札幌高等裁判所 昭和28年(う)107号 判決
弁護人の控訴趣意第二点(事実の誤認若しくは判決に影響を及ぼすべき理由のくいちがい)について。
原判決に所論(1)(2)(3)のごとく、犯罪の日時或は被害品の数量につき判示と証拠とが一致しない点のあることは正しくそのとおりであるが、(1)の点は明かに判決書の誤記と認められ、又(2)(3)の点につき考えて見るに、犯罪の日時は法律上別段の定め(例えば日出前又は夜間においてというごとき)のない限り、主として犯行の同一性を特定する事項だけに止り、罪となるべき事実に該当しないものであるから、判決書にこれを表示するには犯行の同一性を特定する事項に足る程度を以て足り、必ずしも数学的の正確を要するものではなく、また、必ずしも常にその証拠を判決書中に挙示せねばならぬものでもない。従つて判決書に表示された犯行の日時に多少の正確を欠くところがあり、若しくはその挙示された証拠と一致しないところがあつても判決を破棄するに足る欠点とすることはできない。その故に原判決が所論のごとく六月一日の犯行を六月中(中旬の意)と、また八月十日頃の犯行を八月二日と誤つて判示したとしても、これらの欠点は原判決には影響を及ぼさないことが明白であるから、所論は採用するに足らない。