大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 昭和31年(ネ)172号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔判決理由〕昭和二九年一一月末、本件船舶が枝幸郡枝幸町目梨泊オキナイ海岸沖に坐礁沈没しており、船首部分は既に分離してその残部のみとなつていたこと、その所有権は、当時訴外佐藤辰平に属したことは、当事者間に争いがない。<中略>

本件船舶のような状態にある動産については、現実の引渡しは不可能であるから、引渡しは、当事者が現場に赴いてなす必要はなく、当事者間において物件の実力的支配を移転する趣旨の合意があり、それに基いて買主が物件を事実上その支配下におけば、一般取引上の通念から、引渡しがなされたものと見るべきである。そこで、右認定のように、二重売買が行われ(甲第八号証の二が偽造であつたことは、佐藤辰平と控訴人間の売買契約の効力を左右するものでないことは、いうまでもない。)、両買主とも、売主から引渡しの合意を受けた場合にあつては、いずれの買主が優先するかは、契約締結の先後にかかわらず、いずれの買主が引渡しを受けたか、すなわち、売主との合意に基いて本件船舶を事実上支配するに至つたのは、いずれであつたかによつて定まるものといわなければならない。<後略>(伊藤淳吉 臼居直道 倉田卓次)

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!