大判例

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札幌高等裁判所 昭和25年(ウ)30号 決定

申請人 前田太郎

被申請人 札幌市議会

一、主  文

本件申請を却下する。

二、理  由

申請人は、昭和二十四年十月十日開会同日閉会の札幌市議会第六回臨時会において札幌市議会が申請人に対して爲した除名処分は右処分に対する本案訴訟の判決確定に至るまで將來に向つてその処分の執行を停止する旨の決定を求め、その申請の理由とするところは、申請人は昭和二十二年五月札幌市議会議員に選挙せられ任期四年の札幌市議会議員となつたところ、申請の趣旨記載の札幌市議会において申請人が無礼の言辞を使用したとの理由で申請人に除名の懲罰を科する旨の決議をなし、これを科する処分を爲した。しかし申請人は唯この事実に基いて眞実を直言したまでであつて、申請人の発言が地方自治法第百三十二條に違反することにはならないのに拘らず、同議会においてはこれを同條違反と断じ、同法第百三十四條及び札幌市議会規則第八十條を適用したのは不当に法を適用したものといわざるを得ないので、申請人は昭和二十四年十一月七日附を以て札幌地方裁判所に違法行政処分取消の訴を提起し、その訴訟は昭和二十五年九月五日申請人勝訴の判決があつた。しかして申請人の市議会議員の任期は昭和二十六年四月を以て満了するものであるが、被申請人がなお訴訟上の抗爭を続けその状態を継続するときは申請人の地位は今後徒らに永く不定のままに経過して結局は任期満了に至り、事実上確定的に議員の地位を失つたと同一の状態となり、その間経過し去つた除名処分の執行せられた期間については後に至つて、たとえ勝訴の判決が確定しても、これを恢復するの途なく、申請人の権利に対する侵害と被むつた不名譽とはついに全く償うことができないものであるから、申請人は本件申請をするというにある。(疎明省略)

申請人がその主張のような除名処分を受けた事実は右疏明書類によつて認めることができ、申請人は右除名処分取消の訴を提起し第一審において勝訴の判決を受け、その控訴が当裁判所に係属中であるが、右除名処分の執行に因つて生ずべき損害を避けるためその執行を停止し、申請人をして札幌市議会議員たる地位を仮に回復せしめなければならないという緊急の必要があることは申請人の疏明によつてはこれを認めるに足りないので、本件申請は理由がないものとし、主文の通り決定する。

(裁判官 浅野英明 藤田和夫 臼井直道)

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