札幌地方裁判所 昭和44年(ソ)2号 決定
以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。
〔決定理由〕そこで、判断すると、一件記録によれば、札幌簡易裁判所が相手方を債権者とし、抗告人を債務者とする仮処分申請事件につき、「抗告人は相手方に対し本件店舗を仮に明渡せ。」との趣旨の決定をなしたところ、抗告人はこれに対し異議を申立てるとともに、それに伴い同裁判所に対し右仮処分の執行処分取消の申立をなしたが、右申立を却下されたので、これを不服として本件即時抗告に及んだものであることが認められる。ところで、かかる決定に対しては裁判所が申立を不適法として却下した場合を除いては、それが応急的措置であることにかんがみ、不服を申立てることができないものと解するのが相当である。しかして本件のような権利の終局的実現をもたらすような仮処分決定について考えると、一般的にはそれが執行されることによつて債務者に甚大な損害を与えることが多いから、かかる決定を受けた債務者は異議申立をなすとともに適法にその執行処分の取消を申立てることが許されるものと解すべく、この申立に対し裁判が実質的な審理をした結果、当該仮処分決定の執行により債務者が将来回復しがたい損害を蒙るおそれがあるものと判断した場合は右申立が理由あるものとして認容され、然らざる場合は理由なきものとして却下されるのである。これを本件についてみれば、原審は前記仮処分決定の執行によつて生ずべき債務者である抗告人の損害の有無につき実質的審理をなした上、その申立を却下したものであるから、右却下決定に対してはもはや不服申立をすることは許されない。(松野嘉貞 鈴木康之 岩垂正起)