札幌高等裁判所 昭和25年(う)668号 判決
原判決挙示の証拠を綜合すると原判決認定の通り被告人は奈良県水産株式会社の代理人として訪れた桝谷千代治・金束鑚の両名に対し判示みがきにしんを公定価格を超過した判示価格で販売したことは明かな事実であつて被告人が右みがきにしんを留萠漁業会に供出して売渡し桝谷・金の両名が同漁業会から買受けたというのは当時みがきにしんは配給統制物資であつた為そのルートを利用することが最も安全に目的を達し得る方法であつたところから留萠漁業会の係員菊地優の諒解を得た上その手段として形式的に之を利用し公定価格との差額は被告人が直接桝谷等から受取りみがきにしんは生産者の被告人が公定価格で留萠漁業会に売渡し買主の桝谷等が同漁業会を介しこれを公定価格で統制機関の北海道水産業会から買受け本件取引が恰も正式ルートにより且つ公定価格による売買であるかの如く巧みに仮装した形式に過ぎないことであつて留萠漁業会が手数料を徴収し代金の授受及びその請求につき当事者として関与したのもかかる事実に基く当然の帰結であることが認められるのである。
原判決には事実誤認や法令の解釋を誤つた違法はない。所論は右の如き仮装の形式的一面のみを捉え事実の真相に目をおうた立論で到底採用出来ない。