大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 昭和26年(ネ)249号 判決 1952年3月12日

控訴人 被告 嶋喜代三 外二名

訴訟代理人 庭山四郎

被控訴人 原告 青山伍郎

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人等の負担とする。

事実及び理由

控訴代理人は最初になすべき口頭弁論の期日に出頭しないのでその提出にかかる控訴状に記載した事項はこれを陳述したものとみなした。

本件控訴の趣旨は、原判決を取消す、被控訴人の請求を棄却する、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とするとの判決を求めるというにあり、被控訴人は控訴棄却の判決を求めた。

當事者双方の事実上の陳述は、控訴代理人において、本件消費貸借契約はその利息月一割五分であり暴利行為を内容とするもので民法第九十条に反し全部無効であると述べたほかは、原判決の事実摘示と同一であるからこれを引用する。

よつて判断するに、被控訴人が控訴人等及び訴外室岡省三を連帯債務者として、昭和二十五年五月二十日金十万円、同年同月二十九日金七万円を、いずれも利息日歩五十銭、弁済期同年六月三十日の約定で貸与したこと、控訴人等が弁済期をすぎてもその支払をしないことは当事者間に争がなく、利息月一割五分の定めがあつてもそれが暴利行為として民法第九十条により消費貸借契約全部の無効をきたすものでないことはいうをまたない。そうとすれば控訴人等は連帯して被控訴人に対し、右二口の貸金合計金十七万円及びこれに対する各弁済期の後である昭和二十五年七月一日から完済にいたるまで民事法定利率である年五分の割合による遅延損害金を支払う義務があるから、これが支払を求める本訴請求を認容した原判決は正当であつて、本件控訴は理由がない。

よつて民事訴訟法第三百八十四条、第九十五条、第八十九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 浅野英明 裁判官 熊谷直之助 裁判官 臼居直道)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例