札幌地方裁判所 平成14年(ワ)5248号 判決 2003年11月26日
主文
1 被告は、原告X1に対し、 1714万7656円及びこれに対する2001年(平成13年)8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 被告は、原告X1に対し、本判決確定の日の属する月の翌月から360月にわたり、最初の200月は毎月18日限り3万1000円、201月目から360月目までは毎月18日限り3万円を支払え。
3 被告は、原告X2に対し、1494万7656円及びこれに対する2001年(平成13年)8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
4 被告は、原告X2に対し、本判決確定の日の属する月の翌月から360月にわたり、最初の200月は毎月18日限り3万1000円、201月目から360月目までは毎月18日限り3万円を支払え。
5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用はこれを5分し、その2を原告らの、その余を被告の負担とする。
7 この判決は第1項及び第3項に限り仮に執行することができる。
8 被告が1300万円の担保を供するときは、主文第1項についての仮執行を免れることができる。
9 被告が1100万円の担保を供するときは、主文第3項についての仮執行を免れることができる。
事実及び理由
第1 請求
原告らは、逸失利益の計算において、中間利息控除を年3パーセントの複利計算とする方法が採用される場合は、主位的請求による判決を求め、それが採用されない場合は、予備的請求による判決を求めた。
1 主位的請求
(1) 被告は、原告X1に対し、2870万2339円及びこれに対する2001年(平成13年)8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被告は、原告X1に対し、本判決確定の日の属する月の翌月から360回にわたり毎月18日限り6万円を支払え。
(3) 被告は、原告X2に対し、2477万2445円及びこれに対する2001年(平成13年)8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4) 被告は、原告X2に対し、本判決確定の日の属する月の翌月から360回にわたり毎月18日限り6万円を支払え。
2 予備的請求
(1) 被告は、原告X1に対し、944万4419円及びこれに対する2001年(平成13年)8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 被告は、原告X2に対し、541万4525円及びこれに対する2001年(平成13年)8月18日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(3) 被告は、原告らに対し、2014年(平成26年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(4) 被告は、原告らに対し、2015年(平成27年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(5) 被告は、原告らに対し、2016年(平成28年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(6) 被告は、原告らに対し、2017年(平成29年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(7) 被告は、原告らに対し、2018年(平成30年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(8) 被告は、原告らに対し、2019年(平成31年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(9) 被告は、原告らに対し、2020年(平成32年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(10) 被告は、原告らに対し、2021年(平成33年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(11) 被告は、原告らに対し、2022年(平成34年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(12) 被告は、原告らに対し、2023年(平成35年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(13) 被告は、原告らに対し、2024年(平成36年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(14) 被告は、原告らに対し、2025年(平成37年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(15) 被告は、原告らに対し、2026年(平成38年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(16) 被告は、原告らに対し、2027年(平成39年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(17) 被告は、原告らに対し、2028年(平成40年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(18) 被告は、原告らに対し、2029年(平成41年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(19) 被告は、原告らに対し、2030年(平成42年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(20) 被告は、原告らに対し、2031年(平成43年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(21) 被告は、原告らに対し、2032年(平成44年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(22) 被告は、原告らに対し、2033年(平成45年)8月18日が到来したときは、それぞれ206万7690円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(23) 被告は、原告らに対し、2033年(平成45年)8月18日が到来したときは、それぞれ2914万1908円及びこれに対する同月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、原告らが被告に対し、被告の過失により被告が被告運転の普通乗用自動車を歩道に乗り上げたうえ、歩道を自転車に乗車して走行していた原告らの子Aを跳ねて死亡させたとして、主位的には不法行為に基づき、予備的には自動車損害賠償法3条に基づき、損害賠償を求めた事案である。
1 前提となる事実(争いのない事実は証拠を掲げない。)
(1)(本件事故の発生)
次のとおりの事故(以下「本件事故」という。)が発生した。
<1> 発生時 2001年(平成13年)8月18日午後1時30分ころ
<2> 発生場所 北海道北広島市緑陽町1丁目緑葉公園前路上
<3> 被害者 A
<4> 加害者 被告
<5> 加害車両 被告運転の普通乗用自動車(札幌○○さ○○○)
<6> 事故態様
被告の過失により、被告運転の加害車両が歩道に乗り上げたうえ、被害者を跳ねた。
(2)(責任原因)
被告は、民法709条に基づく損害賠償責任を負う。
(3)(被害者の死亡と相続)
被害者は、本件事故により同日死亡し、原告らが被害者の損害賠償請求権を2分の1ずつ相続した。
(4)(損害の填補)
原告らは、本件事故による損害の填補として、自賠責保険会社から3000万7950円の支払を受けている。
2 争点(原告らの損害額)
(原告らの主位的請求の主張)
(1) 被害者の損害
<1> 逸失利益 7111万5840円
被害者は、○○○○年(平成○年)○月○日生まれで、事該当時9歳であった。
基礎収入(年収)を1998年(平成10年)度賃金センサスによる大学卒・男子・全年齢平均をもとに689万2300円とし、就労可能期間を大学卒業時22歳から67歳に至るまでの45年間とし、生活費控除率を40パーセント、中間利息控除率を3パーセントとして計算すると、
689万2300円×0.6×17.19693=7111万5840円
となる。
中間利息控除率については5パーセントとする実務慣行があるが、現在価値の算定をする場面における中間利息の利率は、理論的には当然実質金利であるべきところ、統計上、実質金利が5パーセントという高率になったことは過去に一度もない。したがって、5パーセントという実務慣行は実態から乖離している。原告らとしては、将来の損害については、控えめな認定をせざるを得ないとの点も考慮して、3パーセントが控除率として適切であると考える。
また、男児を含む男子単身者については、生活費控除率を50パーセントとする例が多いが、被害者が成長し、結婚し、家庭を築き、一家の支柱となる蓋然性が高いことは明らかであり、一家の支柱については30ないし40パーセントの生活費控除率であるから、生活費控除率として40パーセントを採用するべきである。
<2> 慰謝料 3000万円
被害者は事故当時9歳の小学4年生である。両親、姉、祖母とともに幸せな生活を送り、明るく正義感の強いクラスでも人気者の少年であった。これからの人生に対して無限の可能性を持ち、希望にあふれていた。今後の人生における全ての希望と可能性を被告の一方的な故意又は過失により奪われたものであり、その無念は到底金銭では評価できないが、過去の裁判例などを前提にしてあえて評価するとすれば3000万円が相当である。
<3> 物損 3万7000円(不法行為に基づく請求についてのみ)
本件事故により、自転車(2万3000円相当)、着衣(1万円相当)、靴(4000円相当)が損傷し、合計3万7000円の損害が生じた。
<4> 原告らは、上記<1>ないし<3>の合計1億0115万2840円の損害賠償請求権を2分の1ずつ相続した。
(2) 原告ら固有の損害
<1> 葬儀等費用 362万9894円
X1は、被害者の葬儀、法要を行った。その費用は、別表のとおり362万9894円である。
<2> 慰謝料 各660万円
原告らは、最愛の息子を失い、現在でも悲嘆に暮れる毎日を過ごし、その痛みから回復できない状況である。長女Bの受けたショックが大きく、原告X1は家族の側にいたいと考え、仕事を辞めた。本件については、事故態様が不明であり、加害者からの謝罪の言葉も、事故状況の説明もない。原告らにとっては自らの生命よりも大事な被害者を奪われたものであり、その精榊的苦痛を金銭に評価するのは不可能であるが、過去の裁判例などを前提にあえて評価すれば各660万円が相当である。
この慰謝料額は過去の裁判例と比較すると一見高額のように見えるが、原告らは慰謝料について定期金賠償を選択して30年間の均等分割支払を求めているため、現在価格は合計676万円(中間利息を5パーセントとすると考えた場合)であり、被害者の請求額としてはむしろ低額である。
(3) 損益相殺
自賠責保険会社を通じて損害のうち3000万7950円が填補された。
(4) 弁護士費用
原告X1につき450万円、原告X2につき420万円が相当である。
(5) 慰謝料部分についての定期金賠償の主張
原告らは、慰謝料部分について、今後30年間にわたって、毎月、均等分割によってAの月命日(毎月18日)に、6万円ずつ分割して支払う方法を求める。すなわち、原告両名に対し、それぞれ2160万円(Aから相続した1500万円及び固有の慰謝料660万円)を本判決確定の日の属する月の翌月から毎月18日限り6万円ずつ360回にわたって支払うことを求める。
不法行為による損害賠償について、民法は金銭賠償の原則をとっているが、支払方法については一時金方式にすべきか、定期金方式にすべきかは定めていない。問題は、損害の賠償方法として、損害の公平な填補という観点から、何が一番適切であり、妥当であるかということである。原告らが定期金賠償を求めているのは慰謝料であるから、原告らの精神的苦痛を慰謝するために最も適切・妥当な方法は何かという観点から考えるべきである。
まず、被害者を失った原告らの精神的苦痛は、日々発生しているから、この意味では随時支払う方法をとることが慰謝の措置として適切である。次に、原告らが本件事故によって尊い生命が失われた事実を加害者に忘れてほしくないと考え、30年間にわたって分割し、月命日に支払う方法が妥当だと考えて請求している以上、これが著しく不合理であるとか、加害者に加重な負担を強いる結果となり、損害の公平な填補という理念に反するなどの事情がない限り、被害者の希望が認められるべきである。この点、民事訴訟法が定期金賠償を予定している以上、これを原告らが選択することが不合理であるとはいえないし、また、生命を奪われた被害者の苦痛や残された遺族が毎日悲嘆に暮れて過ごしていることとの均衡からも、毎月送金を行う程度の手間が損害の公平な分担という理念を失する加重な負担であるとは考えられない。
原告らの請求額は単純に合計すると4320万円であるが、これを毎年144万円ずつ30年にわたって分割払いする場合の現在価値は、中間利息を年5パーセントとすると、概算で144万円×15.372=2213万5680円にすぎない。
なお、原告らの請求は、360回という回数に意味があるのであり、慰謝料の認定額が請求額よりも低い場合は、1回の支払額を減額してでも回数を360回とすべきであるとするものである。
(原告らの予備的請求の主張)
(1) 被害者の損害
<1> 逸失利益
基礎収入(年収)を1998年(平成10年)度賃金センサスによる大学卒・男子・全年齢平均をもとに689万2300円とし、就労可能期間を大学卒業時22歳から67歳に至るまでの45年間とし、生活費控除率を40パーセントとして計算し、予備的請求(3)ないし(23)のとおりの定期金賠償を求める。ただし、(23)については、2033年(平成45年)8月18日に残存期間の逸失利益について年5パーセントのライプニッツ方式で中間利息を控除して一括支払を求めるものである。
<2> 慰謝料 2600万円
<3> 物損 3万7000円(不法行為に基づく請求についてのみ)
本件事故により、自転車(2万3000円相当)、着衣(1万円相当)、靴(4000円相当)が損傷し、合計3万7000円の損害が生じた。
<4> 原告らは、上記<1>ないし<3>の損害賠償請求権を2分の1ずつ相続した。
(2) 原告ら固有の損害
<1> 葬儀等費用 362万9894円
X1は、被害者の葬儀、法要を行った。その費用は、別表のとおり362万9894円である。
<2> 慰謝料 各500万円
(3)損益相殺
自賠責保険会社を通じて損害のうち3000万7950円が填補された。
(4) 弁護士費用
原告X1につき280万円、原告X2につき240万円が相当である。
(5) 原告らは、上記(1)<1>以外の各損害額から上記(3)の損益相殺(各原告につき1500万3975円ずつ)をした残額を、予備的請求の趣旨(1)及び(2)として請求する。
(被告の主張)
(1) 逸失利益の損害額については争う。
基礎収入を大学卒業者の全年齢平均で算定しているが、死亡当時若年であり、不確かなかなり先の将来の進路について、大学を卒業するとの高度の蓋然性が認められるとはいいがたい。また、中間利息の控除について、少なくとも長期の労働能力喪失期間を前提に算定する場合には不確定な要素が多く、低金利の時代であるからとして控除率を3パーセントとして算定することは相当ではない。
(2) 慰謝料の相当額は争う。
(3) 物損については、自転車、着衣、靴が損傷したことは認めるが、損害額については知らない。
(4) 原告X1が被害者の葬儀・法要を行ったことは認めるが、その費用については知らない。加害者が負担すべき葬儀費用の相当性については争う。
(5) 原告らの固有の慰謝料が認められるとしても、その相当額については争う。
(6) 弁護士費用についての賠償額の相当性については争う。
(7) 慰謝料の定期金賠償について、原告らの請求方法が損害の公平な填補であるとの主張は争う。
第3 争点についての判断
1 逸失利益について
(1) 基礎年収について
原告らは、1998年(平成10年)度賃金センサスの大学卒・男子・全年齢平均である年収689万2300円を基礎に逸失利益を算定すべきである旨主張する。しかし、被害者は、本件事故による死亡当時、9歳の小学4年生であったのであり、大学を卒業する蓋然性については特段の立証もないから、賃金センサスの学歴計・男子・全年齢の年収を基礎収入として採用するのが相当である。確かに、原告らが主張するように、大学を卒業するという可能性など、被害者のあらゆる可能性を奪ってしまったのは本件事故を起こした被告ではあるが、このことは、死亡事故には必然的に生じる結果であり、蓋然性の証明を妨害するために被害者を死亡させたというわけではないのであるから、そのことのみで、大学を出て大学卒業者相応の収入を得たであろう蓋然性の証明なしに、大卒者の収入を基礎として採用することはできないというべきである。
被害者が死亡したのが2001年(平成13年)であることから、同年度の賃金センサスの学歴計・男子・全年齢の年収である565万9100円を基礎収入とし、18歳から67歳まで49年間所得を得たとして算定するのが相当である。
(2) 生活費控除率
原告らは、男児を含む男子単身者については、生活費控除率を50パーセントとする例が多いが、被害者が成長し、結婚し、家庭を築き、一家の支柱となる蓋然性が高いことは明らかであり、一家の支柱については30ないし40パーセントの生活費控除率であるから、生活費控除率として40パーセントを採用するべきである旨の主張をする。
しかし、結婚し、配偶者や子とともに生活するようになった者の生活費控除率が単身者よりも低く見積もられるのは、そのような立場になれば、自分だけのための消費を若干抑えてでも家族のために所得を回すことが多いこと、共同生活を始めれば、全体の生活費は上昇するが一人当たりの生活費は下降することが一般であること(同じ家に住むなら、一人暮らしから二人で住むようになれば、一人当たりの家賃は半額になるとか、家具、電化製品なども二倍になるわけではなく、一つのままでよいものも多いとか、食材も数人分買う方が割安になる場合があるなど。)からであると考えられる。本件のように、男児が死亡してその両親が逸失利益の損害賠償請求権を相続する場合には、単身者の生活費控除率を採用するのが合理的であるというべきであり、生活費控除率としては50パーセントを採用することとする。
(3) 中間利息控除率
<1> 原告らは、主位的請求として、逸失利益を一時金として支払うことを求めるとともに、逸失利益の算定として、中間利息控除の率を年3パーセントのライプニッツ方式で行うべきことを主張し、それが採用されない場合には、予備的請求に基づく判決を求めている。そこで、逸失利益の損害賠償請求を不法行為時の一時金で請求する場合の中間利息控除率として、年3パーセントのライプニッツ方式によるのが相当であるか否かについて判断する。
<2> まず、上記(1)及び(2)を前提として、中間利息控除率を3パーセントのライプニッツ方式にした場合、5パーセントのライプニッツ方式にした場合の損害賠償額は、次のとおりになる。
(ア) 3パーセントの場合
58年(9歳から67歳の間)に対応する年3パーセントのライプニッツ係数は27.33100549、9年(9歳から18歳)に対応するそれは7.78610892であるから(甲15)、その差である19.54489657を用いて、
565万9100円×O.5×19.54489657
=5530万3262円(小数点以下切捨て)と算定される。
(イ) 5パーセントの場合
58年に対応する年5パーセントのライプニッツ係数は18.81954170、9年に対応するそれは7.10782168であるから(甲15)、その差である11.71172002を用いて、
565万9100円×0.5×11.71172002
=3313万8897円(小数点以下切捨て)と算定される。
<3> 逸失利益の損害賠償は、被害者が生きていたら将来得られたであろう利益を填補するものであるから、被害者が各年齢になったら得られたであろう金額から生活費を控除した残額を、それが得られたであろう各時期に定期金として支払うという方式が正確性という点では最も優れているというべきである。日本の社会では、月給と年1回ないし2回の賞与というのが最も一般的であると思われるから、月ごと及び賞与時の定期金とするのが最も正確ということになろう。
しかし、そこまでするのは極めて煩瑣であるから、全年齢の平均収入から生活費控除をした残額を1年ごとに支払うというような方式も、一時金による方式よりも賠償額の正確性においては優れているというべきである。
<4> 他方、不法行為時の一時金で請求する場合の中間利息控除率としては、原告らも指摘するように、年5パーセントのライプニッツ方式を採用する裁判実務が一般的である。そして、民法404条の法定利息の利率が年5分であることが、その大きな根拠とされているようである。
しかし、中間利息の控除は、本来であれば将来にしか得られないであろう金員を現在得たとすれば、それをいくらに換算するのが公平であるかという問題であるのであり、民法上の法定利息の利率が年5分であることとは直接には関係のない問題である。損害賠償が、当事者間の損害の公平な分担によるべきことからすれば、中間利息の控除は、本来なら将来にならないと得られない金員を現在一時金で取得した場合に賠償を受けるべき被害者側が得る有利さの度合いと、一時金で先に支払わされることになる賠償者である加害側の不利益を勘案して決すべきである。
そして、加害者側が損害賠償の支払いを遅延した場合、被害者側はその制裁として年5分の割合による遅延損害金しか得られないのであるから、民法405条により遅延損害金の元本組入れを1年ごとに行うという手間を掛けない限りは、中間利息控除をせずに定期金賠償を求めた場合よりも低い額の賠償金しか得られないことになる。したがって、年5パーセントのライプニッツ方式による中間利息控除は、特段の事情がない限りは、被害者側の立場からすれば中間利息控除の最大値であるというべきである。他方、加害者側の立場からすれば、本来なら被害者側としても将来にしか得られないはずの金員を不法行為時の一時金として一括して支払わなければならないという負担を強いられることになる。死亡による逸失利益の損害賠償が通常少なくとも何千万円という金額になることからすれば、一般人がそのような金員を一括で調達するためのコストは相当に高く、年5パーセントの金利以上の負担になることが通常であろうと考えられる(それ以下の低金利で何千万円もの金員を調達できる人はむしろ稀であると常識的に考えられる。)。しかし、本件事故のような交通事故の場合、通常、全ての損害賠償は保険により行われるし、自動車を運転する者としては、人身事故による全ての損害が填補されるような保険に加入しておくべきことは、現在においては常識というべきことであり、仮にそのような保険に入っていないがために賠償金の調達に大きなコストを要することになったとしても、それは保険に加入していない加害者の責任であり、斟酌すべき事情とはいえない。したがって、少なくとも、自動車の運行による生命侵害のような場合については、加害者側の立場から考えても、年5パーセントの割合によるライプニッツ方式による中間利息控除は、中間利息控除の最大値であるというべきである。
このように、年5パーセントの割合のライプニッツ方式による中間利息控除が、原則として中間利息控除の最大値であると考えられることからすれば、市中金利が極めて低いとか、実質金利がマイナスであるといった事情が認められるような場合には、年5パーセントの割合のライプニッツ方式による中間利息控除が過大な中間利息控除になってしまうことが容易に推認されるというべきである。
ただし、中間利息控除は、必ずしも、金利による利殖での金員の増大のみを控除するものと考える必然性はないというべきである。平均的な一般人にとって通常の利殖の方法は、預金や国債の購入などであろうが、一時金として相当なまとまった額を取得した場合には、そのような金額を取得したということで、その人は、多かれ少なかれ、平均的な一般人とは違った経済的に有利な地位を取得したといえるからである。一般的に、最初に多くの財産を有している人は、それを有していない人との経済的な格差を広げていく傾向にあるということは、おそらく常識的な事柄であるというべきである。
その取得した一時金が数億円という単位ならば、その人は、一般的にいえば、金利による利殖以外のより有利な利殖をする機会を得る可能性が高くなったというべきである。それに対して、上記<2>で算定したような5000万円余り、あるいは3000万円余りという金額の場合は、利殖の方法としては、通常の一般人より若干有利な利殖法はあるとしても(大型の定期預金など)、それほど大きな利殖方法がある立場を有するに至ったとまではいえないと考えられる。
しかし、他方、一般人なら、自動車や家を買うのにローンを組んで割高の買い物をしなければならないところ、3000万円ないし5000万円のまとまった金員を取得した人は、その程度のものなら現金で割安で買えたり、ローンの部分を少なくしたりすることができる。これは、利殖という形では顕れないが、財産を余計に減らすことを防止できるという意味で、一時金を取得することにより得た経済的に有利な立場であるというべきである(なお、これは、生命侵害の場合、被害者は死亡して今後の生活をすることがなくなったために、被害者の逸失利益として遺族が相続して取得すべき賠償金が、遺族にとっては、通常の生活費を得るための所得とは別の形で入ってくることによる面が大きい。生命侵害ではなく、後遺障害により労働能力を100パーセント喪失した被害者の場合は、別の考慮が必要であろう。
ところで、甲第15号証によれば、1996年以降、預金金利が0.39パーセントからさらに年々下降傾向にあることが認められる(具体的な数字はともかく、近時、このような超低金利の状態が継続していることはほとんど公知の事実といっても差し支えないくらいである。)。
このような状態で、年5パーセントのライプニッツ方式で中間利息控除をすることは、いかにも過剰な中間利息の控除であると考えられる。
なお、金利が低いということは、高い金利負担に耐えるほどの収益を一般の事業者が上げることができないという経済状況を反映していると思われるが、このような状況が今後も数十年にわたり継続するかは予測が困難なことではある。しかし、将来は経済状況が相当によくなるという予測もまた困難なのであるから、蓋然性の高さということからすれば、特段の事情のない限り(現在の経済状況の原因からして、それが一時的なものであるとか、将来改善されることが相当程度の蓋然性をもっていえるような場合など)、現在の状況をもとに認定するのが最も妥当であるというべきである。
そして、本件の場合、中間利息を年3分のライプニッツ方式で控除しても、逸失利益の額としては、上記のとおり、5530万3262円にしかならない。この額は、一般人には不可能な、消費生活における出費の節約を可能にするには十分な額ではあるが、利殖における有利さとしてはそれほど大きなものを得させるほどの額ではないというべきである。そうすると、この一時金を取得することは、金利による利殖以外の有利さを被害者側にもたらすとしても、中間利息控除を年3パーセントのライプニッツ方式にして計算することは相当であると認められる。
ところで、上記<3>のとおり、逸失利益の賠償については、定期金賠償の方式によるのが正確性において優れているから、その方法によることを選択せず、あえて一時金による賠償を求める以上は、裁判実務の慣行通り、年5パーセントのライプニッツ方式による中間利息控除をされても仕方ないという考え方もあり得るところである。しかし、定期金賠償の場合、原告らも指摘するように、将来賠償義務者である加害者が死亡し相続放棄された場合や破産による免責を受けた場合、将来分の賠償金の回収ができなくなる危険を被害者側が負うことも考えられるから、定期金賠償の方法を選択しないことをもって、年5パーセントのライプニッツ方式で中間利息控除されることを甘受すべきであるということはできないというべきである。
したがって、中間利息控除の方法としては、原告らの主張するように、年3パーセントのライプニッツ方式を採用することとする(よって、本判決は、原告らの主位的請求についてすべきこととなる。)。そして、その額は、既に上記<2>(ア)で算定したとおり、5530万3262円である。
2 被害者の慰謝料について
後記5で認定するとおりの本件事故の態様、特に被告の一方的な過失により運転していた自動車を歩道に乗り上げて暴走させ、歩道上で被害者を跳ね飛ばして死亡させていること、被害者がわずか9歳であり、平均余命から考えて本来であればさらに70年くらいもの人生があったはずであること等を考慮すれば、被害者の慰謝料としては1800万円を認めるのが相当である。
3 物損について
本件事故により、被害者の自転車、着衣及び靴が損傷したことは当事者間に争いがない。
着衣及び靴については、甲第12号証及び弁論の全趣旨によれば、購入価格がそれぞれ1万円、4000円であると認められるが、着衣や靴に関しては、通常、既に使用されているものについては交換価値はほとんどないものと考えられるところ、本件について、これらに交換価値があったと認めるに足りる証拠はない。また、被害者が死亡していることから、被害者のために買い換える費用としての損害も観念できない。他方、自転車については、甲第12号証及び弁論の全趣旨によれば、この購入価格が2万3000円であると認められるところ、これも使用により急激に交換価値が減少すると考えられるが、残存価値を認定するのに的確な証拠がないから、これを認めることはできない。
4 葬儀等費用について
甲第12号証によれば、原告X1が、別表のとおり、葬儀費用として合計267万2393円、四十九日法要費用として合計26万5650円、百日法要費用として2万円、文書通信費(会葬法要礼状代)として1万5414円、仏壇購入費用として54万2000円、交通費として9200円、四十九日までの供花代として7万7350円、供物代として2887円、初七日から三十五日の読経料として2万5000円の合計362万9894円を支出していることが認められる。
葬儀等の費用については、実際に支出された額のうち、150万円程度を加害者に賠償させる例が多いと考えられるが、9歳という幼い子に先立たれた親の心情からすれば、葬儀等に相当高額の費用を支出しようとするのは当然のこととも思われることをも考慮し、200万円を被告に賠償させるのが相当であると判断する。
5 原告らの慰謝料
(1) 慰謝料の額を算定する前提として、まず、本件事故の態様について検討する。
本件事故については、被告が運転していた自動車が歩道に乗り上げたにもかかわらずそのまま歩道上を進行し、被害者を含めて4人の幼い子らを跳ね飛ばし、被害者を死亡させたものであることは当事者間に争いがない。
被告は、本件事故がどのようにして起こったのかについては思い出せないとしつつ、貧血で気を失ったか、アクセルとブレーキを踏み間違えたか、いずれの可能性もあると思う旨の供述をしている(被告本人4、5項)。そして、被告は、本件事故現場手前のカーブに差し掛かり、ハンドルを切ったとき、なんだか急に目の前がまぶしいような感じがし、目がチカチカするような感じになり、次の瞬間目の前が真っ暗になった、次に被告の視界が戻ったのはドンという大きな音がしたときである旨の陳述をしている(乙8の7項)。そして、目の前が真っ暗になっていた間の記憶が途絶えている旨の陳述をする(乙8の11項)。
しかし、甲第11号証の5及び甲第25号証によれば、被告が自動車を歩道上に乗り上げた後、進行方向の外壁との衝突を避けるためにハンドルを右方向に160度ないし200度切るという操作をして歩道上を直進した後、ハンドルを約90度右方向に切る操作をして水銀灯カバーに衝突したものと認められる。
そして、このような状況からすると、被告は、これらの一連の操作を、意識的に行ったと推認できるのであり、その間、意識を失っていたということはないと認めるのが相当である。
(2) 次に本件事故後の被告の原告らに対する対応について検討する。後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。
被告は、本件事故後、2001年(平成13年)の夏に、1度だけ原告らのところに行ったが、その後は、電話をすることも手紙を書くこともしなかった(被告本人57項)。
被告は、重軽傷を負わせた他の3人のところには、本件事故の翌日に1回謝罪に行った。また、刑事裁判の第一審の判決の後、それらの3人に対しては、「本当に申し訳けありませんでした」、「少しでも早く子供さんの体が治ること、子供さんと御両親様の心のきずがいやされることを心から願っています」などと記載された同じ文面の謝罪の手紙を書いたが、原告らには手紙を書いていない(甲24の33、被告本人58ないし60項)。
被告は、原告らにだけ手紙を出していない理由として、民事の決着がついたら、手紙を書くか、何らかの方法で謝罪をしたいと思う、民事の裁判になっているからというのが、他の親御さんには手紙を出して、原告には出さない理由だととってもらって結構である旨の供述をしている(被告本人60項)。
(3) 被害者の両親である原告らの立場からすれば、被告は、自動車を外壁に衝突させてでも停止して、歩道上の歩行者や自転車に自車を衝突させないようにすべきであったと思うのはもっともなところである。しかし、自車が歩道に乗り上げて外壁に向かって進むという事態になってしまった以上は、自車が外壁に衝突しないようにハンドル操作をするのは、むしろ防衛本能ないし反射に基づく行為というべきであると考えられ、そのような行為をしたことをもって、被告が、歩道上の歩行者や自転車に衝突することを意に介さないような人命軽視の態度を示したとまでいうことはできない。被告が責められるべきは、歩道に乗り上げないようにカーブで十分に減速すべきところ、それを怠ったことと、歩道に乗り上げてからブレーキを踏まずに進行を続けたことにあると考えられる。
そして、上記認定のとおりの本件事故の態様及び事故後の被告の原告らに対する対応に加え、原告X1及び原告X2の供述によれば、本件事故による被害者の死亡で、原告らはもとより、被害者の姉である原告らの娘も精神的に大きな苦痛を受け、本件事故から2年を経過しても精神的苦痛が癒されてはいないこと、被害者側に何ら落ち度がなく、加害者側の落ち度が明白であるにもかかわらず、加害者側から十分な謝罪等がないことなどにより、精神的な苦痛が増大させられていることが認められる。
(4) 以上のような諸事情からすれば、原告ら固有の慰謝料として、各200万円(合計400万円)を認めるのが相当であると判断する。
なお、被害者の慰謝料と原告らの慰謝料の総額が2200万円であるというのは、通常の子供の死亡の場合の慰謝料の額と同程度であり、一見すると、本件事故のように車が歩道を暴走するような事故にはふさわしくないかのようである。しかし、従来、一般に、一家の支柱の死亡の場合の慰謝料が一家の支柱以外の配偶者や子供の死亡の場合の慰謝料よりも高く認定されることが多かったことからも、現在の裁判実務において、死亡慰謝料には所得保障の機能もあると考えるのが相当である。そして、従来、逸失利益の算定において年5パーセントのライプニッツ方式で中間利息控除する裁判実務が主流であり、それを前提に認められていた死亡慰謝料と同程度の慰謝料額を、逸失利益の算定につき年3パーセントのライプニッツ方式で算定するにもかかわらず認めるということは、死亡慰謝料の額を相当高額に認めたのと同様のことになるというべきである。
(5) 原告らは、被害者の慰謝料及び原告ら固有の慰謝料につき、定期金の請求をしているから、被告は、支払期が遅くなり、総額4320万円でも決して高額な請求ではない旨の主張をする。
しかし、不法行為時の現在価値として、総額2200万円であると評価する賠償金につき、原告らの意向により定期金にするからといって、賠償額の総額を増加することはできない。そのようなことを認めるのは、原告らが被告に対し、利息を付けて一方的に金員を貸し付けるのを認めるのと同様の結果になるからである。
原告らは、精神的苦痛は日々発生するのであるから、定期金賠償にする合理性がある旨の主張をする。
しかし、まず、死亡した被害者の慰謝料については、死亡時に発生してそれを原告らが相続するという法律構成を取るのであるから、将来に向かって日々発生していくという考え方は採用できない。
また、原告らの固有の慰謝料については、原告らの悲しみが被害者の死亡後も消えずに日々発生しているというのは理解できるところである。しかし、死亡後、どの程度の期間、どの程度の精神的苦痛が持続するかということを認定することは極めて困難なことである。原告らも、死亡を知ったときの精神的苦痛を金銭に換算するといくらで、その翌月の苦痛がいくらである、というような主張、立証をしているわけではない。確かに、我が子を失った親の悲しみは、相当長期間継続することは一般的にも言えることであると考えられるが、やはり、通常は、その継続する悲しみの中でも、我が子の死という結果が生じたときの衝撃が劇的なまでに大きいと思われるところである(死亡の直後には茫然自失となり、その後に大きな悲しみに襲われるということもよくあることのようであるが、それにしても、10年後、20年後の悲しみに比べれば、死の直後ないしそれほど長い時間が経っていないころの悲しみが格段に大きいことが通常であると考えられる。そして、原告X1及び原告X2の供述によれば、本件事故後2年以上を経過した時点において、原告らが被害者の死による悲しみが癒されていないことが窺われるが、10年後、20年後まで被害者の死の直後と同様の大きさの精神的苦痛が継続すると認めるに足りる証拠はない。)。そして、そういうことも含めて、慰謝料というのは厳密な算定をすることなく、裁判官の裁量で一定の額を決めるのが相当なのであり、不法行為時の一時金として200万円と認めるのなら、分割でもっと大きい額を認めてもよいではないかといった徒らに複雑な議論をすべきような性質のものではないと判断する。
なお、定期金賠償につき、毎回の支払額が1円単位の細かい数字の額になるなどするのほかえって煩瑣であるところ、原告らが定期金賠償を求める趣旨からすれば、1回ごとの金額が同額に限りなく近い額である必要はないと考えられることから、主文第2項及び第4項のとおりの各回の金額とした。
6 弁護士費用
以上によれば、被告が原告らに賠償すべき損害額は、被害者の損害としては、逸失利益5530万3262円、慰謝料1800万円の合計7330万3262円であり、これを原告らがそれぞれ2分の1である3665万1631円ずつ相続することになる。また、原告ら固有の損害としては、それぞれ200万円の慰謝料があるほか、原告X1に葬儀等費用分の200万円が認められる。したがって、弁護士費用分を除いては、原告X1の損害賠償請求権が4065万1631円、原告X2の損害賠償請求権が3865万1631円となるところ、損害の填補が合計3000万7950円あり、原告らがそれぞれ1500万3975円ずつの填補を受けているから、これを控除した後の損害賠償請求権は、原告X1が2564万7656円、原告X2が2364万7656円となる。
この認容額及び本件事案の難易度などを考慮すると、被告が賠償すべき弁護士費用は、原告X1につき250万円、原告X2につき230万円とするのが相当である。
7 以上によれば、原告らの請求は、主文第1項ないし第4項の限度では理由があるから認容し、その余の請求は理由がないから棄却し、訴訟費用につき民事訴訟法61条、64条本文、65条1項本文を、仮執行の宣言につき同法259条1項を、仮執行の免脱宣言につき同法259条3項をそれぞれ適用して、主文のとおり判決する。
別表 葬儀費用等の実費
<省略>