大判例

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札幌地方裁判所 昭和63年(ワ)1044号 判決

(抄録)

「二 以上の事実に基づいて検討する。

1 以上の認定事実によれば、次の事実を推認することができる。

YのXに対する本件リース契約の申込の意思表示と目すべきものは、Eを介してXに届けられたリース契約書だけである。

Yが、Xに対して、Eを介さずに直接的にリース契約の申込の意思表示をしたことはない。

XもYも、リース契約が締結され、特別の事故が生じることなく契約が円滑に履行されている場合には、YがXの営業所を訪れてリース料を持参払するなどというような事態が生じることは、全く予想していない。口座振替がリース料の支払方法として選択された場合には、口座振替の方法によるYからXに対するリース料の自動的な支払だけが、契約期間中のXとYの社会的接点となる。

リース料の支払方法についての特別の合意がないまま、XとYが本件のようなリース契約を締結することは、通常考えられない。

リース契約書の口座番号欄が空白であれば、リース料の支払方法についてのXY間の特別な合意が形成される余地はない。

リース契約書の口座番号欄が空白であれば、金融機関との間で口座振替のために必要な手続を進めることができず、口座振替によるリース料の支払という方法を実行することができない。

2 右1の事実を考慮して、リース契約書に表示されたところを社会通念に照らして客観的に解釈すると、リース料支払方法という重要な点につき口座振替という方法が選択されながらYの支払口座の口座番号の記載を欠くという抜け落ちがある点からして、右リース契約書は、Yの本件リース契約の申込意思の表現としては社会通念上不完全なものであるというべきである。

3 そうすると、Yは、Xに対して、本件リース契約の申込の意思表示をしていないことになる。

4 他に本件リース契約についての合意の成立を窺わせるに足る証拠はない。

5 したがって、本件リース契約の成立が認められないから、Xの請求は理由がないことに帰する。」

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