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札幌地方裁判所 平成12年(行ウ)19号 判決 2003年8月26日

原告

有限会社A

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士

猪狩久一

猪狩康代

被告

余市税務署長 千葉宏治

同指定代理人

角井俊文

高橋重敏

三浦達也

天満三樹

横田啓一

杦田喜逸

青山哲雄

小森睦雄

主文

1  原告の請求をいずれも棄却する。

2  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1請求

1  被告が平成10年5月29日付けでした原告の平成4年7月2日から平成5年6月30日までの事業年度の法人税の更正のうち所得金額142万8430円及び納付すべき税額39万9800円をそれぞれ超える部分並びに重加算税の賦課決定をいずれも取り消す。

2  被告が平成10年5月29日付けでした原告の平成5年7月1日から平成6年6月30日までの事業年度の法人税の更正のうち所得金額100万5917円及び納付すべき税額28万1400円をそれぞれ超える部分並びに重加算税の賦課決定(ただし、いずれも異議申立てに対する異議決定により取り消された部分を除く。)をいずれも取り消す。

3  被告が平成10年5月29日付けでした原告の平成6年7月1日から平成7年6月30日までの事業年度の法人税の更正のうち所得金額65万7180円及び納付すべき税額18万3900円をそれぞれ超える部分並びに重加算税の賦課決定をいずれも取り消す。

第2事案の概要

本件は、土木建築工事等を目的とする原告の、平成4年7月2日から平成5年6月30日まで、同年7月1日から平成6年6月30日まで及び同年7月1日から平成7年6月30日までの各事業年度(以下、順次「平成5年6月期」、「平成6年6月期」、「平成7年6月期」といい、これらを併せて「本件各事業年度」という。)における法人税についての各確定申告(以下「本件各確定申告」という。)につき、被告が更正処分及び重加算税賦課決定処分(以下、それぞれ「本件各更正処分」、「本件各賦課決定処分」といい、これらを併せて「本件各処分」という。)をしたところ、原告が、被告による本件各処分は原告が雇用していた外国人労働者に対する公表帳簿を通さない簿外の労務費(以下、単に「簿外労務費」という。)の支払を損金に算入しないで所得と認定した点で違法であるとして、その各取消しを求めている事案である。

1  前提となる事実(以下の事実は、当事者間に争いがないか、括弧内に掲記した証拠により容易に認定できる。)

(1)  原告は、土木建築工事請負等を目的として平成4年7月2日に設立された有限会社であるところ、その実態は、代表者である甲(以下「甲」という。)が個人で経営していたAが法人成りしたもので、その主たる事業内容は、個人事業の当時から、元請業者の指定する土木工事現場に作業員を派遣する、いわゆる「人工派遣業」であった。

原告は、本件各事業年度において、春から秋にかけては主に北海道内の現場で、冬場は本州(千葉県等)の現場でそれぞれ各種下請工事を受注していたところ、平成5年6月期にはB株式会社から受注した道内のゴルフ場造成工事の工事残代金が同会社から支払われたほか、本件各事業年度にまたがる平成4年12月ころから平成7年12月ころまでの間、千葉市所在の水道管敷設業者である株式会社C(以下「C」という。)から水道管敷設等の工事を下請受注し、同会社の指定に応じて作業員を工事現場に派遣し、同会社から工事代金の支払を受けていた(甲第28号証、乙第27号証の1)。

(2)  本件各処分及びこれらに対する原告の不服申立て等の経緯

原告は、本件各事業年度の法人税につき、別表1の「<1>確定申告」欄のとおりの所得金額等を記載した青色の各確定申告書(以下「本件各確定申告書」という。)を法定の申告期限内に被告に提出した。被告は、調査の上、原告に対し、平成10年5月27日付けをもって、平成6年6月期における工事代金収入の一部を、原告がいわゆる簿外口座に振り込ませ、その大部分を公表帳簿に記載せずに売上げから除外したことが法人税法127条1項3号所定の取引の仮装・隠ぺいに該当するとして平成6年6月期以後の法人税の青色申告承認の取消処分(以下「本件青色申告取消処分」という。)をし(乙第11号証)、さらに、別表1の「<2>更正処分等欄」のとおり平成10年5月29日付けで、本件各事業年度につき調査によって把握した同欄の「所得金額欄」欄の各所得金額に基づき、「納付すべき税額」欄のとおり本件各更正処分をするとともに、更正した税額と確定申告にかかる税額の差額につき国税通則法68条1項により重加算税を課すべきであるとして「重加算税の額」欄のとおり本件各賦課決定処分をした。

これに対して原告は、平成10年7月29日、被告に対し、原告が雇用した外国人労働者に対して支払った簿外労務費を損金に算入すべきであるなどと主張して、国税通則法75条1項に基づき、本件各処分に対する異議を申し立て、これに関する資料として決算外労務費一覧表を提出するなどしたが、被告は、別表1の「<4>異議決定」欄のとおり、同年10月28日付けをもって、平成6年6月期の法人税にかかる更正処分及び重加算税の賦課決定処分の一部を取り消すとともに、その余の異議申立てをいずれも棄却する旨の決定をした。原告は、同決定を不服として、平成10年11月16日、国税不服審判所長に対して審査請求をしたが、同所長は、別表1の「<6>審査裁決」欄のとおり、平成12年5月30日付けをもって、本件各処分に対する審査請求をいずれも棄却する旨の裁決をした。

(3)  本件各確定申告における原告の売上除外等

ア 平成5年6月期の売上除外について

原告は、平成5年6月期において、D信用金庫本店の有限会社A(代表取締役甲)名義の普通預金口座(口座番号 、以下「D信用金庫原告名義口座」という。)及びE銀行印西支店の有限会社A(代表取締役甲)名義の普通預金口座(口座番号 、以下「E銀行原告名義口座」という。)の2口の口座を保有していた(乙第12、第13号証)。

原告は、その取引先であるB株式会社及びCからの工事代金収入の一部である446万9902円を、原告の公表帳簿に記載のない、簿外口座であるE銀行印西支店の甲名義の普通預金口座(口座番号 で、平成5年1月25日開設、以下「E銀行個人名義口座」という。)及びF銀行余市支店の同人名義の普通預金口座(口座番号 で、平成4年7月10日開設、以下「F銀行個人名義口座」という。)に振り込ませ、E銀行個人名義口座振込分についてはその一部を、F銀行個人名義口座振込分についてはその全部を、原告の公表帳簿に記載せず、売上げから除外するなどして原告の所得金額に計上しなかった。

また、原告は、E銀行個人名義口座振込分のうち、売上げから除外した残額については、原告自らが、Cの名義を使用して、E銀行原告名義口座に振り込み、その金額を原告の公表帳簿に記載して、原告の売上げとして所得金額に計上した。なお、本件の売上除外金額の内訳は、別表3(1)記載のとおりである(乙第14ないし第17号証、第18号証の2、弁論の全趣旨)。

イ 平成6年6月期の売上除外について

原告は、平成6年6月期において、原告名義の2口の口座を保有していた(D信用金庫原告名義口座及びE銀行原告名義口座、乙第19、第20号証)。

原告は、Cからの工事代金収入の一部である1598万8018円を、原告の公表帳簿に記載のない、簿外口座であるE銀行個人名義口座に振り込ませ、その大部分を原告の公表帳簿に記載せず、売上げから除外するなどして原告の所得金額に計上しなかった。なお、本件の売上除外金額の内訳は、別表3(2)記載のとおりである(乙第14号証、第18号証の1、第21号証、弁論の全趣旨)。

ウ 平成7年6月期の売上除外について

原告は、平成7年6月期において、原告名義の3口の口座を保有していた(D信用金庫原告名義口座、E銀行原告名義口座(ただし、平成6年11月28日解約)及びG銀行千葉ニュータウン支店の有限会社A(代表取締役甲)名義の普通預金口座(口座番号 で、平成6年11月28日開設)、乙第22、第23号証)。

原告は、Cからの工事代金収入の一部である2174万4230円を、原告の公表帳簿に記載のない、簿外口座であるH銀行千葉ニュータウン支店の甲名義の普通預金口座(口座番号 、以下「H銀行個人名義口座」という。)に振り込ませ、その全部を原告の公表帳簿に記載せず、売上げから除外するなどして原告の所得金額に計上しなかった。なお、本件の売上除外金額の内訳は、別表3(3)記載のとおりである(乙第18号証の2、第24、第25号証、弁論の全趣旨)。

(4)  本件各賦課決定処分の内容

被告は、本件各更正処分により増加した納付すべき税額(平成5年6月期は40万円、平成6年6月期は442万円(ただし、異議決定により一部取り消された後の金額で、さらに、国税通則法118条3項により1万円未満の金額を切り捨てた金額)、平成7年6月期は573万円)に対して、国税通則法68条1項の規定の適用により100分の35を乗じて算出した重加算税の額(平成5年6月期の額は14万円、平成6年6月期の額は154万7000円、平成7年6月期の額は200万5500円)につき各賦課決定処分を行った。

2  争点及びこれに対する当事者双方の主張

(1)  本件各更正処分の適法性について(争点1)

主たる争点は、本件各事業年度において、原告が簿外で外国人労働者を雇用し、同人らに対して簿外の労務費を支払っていたか否かである。

(被告の主張)

ア 本件各事業年度における原告の所得金額は、別表2のとおり、申告所得金額欄記載の本件各事業年度における申告所得金額に、前記1(3)アないしウの売上除外金額(同表加算欄記載の売上除外した金額)を加算し、同表減算欄記載の金額を控除した金額であり、平成5年6月期が589万4727円、平成6年6月期が1466万7775円、平成7年6月期が1892万8835円となる。

そして、被告が原告に対してした本件各更正処分にかかる所得金額(ただし、平成6年6月期については、異議決定により一部取り消された後の金額)は、別表1記載のとおり、平成5年6月期が287万6267円、平成6年6月期が1458万9793円、平成7年6月期が1780万8581円であるところ、これらの金額は、本件各事業年度における原告の所得金額を下回っており、その範囲内であるから、本件各更正処分はいずれも適法である。

イ 課税庁においては、認定した簿外売上金を当期売上高に加算計上する場合、これによって当期利益率ないし労務費・外注費の比率(以下「労務費等比率」という。)が著しく均衡を失する場合に初めて一定額の簿外経費を看做し控除すれば足りるのであって、各事業年度における当期利益率ないし労務費等比率に開差がないか、又は開差につき合理的説明ができる場合には、簿外経費を看做し控除する必要はなく、納税者が簿外経費の存在を主張するのであれば納税者がその立証責任を負うことになる。そして、本件各事業年度における売上金額に対する労務費等比率は、平成5年6月期が46.40パーセント、平成6年6月期が41.58パーセント、平成7年6月期が33.63パーセントであり、多少の開差が生じているが、著しく均衡を失する場合に該当するほどの開差ではなく、また、この開差は、原告の取引形態の変化によるものと合理的に説明できることから、原告が簿外労務費の存在を主張するのであれば、原告がその立証責任を負うことになる。

ウ 原告が、本件各事業年度において、外国人労働者を雇用していた事実はなく、これに対する賃金を簿外労務費として支払った事実もない。これは、以下の事情から明らかである。

(ア) 原告は、工事現場ごとの作業時間及び作業内容等を記録したものである出勤簿、作業員名簿兼作業日報確認表(以下「作業日報」という。)、請求書明細書、給与台帳を作成するなどして労働者の勤務状況を管理しているが、これらの各書類には簿外の外国人労働者についての稼働事跡は一切記載されていない。

(イ) 原告は、Cの工事現場で外国人労働者を作業に従事させていたと主張するが、同会社の現場の管理状況からみて、原告が、同会社に無断で外国人労働者を働かせることは不可能である。

(ウ) 原告は、簿外の外国人労働者に対して支払った賃金を売上除外したと主張するが、売上除外額は本件各事業年度の合計で約4220万円もの多額となるのであるから、何らの書類も残っていないというのは不自然極まりないばかりか、Cから原告の簿外口座に振り込まれた金額のうち、使途の不明な出金の金額約3273万円と外国人労働者に対する簿外労務費が一致しておらず、簿外労務費の資金源が約1100万円も不足するという理解しがたい状態となる。

(エ) 原告は、本件簿外労務費の存在等の立証のため、写真、メモ帳、送金依頼書などの書証を提出するが、メモ帳(甲第20号証)に記載された外国人労働者の人工数及び作業時間は、当時の公表された労働者にかかる作業日報の記載を流用して作成されたとみられるなど、原告の主張を裏付けるものとはなっていない。

(オ) 原告の現場監督業務に従事していた乙(以下「乙」という。)は、簿外の外国人労働者の雇用及び賃金支払について具体的かつ合理的な説明をしておらず、同人の証人申請がなされていたにもかかわらず、これが撤回されたのは、簿外労務費の不存在を如実に物語るものである。

エ 簿外労務費の推計について

(ア) 原告は、簿外の外国人労働者に対して賃金を支払った事実を具体的、個別的に主張、立証すべきところ、その立証ができていないから、簿外労務費を推計の方法により算出することの前提が欠けている。

(イ) また、原告主張の簿外労務費の推計方法は、原告の引用する統計書の各数値が推計に耐えうるような正確かつ合理的な数値ではない上、本件で原告が採用する原価率65.8パーセントは一般の土木工事業を基礎としており、人工派遣業という原告の業務実体に照らして推計の基礎数値として極めて不適切であるから、合理性がないのは明らかである。

(原告の主張)

ア 原告は、本件各事業年度において外国人労働者を雇用し、これに対する賃金を簿外労務費として支払ったが、本件各確定申告において、イで述べる理由によりこれらの経費を損金に計上できなかったため、やむなく売上げから除外するなどして算出した所得金額を申告したものである。

イ すなわち、原告の取締役である乙は、平成5年6月期の事業年度の確定申告をするに当たり、確定申告書の作成事務を依頼した税理士に対し、雇用していた外国人労働者に対して原告が支払った賃金を損金として計上してもらいたいと申し出たが、同税理士から、賃金支払の事実を直接証明する領収書が存在しないのであれば損金計上は不可能であるとの指導を受けた。しかし、原告が外国人労働者を雇用し、同人らに対し賃金を支払ったことは事実であることから、乙は、原告の売上金額から、上記賃金額に相当する金額(平成5年6月期は528万5029円、平成6年6月期は1752万0826円、平成7年6月期は1955万1398円)を控除して帳簿を作成した。

原告は、外国人労働者が、原告の事業に従事している事実を日本の行政に知られることを望まないこと、原告の元請会社が、下請業者が受注した工事を遂行するに際し、外国人を使用することを禁止し、又は嫌っていたことから、平成6年6月期以降の事業年度においても、雇用した外国人労働者に支払う賃金に関し、公表帳簿に損金として計上できる証拠資料を用意することが困難であったため、やむなく、平成6年6月期以降の確定申告においても、外国人労働者の賃金額を売上げの額から控除して帳簿を作成した。

ウ 以上の経過に照らせば、本件各事業年度における原告の所得金額は、簿外の外国人労働者に対して支払った前記各賃金を損金として算入した上で算出される金額であり、原告の法人税額はこれを基礎として求められるべきであるから、これを損金に算入せずにされた本件各更正処分は違法である。

本件各更正処分の結果に基づく本件各事業年度における売上金額に対する労務費等比率には被告主張のとおりの開差があるところ、原告とCとの取引形態は、同会社の指示に基づき「人工」計算か「出来高」計算の方法によることとされてはいるものの、その実態は人工を単位とする代金支払であって、被告主張のような取引形態の変化はなく、しかも大きな開差が生じているから、簿外売上金を簿外経費として控除することを認めない本件各更正処分の適法性を疑わせるものである。

エ なお、本件においては、外国人労働者に対する労働賃金の支払に関する直接の資料が存在しないため、前記各賃金の額は、同業者の経費率等が記載された「平成9年度調査中小企業の経営指標・中小企業庁編」の造園工事業を除く土木工事業に関する各統計指標の数値を参考として原価率を65.8パーセントとし、これにより計算した工事原価の額と、原告が本件各確定申告の際に計上した工事原価との差額(平成5年6月期は528万5029円、平成6年6月期は1752万0826円、平成7年6月期は1955万1398円)を、原告が外国人労働者に対して支払った賃金の総額として推計する方法により計算したものである。

(2)  本件各賦課決定処分の適法性について(争点2)

原告が工事収入の一部を公表帳簿に計上せず、かつ申告しなかったことが、国税通則法68条1項の「課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺい又は仮装」したことに該当するか否か。

(被告の主張)

ア 原告は、本件各事業年度の法人税の税務申告において、土木工事業にかかる工事代金収入の一部を原告名義の口座が2口(平成7年6月期は3口)あるにもかかわらず、原告の公表帳簿に記載のない、簿外口座であるE銀行個人名義口座、F銀行個人名義口座及びH銀行個人名義口座に振り込ませ、その全部又は一部を原告の公表帳簿に記載せず、そのことを認識しながら、その除外したところに基づき本件各事業年度において決算報告書及び確定申告書を法定申告期限までに作成・提出した。

イ 国税通則法68条1項によれば、重加算税は「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に賦課することと規定され、ここに「隠ぺい」等の事実とは、売上除外、証拠書類の廃棄等課税要件に該当する事実の全部又は一部を隠すこと、すなわち、事実を隠匿し、あるいは脱漏することをいうと解されるところ、原告のした上記の一連の行為は典型的な収入除外行為であって、客観的に隠ぺい等の事実に該当する。

ウ 重加算税は、納税義務の違反者に対して同税を課すことにより納税義務違反の行為を防止し、もって徴税の実を挙げようとする行政上の措置であり、故意に納税義務違反を犯したことに対する制裁ないし刑罰ではないから、重加算税を課すためには、納税者において隠ぺい等に該当する事実についての認識があれば足り、それ以上に申告に際して納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまでは必要ではなく(最高裁昭和62年5月8日第二小法廷判決・訟務月報34巻1号149頁)、また、刑罰を加えるに足りる実質的違法性を意味する可罰的違法性を要するものではない。

エ したがって、本件各賦課決定処分は、国税通則法68条1項に規定する重加算税の課税要件を充足しており適法である。

(原告の主張)

ア 重加算税の制度は、故意に納税義務違反を犯したものに対する行政上の制裁であり、重加算税制度とは別に過少申告加算税制度が存することからすると、過少申告がなされた場合は、原則として過少申告加算税が賦課され、特に悪質な場合に重加算税を賦課することができると解されるべきである。そうすると、重加算税の賦課要件としては、納付すべき税額について過少の申告の事実が存在することの他、納税者において、納付すべき税額について過少の申告を行うとの認識が存在すること、重加算税を賦課するに足りる可罰的違法性が存在することを要すると解すべきであり、重加算税を賦課するに足りる可罰的違法性の有無の判断基準としては、納付すべき税額と申告された税額との間の相違の程度のほか、事実としての隠ぺい、仮装行為は、単に過少の納税申告書を提出しただけでは足りず、虚偽資料の作成、提出等の行為が存在するか否かを考慮すべきである。

イ 原告は、前記のとおり、本件各事業年度において外国人労働者を雇用し、現に賃金の支払をしており、支払済み賃金額に相当する金額が原告の所得になっている事実はないのであるから、本件各申告においてはそもそも納付すべき税額について過少申告の事実はなかった。

また、当該賃金分を収入総額から控除して申告することは結果において実態に即した適正な所得金額を申告したことになるから、原告は、実態に即した申告をするとの認識の下に本件各年度における所得申告をしたのであり、納付すべき税額について過少の申告を行うとの認識はなかった。

そして、原告がした本件各確定申告は、実際に支払をした賃金額に相当する金額を収入金額から控除して申告したものであり、結果的には適正な所得金額と申告額との間の相違はないばかりか、収入総額について過少に記載したものであるとしても、原告の行為は、単に収入総額について過少の納税申告書を提出しただけであって、証拠書類の廃棄、虚偽資料の作成、同資料の提出等に該当する行為はないから、可罰的違法性が存在しない。

ウ よって、本件各賦課決定処分は、国税通則法68条1項の課税要件を欠く違法なものである。

第3争点に対する判断

1  争点1(本件各更正処分の適法性)について

(1)  前記前提となる事実及び甲第28号証、乙第1ないし第3号証、第12ないし第17号証、第18号証の1・2、第19号証ないし第25号証、第27、第28号証の各1・2、第29号証の1ないし4、第30号証、第34、第35、第39、第40号証並びに弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められ、同認定を左右するのに足りる的確な証拠はない(括弧内に主要な証拠を掲記する)。

ア 原告の労務管理状況

原告は、専務取締役である乙において、工事現場ごとの作業時間及び作業内容等を記録した作業日報を従業員に作成させ、そのデータをパソコンに入力し、それにより、<1>労働者の日々の出勤状況が記録された各月別の「出勤簿」、<2>労働者ごとの工事現場名、職種、作業内容、拘束時間及び作業時間等が記載された日々の「作業員名簿兼作業日報確認表」(乙第34号証はその一部(平成5年1月21日から同年2月20日までの分)である。)、<3>各取引先の工事現場ごとに日々の労働者の人工数及び作業時間が記載された各月別の「請求書明細書」(乙第35号証はその一部(平成5年1月21日から同年2月20日までの分)である。)及び<4>労働者ごとの賃金の支給明細及び各種控除の引去り明細が記録された各月別の「給与台帳」(乙第29号証の1ないし4はその一部(平成5年1月分から同年4月分)である。)を作成するなどして従業員の労務管理を行い、これらを税務申告にも活用していたが、上記各書類のうち、<1>ないし<3>には外国人労働者の稼働事跡が全く記載されていない。また、<4>の平成5年1月分から同年4月分までの原告の給与台帳の一部である乙第29号証の1ないし4の氏名欄には、丙、丁、戊、I、J、Kなどの、外国人らしき者の氏名が記載されているが、上記6名の者に支払われた賃金については、原告の公表帳簿である総勘定元帳に外国人臨時賃金などとして記載され、平成5年6月期の原告の確定申告の際に損金として計上されている(乙第28号証の2、第30号証、弁論の全趣旨)。

イ 原告の売上除外金について

原告は、本件各事業年度において、前記前提となる事実(3)のとおり、Cに対し、工事代金の振込先として、原告名義の口座が2口ないし3口存在していたにもかかわらず、簿外口座である本件各個人名義口座にその一部を振り込むように指定してその通り振り込ませているところ(乙第18号証の1・2、第27号証の1)、当該口座からは現金の形で引き出しており(乙第14号証、第17号証、第24号証)、原告は、その使途を明らかにすることのできる証拠書類を提出していない。

ウ 原告とCとの取引形態及びCの労務管理状況

Cの原告に対する工事発注方法には、労務提供形式で1人工につき1日を単位として工事代金を決める「常用」の工事と、請負形式で水道管1メートル当たりの単価を基準に工事代金を決める「出来高」の工事の二つの方法があり、契約単価については発注の際に交渉していた。

Cが発注した工事の作業内容等については、同会社の現場代理人が工事の内容、人工数、常用の工事か出来高の工事かなどを記載した作業日報を作成しており、原告がCに対して提出した請求書については、同会社の経理担当者が上記作業日報と照合していた。

Cにおいては、元請である大手建設会社に対して工事に従事する下請会社の作業員の名簿を提出し、元請会社が同名簿に従って作業員のチェックを行うほか、元請に対して作業員の健康診断書や資格証明書等の書類の提出が義務づけられたり、入所時教育を受けさせられたりするなど、厳しい労務管理が行われていた上、原告が下請けした工事現場には、Cの現場代理人の他、元請会社の現場責任者も必ず立ち会っており、また、工事現場は周りすべてが塀で囲まれるなど、作業員の出入り口は限定されており、外国人労働者が容易に工事現場に入って作業をすることはできない状況になっていた。なお、札幌国税局の担当官に対し、Cの取締役工事部長Lは、外国人労働者が工事現場で働いているのを見たことはないし、他の現場代理人からもそのような話は聞いたことがない旨述べている(乙第27号証の1・2)。

エ 本件各確定申告書類作成に至る経緯及び本件各処分に際しての被告による調査の状況について

原告は、法人化したのを機に税務申告をM税理士(以下「M税理士」という。)に依頼するようになり、決算時期に原告の専務取締役である乙(甲の長男)がパソコンで作成した帳簿書類や原告名義の口座の通帳等を、M税理士及びその職員であるN(以下、併せて「M税理士ら」という。)の下に持参し、これに基づき、M税理士らが総勘定元帳及び確定申告書を作成していた。しかし、M税理士らは、「本件各事業年度の各確定申告書を作成するに際し、原告から、簿外の外国人労働者を雇用し、同人らに対して給与を支払っているなどの話は聞いておらず、乙が持参した帳簿書類や原始記録の中にも、それらの事実を示す資料はなかった。」旨明確に供述しており、ましてや、外国人労働者に対する賃金支払につき、損金算入の可否について問合わせを受けたこともなく、これらの話は、平成9年9月以降に行われた原告に対する税務調査時において、被告担当係官から、簿外の銀行口座の存在や、それに伴う多額の売上除外の事実を指摘された後に初めて聞くに至った。」とも供述している(乙第28号証の1・2)。

オ 原告の前身の個人事業当時の申告状況

原告代表者の甲は、個人でAを経営していた当時、平成2年分ないし平成4年分の所得税について多額の売上除外を行うという不正申告をしていたとして、被告から更正処分及び重加算税の賦課決定処分を受けたが、その際、売上除外金額の大半を簿外労務費の支払に充てた旨本件と同様の主張をして、不服申立て手続を行っていた(乙第32号証、第39、第40号証、弁論の全趣旨)。

(2)  前記前提となる事実及び以上に認定した事実によれば、以下に説示するとおり、原告が本件各事業年度において簿外で外国人労働者を雇用し、かつ、これに対して賃金を簿外労務費として支払った事実はないものと認めるのが相当であり、その結果、本件各事業年度における原告の所得金額は、後記(3)アのとおり、平成5年6月期が589万4727円、平成6年6月期が1466万7775円、平成7年6月期が1892万8835円であると認めるのが相当である。

ア まず、原告は、簿外の外国人労働者の雇用及びこれに対する簿外労務費の支払の点につき、「個人事業当時の平成3年ころからマレーシア人を雇用していたところ、平成5年6月期の事業年度の確定申告に際し、雇用していた外国人労働者に支払った賃金を損金として計上するようM税理士に申し入れたのに対し、同税理士から、賃金支払の領収書がなければ損金計上はできないとの指導を受けたため、原告の売上額のうち、上記賃金額年相当する金額を公表帳簿に記載することなく、これを控除して帳簿を作成したのであり、平成6年6月期以降も、外国人労働者が我が国において労務に従事している事実を我が国の行政に知られることを望まず、原告の元請けも、下請業者の外国人の使用を禁止し、又は嫌っていたことから、雇用した外国人労働者に支払う賃金に関し、公表帳簿に損金として計上できる証拠資料を用意することが困難であったから、外国人労働者の雇用及びこれに対する賃金支払の事実はあったが、これを公表帳簿に記載しなかった。」と主張し、甲第28号証(原告の取締役乙からの聴取書、以下「本件聴取書」という。)には一部これに副う供述記載がある。

しかしながら、前記(1)エで説示したとおり、M税理士らは、本件各確定申告の申告書を作成するに際して、原告から外国人労働者を雇用し、同人らに対して賃金を支払っているなどの話を聞いたことはないというのであって、甲第28号証の供述記載と明白に相反する上、原告が、M税理士の指導をきっかけとして簿外労務費相当額を控除して公表帳簿を作成するようになったとするならば、売上金を簿外口座に振り込ませる行為も、同指導がされた後に開始するのが通常であると考えられるにもかかわらず、同指導があったとされる平成5年6月期の確定申告書作成時期(乙第1号証によれば、平成5年6月期の確定申告書が余市税務署に収受されたのは平成5年8月30日であることが認められ、確定申告書が作成されたのも、これに近接した時期であると考えられる。)の約1年近く前である平成4年8月25日の時点で、既に売上金の簿外口座への入金がされていること(乙第15号証)と矛盾するばかりか、前記(1)オのとおり、原告は、その前身である個人事業当時の売上除外行為についても簿外労務費の支払に充てた旨の主張をしていたことに照らすと、原告の売上除外の経緯、意図に関する甲第28号証の供述記載は到底採用することができない。また、原告が、平成6年6月期以降においては賃金支払の事実を直接証明する領収書が存在しないと損金計上は不可能であるとの認識を有していたのであれば、平成6年6月期には1752万0826円、平成7年6月期には1955万1398円という多額の簿外労務費について、何らの証拠資料も作成しないということは極めて不自然、不合理というほかはないところである。

イ 次に、原告は、外国人労働者を簿外で雇用していたこと及び簿外労務費を支払ったことを裏付ける証拠として、甲第2ないし第19号証の各写真(以下、併せて「本件写真」という。)、甲第20ないし第22号証の各メモ帳(以下、併せて「本件メモ帳」という。)、甲第23号証の2ないし4、第24号証の2の外国送金依頼書及び入金伝票等(以下、併せて「本件送金依頼書等」という。)を提出する。

(ア) まず、本件写真についてみるに、証拠説明書によれば、各写真に写っている者を、マレーシア人の丁、K、丙、O、J及びPとして特定しているが、それが真実それらの者の写真であるか否かは必ずしも明らかではない上、本件写真の中には、撮影年月日が明らかでないものもあり、これが明らかなものでも、本件各事業年度よりも前のものが含まれているなど、原告が本件写真に写っている者達を雇用していたことが仮に窺われるとしても、本件各事業年度において、簿外の外国人労働者として雇用していたことを裏付けるに足りる的確な証拠ということはできない。さらに、上記6名のうち、丁、丙、J及びKの4名は、平成5年1月分ないし4月分の給与台帳及び平成5年6月期の公表帳簿にその氏名が記載され、これらの者に対する賃金は、同期の確定申告に当たって損金として計上されている(乙第28号証の2、第29号証の1ないし4、第30号証)から、その意味でも本件写真が原告の前記主張を裏付けるものとはいえない。

(イ) 次に、本件メモ帳についてみるに、同メモ帳には、出勤表との表題のもとに、平成4年12月18日から平成5年4月24日まで(甲第20号証)、平成6年1月10日から同年4月24日までと同年11月15日から平成7年2月8日まで(同第21号証)、同年2月9日から同年5月31日まで(同第22号証)の間の外国人労働者の出勤状況等が日付順に記載されているが、乙第28号証の1によれば、同メモ帳は、平成9年からの被告による税務調査が進む中で、被告から多額の売上除外金の存在を指摘された原告が、簿外の外国人労働者に対する賃金があることを主張した際、被告担当者の求めにより、原告の担当者の記憶に基づいて作成したとしてM税理士に提出し、同人が余市税務署に提出したものであることが認められるところ、同メモ帳が、原告の売上除外が問題化された後に作成されたものであること、同メモ帳の記載内容は、延べ2593人にのぼる外国人労働者の出勤状況について、氏名、国籍、作業日時、作業現場、1日当たりの賃金、1日の賃金の支払総額、現場経費等につき、詳細に記載されたものであって、3年以上も経過した後に客観的な裏付資料によらず、担当者の記憶のみに基づいて作成されたということ自体極めて不自然であること、甲第20号証に記載されている外国人労働者の人工数が、同じ時期の同じ工事現場にかかる作業日報に記載されている労働者の人工数とほぼ一致していることから(乙第34、第38号証)、本件メモ張が、作業日報に記載されている公表の労働者の人工数を利用し、これを簿外の外国人労働者に置き換えて作成したものではないかと疑われることなどに照らすと、その記載内容をたやすく採用することはできない。

(ウ) さらに、本件送金依頼書等についてみるに、本件各事業年度は平成4年7月2日から平成7年6月30日までであるところ、本件送金依頼書の送金依頼日は平成4年5月1日(甲第23号証の2・3)及び平成7年11月22日(甲第24号証の2)であって、いずれも本件各事業年度の期間外であること、甲第23号証の2の受取人名欄には「丁」との記載があり、これは前記丁のことと思われるが(証拠説明書によれば、丁をアルファベットで表記しすると「丁」となる。)、同人は公表の帳簿書類に記載された外国人労働者であって、原告が同人に賃金を支払ったことをもって簿外労務費を支払ったと言うことはできないことに照らすと、原告の主張を裏付けるものということはできない。

ウ 以上のとおりであって、いずれも原告の前記主張を裏付けるに足りる的確な証拠ということはできず、原告が本件各事業年度において外国人労働者を雇用し、これに対して簿外労務費を支払った事実は存在しないと認めるのが相当であり、同認定を左右するのに足りる的確な証拠はない。

(3)ア  原告の本件各事業年度における所得金額について

(2)で説示したとおり、外国人労働者に対する簿外労務費支払の事実はないから、本件各事業年度における所得金額の算定に当たって、推計の方法により算出した簿外労務費を損金の額に算入すべきとする原告の主張は、その前提を欠き、採用することができない。

また、乙第29号証の1ないし4、第30号証によれば、少なくとも平成5年6月期においては、原告の従業員に対する労務費は損金の額に算入されていることが認められるのであって、それとは別に、簿外売上金から簿外労務費等の経費を控除すべき事情は、本件証拠を精査しても、見いだすことはできない。

この点につき、原告は、本件更正処分の結果に基づく本件各事業年度の売上金額に対する労務費等比率につき、同処分の適法性を疑わせる開差が存する旨の主張をするが、被告が算出した労務比率は、簿外労務費を主張する原告が、自ら積極的に提示すべき帳簿書類及び原始記録をほとんど提出していない状況の下で算出したものであって、このような条件の下で生じた開差は有意なものとは言い難いから、上記原告の主張も採用できない。

そうすると、原告の本件各事業年度の所得金額は、別表2の所得金額の計算内訳のとおり、本件各事業年度における申告所得金額に、前提となる事実(3)の各売上除外金額を加算し、同表減算欄記載の金額を控除した金額、すなわち、平成5年6月期が589万4727円、平成6年6月期が1466万7775円、平成7年6月期が1892万8835円であることが認められる。

イ  そこで、本件各更正処分の適法性について検討するに、被告が原告に対して平成10年5月29日付をもってした本件各更正処分にかかる所得金額(ただし、平成6年6月期については、異議決定により一部取り消された後の額)は、別表1<2>及び<4>欄記載のとおり、平成5年6月期が287万6267円、平成6年6月期が1458万9793円、平成7年6月期が1780万8581円であり、これらの金額はいずれも前記アの所得金額(平成5年6月期が589万4724円、平成6年6月期が1466万7775円、平成7年6月期が1892万8835円)を下回っており、その範囲内である。そうすると、本件各更正処分はいずれも適法であるといえる。

2  争点2(本件各賦課決定処分の適法性)について

国税通則法68条1項は、重加算税につき、「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺいし、又は仮装したところに基づき納税申告書を提出していたとき」に賦課する旨規定しているところ、ここに「隠ぺい」とは、事実を隠匿し、あるいは脱漏することをいうと解される。

また、同条に規定する重加算税は、同法65条ないし67条に規定する各種の加算税を課すべき納税義務違反が事実の隠ぺい又は仮装という不正な方法に基づいて行われた場合に、違反者に対して課される行政上の措置であって、故意に納税義務違反を犯したことに対する制裁ではないから、重加算税を課しうるためには、納税者が故意に課税標準等又は税額等の計算の基礎となる事実の全部又は一部を隠ぺいし、又は仮装し、その隠ぺい、仮装行為を原因として過少申告の結果が発生したものであれば足り、それ以上に、納税者において過少申告を行うことの認識を有していることまで必要とするものではないと解するのが相当である。

本件においては、前記のとおり、原告は、本件各事業年度において、原告名義の口座が2口(平成7年6月期においては3口)あるにもかかわらず、工事代金収入の一部を簿外口座であるE銀行個人名義口座、F銀行個人名義口座及びH銀行個人名義口座に振り込ませ、その全部又は一部を原告の公表帳簿に記載しなかったところ、原告は、確定申告に当たり、本来、工事代金収入の一部について原告の収入金額として申告しなければならないことを了知していたはずであるのに、前記争点1の(1)エ及び弁論の全趣旨によれば、確定申告書の作成を依頼したM税理士に対して工事代金収入の一部を隠匿し、その収入にかかる原始記録を提出せず、その収入金額を脱漏させて所得金額を過少にした内容虚偽の確定申告書を作成させたことが認められるから、原告は、税額計算の基礎となる所得の存在を一部隠ぺいし、その隠ぺいしたところに基づき納税申告書を提出したということができる。よって、本件各賦課決定処分に、その賦課要件を欠いた違法はないというべきである。

原告は、重加算税の賦課要件として、過少申告の事実の他、納税者において納付すべき税額について過少の申告を行うとの認識が存在すること、重加算税を賦課するに足りる可罰的違法性が存在することを要すると解すべきであるなどと主張するが、いずれも独自の見解であって、採用の限りではない。

3  結論

以上によれば、原告の請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奥田正昭 裁判官 鈴木秀行 裁判官 徳井真)

別表1

課税処分の経緯(法人税)

<省略>

別表2

所得金額の計算内訳

<省略>

別表3(1)

(一) 平成5年6月期 売上除外金額の内訳明細

<省略>

別表3(2)

(二) 平成6年6月期 売上除外金額の内訳明細

<省略>

別表3(3)

(三) 平成7年6月期 売上除外金額の内訳明細

<省略>

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