額としたものである。
《給与所得者:甲(扶養親族の数=0人)》
<省略>
(1) 年末調整の対象となるか否かの判断(所得税法190条1項【平成6年法律第109号による改正前のもの】)
12,000,000円(給与の額)÷14,307,342円(認定賞与の額【<2>欄の合計額】)=26,307,342円(給与等の額)>15,000,000円【年末調整対象】
別表7(2)
《給与所得者:甲(扶養親族の数=0人)》
<省略>
別表7(3)
《給与所得者:甲(扶養親族等の数=0人)》
<省略>
別表7(4)
《給与所得者:甲(扶養親族等の数=0人)》
<省略>