大判例

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札幌高等裁判所 昭和28年(う)802号 判決

凡そ不法に領得するの意思を以て事実上他人の支配内に存する物件を自己の支配内に移したときは窃盗罪はここに完全に成立し必ずしも犯人がその物件を自由に処分することができる安全なる位置に持去ることを必要としない。しかして原判決挙示の証拠によれば、被告人は夕暮時札幌神社の塀に上り、屋根に葺いてある銅板五六十枚をのみを用いて剥ぎ取り、全部地上に下して積み重ね、一括するばかりにしていたことが認められるから、これによつて被告人は右銅板を自己の事実上の支配内に移したものというべく、従つて仮令その直後巡査に逮捕されまた該賍物が被害者に返還されたとしても、その行為は窃盗の既遂罪を構成するものであつて、これを指してその未遂であるというのはあたらない。しからば原判決が右所為に対し刑法第三百三十五条を以て処断したのは相当であつて論旨は理由がない。

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