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札幌高等裁判所 平成13年(ネ)3号 判決 2001年5月30日

控訴人(附帯被控訴人・被告)

米田正二郎

被控訴人(附帯控訴人・原告)

佐藤麻梨奈

主文

一  控訴人の控訴に基づき、原判決中被控訴人に関する部分を次のとおり変更する。

(一)  控訴人は、被控訴人に対し、六九九二万五四〇八円及びうち五五四〇万八二八六円に対する平成二年一一月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

(二)  被控訴人のその余の請求を棄却する。

二  被控訴人の附帯控訴を棄却する。

三  訴訟費用は第一、二審を通じてこれを三分し、その一を控訴人の負担とし、その余を被控訴人の負担とする。

四  この判決は、被控訴人の勝訴部分について、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一控訴の趣旨

一  原判決中主文第一項を取り消す。

二  被控訴人の請求を棄却する。

三  訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。

第二附帯控訴の趣旨

一  原判決中主文第一項を次のとおり変更する。

二  控訴人は、被控訴人に対し、一億二二七九万五二八四円及びうち一億〇八二七万八一六二円に対する平成二年一一月二五日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

三  訴訟費用は第一、二審とも控訴人の負担とする。

第三当事者の主張

当審で次のとおり主張したほかは、原判決の事案の概要欄記載のとおりである(略称は、原判決による。)。

一  控訴人

(一)  原判決は、一方において、事故日から遅延損害金を認容しながら、他方において、事故日ではなく症状固定日あるいは退院日から中間利息を控除している。これは、単に不公平というだけでなく、公平の原則、損益相殺の法理に反する不合理な取扱いである。控訴人は、後遺障害に基づく逸失利益、将来の介護費、将来の諸費用について、事故日からそれらの損害発生時までの中間利息を控除すべきである旨主張する。

これは、遅延損害金の算定が単利によることと逸失利益等の中間利息の控除が複利によることとは別個の問題である。逸失利益等の中間利息の控除について、単利によるホフマン係数によることは不合理である。

また、損害賠償における逸失利益等の算定は、将来発生の損害を現在において予測するものであり、確定的かつ現実的なものではなく、推定ないし一種の擬制によるものであるから、これが確定的かつ現実的なものであるかのような前提をとって、中間利息の控除を年二パーセントとする旨の被控訴人の主張は失当である。

(二)  後遺障害による逸失利益

原判決は、後遺障害による逸失利益を含む一切の損害について、遅延損害金の起算日を事故発生日にしている、すなわち、事故発生日に全損害が発生してその履行期が到来している、と取り扱っているから、中間利息の控除に当たっても、事故時(本件事故では七歳)を基準に一八歳から六七歳までの四九年間の逸失利益を算定し、事故発生日からの遅延損害金を付すべきである。

具体的には、次のとおり計算される。

ア 事故時の七歳から就労可能年齢六七歳までの六〇年間のライプニッツ係数 一八・九二九二

イ 七歳から就労開始年齢一八歳までの一一年間のライプニッツ係数 八・三〇六四

ウ 中間利息控除の係数 一〇・六二二八(=一八・九二九二-八・三〇六四)

エ 年収を三二四万四四〇〇円、労働能力喪失率を一〇〇パーセントとすると、被控訴人の逸失利益は、三四四六万四六一二円となる。

計算式 三二四万四四〇〇円×一〇・六二二八=三四四六万四六一二円

(三)  将来の介護費及び将来の諸費用

これらについても、本件事故日を基準に、退院日(平成七年一二月八日、当時一二歳)から平均余命八四歳までの七二年間の中間利息を控除した金額を算出し、事故発生日からの遅延損害金を付すべきである。

具体的には、次のとおり計算される。

ア 事故時の七歳から平均余命八四歳までの七七年間のライプニッツ係数 一九・五三二八

イ 七歳から将来の費用が必要となる退院時の一二歳までの五年間のライプニッツ係数 四・三二九四

ウ 中間利息控除係数 一五・二〇三四(=一九・五三二八-四・三二九四)

エ 一日の介護費を六〇〇〇円とする将来の介護費 三三二九万五四四六円

計算式 六〇〇〇円×三六五日×一五・二〇三四=三三二九万五四四六円

オ 一か月の将来の諸費用を一〇万円とする将来の諸費用 一五四六万七六八七円

計算式 一〇万円×一二か月×一五・二〇三四-二七七万六三九三円=一五四六万七六八七円

(四)  生活費控除

将来の諸費用には、ベッド、マットレス、自動車用リフトなど生活に必要な費用と目されるものも含まれているから、いわゆる寝たきり植物人間のような状態とは異なるが、生活費を控除すべきである。その割合は、二〇パーセント程度が相当である。

(五)  後遺障害慰謝料

原判決は、被控訴人本人の慰謝料として三〇〇〇万円を認めた上で、両親の慰謝料として各二〇〇万円を認め、慰謝料として合計三四〇〇万円の支払を認めている。

被控訴人の後遺障害の悲惨さについては理解できるところではあるが、同じ一級三号の後遺障害でもこれ以上悲惨なものはないと言えるものではない。原判決の認容した慰謝料はいささか高きに失する(ちなみに、平成二年一月一日以降発生の交通事故を対象とする日弁連交通事故相談センター(一二訂版)の後遺障害一級の慰謝料の基準では上限が二四〇〇万円であり、一九九〇年度版の東京三弁護士会の基準では二二〇〇万円である。)

二  被控訴人

(一)  中間利息の控除―控訴人の主張(一)ないし(三)―について

ア 控訴人の主張は、損害金と中間利息の控除という質的相違のある概念を同一視するとの許されない前提の上で、単利計算で行われる損害金の計算と複利計算で行われる中間利息控除の結果を同一に評価することによって、加害者が損害金を含めて逸失利益等を賠償しても、被害者の損害が賠償されないとの不当な結論を導くことになる。

イ 損害金は、損害賠償金の支払を遅滞したことによるペナルティの問題であり、損害の元金に充当されるものでない。損害金の利率は、法定され、それを変更するには民法の改正が、起算日の変更には判例変更の手続が必要とされる。これに対し、中間利息の控除は、将来に初めて現実化する損害の現在額を評価する問題であり、必然的に元金の減少をもたらすものである。利率は、通常人が通常の方法で元金を運用した場合に得られるであろう利子配当の見込みによって決定され、その変更は、その見込み、蓋然性の認定如何によるし、起算日についてもさまざまな考え方がありうる。

このような質的に異なる損害金と将来の利息控除の問題を同視し、損害金を支払う以上中間利息を事故時から控除すべきと主張することは許されない。

ウ 損害金は単利であり、中間利息は一般に複利で計算される結果、控訴人の主張によって計算されると、判決が認定した損害額と賠償額との間に常に齟齬が生じる。損害賠償債務を履行した日以後に現実に期限が到来する逸失利益や将来の介護費・費用については、損害金を含めた現実の賠償額が認定された損害額より常に小さくなるとの関係を生じる。

例えば、平成一三年一一月二四日に判決がされ、当日に損害金を含めた全額の支払をした場合に、翌日から平成一四年一一月二四日までの一年間の将来諸費用一二〇万円の損害についての賠償額は、一〇八万七五〇四円となる(計算式一二〇万円×〇・五八四六八(一一年間のライプニッツ係数)×(一+〇・〇五×一一年間)=一〇八万七五〇四円)。控訴人の主張に従えば、判決後に現実化する将来諸費用一二〇万円は、常に一〇八万七五〇四円しか賠償されない計算になる。毎年一二〇万円生じると認定された将来諸費用を、毎年五パーセントの利率で運用できるとの現状では全く不可能な前提を受け入れても、複利と単利の違いから、毎年一〇八万七五〇四円の賠償で済ませる結果になる。

エ 控訴人の主張によれば、中間利息を控除する損害については、損害金が遅滞によるペナルティの意義を失い、控訴人の主張に従った判決は、加害者に認定した損害の支払を命じていない理由齟齬があり、遅延損害金の起算日を不法行為日とする判例法理に違反することになる。

これは、中間利息の控除を要する損害と中間利息の控除を要しない損害に対する遅延損害金の解釈を統一することができず、遅延損害金について従前と異なる解釈を要するものであり、公平の原則、損益相殺の法理に合致するものでなく、かえって、加害者を不当に利し、被害者保護という不法行為の理念に反することになる。

オ 中間利息控除に関する当審における新たな主張

中間利息の控除の利率が年五分の割合によるのは、長年の経済動向によって将来もその程度の資金運用が可能であるとの判断による。

しかし、被控訴人の症状が固定した平成七年五月から今日までの約六年間、年五パーセントによる資金運用は不可能であり、年二パーセントによる中間利息を控除すべきである。

少なくとも、今後一〇年間は、現在の経済動向が継続する蓋然性が高いから、同様に中間利息の控除は年二パーセントによるべきである。

そして、一七年目から年五パーセントによる複利運用が可能との前提に立つことにする。

これによれば、次のとおり計算される。

<1> 逸失利益 四八五五万七七三四円

中間利息控除のライプニッツ係数 一四・九六六六三(=一八・六九八七七-一〇・八三七七六+一三・五七七六-六・四七一九八)

計算式 三二四万四四〇〇円×一四・九六六六三=四八五五万七七三四円

<2> 将来の介護費 四八四九万四八五六円

中間利息控除のライプニッツ係数 二二・一四三七七(=一九・四〇三九三-一〇・八三七七六+一三・五七七六)

計算式 六〇〇〇円×三六五日×二二・一四三七七=四八四九万四八五六円

<3> 将来の諸費用 二三七九万六一三一円

中間利息控除のライプニッツ係数 二二・一四三七七

計算式 一二〇万円×二二・一四三七七-二七七万六三九三円=二三七九万六一三一円

(二)  生活費控除について

いわゆる寝たきり老人を扶養する場合に、健常者に比べ、食費、衣料費、移動に要する費用等がかかることは公知の事実であり、被控訴人は、これと変らない状況にあるから、被控訴人の場合に生活費が少なくても済むとの控訴人の主張は理由がない。

(三)  慰謝料について

控訴人の指摘する文献は、平成二年前半ないしそれ以前に決着した事例に基づく基準であり、平成二年に発生した事故についてのものではなく、慰謝料は年々増額する傾向にある。

現在の損害賠償訴訟では損害と言えないとしても、控訴人の介護のために要した支出があることや新築に要した費用の一部が損害と認められていないことに照らしても、原判決の認定した慰謝料額は相当である。

(四)  入院付添者の宿泊費について

ア 原判決は、佐藤典子の平成三年六月以降の宿泊費八七四万三九〇〇円について、自宅から中村記念病院に通うことが可能であったとして、損害と認めなかった。

しかし、被控訴人の入院期間中、被控訴人の介護の中心となったのは佐藤典子であり、他の介護者が通院していたことから、佐藤典子は通院の困難な早朝から深夜に及んだ介護をした。介護のための宿泊費は、損害として認められるべきである。

イ 宿泊費が損害として認められない場合には、自宅と中村記念病院との通院交通費二四三万円を損害として予備的に主張する。

その内訳は、次のとおりである。

<1> 自宅と北広島駅までのバス往復代金 三〇〇円

<2> 北広島駅と札幌駅までのJR往復代金 七八〇円

<3> 中村記念病院までの地下鉄往復代金 四〇〇円

<4> 一か月の交通費 約四万五〇〇〇円

<5> 通院期間 五四か月

計算式 四万五〇〇〇円×五四か月=二四三万円

(五)  自宅専用設備工事費について

原判決が認定した自宅設備工事費用七二四万円について、設計料や現場管理費相当の一〇〇万円の損害を認めるべきである。

第四証拠関係

原審及び当審記録中の書証目録及び証人等目録の記載を引用する。

第五当裁判所の判断

当裁判所は、次のとおり、被控訴人の控訴人に対する損害賠償請求は、損害賠償金六九九二万五四〇八円及びうち五五四〇万八二八六円に対する本件事故が発生した日である平成二年一一月二五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める範囲で理由があると判断する。

一  入院雑費 二二〇万八〇〇〇円

原判決説示のとおり、入院雑費は一日一二〇〇円が相当と認めるから、入院雑費二二〇万八〇〇〇円を損害と認める。

二  入院付添費 一一〇四万円

原判決説示のとおり、入院付添費は一日六〇〇〇円が相当と認めるから、入院付添費一一〇四万円を損害と認める。

三  交通費 五四九万六三六八円

原判決説示のとおり、付添人の交通費、見舞者の交通費及びその他の交通費の合計五四九万六三六八円を損害と認めるのが相当である。

四  入院付添者の宿泊費又は予備的に通院交通費 二二九万五〇〇〇円

(一)  佐藤典子が被控訴人の付添いのために中村記念病院近くのマンションに宿泊したことと本件事故との間に相当因果関係が認められないのは、原判決説示のとおりである。

(二)  しかし、佐藤典子が被控訴人に付添う必要があったことは肯定できるから、マンションを賃借した平成三年六月ころから、北広島の自宅から中村記念病院への通院ができた平成七年一〇月ころ(原審原告佐藤典子の供述によれば、そのころ上野幌の自宅が完成したと認められる。)までの交通費は、本件事故と相当因果関係のある損害と認める。

上記損害は、次のとおり計算する。

ア 一日の往復交通費 一四八〇円(甲二二)

イ 一か月の交通費 四万五〇〇〇円

ウ 北広島からの通院期間 少なくとも五一か月

計算式 四万五〇〇〇円×五一か月=二二九万五〇〇〇円

五  将来の介護費 三三二九万五四四六円

(一)  原判決認定のとおり、被控訴人の介護費に一日六〇〇〇円を要すると認めるから、次のとおり、将来の介護費として三三二九万五四四六円を損害と認める。

計算式 (六〇〇〇円×三六五日)×一五・二〇三四(=一九・五三二八(事故時の七歳から平均余命八四歳までの七七年間のライプニッツ係数)-四・三二九四(七歳から退院時の一二歳までの五年間のライプニッツ係数))=三三二九万五四四六円

(二)  被控訴人は、中間利息の控除を不法行為時から始めることを争う。しかし、逸失利益等現実の利得・支払が将来に生じる損害を賠償する債務も、当該不法行為の時に発生し、かつ、遅滞に陥ると解されるから、中間利息の控除も不法行為時を基準にするのが相当である(遅延損害金が単利計算であるのに対し、中間利息の控除が複利計算であることから、被控訴人は、現実に発生する損害をてん補できない旨主張する。しかし、遅延損害金が単利計算を採用し、中間利息の控除に複利計算を採用することは、中間利息の控除の基準時期をいつにするのが妥当であるかを理論的に左右する理由にはならない。また、現実の利得・支払が将来に生じる損害の認定は、確実なものではなく、一定の擬制に基づくことは否定できず、複利計算による中間利息の控除後の損害を賠償額と認定してその支払を命じることが、理由齟齬や判例違反になるものではない。)。

被控訴人は、中間利息の控除において、現実の経済情勢を考慮して年二パーセントによるべきである旨主張する。しかし、将来にわたる資金運用利率(いわゆる実質利率)を考慮することは困難であるし、定型的な損害賠償訴訟において実質利率を考慮することは適正迅速な事件処理の要請に反することにもなるから、遅延損害金の利率が法定利率年五分によるとされていることに照らして(単利計算と複利計算との差異は生じるが。)、すでに期間を経過した部分を含めて中間利息控除の利率は年五分によるのが相当である。

六  将来の諸費用 一五四六万七六八七円

原判決認定のとおり、被控訴人の将来の諸費用として月額一〇万円を要し、既払額が二七七万六三九三円になると認めるのが相当であるから、次のとおり、将来の諸費用として一五四六万七六八七円を損害と認める。

計算式 一二〇万円×一五・二〇三四(=一九・五三二八(事故時の七歳から平均余命八四歳までの七七年間のライプニッツ係数)-四・三二九四(七歳から退院時の一二歳までの五年間のライプニッツ係数))-二七七万六三九三円=一八二四万四〇八〇円-二七七万六三九三円=一五四六万七六八七円

七  自宅専用設備工事費 七二四万六〇七一円

原判決認定のとおり、自宅設備工事費用のうち、被控訴人の介護のための増額分七二四万六〇七一円を損害と認める。

上記増額分の設計料及び現場管理費用を的確に認める証拠はない。

八  逸失利益 三四四六万四六一二円

原判決認定のとおり、被控訴人の後遺障害は後遺障害等級一級に該当すると認められるから、次のとおり、後遺障害による逸失利益三四四六万四六一二円を損害と認める。

計算式 三二四万四四〇〇円(平成六年度賃金センサス女性労働者学歴計年齢計の年収額)×一〇・六二二八(=一八・九二九二(事故時の七歳から就労可能年齢六七歳までの六〇年間のライプニッツ係数)-八・三〇六四(七歳から就労開始年齢一八歳までの一一年間のライプニッツ係数))=三四四六万四六一二円

生活費控除が相当と認めるに足りる証拠はない。

九  入院慰謝料 五三〇万円

原判決認定のとおり、被控訴人の入院慰謝料は五三〇万円が相当と認める。

一〇  後遺障害慰謝料 二五〇〇万円

被控訴人の後遺障害の程度、両親に対する慰謝料金額等の諸事情を考慮すれば、被控訴人の後遺障害慰謝料は二五〇〇万円が相当と認める。

一一  既払金についての遅延損害金 一四五一万七一二二円

既払金についての遅延損害金が一四五一万七一二二円を下回ることはなく、控訴人がその支払義務を負担することは、原判決説示のとおりである。

一二  既払金控除後の損害賠償金

既払金が九二四〇万四八九八円であることは当事者間に争いがなく、既払金は元金に充当する指定があったものと推認できるから、既払金控除後の損害賠償金は、次のとおり、六三九二万五四〇八円と認められる。

(一)  損害賠償金元本合計 一億四一八一万三一八四円

計算式 二二〇万八〇〇〇円+一一〇四万円+五四九万六三六八円+二二九万五〇〇〇円+三三二九万五四四六円+一五四六万七六八七円+七二四万六〇七一円+三四四六万四六一二円+五三〇万円+二五〇〇万円=一億四一八一万三一八四円

(二)  既払金充当後の損害賠償金元本 四九四〇万八二八六円

計算式 一億四一八一万三一八四円-九二四〇万四八九八円=四九四〇万八二八六円

(三)  損害賠償金元本及び遅延損害金合計 六三九二万五四〇八円

計算式 四九四〇万八二八六円+一四五一万七一二二円=六三九二万五四〇八円

一三  弁護士費用 六〇〇万円

本件訴訟の認容額、請求額、事案の難易等を考慮すれば、弁護士費用六〇〇万円が本件事故と相当因果関係に立つ損害であると認める。

一四  まとめ

したがって、被控訴人の控訴人に対する請求は、損害賠償金六九九二万五四〇八円及びうち五五四〇万八二八六円に対する平成二年一一月二五日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払を求める範囲で理由がある。

第六結論

よって、本件控訴に基づき原判決中被控訴人に関する部分を主文第一項のとおり変更し、本件附帯控訴を棄却することとし、主文のとおり判決する。

(裁判官 武田和博 小林正明 森邦明)

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