札幌地方裁判所 平成12年(行ウ)10号 判決 2001年5月28日
主文
一 変更登記申請の受理請求にかかる訴え及び金銭請求にかかる訴えをいずれも却下する。
二 原告の変更登記申請却下処分の取消の請求を棄却する。
三 訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第一当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 札幌法務局平成12年5月1日受付第8455号有限会社変更登記申請事件について平成12年5月22日被告がした却下処分を取り消す。
2 被告は,前項の申請を受理せよ。
3 被告は,原告に対し,金10万円を支払え。
4 訴訟費用は被告の負担とする。
二 請求の趣旨に対する答弁
主文と同旨
第二事案の概要
一 本件は,有限会社である原告が,被告に対し,「幼稚園の経営」(以下「本件目的」という。)等を会社の目的とする変更の登記を申請(以下「本件申請」という。)したところ,被告は,本件目的が学校教育法に抵触するとして商業登記法24条2号に基づいて本件申請を却下する決定(以下「本件処分」という)をしたため,原告が,学校教育法には非学校法人による幼稚園経営を認める規定がある以上本件目的は学校教育法に低触しないこと及び本件処分に付された理由が著しく具体性に欠けていることから本件処分は違法であると主張して本件処分の取消及び本件申請の受理を求め,さらに,本件処分の理由が具体性に欠けていることにより損害を被ったとしてその損害金10万円を請求したのに対し,被告が,本件処分は適法であって取消の理由はなく,本件申請の受理と損害賠償を求める訴えは不適法であるとして争っている事案である。
二 前提
1 原告は,平成9年9月1日に設立され,札幌市αに本店を置く有限会社である。
2 有限会社を含む会社は,営利法人を目的とする社団法人であり,公序良俗に反したり,強行法規に反する行為を行うことは許されない。また,営利を目的とするので,利益を生む可能性のない事業を目的とすることはできない。すなわち,会社の目的には,適法性及び営利性が必要とされる。
3 原告は,臨時社員総会決議を経て,平成12年5月1日,札幌法務局において,目的を以下のとおり変更する旨の本件申請をした。
(1) 学習塾,各種文化教室の経営
(2) 幼稚園,保育園,託児所の経営
(3) 前各号に付帯する一切の事業
4 被告は,有限会社による幼稚園経営は学校教育法上許されないとの法解釈を行った上で,同月22日,「有限会社法第13条第2項で規定している目的につき,掲げる目的が学校教育法に抵触する」という理由を付して,商業登記法第24条2号に基づき,原告の本件申請を却下する決定をした。
5 幼稚園は学校教育法における「学校」であるところ(同法1条),同法には以下の規定がある。
2条1項 学校は,国,地方公共団体及び私立学校法3条に規定する学校法人のみが,これを設置することができる。
102条1項 私立の盲学校,聾学校,養護学校及び幼稚園は,2条1項の規定にかかわらず,当分の間,学校法人によって設置されることを要しない。
三 争点
1 変更登記申請の受理請求にかかる訴えの適法性
(被告)
原告の変更登記申請の受理請求にかかる訴えは,本件申請に基づく登記手続をせよとの義務付け訴訟であると考えられるが,かような訴訟は,一義的明白性,緊急性,補充性の各要件を充足する場合に限り許容されるところ,本件では,本件処分の取消を求めているから,明らかに補充性の要件を欠く。したがって,不適法な訴えであるから却下されるべきである。
2 金銭請求にかかる訴えの適法性
(被告)
この訴えは,行政庁たる登記官を被告とする趣旨か,登記官個人を被告とする趣旨かは明らかではないが,行政庁としての登記官には権利能力がないし,また,国家公務員である登記官個人の不法行為に基づく損害については国が賠償責任を負うのであって,いずれにしても,本件における損害賠償責任を訴求する訴えは,被告適格がない者を被告とする不適法な訴えであり,却下されるべきである。
3 登記官の審査権限
(被告)
商業登記法24条10号の登記申請却下の理由に,登記すべき事項が不存在であるときも含まれると解されるから,登記官は申請手続の違法性という形式面にとどまらず,登記事項の存否,効力の有無及び取消原因の有無等を審査する実質的審査権を有するといえる。
なお,幼稚園の設置についての認可の取得自体は目的変更登記の要件になっていないが,そのことをもって,有限会社によるかかる目的への変更申請を受理すべきことにはならない。
(原告)
会社の目的変更登記申請に対しては,当該目的が,許認可を条件としたり,法律上禁止されている事業であるなどの場合を除き,登記官はその申請を受理しなければならない。
そして,本件目的は,許認可を条件とするものではなく,法律上禁止されている事業でもないので,その目的変更登記は認められなければならない。
4 本件目的の適法性
(被告)
学校教育法102条1項は,同法が制定された昭和22年当時,学校が多くの場合小規模であって,必ずしも学校法人のようにまとまった組織を必要としなかったということ,また,これらの学校は発展の途上にあるものであって,その質的な充実よりは,むしろその量的な普及が期待されていたという日本の経済状態その他諸般の情勢にかんがみ,当分の間の経過措置として設けられた規定である。
また,同法2条と同法102条は,本則と附則の関係にあるから,本則である2条が本体的,実質的規定であり,附則である法102条が付随的規定となる。
さらに,昭和50年7月制定の「私立学校法等の一部を改正する法律」(法律第60号)は,これらの学校の設置者であって学校法人以外のものが補助金の交付を受けるときは,当該交付を受けることとなった年度の翌年度の4月1日から起算して5年以内に当該補助金に係る学校が学校法人によって設置されるように措置しなければならないものと規定し(同法1条21項該当部分),この規定は,同年8月制定の現行私立学校振興助成法に引き継がれている(同法附則2条5項)。
このような学校教育法2条1項及び同法102条1項の成立経緯,相互関係その他の教育関係法規からすると,学校教育法は,学校法人以外の者が幼稚園を設置することを本来的な姿として予定しているものではなく,同法102条1項でいう学校法人以外の設置者とは,財団法人,宗教法人等の公益法人あるいは私人のみを予定していたと解すべきであり,それらの者よりさらに公共性の低い営利社団法人である有限会社は予定していないと解される。
そして,学校行政は,学校法人以外の幼稚園の学校法人化を長年にわたって促進しており,幼稚園の新設についても,各都道府県においてこれまで基本的に学校法人が行うこととして設置認可の事務処理が行われ,国も原則として学校法人であることが望ましいとの立場からの指導を行っているところである。そして,実際に,内規等により,学校法人以外の者が新たに学校を設置することを認めない方針をとっている都道府県もあり,北海道においても,幼稚園の設置認可のための審査基準を設け,学校法人以外の者には設置認可をしていない実情にある。
さらに,登記官が事実上拘束される登記先例においても,幼稚園の経営を追加する目的変更登記は受理しないとされ,登記実務においては,本件申請のような目的変更の登記申請は受理していない。
以上によれば,学校教育法は本件目的を許容しておらず,有限会社による幼稚園の経営という目的は,学校教育法に反するから,会社の目的の適法性を欠くことになり,本件申請は登記すべき事項以外の事項の登記を目的とするといえる。
(原告)
学校教育法102条1項の文言からすれば,学校教育法の関係法令が有限会社による幼稚園の設置を全く禁止しているわけではない。
被告は,学校行政が有限会社による幼稚園の設置を認めない方針であること及び登記実務上有限会社の幼稚園経営を目的とする変更登記申請は受理しない方針であることを主張するが,学校行政については,非学校法人である株式会社及び財団法人が幼稚園設置の認可を受けている例はあり,そのような方針であるとは認められない。仮にそうであったとしても,学校行政の方針は法律上有限会社による幼稚園の設置,運営が禁止されていないという結論に影響を与えるものではない。
さらに,登記実務については,営利法人が,幼稚園の設置を目的として申請した登記が受理されている例がある上,幼稚園の経営を追加する目的変更登記は受理しないのが相当である旨の法務省民事局第4課長の回答は何ら法的拘束力を有しない内部連絡文書にすぎず,登記官が本件申請のような目的変更登記を受理しない方針であるとはいえないし,仮に登記実務が認可しない方針であったとしても,かかる上級行政庁の方針には何ら法的拘束力はなく,法律が有限会社による幼稚園の設置を禁止していないという結論に影響しない。
5 本件目的の営利性
(被告)
会社の目的として適格性を有するというためには,当該目的たる事業が利益をあげうる事業であるか否かという「営利性」の要件が必要であるところ,本件目的は営利性に欠ける。
すなわち,幼稚園経営から利益をあげることは可能であるとしても,当該利益を社員に分配することは学校教育の公共性から許されない。
教育基本法6条1項は「法律に定める学校は,公の性質をもつものであって,国又は地方公共団体の外,法律に定める法人のみが,これを設置することができる。」と規定し,これによって学校設置の確実性,公共性を担保しようとするものとされている。
また,私立学校法は,終戦後,私学の振興が特に重要な問題となり,昭和21年12月の教育刷新委員会第17回総会において私学の基礎を確実にするには,学校の経営主体の健全な発達を助成し,これに公共的,民主的性格を付与するため,民法法人とは別個の特別法人とすることが望ましいと採択されたことを受けて制定され,同法1条は「この法律は,私立学校の特性にかんがみ,その自主性を重んじ,公共性を高めることによって,私立学校の健全な発達を図ることを目的とする。」と規定し,およそ学校教育事業は社会公共のためにその意義が認められるものであって,私立学校といえども設置者の私益に奉仕し,又は恣意的経営に委ねられるべきものではないという要請と,私立学校としての自主性の尊重の要請との調整を図っている。
さらに,この特別法人については,教育に支障がない限り,学校経営に使用する目的で収益事業を営むことができること,理事には教育側の代表者を含めること,理事の諮問機関として評議員を設けて民主的運営を図ること並びに免税免租その他財政援助を与えること等が教育刷新委員会の建議に沿って構想された。戦後,私立学校に対する援助の必要性が増した際にも,憲法89条との関係で,私学の公共性が確認された。
このように,私立学校は,系統的な学校制度の一端を担うべく,非営利法人である学校法人が設置することが予定されているのであり,営利法人がこれを経営し,経営によってあげられた利益を分配することは何ら予定されていない。
(原告)
幼稚園の経営であっても,経営者の努力によって,適正な利益をあげることは十分可能なことである以上,幼稚園経営にも営利性はある。被告は,幼稚園経営に営利性がないと主張するが,結局,被告自身が主張している関係法令が,非営利法人である学校法人のみを幼稚園の経営主体として許容しているということを前提とするものであって,この前提は前記のとおり採り得ない。
6 本件処分に付された理由の適法性
(被告)
商業登記法24条は,登記の申請を却下する決定には理由を付さなければならない旨規定している。法律が行政処分に理由を付すべきものとしている場合に,どの程度の記載をすべきかは,処分の性質と理由付記を命じた各法律の規定の趣旨目的に照らしてこれを決定すべきである。
ところで,商業登記法が登記申請の却下処分に理由を付すべきものとしているのは,却下事由の有無についての登記官の判断の慎重と公正妥当を担保してその恣意を抑制するとともに,却下の理由を申請人に知らせることによってその不服申立に便宜を与える趣旨に出たものと解せられ,かかる趣旨からは,却下事由の条項の記載から却下事由に該当する事実が明らかとなる場合を除き,却下事由の条項とこれに該当する事実を記載することが必要であると解されている。
本件についてみると,前提4に記載した理由は,本件処分の根拠とされた却下事由の条項はもちろんのこと,却下事由に該当する事実の記載もなされており,そこから却下処分の理由が理解され得るのであり,本件処分における理由付記には何ら欠けるところはない。
(原告)
原告は,被告に対し,本件申請の却下の場合は詳細な理由を付するよう求めたにもかかわらず,前提4記載の被告の却下理由は,却下の理由の表示として著しく具体性に欠け,違法である。
第三当裁判所の判断
一 変更登記申請受理請求にかかる訴えの適法性(争点1)について
変更登記申請受理請求にかかる訴えは,行政庁である札幌法務局登記官を被告として,登記申請受理という行政処分の発動を求めるものであることから,無名抗告訴訟である義務付け訴訟の性質を有していると解されるところ,本件においては,本件処分の取消請求にかかる訴えによって原告の所期の目的は達し得るのであり,これと同時に変更登記申請受理請求にかかる訴えを求めなければならない特段の事情もないから,この訴えは,不適法である。
二 金銭請求にかかる訴えの適法性(争点2)について
金銭請求にかかる訴えは,国家賠償法1条に基づく損害賠償請求又は民法709条に基づく損害賠償請求と善解できる。
しかし,いずれの場合も,前提として権利義務の主体となり得る権利能力を有している必要があるところ,本件の被告は行政庁であり,この場合の権利能力はない。そうすると,この訴えは,民事訴訟法28条の当事者能力を欠く者を被告とする訴えであるから,不適法である。
三 登記官の審査権限(争点3)について
商業登記法24条によると,同条1号ないし17号所定の事由がある場合には,登記官は登記申請を却下しなければならないと定められているが,登記官がこの権限を行使するに当たり,その必要に応じ,手続法,実体法を問わず法解釈をし,却下事由の有無を判断するのはいうまでもない。
したがって,登記官は,本件申請のような有限会社による目的変更の登記申請に対しては,法令の解釈を行い,当該目的が有限会社の目的として登記すべき事項といえるのかどうかを審査することができると解される。
原告は,この点に関し,会社の目的変更登記申請に対しては,登記官は当該目的が許認可を条件とするもの,又は,法律上禁止されているものでない限り,受理しなければならない旨主張するけれども,登記官の審査権限をこのように狭く解しなければならない理由は見いだしがたく,原告の主張は採用することができない。
四 本件目的の適法性(争点4)について
1 学校教育法2条1項は,前記のとおり,幼稚園等の学校の設置主体について,国,地方公共団体及び学校法人に限定しているが,その趣旨は,学校の公共性の認識に基づいて学校設置者の確実性,公共性を担保しようとすることにあると解される。すなわち,国や地方公共団体がその本来の任務として積極的に教育事業を行うことはもとよりであるが,私人が自主的に学校を経営する場合にも,学校の社会的使命,公共性の自覚が強く要求されており,このために私立学校の設置者に対して特に学校法人という堅実な基盤を与え,私立学校の設置者をこの学校法人に限定したものといえる。
これに対し,同法102条1項は,前記のとおり,私立の盲学校,聾学校,養護学校及び幼稚園については,同法2条1項の規定にかかわらず,当分の間,学校法人によって設置されることを要しないと定めるが,この規定は,これらの学校が多くの場合比較的小規模であって,必ずしも学校法人のようにまとまった組織を必要としないと考えられるとともに,これらの学校は発展の途上にあり,制定当時においてはその質的充実よりも量的普及が期待されるという理由に基づくものであり,同法の附則として制定されていることや「当分の間」という限定文言が付されていることなどをあわせ考えると,一定の時期までの効力に限定される経過規定であると解するのが相当である。そして,その後の昭和50年に制定された私立学校法の一部を改正する法律は,学校法人以外の学校の設置者に対しても,学校法人と同様に公費助成の対象とする一方,補助金を受けた場合には5年以内に学校法人となるように措置するものとし,この趣旨は,同年に制定された私立学校振興助成法に引き継がれ,補助金の交付等を通じて私立学校の学校法人化が進められている。
2 次に,学校行政をみると,旧文部省は,昭和40年ころ以降,幼稚園について学校法人化を促進する方針を採用し,北海道も,この方針に従って原則として幼稚園の設置者は学校法人であることを認可の基準にしており,昭和42年以降に幼稚園設置が認可されたものの中で,学校法人でない者による設置例はない。もっとも,北海道においては,例外的に非学校法人による幼稚園設置を認可し得る場合として,持続性あるいは公共性をもって学校教育を継続できる者による設置であり,かつ,その地域の幼児人口と幼稚園の数を比較して幼稚園設置の必要性が認められる場合が想定されているけれども,これによる設置の実例はなく,実際には設置が認可されることは難しい状況である(証人A,乙10の1,2)。なお,北海道においては,それ以前の昭和35年に株式会社による幼稚園設置を認可した実例があるが,これは,同会社の工場が市街地から離れた原野の中にあり,その従業員の子弟のための幼児教育が必要とされたという特殊事情があったためであり,平成13年3月には廃園となっている(証人A)。
そして,全国における私立幼稚園の設置状況をみると,平成11年度の私立幼稚園の総数は8497園であるが,そのうち学校法人立が7092園,財団法人立が12園,社団法人立が2園,宗教法人立が654園,個人立が733園,その他の法人立が4園となっており,学校法人による設置が大多数となっている(乙11)。非学校法人のうちの営利法人以外の法人,個人,営利法人の各設置数を比較して,営利法人立がほとんどないのは,責任の希薄性という点などからして,確実性及び公共性が要求される学校設置者としての適格性を欠くことによるものと考えられる。
5 登記官の上級行政庁である法務省民事局第4課長の昭和39年9月25日付民事4発第319号電報回答は,会社による幼稚園経営目的への変更登記申請は受理しないのが相当である旨の見解を示している(乙2)。
6 以上のような学校教育法及びその関連法規の趣旨,学校行政実務や実際の設置状況等からすると,少なくとも営利法人による幼稚園の設置については,今日においてはもはや学校教育法102条1項が適用される余地はなく,同法2条1項により許容されないものと解するのが相当である。
確かに,幼稚園の経営を目的として掲げている営利法人があることが認められるが,このことから,前記解釈が不適切であるということはできない。
したがって,本件目的は,学校教育法によって許容されず,有限会社の目的として適法性を欠く。
そうすると,営利性の点について判断するまでもなく,本件申請は登記すべき事項以外の事項を登記の目的としたものといえる。
五 本件処分に付された理由の適法性(争点6)について
商業登記法24条は,同条各号の事由がある場合には,理由を付した決定で申請を却下しなければならないことを規定している。一般に法律が行政処分に理由を付記すべきものとしている場合に,どの程度の記載をなすべきかは,処分の性質と理由付記を命じた各法律の規定の趣旨`目的に照らしくこれを決すべきである。
商業登記法が却下決定に理由を付すべきものとしているのは,却下事由の有無について登記官の判断の慎重と公正妥当を担保するとともに,却下の理由を申請者に知らせることによって,その不服申立に便宜を与える趣旨であると解される。
このような趣旨からは,商業登記法24条2号に該当するとしてなされた却下拠分については,申請にかかる目的が登記すべき事項以外にあたるとされた理由を付記することを要しかつそれで足りる。
本件処分においては,却下決定に「有限会社法第13条2項で規定している目的につき,掲げる目的が学校教育法に抵触するので,商業登記法24条2号の規定により却下する。」との理由が付記されている(乙1号証)。
本件において,申請にかかる目的が登記すべき事項以外にあたるとされた理曲は,まさに学校教育法に反するということであるから,本件処分に付された理由は適法である。
六 本件処分の取消の請求についてのまとめ
三から五までにおいて検討したとおり,被告は,本件申請にかかる目的が学校教育法によって有限会社の目的として適法性に欠けるもので,本件申請は登記すべき事項以外の事項を目的としたものであると判断し,その旨の理由を付して却下する旨の本件処分をしたものであり,本件処分は適法であると解される。
第四結論
以上のとおり,変更登記申請受理請求及び金銭請求にかかる訴えは不適法であるからいずれも却下し,本件処分の取消の請求は理由がないからこれを棄却し,訴訟費用については,行政訴訟法7条及び民事訴訟法61条を適用して原告に負担させることとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 坂井満 裁判官 山田真紀 裁判官 小田切泉)