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札幌高等裁判所 昭和35年(く)22号 決定 1960年12月27日

少年 N(昭二〇・一・一二生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告理由は抗告人提出の抗告申立書記載のとおりであるからここにこれを引用する。

所論は原審の少年に対する措置は著しく不当であると論難し少年に対しては在宅保護の方途を選ぶべきであると強調する。

しかし一件記録により認められる本件非行の動機、態様、この種事犯の社会に及ぼす影響、高等感情未発達で社会性、克己心に乏しく暴力的傾向の認められる少年の性格、限界域にあるその精神知能、非行前後の不健全な生活態度に鑑みかつ少年の家庭環境、中学校よりの再三の注意にも具体的な方途は何一つ実行しなかつた父母の補導能力の劣弱に思を致すときは、少年に対しては合理的かつ綜合的な矯正教育を施してその性格を矯正し、社会に対する適応性を体得せしめることを策するのは当然の措置といわなければならない。これと同一の所見のもとに原審が少年を中等少年院に送致する措置を選んだのはまことに適切妥当である。論旨は理由がない。

なお、職権をもつて一件記録を精査した結果に徴しても、原決定を取消さねばならない瑕瑾は存しないので、本件抗告はその理由がない。

よつて少年法第三三条第一項少年審判規則第五〇条に従い主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 矢部孝 裁判官 中村義正 裁判官 小野慶二)

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