札幌高等裁判所 昭和26年(う)576号 判決
本件起訴状に記載せられた公訴事実は「被告人は法定の除外事由がないのに拘らず昭和二十四年九月一日頃より昭和二十五年十月頃迄の間札幌市南十条西九丁目の自己所有木造二階建柾葺家屋の一部を間貸しの額を契約するに当り二階新築費として千葉スミ名四名より別表の通りの額を受領することの契約を為し以て各その頃新築費名下に金九万円を受領したものである。」というのであつて罰条として地代家賃統制令第十二条、第十八条を掲げている。起訴状の右記載によると本件は同令第十一条所定の造作に関する負担については同条によつて準用せられている同令第六条第一項により北海道知事の許可を受けなければならないのに拘らず被告人はその禁止を免れる行為をしたという事実が訴因であるとは解することが出来ないのである。然るに原判決書の記載によると原審は「被告人は昭和二十四年八月頃自己所有の札幌市南十条西九丁目七百四十二番地所在木造トタン葺平屋建家屋一棟を改築しこれに二階を新設したものであるが同年八月二十九日頃より昭和二十五年十月二日頃までの間肩書自宅において千葉スミ外四名に対し右二階の一部を賃貸するに当り右新築造作に関する負担について借主と契約する場合には北海道知事の許可を受けなければならないにも拘らず同人等から新築費名義の下に別表記載の通り金額を受領することを契約しその頃合計金九万円の支払を受け、以て地代家賃統制令第十一条、第六条第一項による禁止を免れる行為をしたものである。」という事実を認定し同令第十二条、第十一条、第六条第一項、第十八条第一項第三号、罰金等臨時措置法第二条第一項を適用処断しているのであるから原審は審判の請求を受けない事件について判決した違法があると言はなければならない。此の点の論旨は理由がある。