大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 平成18年(ネ)362号 判決 2007年11月09日

主文

1  本件控訴を棄却する。

2  被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ,5万円及びこれに対する平成12年11月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

3  控訴人らの予備的請求中その余の部分を棄却する。

4  控訴費用は,これを20分し,その1を被控訴人の負担とし,その余を控訴人らの負担とする。

5  この判決は,第2項及び第4項に限り,仮に執行することができる。

事実及び理由

第1控訴の趣旨

1  主位的請求(当審における減縮後)

(1)  原判決を取り消す。

(2)  被控訴人は,控訴人Aに対し,2161万5971円及びこれに対する平成12年10月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(3)  被控訴人は,控訴人Bに対し,450万円及びこれに対する平成12年10月21日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(4)  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

(5)  仮執行宣言

2  当審で追加された予備的請求

(1)  被控訴人は,控訴人らに対し,それぞれ,100万円及びこれに対する平成12年11月2日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

(2)  訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。

(3)  仮執行宣言

第2事案の概要

1  本件は,札幌市立の中学校に在籍中,同級生から暴行を受けて左眼窩底骨折の傷害を負った控訴人Aが,同中学校を設営管理する被控訴人に対し,同事件は同級生による継続的ないじめの一環として生じたものであって,被控訴人にはそのいじめについての調査義務やいじめによる事故の防止義務があったにもかかわらず,これらを怠ったために同事件が発生したとして,国家賠償法1条1項又は債務不履行に基づき2261万5971円の損害の賠償を求めた事案である。なお,上記事件当時控訴人Aの親権者であった控訴人Bも,被控訴人に対し,上記事件により独自の精神的苦痛を被ったとして,550万円の慰謝料の支払を求めた。

原審は,控訴人らの請求をいずれも棄却したため,控訴人らは,当初請求どおりの裁判を求めて控訴した。

控訴人らは,当初,上記事故後の学校側担当者の対応によっても精神的苦痛を被ったとして,慰謝料100万円を請求していたが,当審において,その部分を取り下げて請求を減縮するとともに,仮にその主位的請求が認められないとした場合でも,上記事故後,学校側の担当者が,同事故はいじめにより発生したと考えて差し障りないと控訴人らに虚偽の説明したこと自体が,報告義務に違反して,学校と生徒・保護者の信頼関係を破壊するという点で,独立に控訴人らに対する違法行為を構成するとして,予備的に,国家賠償法1条1項又は債務不履行に基づき,上記減縮額と同額のそれぞれ100万円の慰謝料及び上記虚偽説明のなされた平成12年11月2日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める請求を追加した。

2  前提事実及び争点に関する当事者の主張は,次のとおり訂正するほか,原判決書「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の「1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに証拠(各項目末尾に記載したもの)及び弁論の全趣旨により容易に認定することのできる事実)」及び「2 争点及びこれに対する当事者双方の主張」に記載のとおりであるから,これらを引用する。

(1)  原判決書2頁25行目から同頁26行目にかけての「母であり,親権者である」を「母であり,平成。12年当時未成年者であった控訴人Aの親権者であった。なお,平成*年*月*日をもって控訴人Aは成年となった。」と改める。

(2)  原判決書3頁19行目の「(甲5,6,17,18)」を「(甲5,6,8,17,18)」と改める。

(3)  原判決書3頁23行目の「(争点(1))」を「(争点(1)。主位的請求に関して)」と改める。

(4)  原判決書10頁26行目冒頭から11頁26行目末尾までを,次のとおり改める。

「(2) 本件傷害事件発生後の本件中学校の対応は,控訴人らに対する違法行為として,損害賠償義務を発生させるか(争点(2)。予備的請求に関して)

(控訴人らの主張)

学校及び教師は,本件傷害事件のような事故が起こった場合には,事故後にその原因及び経過を調査して,生徒及びその保護者に報告しなければならない報告義務を負う。

仮に,控訴人らの主位的請求が認められないとしても,本件において,平成12年11月2日,C校長及びD教諭は,控訴人らに対し,「本件事故はいじめにより発生したと考えて差し障りない。」と話すとともに,いじめの実態や本件傷害事件に至った事実関係を明確にする旨が記載された「今後に向けて」と題する書面(甲23)を手渡している。そして,被控訴人は,それが,控訴人らの怒りをおさめるための虚偽の報告であったことを認めている。これは,単なる上記報告義務違反にとどまらず,教育の現場で最も大切な学校・担任教師と生徒・保護者の信頼関係を積極的・意図的に破壊する違法行為にほかならない。したがって,控訴人らは,民法415条又は国家賠償法1条1項に基づき,これによって被った精神的苦痛に対する慰謝料を被控訴人に対し請求し得る。

(被控訴人の主張)

学校関係者が平成12年11月2日に,「本件事故はいじめの延長線上の事故と言って差し障りがない」と発言した事実は認める。「いじめにより発生した」という表現は使っていない。また,この発言内容が発言者らの主観的認識に反していたものであることは認める。しかし,この発言が,「信頼関係を積極的・意図的に破壊する違法行為」であるとの控訴人らの主張は争う。学校関係者がかかる発言に及んだのは,控訴人ら側の振り上げた拳を収めてもらうためには,その感情を鎮める方向で対処するとの方針が決められ,学校関係者としては,真実はそうではないと認識しつつ上記のように発言したのであって,むしろ控訴人らとの信頼関係を保とうとして行われたものであるから,そこには,不法行為となり控訴人らに精神的苦痛を与えるような違法性は全くない。」

(5)  原判決書12頁3行目の「ア」の次に,標題として「主位的請求にかかる損害額」を加える。

(6)  原判決書13頁18行目冒頭から14頁1行目末尾までを,次のとおり改める。

「イ 予備的請求にかかる損害額

学校側関係者らによる虚偽報告により控訴人らが被った精神的苦痛は控訴人らそれぞれにつき,100万円を下らない。よって,控訴人らは,被控訴人に対し,それぞれ100万円及びこれらに対する虚偽報告のなされた日である平成12年11月2日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。」

第3当裁判所の判断

1  争点(1)(本件傷害事件の発生につき,D教諭に国家賠償法1条1項所定の過失ないし在学契約関係に基づく安全配慮義務違反があるか否か及びこれらの過失等と同事件発生との間の相当因果関係の有無)について

(1)  当裁判所も,本件傷害事件が発生したことについてD教諭に過失があるということはできず,主位的請求には理由がないと判断する。その理由は,次のとおり削除,加入,訂正するほか,原判決書「事実及び理由」欄の「第3 争点に対する当裁判所の判断」の「1 争点(1)について」に記載のとおりであるから,これを引用する。

ア 原判決書14頁7行目の「乙A2,」及び「乙B1,2,」をいずれも削除する。

イ 原判決書14頁12行目の「本件学校」を「本件中学校」に改める。

ウ 原判決書16頁24行目の「Eと」の次に「Eが『うるさい,サル』」,控訴人Aが『死ね』などと言い合う」を加える。

エ 原判決書21頁1行目冒頭から同頁6行目末尾までを,次のとおり訂正する。

「(チ) 平成12年10月21日,2時限目の音楽の時間が終了した後,同級生の多くは小テストを控えているLL教室に向かったが,Fは疲れていたこともあって,本件教室の窓際の自分の席で休憩していた。控訴人Aは,Fにもたれかかり,Fがこれを振り払い,その後,互いにじゃれ合うように叩き合っていたが,その叩き方がだんだんと強くなり始めたところ,音楽室から本件教室に戻ってきたGが,これを見てけんかと思い,2人を止めに入った。控訴人Aは,自分が止められたことを怒ってGを蹴り,Gも控訴人Aを蹴り返した。すると,控訴人Aは,『お前に何関係あるのよ』と言ってGの胸元をつかんで,その腹部を3,4発膝蹴りし,Gは腹部を押さえて屈んだ。Fは,控訴人Aの上記暴行が激しかったので,控訴人Aを開いていたカーテンでくるんで止めたところ,Hは,カーテンでくるまれた控訴人Aを蹴った。カーテンを振りほどいた控訴人Aは,再びGの方に向かって行き,Gが,向かってくる控訴人Aの顔面を手拳で殴ったところ,同人はその場で痛みを訴えてうずくまり,本件傷害事件が発生した。なお,Fは,控訴人Aの供述によっても,同控訴人に対していじめを行ったことのない生徒の1人であった。」

オ 原判決書29頁15行目の「そして,」から同頁16行目末尾までを,次のとおり訂正する。

「そして,前記認定によれば,本件傷害事件自体,控訴人Aが多数の者から一方的に暴力を振るわれたものではなく,控訴人Aが先に手を出したことからGとの間で起こった喧嘩の過程で偶発的に発生した事故であると認められる。」

(2)  控訴人らは,責任を問われている当事者であるD教諭の陳述書(乙C6)及び証言を,いじめの被害者とされる控訴人A作成の陳述書(甲19)や控訴人B作成の日記帳(甲12),陳述書(甲20)よりも信用性が高いとし,これに依拠していじめの事実を否定した原判決には,重大な事実誤認が存在する旨主張する。

しかしながら,原判決は,上記控訴人らの供述が,当時の自分の日記やメモ等に基づいているのではなく,もっぱら記憶に頼ってなされたものであること,控訴人B作成の日記帳も,本件傷害事件発生後に同人の記憶に基づいて作成されたものであり,控訴人B自身本人尋問において否定した内容も記載されていること,それらの記載内容には客観的な証拠にも齟齬する部分があることなどから,記憶違いあるいは記憶の混乱等が存する疑いを払拭できないと判示し,これに対して,D教諭の供述は同教諭作成の詳細な陳述書(乙C6)に基づくものであるところ,同陳述書は,同教諭が本件学級の担任として日常的に記録していた手帳や本件学級の生徒の作文,本件傷害事件後に他の教諭の協力も得て本件学級の複数の生徒から個別に事情聴取した結果等に基づいて作成されていることから,その信用性は高いと判示しており,その証拠評価に控訴人らが主張するような重大な誤りは認められない。

もっとも,控訴人らは,平成12年7月3日付けC校長名により保護者宛に送られた「1学期末個人懇談のご案内」と題する書面(甲22)に「相変らずいじめがあって友人関係がうまくいってないようなので心配している」,「先生,1人ぽつんとしている事もないので心配ないと思います」との手書きによる書き込みがある点を捉え,この書き込みは,懇談後かつ本件傷害事件発生前である個人懇談日の帰宅直後に,控訴人Bが懇談の内容を備忘のために書いたメモであって,本件訴訟を意識する前に作成されたことから,証明力が高い文書であり,D教諭の陳述書(乙C6)は,これに反して控訴人Bによる上記いじめの相談があったことを明確に否定している点からも,全体としてその信用が相当減殺される旨主張し,控訴人Bも,その本人尋問において,甲第22号証の作成経緯につき,上記のとおり供述する。しかしながら,通常備忘のためならば懇談のその場でメモを取るはずであること,相手方の発言内容を単に記載すれば足りるのに,自らの発言部分とD教諭の発言部分が分けて記載されていること,他に話し合われた内容もあるはずなのにいじめに関する上記内容のみが記載されていることなど,控訴人Bの上記供述には不自然な点が多々認められ,本件傷害事件発生後にそれがいじめにより発生したとの証拠を残すために記載されたとの疑念を払拭することができない。以上に加えて,前述したように,控訴人Bが本件傷害事件発生後に種々の書証等を作成しているその立証の仕方等も併せ考えるならば,個人懇談日の帰宅直後に甲第22号証の書き込み部分を作成したとの控訴人Bの上記供述は,これをそのまま信用することはできず,上記書き込みに基づく控訴人らの主張もにわかに採用できない。

なお,当審において追加認定したGが控訴人Aの顔面を殴るに至った経緯についても,上記信用すべきD教諭の陳述書に依拠しているところ,その部分について,D教諭は,G,H,F等本件傷害事件を目撃した生徒達が警察から事情聴取を受けた際に作成された供述調書(D教諭自身が読み上げを聞いている)の内容と合致して。いた旨供述しており,その部分に関する同陳述書の記載の信用性はさらに高いということができる。

そして,上記信用すべきD教諭の供述に基づく前記認定事実を前提とする限り,D教諭が,担任教諭として,生徒である控訴人Aの同級生との関係改善,そして,控訴人Aの同級生からのいじめについての訴えに関して,最善の措置を尽くしたかどうかについてはともかく,本件傷害事件発生前に,控訴人Aと同級生との関係において,同級生から一方的・集団的に継続的な暴力・暴言を受けるといった控訴人Aの生命,身体,精神等に危害ないし重大な悪影響が及ぶおそれがあったといえるような状況が現出していたということはできない。そして,本件傷害事件は,授業の合間の休憩時間に,担任教諭であるD教諭が本件教室以外の教室で次の授業の準備をしている際に,本件教室において,些細なことから控訴人AとGの間で喧嘩が始まり,その過程で偶発的に発生した事故というべきである。よって,本件傷害事件について,D教諭に過失があるということはできない。

2  争点(2)(本件傷害事件発生後の本件中学校の対応は,控訴人らに対する違法行為として,損害賠償義務を発生させるか)について

(1)  本件傷害事件発生後の本件中学校の控訴人らへの対応にかかる認定事実は,原判決書「事実及び理由」欄の「第3 争点に対する当裁判所の判断」の「2 争点(2)について」の「(1)」に記載のとおりであるから,これを引用する。

(2)  本件傷害事件は,前記認定のとおり,公立中学校の授業時間の合間に,同級生の殴打により控訴人Aが左眼を負傷し,その結果重篤な後遺障害が残ったという事件であるところ,公立中学校の担任教員や校長等の学校側関係者には,在学関係における信義則上の義務として,学校教育中に生徒が傷害等の被害を受けた場合には,被害者である生徒及びその保護者に対して,被害発生の経緯等について調査した上これを正確に報告する義務があると解すべきであり,学校関係者が,これに反して,故意又は過失により誤った報告を行った場合には,上記報告義務違反が生徒又は保護者との関係で不法行為を構成し,中学校を設置運営する国又は地方自治体は,国家賠償法1条1項により,上記不法行為によって生じた損害を賠償する責任がある。

前記認定したところによれば,平成12年11月2日にC校長とD教諭は控訴人ら宅を訪れていること,D教諭は,本件傷害事件がいじめの結果ではなく偶発的な事故であると考えていたにもかかわらず,「控訴人Bの振り上げた拳を下ろしてもらう」という学校関係者による事前の協議の結果に基づいて,上記訪問の際に,事故はいじめの延長線上の事故と言って差し障りがないとの趣旨の発言をしたことが認められる。そして,上記訪問の際,D教諭は,いじめの実態や本件傷害事件に至った事実関係を明確にし,再発防止に努める事の記載された書面(甲23)まで手渡している。以上によれば,D教諭は,本件事故がいじめとは関係のない事故であるとの以前の発言を撤回し,本件傷害事件は従前から控訴人Aになされていた同級生によるいじめの一環であると認めたと解するほかなく,控訴人らもそのような趣旨としてD教諭の上記発言を受け止めたと認めることができる。

そして,上記報告は,控訴人Aに対する集団的継続的な暴行等のいじめは存在せず,本件傷害事件は偶発的な事故であったとの前記認定に明らかに反しており,また,当時における学校関係者の認識も前記認定のとおりであったのであるから,虚偽報告というほかなく,かかる発言は,控訴人らに対する報告義務違反として,不法行為を構成するといわざるを得ない。

被控訴人は,本件傷害事件がいじめに基づくと考えて学校側に対する不信感を露わにしていた控訴人Bの感情を沈静化させるため,学校側と控訴人らとの信頼関係を維持するためになされた発言であるから,違法性はない旨主張する。しかしながら,かかる説明によって一時的に被害生徒や保護者の気持ちが収まったとしても,学校側説明からすれば,本来学校側が防止すべきいじめにより控訴人Aが重大なけがを負ったといわざるを得なくなる以上,当然そのことを前提とする責任問題が控訴人らとの間で発生することが予想され,実際本件傷害事件がいじめによるものかどうかを巡って本件訴訟が提起されていること,控訴人らにとっては,本件傷害事件が本来あってはならないいじめにより起こったと学校側が認識していることこそが重大であったといえることからすれば,学校側としては,当時の調査結果に基づく本件傷害事件に対する認識を正確に控訴人ら側に伝えた上で,その認識が控訴人ら側と異なるならば,学校側が上記認識に至った経緯を丁寧に説明してその理解を得るよう努め,それでも控訴人ら側の理解が得られないようであれば,紛争解決機関に問題を委ねるという態度をとるべきだったのであり,上記事情が違法性を阻却する事由となり得ないことは明らかである。

D教諭は,音楽の授業の際にHグループが控訴人Aを蹴るなどの行為があったことから,いじめと捉えることのできる行為もあったと考えて前記発言に及んだ旨述べるが(乙C6),本件で問題となっているのは,本件傷害事件が偶発的な事故なのか,それとも控訴人Aへの普段からの継続的な暴行行為の結果なのかであるから,D教諭の「いじめにおいて起こった」との発言が,少なくとも報告を受ける側からすれば,上記のごとき些細な行為の存在のみを学校側が認めた趣旨であると受け取られるはずがないことは当然であって,上記事情をもってD教諭の責任が否定されることにはならない。

(3)  D教諭の前記発言は,上述のとおり,控訴人両名に対する不法行為となり,本件中学校の設営管理者である被控訴人は,これによって控訴人らが被った精神的苦痛に基づく損害を,国家賠償法1条1項に基づいて賠償すべき責任を負う。

ただし,慰謝料の金額は,その後の調査の結果,控訴人らが主張するようないじめの事実が判明しなかったこと,控訴人Bの学校側への抗議が非常に強硬であり,授業や他の生徒への影響を慮って学校側がかかる対応に出たことにつき,やむを得ないといえる一面も認められること等からすれば,控訴人ら各自につき5万円が相当である。

よって,控訴人らの予備的請求は,被控訴人に対し,控訴人らそれぞれに各5万円ずつ及びこれらに対する不法行為日である前記報告日(平成12年11月2日)から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を命ずる限度において理由がある。

3  よって,控訴人らの主位的請求には理由がなく,本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし,控訴人らが当審で追加した予備的請求には,主文掲記の限度で理由があるので,その範囲でこれを認容し,その余の予備的請求はこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 末永進 裁判官 千葉和則 裁判官 住友隆行)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例