札幌高等裁判所 昭和38年(く)16号 1963年12月25日
主文
本件抗告を棄却する。
理由
本件抗告の趣旨は抗告申立人等作成名義の抗告申立と題する書面に記載されたとおりであつて、要するに原決定には重大な事実の誤認があるということに帰する。
よつて本件少年保護事件記録、少年調査記録および児童記録票を仔細に調査すると、原審が認定した本件非行事実は優にこれを認めることができ何等事実誤認はない。
なお原決定中の保護処分に付する事由中に記載した「本年七、八月中においても兄Gらと共に二〇回前後の盗みを犯している」との点についても、少年は昭和三八年一〇月二八日の原審審判期日に、家庭裁判所調査官作成の非行事実一覧表を裁判官から示されて質問されたとき同表中自分が言つたことは全部相違ありません。ありのままことを正直に述べましたと陳述しているところからみても抗告申立人等の所論は全く理由がない。
少年を担当した△△小学校、札幌少年鑑別所児童相談所相談員および家庭裁判所調査官がすべて収容処分を必要とする意見であることは少年の要保護性の顕著であり、原決定が適正であることを単的に示しているものというべきである。原決定には何等法令の違反、重大な事実の誤認又は処分の著しい不当はない。
してみれば原審の少年に対する措置は相当であつて、本件抗告は理由がないから少年法第三三条第一項、少年審判規則第五〇条に則り主文のとおり決定する。
(裁判長裁判官 矢部孝 裁判官 中村義正 裁判官 萩原太郎)