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札幌高等裁判所 昭和36年(く)6号 決定 1961年4月17日

少年 M(昭一九・一一・二九生)

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告理由は抗告申立人提出の抗告申立書記載のとおりであり、これを要約するに、少年の将来は抗告申立人が少年の兄、Kと共に補導に努力することにより更生を期待でき得るから、この際在宅保護の方途を選ぶべきであるのに、少年を中等少年院に送致する旨の本決定は処分の著しい不当に該当するというに帰する。

しかし、一件記録により認められる本件非行の動機、回数、態様、社会適応性に欠ける少年の性格、魯鈍域にあるその精神知能、昭和三五年二月前件で保護観察処分に付せられた後の、保護司も所謂匙を投げ補導に自信を持てぬと云う少年の不健全な生活態度に鑑み、かつ少年の家庭環境、殊に中学生時代以降再三の注意にも何一つ具体的方途の実行ができなかつた父母の劣弱な補導能力、兄Kも年令一七歳の弱年で、その前歴等を考慮すると、少年を指導監督するには甚だ心もとない感を抱かざるを得ないことに思を致すときは、少年に対しては、合理的な矯正教育を施して、その性格を矯正し、社会に対する適応性を体得せしめることを考慮すべきで、在宅保護はもはやその限界を超えていると断定せざるを得ない。原審は全く右と同一見解の下に、少年に対し、中等少年院送致の措置を執つたものであり、極めて妥当適正である。論旨は到底採用することができない。

なお、職権をもつて一件記録を精査した結果に徴しても、原決定を取消さねばならない瑕瑾は存しないので、本件抗告はその理由がない。

よつて少年法第三三条第一項少年審判規則第五〇条に従い主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 矢部孝 裁判官 中村義正 裁判官 小野慶二)

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