札幌簡易裁判所 平成20年(サ)5号 決定 2008年1月21日
●●●
申立人(原告)
●●●
訴訟代理人弁護士
山本晋
相手方(被告)
株式会社キャスコ
上記当事者間の当庁平成19年(ハ)第8566号不当利得金返還等請求事件について,申立人(原告)から文書提出命令の申立があったので,相手方(被告)の意見を聴いたうえ,次のとおり決定する。
主文
相手方(被告)に対し,申立人(原告)と相手方(被告)間の金銭消費貸借契約に基づく債権に関する原告と債務者等その他の者との交渉の経過の記録(平成6年2月8日から最終取引日までの分)を,平成20年2月15日までに当裁判所に提出することを命ずる。
理由
1 申立人(原告)は,申立人(原告)と相手方(被告)との間で,平成6年2月8日から平成16年11月8日まで行ってきた金銭消費貸借取引は,前記期間中に取引の中断はあるが,中断の前後を通じて一体として行われていたとして,この事実を立証するために,民事訴訟法第220条第3号又は4号に基づき,相手方(被告)が所持する主文記載の文書の提出命令を求めた。
2 本件記録によれば,相手方(被告)が金融業を営む会社であることが認められ,平成6年2月8日から平成16年11月8日までの間に当事者間で金銭消費貸借取引が行われていたことは,当事者間に争いがない。平成19年内閣府令第79号による改正前の貸金業の規制等に関する法律施行規則第6条第1項第6号によれば,貸金業者は,平成18年法律第115号による改正前の貸金業の規制等に関する法律(以下「貸金業法」という。)第19条に定める帳簿として,「貸付けの契約に基づく債権に関する債務者等その他の者との交渉の経過の記録」を備え付けることが義務づけられており,相手方(被告)は,平成6年2月8日から平成16年11月8日までの間の申立人(原告)と相手方(被告)との間の交渉の経過の記録を作成していたと推認できる。
3 相手方(被告)は,文書提出命令の申立に対して,申立にかかる文書を「取引履歴」と解し,既に提出している旨述べるとともに,相手方(被告)が申立人(原告)に対し,架電,勧誘した事実を確認できないと述べるのみで,本件申立にかかる文書について意見を述べない。
4 以上のとおり,相手方(被告)は,主文記載の文書を所持しており,同文書は,申立人(原告)と相手方(被告)との間の法律関係について作成されたものであるから,申立人の本件申立は理由がある。
(裁判官 島田紘)