札幌高等裁判所 昭和28年(う)100号 判決
同時に刑を加重減軽すべきときは刑法第七十二条に規定する順序に依るべきところ、原判決の法令の適用を見ると、同法第二百三十五条第六十条、同法第二百五十六条第一項、第四十五条、第四十七条、第十条、第五十六条、第五十七条、第五十九条を適用していることが明かである。そうすると原判決は先づ併合罪の加重をして、然る後に再犯加重をしたことが認められ法令の適用を誤つたのであることは、所論のとおりである。そして原判決は刑法第五十九条を適用しているのであるが、原裁判所で取調べた前科取調の照会に対する静内区検察庁の回答書によると、被告人は昭和二十三年十二月二十日札幌高等裁判所で放火未遂罪により懲役二年に処せられ三年間右刑の執行を猶予されたものであるが(同月二十六日確定)その執行猶予期間内である昭和二十四年四月十六日岩見沢簡易裁判所で窃盗罪により懲役十月に処せられたことが明瞭である。故に右前刑は累犯関係の前科とならないのであるから、刑法第五十九条を適用したのもまた法令の適用を誤つたものといわなければならない。以上のように原判決は各法令の適用を誤つたものであるといわなければならない。以上のように原判決は各法令の適用を誤つたものであるが、これをもつて直ちに判決に影響を及ぼすものということはできないが、職権で調査すると本件は累犯加重及び併合罪の加重をなす場合にあたり、原判決のように加重の順序を誤つたとしても同じく懲役二年以上となるので、いずれにしても、刑法第一四条の制限内でその刑を加重すべきに、原判決はその適用をしていないのであつてこの点においても法令の適用に誤があり、この誤は判決に影響を及ぼすことが明らかであるから原判決はこの点で破棄を免れない。所論のみでは直ちに判決に影響があるとはいえないが、結局右の者に関連をもつものであるから、この点において論旨は理由がある。