札幌簡易裁判所 昭和51年(ろ)2号 判決 1976年10月18日
主文
被告人を罰金四万円に処する。
右罰金を完納することができないときは金一、〇〇〇円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
訴訟費用は被告人の負担とする。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、自動車運転の業務に従事するものであるが、昭和五〇年一〇月三一日午後一一時五五分ころ、普通乗用自動車を運転し、札幌市中央区南四条西四丁目先の交通整理の行なわれている交差点を、東方面から北方面に向かい右折しようとしたが、当時西方面から東方面に向かい直進する加藤勝(当二一年)運転の対進車両を、西方面約五三メートルの地点に認めたのであるから、このような場合、自動車運転者としては、同車の動静に注視し、その進路を妨害しないようにして事故の発生を未然に防止すべき業務上の注意義務があるのにこれを怠り、対進する前記加藤勝運転の車両の動静を注視せず、同車よりも先に交差点を右折できるものと軽信して、右折進行した過失により、前記加藤運転の普通乗用自動車左前部を自車左後部に衝突させ、よつてその衝撃により自車同乗者長谷見澄子(当時三三年)に加療約四ケ月間を要する頭部外傷頸椎捻挫の傷害を負わせたものである。
(証拠の標目)(省略)
(法令の適用)
被告人の判示所為は、刑法二一一条前段、罰金等臨時措置法三条一項一号に該当するので、所定刑中罰金刑を選択し、その所定金額の範囲内で被告人を罰金四万円に処し、右罰金を完納することができないときは刑法一八条により金一、〇〇〇円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置することとし、訴訟費用は刑事訴訟法一八一条一項本文によりこれを全部被告人に負担させることとする。