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札幌家庭裁判所 平成15年(少ロ)1007号 決定 2003年8月28日

少年 M・W(昭和63.1.7生)

主文

少年に対し、平成15年8月22日に事件が札幌家庭裁判所に送致されたことにより、家庭裁判所がしたとみなされる観護措置を取り消す。

理由

第1申立ての趣旨及び理由

付添人○○作成の異議申立書記載のとおりであるから、これを引用する。

第2当裁判所の判断

1  本件は、少年が、共犯少年3人と共謀して、工具を用いて自動販売機から現金及び清涼飲料水を窃取しようとしたが目的を遂げなかった事案である。

2  そこで、観護措置の必要性について検討するに、本件の犯行態様は芳しくない上、少年は、当初、捜査機関に対し共犯少年をかばう内容の供述をしていたが、その後、共犯関係についても自白するに至っており、本件の全容が明らかになっていること、本件非行が未遂に終わっていること、少年は、これまで非行歴や補導歴はなく、高校にもほとんど欠席することなく通っており、生活態度にも大きな問題は認められないこと、少年の家庭環境は安定しており、両親共に健在であり、少年の身元引受け及び今後の手続への出頭を誓約しているなど、両親の監督も期待できることのほか、少年が、既に相当長期間の身柄拘束を受け、反省の念を示していること、身柄拘束の継続によって少年が被る可能性のある不利益の程度等を考慮すると、少年が罪証を隠滅するおそれがあるとまではいえず、逃亡のおそれも認められない上、少年の身柄を拘束してまでその心身を鑑別する必要があるとは認められない。また、その他に観護措置の必要性を基礎づける事由も見当たらない。

3  よって、本件異議申立ては理由があるから、少年法17条の2第4項、33条2項により、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 宮森輝雄 裁判官 湯川浩昭 清藤健一)

観護状<省略>

(別紙)被疑事実の要旨

被疑少年は、氏名不詳の男性2名と共謀の上、平成15年8月16日午前2時10分ころ、札幌市○○区○○×××番地株式会社○○△△センター北側敷地内において、同所に設置の□□(52歳)管理にかかる清涼飲料水用自動販売機の扉及びコイン投入口等をドライバーを用いてこじ開け、同販売機から、現金及び清涼飲料水を窃取しようとしたが、警察官に発見されたため、その目的を遂げなかったものである。

以上

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