札幌高等裁判所 平成元年(行コ)3号 判決 1990年11月29日
札幌市中央区南二条西一丁目五番地
控訴人
丸大大成商事株式会社
右代表者代表取締役
大野吉成
右訴訟代理人弁護士
馬見州一
同
越後雅裕
札幌市中央区大通西一〇丁目
被控訴人
札幌中税務署長 塩出捷明
右指定代理人
大沼洋一
同
小林勝敏
同
佐藤隆樹
同
溝田幸一
同
高橋徳友
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 当事者の求めた裁判
1 控訴の趣旨
(一) 原判決を取消す。
(二) 被控訴人が昭和五七年五月三一日付でなした控訴人の昭和五四年九月一日から昭和五五年八月三一日までの事業年度(以下「昭和五五年八月期」という。その他の事業年度も同様とする。)の法人税の更正処分及び過少申告加算税の賦課決定を取消す。
(三) 被控訴人が昭和五七年五月三一日付でなした控訴人の昭和五六年八月期の法人税の更正処分のうち所得金額七八二万九九七〇円及び納付すべき税額一〇九万円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定を取消す。
(四) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
2 控訴の趣旨に対する答弁
主文同旨
二 当事者の主張及び証拠関係
当事者双方の主張及び証拠関係は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決事実摘示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決事実摘示中の「委託期間」の前に「本件」を加える。
2 原判決二枚目表末行の「加算税」の次に「の」を加え、同裏二行目の「適法」から同四行目末尾までを「被控訴人に異議申立てをしたが棄却されたため、さらに国税不服審判所長に審査請求をしたところ、国税不服審判所長は昭和六〇年六月二四日付で審査請求を棄却する旨の裁決をなした。」に改める。
3 同三枚目表九行目の「ともに」を「の間において」に改め、同一一行目の「別紙」の前に「大要」を、同一二行目の「とおり」の次に「の」を、同行の「という。」の次に「なお、本件契約第四条に定める期間を、以下「本件委託期間」という。」をそれぞれ加え、同末行の「の負債総額」を「が日本都市(株)に対して負担すべき債務限度額」に、同裏一行目の「されている」を「された」に、同行の「委託」を「受託」にそれぞれ改め、同四枚目表八行目の「収入」の前に「賃料等の」を加え、同一一行目の「操作」を「処理」に、同裏三、四行目の「調達した」を「立て替えた」にそれぞれ改め、同五枚目表一二行目の「とともに、」の次に「本件ビルの賃借人である」を加え、同裏一二行目及び同六枚目裏一二行目の「委託業務」を「受託業務」にそれぞれ改める。
4 同七枚目表六行目の「期間」の次に「中」を、同八枚目表一二行目の「成瀬町の」の次に「土地売買に関して、関係」をそれぞれ加え、同一三行目の「を帳簿上捻出するため」を「について、これを表面化できないため、帳簿上」に、同末行の「と確認」を「ことを改めて明確に」にそれぞれ改める。
5 同八枚目裏一四行目の「本件」を「原審」に改める。
6 同二〇枚目表四行目の「日本都市」から同一〇行目末尾までを「日本都市(株)は、適法の範囲内で本件ビル及び付属施設の減価償却を行い、これによって生ずる公租公課は自らの責任において負担することとし、右一〇条の負担限度額に影響を及ぼさせない。日本都市(株)は、経営上の収支を控訴人の名において行うが、地代及び本件ビルの経営に伴って生ずる公租公課等の支払を遅滞させない。控訴人は、必要に応じていつでも日本都市(株)の行う本件ビル経営に関する諸帳簿を検査することができる。日本都市(株)は、半数を超えない限度で控訴人に対し取締役を派遣することができる。」に改める。
理由
一 当裁判所は、控訴人の本訴請求は理由がないから棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加、訂正、削除するほか、原判決理由説示のとおりであるから、これを引用する。
1 原判決理由説示中の「委託期間」の前に「本件」を、「証人」の前に「原審」をそれぞれ加え、「原告代表者本人尋問の結果」を「原審における控訴人代表者尋問の結果」に改める。
2 原判決九枚目表八行目の「債務額」を「控訴人が負担すべき限度額」に改め、同一三行目の「ところ、」の次に「右争いのない事実に、」を、同裏三行目の「により」の次に「真正に成立したものと認められる甲第一八号証、弁論の全趣旨により」を、同六行目の「二七号証、」の次に「原審証人谷奥一郎の証言により真正に成立したものと認められる乙第一九号証、同証人志毛井光の証言により真正に成立したものと認められる乙第二二号証、」を、同七行目の「紀夫」の次に「(採用しない部分を除く)」を、同八行目の「認められ、」の次に「原審証人干場紀夫の証言及び原審における控訴人代表者尋問の結果中この認定に反する部分は採用できず、他に」をそれぞれ加える。
3 同九枚目裏一三行目の「をつけ、」を「をつけたうえ、本件ビル建築に着手するなど」に、同末行の「委託」を「受託」に、同行の「開始し、原告の谷奥顧問」を「開始した。この間控訴人は、顧問税理士である谷奥」にそれぞれ改め、同一〇枚目表二行目の「原告の」を削り、同行の「作成した。」を「作成したが、」に、同一一行目の「がなされた」を「をした」にそれぞれ改め、同一二行目の「本件ビル」の次に「経営」を加え、同裏一行目の「ある」を「あった」に、同一〇行目の「委託」を「受託」に、同一〇、一一行目の「原告に用立てた金額」を「控訴人のために立て替えた費用」にそれぞれ改め、同一二行目の「処理し、」の次に「他方、」を、同末行の「していた」の次に「(このような決算に控訴人代表者あるいは控訴人の担当者から異議が述べられたことはなかった。)」を加え、同一一枚目表四行目の「課税対象」から同八行目の「であった。」までを「本件契約六条により委託費用として日本都市(株)に支払われるべきものであるから(また他面、これにより控訴人は右利益相当額に対する課税を免れることができたものである。)、」に改め、同一三行目の「認し、」の次に「本件委託期間中、毎年」を加える。
4 同一二枚目表一行目の「その和解で」を「本件和解において」に、同二行目の「4(二)」を「4(一)、(二)」に、同三、四行目の「が原告に支払う一億七六三〇万円」を「は控訴人に対し一億七六三〇万円を支払うこととされたが、この金額」に、同一一、一二行目の「二億円の債務」を「二億円を支払うことになるとともに」に、同末行の「委託」を「受託」に、同裏一一行目の「なる。」を「なった。そして、」に、同行の「右」を「本件」に、同一二行目の「している」を「した」にそれぞれ改め、同一三行目の「その」を削る。
5 同一三枚目表三行目の「すなわち」を「以上認定の事実によれば」に改め、同六行目の「その」を削り、同九行目の「のである」を「と認めるのが相当である」に改め、同一〇行目の「ところで、」の次に「控訴人が主張するように」を加え、同行の「負担する」を「日本都市(株)に対する」に改め、同末行の「という」を削り、同裏四行目の「できない」を「相当でない」に改め、同一〇行目の「妥当」の前に「公正」を加え、同末行から同一四枚目裏六行目までを次のとおり改める。
「そして、本件勘定による控訴人の日本都市(株)に対する右債務は、本件和解成立により日本都市(株)によって支払義務が免除されたものと認めるのが相当である。すなわち、前記認定のとおり、控訴人は、本件委託期間終了時点において日本都市(株)との間で本件ビル入居者から収受した保証金等の問題をめぐって紛議が生じたため、本件ビルについて円滑な経営引継を受けることはできなかったが、昭和五四年一二月三一日、日本都市(株)との間で右保証金等の問題を含め本件委託期間中に発生したすべての債権債務を対象としたうえ、控訴人としては本件契約一〇条及びその後変更された合意に基づく負担限度額三億二七七二万一〇〇〇円の債務のみを負担し、その余の債務を負担しないことを確認することなどを内容とする本件和解を成立させたものであり、またこの結果、日本都市(株)においては本件和解の清算条項(債権債務不存在確認条項)に基づき本件勘定が消滅したとして、その決算でこれを雑損失として経理処理しているものであって、このような事実に照らせば、控訴人は本件和解により本件勘定による日本都市(株)に対する債務の免除をうけたものというべきである。」
6 同一六枚目裏三行目の末尾に「また、本件契約一三条に『日本都市(株)は本件ビル経営上の収支を控訴人の名において行う』とあるのは本件ビル経営上の収支の帰属主体が控訴人であることを示すものというべきである。」を加え、同一二、一三行目の「前記説示のとおり、」を削り、同一七枚目表一行目、四行目、一一、一二行目の「約定債務額」を「負担限度額」に、同一〇行目の「公租」を「税」にそれぞれ改め、同裏一三行目の「これら」の次に「の」を加える。
7 同一八枚目表二行目の次に行を改めて次のとおり加える。
「三 さらに、控訴人は、本件勘定が存在したとしても、これによる債務は本件和解において控訴人が日本都市(株)に支払うことになった二億円の債務の中に含まれていると主張するが、前記認定のとおり、日本都市(株)は本件和解の結果本件勘定が消滅したとして、これを雑損失として経理処理していること、また成立に争いがない乙第一号証によれは、控訴人自身昭和五五年八月期の決算において、本件和解による右二億円の債務を本件勘定とは別個の預り金勘定に別々に計上していること(なお原審証人志毛井光の証言によれば右二億円はテナントの保証金の補填であり、原審証人干場紀夫の証言によっても本件勘定(日本都市(株)の投下資本残高)とは別の性格の債務であることが認められる。)が認められるのであった、このような事実に照らせば、右二億円の中に本件勘定による債務が含まれていないことは明白であるから控訴人の右主張は採用できない。」
二 よって、控訴人の本訴請求を棄却した原判決は正当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担について行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 仲江利政 裁判官 吉本俊雄 裁判官 小池勝雅)