札幌高等裁判所 平成22年(ネ)240号 判決 2010年9月30日
控訴人
Y株式会社
同代表者代表取締役
A
同訴訟代理人弁護士
開本英幸
被控訴人
X
同訴訟代理人弁護士
川村俊紀
同
中島哲
主文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1控訴の趣旨
1 原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。
2 被控訴人の請求を棄却する。
3 訴訟費用は,第1,2審とも被控訴人の負担とする。
第2事案の概要
1 本件は,控訴人を定年(満60歳)退職した被控訴人が,控訴人から再雇用を拒否されたのは,権利の濫用又は不当労働行為に該当するから,無効であると主張して,控訴人に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めるとともに,再雇用契約が始まった日である平成20年10月1日から本判決確定の日まで,翌月4日限り月額23万5080円の割合による賃金の支払を求めた(第一次請求)ほか,仮に被控訴人と控訴人の間に再雇用契約が成立したとは認められないとしても,再雇用拒否は,債務不履行(再雇用義務の不履行)又は不法行為に該当すると主張して,損害賠償として,合計1430万3907円(内訳 ①逸失利益 1250万3552円,②慰謝料 50万円,③弁護士費用 130万0355円)及びうち1300万3552円(逸失利益と慰謝料との合計額)に対する平成20年10月1日(雇用契約の始まった日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めた(第二次請求)事案である。
2 原審は,被控訴人の第一次請求を棄却し,被控訴人の第二次請求のうち,500万円(民事訴訟法248条適用)及び弁護士費用50万円並びにうち500万円に対する平成20年10月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容した。
第3前提となる事実及び当事者の主張の要旨
前提となる事実は,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」1に記載のとおりであり,当事者の主張の要旨は,上記「第2 事案の概要」2(2)に記載のとおりであるから,これを引用する。
第4当裁判所の判断
1 当裁判所も,被控訴人の上記第二次請求は,控訴人に対し,慰謝料500万円及び弁護士費用50万円並びにうち500万円に対する平成20年10月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があると判断する。その理由は,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点に対する当裁判所の判断」1,2,4及び5に記載のとおりであるから,これを引用する。
控訴人は,上記判断に係る事実認定,法的評価等が不当であるとしてるる主張するが,いずれも採用できない。
2 よって,原判決は相当であり,本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 井上哲男 裁判官 中島栄 裁判官 中川博文)