札幌高等裁判所 平成22年(ラ)97号 決定 2010年9月16日
告人
エヌ・エス・アール株式会社
同代表者代表取締役
X1
抗告人
X1
上記両名代理人弁護士
大本康志
同
梅山隆弘
同
清水卓
同
伊藤亮
相手方
株式会社オープンループ
同代表者代表取締役
A
同代理人弁護士
水野信次
同
西本強
主文
1 本件各抗告を棄却する。
2 抗告費用は抗告人らの負担とする。
理由
第1本件各抗告の趣旨及び理由並びに相手方の意見
本件各抗告の趣旨及び理由は、別紙「即時抗告申立書」及び「即時抗告理由書」(いずれも写し)各記載のとおりである。
相手方の意見は、別紙「意見書」(写し)記載のとおりである。
第2当裁判所の判断
当裁判所も、相手方発行に係る全部取得条項付普通株式のうち、抗告人らが保有していた3350株の取得の価格は1株につき4000円とするのが相当であると判断する。
その理由は、次のとおり訂正するほかは、原決定の「理由」欄の「第2 事案の概要」及び「第3 当裁判所の判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。
1 原決定8頁22行目の「3805円」を「3850円」に改める。
2 同10頁22行目の末尾に改行して以下のとおり加える。
「 また、抗告人らは、相手方が全部取得条項付種類株式を取得することにより、抗告人らは強制的に株式を剥奪されることになるところ、これは、相手方が解散、清算する場合に等しいといえるから、相手方株式の価格の客観的価値を算定するに当たっては純資産評価方式によるべきである旨主張する。しかしながら、相手方が現時点において解散、清算を予定していないことは前示のとおりであるから、相手方による全部取得条項付種類株式の取得により、抗告人らが強制的に株式を買い取られることになるとしても、そのことから直ちに相手方が解散、清算することを前提とした株式の客観的価値が抗告人らに補償されることになるものではない。したがって、抗告人らの主張は採用できない。」
3 同11頁3行目から4行目にかけての「2000円代」を「2000円台」に改める。
4 同12頁13行目の末尾に改行して以下のとおり加える。
「 また、抗告人らは、平成21年3月10日の直近1か月程度の株価をもって本件取得日における本件株式の客観的価値と認めるのが相当であるとすると、市場におけるその時々の思惑などの影響を受けた株式価格が反映されることになりかねないから、上記1か月程度の株価では本件取得日における本件株式の客観的価値と認めることはできないとも主張する。しかし、前記認定にかかる相手方株式の平成21年3月10日の直近1か月程度の価格の推移等に照らすと、市場におけるその時々の思惑などの影響を受けた株式価格が反映されていることをうかがわせるような事情は認められないから、上記1か月程度の株価では本件取得日における本件株式の客観的価値と認めることができないとはいえない。したがって、抗告人らの主張は採用することができない。」
第3結論
以上によれば、原決定は相当であり、本件各抗告は理由がないからこれらを棄却することとし、主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 井上哲男 裁判官 中島栄 中川博文)
(別紙)即時抗告申立書<省略>
即時抗告理由書<省略>
意見書<省略>