札幌家庭裁判所 昭和42年(少ハ)6号 決定 1968年7月22日
本人 R・Rゑ(昭二三・六・二八生)
主文
本件申請を却下する。
理由
本件申請の要旨は、次のとおりである。
「本人は昭和四一年四月五日当裁判所において中等少年院に送致され、紫明女子学院に入院したものであるが、昭和四二年四月七日仮退院し、現に札幌保護観察所の保護観察中である。しかし、本人は、昭和四二年七月○○日、同年八月○○日および同年九月○○日ごろ再三にわたり家出し、その間旅館を泊り歩いたり、○辺○○雄(源○田一家○ま○との舎弟)と同棲生活を続け、飲酒するなど行状が不良である。これらの行状は、一般遵守事項および特別遵守事項に違背しているものであり、現状において保護観察による改善、更生は期待できない。したがつて、本人を再度少年院に戻して矯正教育を施す必要があるので、戻し収容申請をする。」
よつて、当裁判所は、昭和四二年一一月二日午前一〇時審判を開き、審理の結果本人を札幌家庭裁判所調査官田辺亨の試験観察に付したのであるが、本人はその後所在不明となり、今日に至つている。その間、本人は昭和四三年六月二八日をもつて二〇歳に達し、それと同時に仮退院期間も終了した。戻し収容決定は、決定時仮退院中の者に対してなすことができるものと解すべきであるから、現在仮退院期間の終了した本人については、この要件を欠くものといわなければならない。
よつて、本件申請は、理由がないことに帰するから、これを却下することとし、主文のとおり決定する。
(裁判官 猪瀬慎一郎)