札幌地方裁判所 昭和40年(わ)569号 1965年9月20日
被告人 鈴木勇吉
昭一三・九・二〇生 無職
主文
被告人を懲役二年に処する。
未決勾留日数中三〇日を右刑に算入する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、
第一 昭和四〇年七月二一日午前五時ごろ、札幌市菊水西町三丁目高橋長蔵方において同人所有の冷蔵庫付属冷凍用銅線パイプ約四五メートル(時価約四〇、〇〇〇円)を窃取し、
第二 前同日時ごろ、同市菊水西町四丁目清水常男方物置横道路上において同人所有の自転車一台(時価約五、〇〇〇円)を窃取し、
第三 同年同月二五日午前一〇時三〇分ごろ、窃盗の目的で札幌市北一二条西二三丁目、札幌市中央卸売市場付属売店(床面積約五二〇平方メートル木造モルタル塗平家建て)の共同便所天井一ヶ所、みのり食堂天井二ヶ所、越後谷商店天井一ヶ所、青果物買出人協同組合天井二ヶ所計六ヶ所をこわれたペンチの先で順次突破り、それぞれ長径五〇センチメートル、短径三〇センチメートル内外の不整円形の穴をあけて渡会久治管理にかかる札幌市所有の建造物を損壊するとともに、右共同便所の天井にあけた穴から天井裏を通つて、同売店内に侵入し、同売店内のみのり食堂こと北田忠利方において同人所有の現金五一〇円ほか六点(時価合計約一、三七〇円)および青果物買出人協同組合倉庫において、品川昇管理にかかる同組合所有のちり紙一束ほか一点(時価合計約二六〇円)をそれぞれ窃取し
たものである。
(証拠の標目)(略)
(累犯前科)
被告人は(1)昭和三六年三月一四日大阪簡易裁判所で窃盗罪により懲役一年(四年間執行猶予、昭和三七年一月三一日右猶予取消)に処せられ (2)昭和三六年一二月二七日釧路簡易裁判所で窃盗罪により懲役二年(未決勾留日数三〇日算入)に処せられ、(1)の刑は昭和三九年五月一〇日に、(2)の刑は同年一一月二六日にそれぞれその執行を受け終つたものであつて右事実は検察事務官作成の前科調書によつてこれを認める。
(法令の適用)
被告人の判示第一、第二の所為はいずれも刑法二三五条に、判示第三の天井に穴をあけた所為は同法二六〇条前段に、売店に侵入した所為は同法一三〇条、罰金等臨時措置法三条一項一号に、金品窃取の各所為はいずれも刑法二三五条にそれぞれ該当するが判示第三の建造物損壊と住居侵入とは一個の行為で二個の罪名に触れる場合であり、住居侵入と各窃盗との間にはそれぞれ手段結果の関係があるので、同法五四条一項前段、後段、一〇条により結局一罪として犯情の最も重い北田忠利方における窃盗罪の刑で処断することとし、右の各罪は前記(1)(2)の各前科との関係でそれぞれ再犯であるから同法五六条一項、五七条によりそれぞれ累犯の加重をする。
そして以上三罪は刑法四五条前段の併合罪であるから同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第一の罪の刑に同法一四条の制限に従い法定の加重した刑期の範囲内で被告人を懲役二年に処し、同法二一条を適用して未決勾留日数のうち三〇日を右の刑に算入することとし、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項但書により被告人に負担させないこととする。
よつて主文のとおり判決する。
(裁判官 萩原寿雄)