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札幌高等裁判所 平成14年(ラ)87号 決定 2003年1月22日

抗告人 X1

X2

相手方 北海道●●児童相談所長 Y

事件本人 A

主文

1  本件抗告をいずれも棄却する。

2  抗告費用は抗告人らの負担とする。

理由

1  本件抗告の趣旨及び理由

別紙「抗告状」(写し)記載のとおりである。

2  当裁判所の判断

当裁判所も、事件本人を児童養護施設に入所させることの承認を求める相手方の本件申立ては理由があるものと判断する。その理由は、次のとおり原審判を補正するほか、原審判の「理由」に説示されたとおりであるから、これを引用する。

(1)  原審判5頁8行目の末尾に続けて「その際、同病院では、予め抗告人X2に対し、点滴用器具の取扱方法等について指導をした。」を加える。

(2)  同8頁9行目の「本件一時」を「本件一時保護」と、同9頁7行目の「児童福祉委託」を「児童福祉施設」とそれぞれ改める。

(3)  同10頁15行目の「至っていること」の次に「(なお、抗告人らは、中心静脈カテーテルは感染症等の合併症の危険をはらむものであるところ、事件本人の症状が改善したのは、平成13年12月9日を最後に中心静脈カテーテルを止めたことが原因であって、本件一時保護による母子分離をしたからではない旨主張する。しかし、事件本人にみられた上記のような特異な感染症の症状に照らすと、その原因が中心静脈カテーテル装置によって一般的に起こり得る感染症にすぎなかったと認めることはできず、したがって、事件本人の症状の改善が単に中心静脈カテーテルを中止したことによるものとみるのは困難である。)」を加える。

(4)  同10頁24行目から同頁25行目にかけての「意向を示しているようであるが、」を「意向を示し、抗告人らの友人も援助を申し出ていることが認められるが、」と改める。

(5)  同10頁末行の末尾に続けて「なお、事件本人は一時保護された後、順調に回復し、また、抗告人X2は精神科医のカウンセリングを継続的に受けるようになったが、本件においてはこれらを踏まえ、更に関係機関の指導、援助の下に抗告人らの監護養育方法を点検、改善していく必要が認められるから、その間は事件本人を児童養護施設に入所させておくのが相当である。」を加える。

3  よって、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 坂本慶一 裁判官 甲斐哲彦 石井浩)

別紙 抗告状<省略>

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