大判例

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札幌高等裁判所 昭和26年(う)739号 判決

一、国民が犯罪の捜査に協力することは治安維持の上から望ましいことであつて之を禁ずべき理由がない。ただ其の協力が適当な範囲を逸脱して基本的人権を犯すようなことがあつてはならないことは勿論である。本件事犯の捜査にあたり雄別炭砿株式会社の労務課員が之に協力したことは所論の通りであるが右は本件ビラを蒐集した程度で不当と目すべきものはない。従つて本件捜査及之に基く公訴は適法であつて何等憲法に違反するところがない。

二、原審が被告人の許可願により弁護士でない土屋悦郎を所謂特別弁護人に選任することを許可したのは昭和二十六年六月十八日であつて当時はまだ被告人には弁護士である弁護人が選任されていなかつたことは所論のとおりである。しかし刑事訴訟法第三十一条第二項但書が地方裁判所に於て所謂特別弁護人の選任が許されるのは他に弁護士の中から選任された弁護士がある場合に限る旨定めたのは地方裁判所の事件の重要性に鑑み主として公判手続に於て被告人の利益を護る為めに弁護人中少くとも一人は法律的知識を有する弁護士でなければならないとしたものと解すべきである。しかして本件においては被告人の為国選弁護人として更に弁護士佐藤忠輝が原審第一回公判期日の二日前である昭和二十六年七月二日に選任され右両弁護人は原審公判の審理に関与しておることは一件記録に徴して明らかであり結局前記規定の趣旨に反するものがなかつたことが認められるから本件に於る所謂特別弁護人の選任手続の瑕疵は前記弁護士佐藤忠輝を国選弁護人に選任したことによつて治癒されたものと解するを相当とする。

(後略)

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