札幌高等裁判所 昭和26年(う)718号 判決
検事の指摘する証拠によると被告人は西本政吉に対し昭和二十三年九月下旬頃から翌二十四年十月下旬頃迄の間西本政吉に対し塩酸モルヒネ末を一回に〇・五瓦乃至〇・二五瓦宛合計四七・四瓦を譲渡したことは一応窺えるけれども本件において起訴せられ、原審が認定した事実はそのうちの昭和二十三年九月頃約〇・五瓦、同二十四年十月末頃約〇・五瓦を譲渡したという二個の行為だけであつてその余の行為は検事も起訴せず従つて原審も亦犯罪事実として認定せず本件に於ては全く審判の対象となつていないもので原審認定の犯罪事実とは併合罪の関係にある事実である。このように併合罪のうちその一部のみが起訴審判せらるゝ場合に於ては他の余罪たる部分についてたとえ一応有罪の心証か得られたとしてもそれは被告人の防禦が尽されている訳でもないので、これを有罪と断じ全面的に被告人の為不利益な犯情として刑の量定に斟酌することは出来ないものと言はなければならない。