大判例

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札幌高等裁判所 昭和32年(う)173号 判決

所論は、まず、原判示第一の火薬類は、被告会社がその下請負をした自動車道橋梁災害復旧工事に使用するため、元請負人浜塚清において北海道知事の指示を得た安全な場所である火薬類貯蔵庫から一日分の必要量だけを出庫して被告会社の飯場事務所内に一時保管したにとどまり、何等貯蔵自体を目的としたものではないから、貯蔵にはあたらないとして事実誤認を主張するのであるが、しかし、いやしくも火薬類を使用する土木工事等の施業者は、その危険予防の見地からその貯蔵場所に充分な注意を払う必要のあることはいうまでもなく、火薬類取締法第一一条が原則として火薬庫以外に火薬類を貯蔵することを許さず、同条但書にもとずく除外例として同法施行規則第一五条第五号に該当する場合といえども、火薬類を消費地を管轄する都道府県知事の指示する安全な場所に貯蔵すべきことを命じている点から考察すれば右にいう貯蔵はこれを厳格に解すべきこと多言を要しないというべきところ、原判決挙示中原判示第一事実の関係証拠を総合すると、被告会社は、下請負とはいいながら、火薬類を使用する自動車道橋梁災害復旧工事の独立した施業者であるにもかかわらず、すでに元請負者において火薬類の貯蔵場所を有する以上、下請負者においては別にその必要はないものとし、たまたま右工事の元請負者である浜塚清が正規の手続を経てその火薬類貯蔵庫に貯蔵している火薬類につき、自己の工事についての使用に便ならしめるため、随時必ずしも一日分と限定することなく出庫し、その使用に至るまで何等法の要求する貯蔵場所を顧慮することなく、漫然原判示被告会社の飯場事務所内にこれを停滞させることを常例とし、本件火薬類もまたその過程にあつたものであることが認められる。してみると、被告会社は、単に右浜塚清の火薬貯蔵所から被告会社の工事現場まで火薬を運搬する途上一時的にこれを停滞せしめたものでなく、本件火薬類を何時でも自己の工事に使用し得るよう、それを使用するまでの間継続的に被告会社の飯場事務所内に格納してこれを保管したものというべく、右は火薬類取締法第一一条にいう貯蔵にほかならない。原審で取調べた証拠中本件火薬類は貯蔵にあたらない旨の記載部分は結局法の不知に帰し、右判断をくつがえす資料とはなし難い。その他記録を調べてみても原判決には所論のような事実の誤認はない。

(裁判長裁判官 豊川博雅 裁判官 羽生田利朝 裁判官 中村義正)

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