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札幌高等裁判所 平成3年(行コ)6号 判決 1992年3月24日

控訴人

塚本産業株式会社

右代表者代表取締役

古谷通

右訴訟代理人弁護士

高田照市

被控訴人

札幌市中央区長

松崎誠

右指定代理人

中村哲

外一〇名

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

一控訴代理人は「原判決を取り消す。被控訴人が昭和六三年七月二九日付で控訴人に対して行った原判決添付別紙物件目録記載の土地(以下「本件土地」という。)に関する昭和六三年度特別土地保有税の納税義務の免除認定をしない旨の決定を取り消す。被控訴人が平成元年八月三日付で控訴人に対して行った本件土地に関する平成元年度特別土地保有税の納税義務の免除認定をしない旨の決定を取り消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は主文と同旨の判決を求めた。

二本件事案の概要は、次のとおり訂正、削除、付加するほかは、原判決事実及び理由「第二事案の概要」に記載のとおりであり、証拠関係は、原審及び当審記録中の証拠目録に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決三枚目表一行目の括弧書部分を「(後掲焼損建物面積部分、本件土地)」と、同四枚目表六行目の「本件土地の」から同裏四行目の末尾までを次ぎのとおり、それぞれ改める。

「みなみ商事株式会社(以下「みなみ商事」という。)は、本件土地の前所有者である武智哲夫から本件土地を賃借し、昭和三四年一二月一三日本件土地上に木造三階建のテナントビル(以下「本件建物」という。)を建築所有(昭和三五年二月三日所有権保存登記)して本件土地を占有使用していたところ、本件建物は昭和五九年二月二一日火災により焼損し、焼失を免れた一部が残存する状態で現在に至っている。みなみ商事は、右火災後も存続する本件土地に対する借地権を保全するとともに、本件土地は札幌市すすきの飲食店街の中心に所在し、同地域は札幌市から防火地域に指定され堅固な建物の建築しか認められないことから、本件土地上に堅固な建物を建築するため、昭和五九年四月一七日申請土地のうち二番八の土地について武智哲夫を債務者として処分禁止の仮処分決定を得、次いで同年一一月同人を被申立人として札幌地方裁判所に本件土地についての借地契約を堅固な建物所有目的に変更することを求めて借地条件変更の申立てをし、更に昭和六〇年三月七日申請土地のうち一番一六の土地についても武智哲夫を債務者として処分禁止の仮処分決定を得た。したがって、控訴人が本件土地を取得した後の昭和六三年及び同六四年の各一月一日時点において、控訴人が本件土地に対して行使することのできる権利は賃料請求権のみであった。」

2  同五枚目表二行目の「現在も」から九行目の「確実なのである。」までを次のとおり改める。

「控訴人が本件土地を取得した時点あるいはその後の昭和六三年及び昭和六四年の各一月一日時点において、本件土地には借地人としてみなみ商事が存在し、みなみ商事は本件土地を現に占有して使用するに止まらず、もっと積極的に本件土地に堅固な建物を建築し、本件土地を継続して使用するための一連の法的手段を講じていた。それゆえ控訴人が本件土地を取得しても、控訴人が本件土地を自ら利用することは全く不可能な状態にあった。そして、このような状態にある本件土地が投機の対象として不適格であること、そしてその一方において、本件土地はすでにみなみ商事に提供され、みなみ商事が本件土地を占有し実際に利用していることは客観的な事実として認められる。」

3  同五枚目裏七行目の「地変」を削り、一三行目の「利用」の前に「水準の」を加え、同六枚目表九行目の「当該土地の」から一一行目の末尾までを「右基準に適合する建物又は構築物が基準日に存在しない場合においては、たとえ所有者が投機目的で当該土地を所有するものでないとしても、また、当該土地に借地権等が設定されているとしても、それらの事情が斟酌される余地はなく、免除の対象とはならないと解すべきである。これを本件土地についてみると、本件基準日においては、焼損した本件建物の残骸が放置されているのみの状態であり、前記基準に適合する建物又は構築物が存在しなかったのであるから、たとえ前記二の1前段の事実があったとしても、それのみでは法六〇三条の二第一項一号に該当するものとはいえない。」と改める。

4  同六枚目表末行及び同裏一行目から二行目にかけての各「うけよう」を「受けよう」と改め、一〇行目の「場合や」の次に「、」を加え、一一行目の「ようなとき」を「ときのように」と改め、同七枚目表一〇行目の「原告は、」の次に「前記のとおり」を加える。

三当裁判所も、控訴人の本訴各請求はいずれも理由がなく棄却すべきものと判断する。その理由は次のとおり付加、訂正、削除するほかは、原判決事実及び理由「第四争点に対する判断」に記載のとおりであるから、これを引用する。

1  原判決七枚目裏九行目の「第一〇号証の二」の次に「、第一五号証、第一八ないし第二〇号証、第二四号証」を、一一行目の「本件土地」の次に「及びその周辺の土地合計約三九七平方メートル」を、「借りうけ」の次に「、昭和三四年一二月一三日」をそれぞれ加え、一二行目の「建物(第一みなみビル)」を「本件建物」と改め、同八枚目表二行目の「昭和」の前に「その間の」を加える。

2  同八枚目表五行目の「をし、」から末尾までを次のとおり改める。

「をした。これに対し武智哲夫は、昭和六〇年札幌地方裁判所にみなみ商事を被告として地上の焼失残骸を収去して本件土地の明渡を求める訴訟を提起し、同訴訟ではみなみ商事の借地権の存否をめぐって争われ、平成元年には本件土地の所有権を取得した控訴人が武智哲夫及びみなみ商事を被告として右訴訟に参加した結果、同年七月一八日同裁判所において、みなみ商事が借地権を有すること等を理由として武智哲夫及び控訴人の請求をいずれも棄却する旨の判決が言い渡された。その後、平成二年一二月二〇日右訴訟の控訴審である札幌高等裁判所において当事者全員の間に裁判上の和解が成立し、同和解において、控訴人はみなみ商事に対しみなみ商事が本件土地を含む前記土地について借地権を有することを確認した上、控訴人とみなみ商事とは、控訴人所有の本件土地中238.04平方メートルとみなみ商事の有する右借地権とを等価として交換することを合意し、これにより前記各紛争はすべて解決された。」

3  同八枚目表九行目の「相当な利用がなされている」を「相当程度の水準の利用がなされ、最終的な需要に供されていると認められるような」と、一〇行目の「課す」を「課する」と、同裏二行目の「客観的、外形的に」を「それに該当することが明確なものに限り、かつ、客観的、外形的な基準により」と、四行目の「まってとくに」を「待って特に」と、六行目及び一〇行目の各「建物」を「建物等」と、六行目の「むしろ」から七行目の「考慮し、」までを「右のような観点から」と、末行の「うけた」を「受けた」と、「一号」を「各号」とそれぞれ改める。

4  同九枚目表二行目の「甲第一〇号証の一」の次に「、第二五、二六号証、乙第六号証の一ないし五及び弁論の全趣旨」を加え、同行から三行目にかけての「第一みなみビル」を「本件建物」と、六行目の「あること」から七行目の「あるから」までを「あったが」と、八行目の「本件土地」から同裏一行目の「同号の」までを「右状態に変更の加えられることのなかったことが認められる。そうすると、右各時点において、本件土地に法六〇三条の二第一項一号及び施行令五四条の四七第一項各号に定める建物又は構築物が現に存在しなかったことは明らかであるから、本件土地が法六〇三条の二第一項一号の」と、二行目の「する」を「いう」とそれぞれ改める。

5  同一〇枚目表六行目の「建物」の前に「適法な」を加え、末行の「その他の」を「その他」と、同裏三行目及び四行目から五行目にかけての各「一〇八条一四の二」を「一〇八条の一四の二」と、四行目の「同」を「法六〇三条の二」とそれぞれ改め、五行目の「法六〇五条の二」の次に「(条例一〇八条の一四の六)」を加え、八行目の「書類の添付」を「書類を添付した減免申請書の提出」と改め、一三行目の「程度」の次に「水準の」を、同一一枚目表八行目の「甲第一二号証」の次に「、乙第八号証及び弁論の全趣旨」を、「本件否認処分(一)」の次に「、(二)」をそれぞれ加え、同行の「申請の」を「各」と改め、一〇行目の「右」の次に「各」を加え、一二行目の「し、」から末行の「ほかない」までを、同裏九行目の「原告主張のような事情があって、」をそれぞれ削る。

四よって、本件控訴を失当として棄却することとし、控訴費用の負担について民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 仲江利政 裁判官 河合治夫 裁判官 髙野伸)

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