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札幌高等裁判所 昭和50年(行コ)5号 判決 1976年3月25日

札幌市中央区北二条東一六丁目二番地

控訴人

芳武新一

右訴訟代理人弁護士

石坂健一

札幌市中央区北三条西四丁目

被控訴人

札幌中税務署長

堀彦久

右指定代理人

末永進

有倉照雄

上英雄

川端健太郎

右当事者間の課税処分取消請求控訴事件について、当裁判所は次のとおり判決する。

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴代理人は、「原判決を取消す。被控訴人が控訴人に対して昭和四〇年六月二三日付でなした昭和三七年分の控訴人の所得税額を金七一四、五八〇円とする決定及び無申告加算税額を金七一、四〇〇円とする賦課決定を取消す。被控訴人が控訴人に対して昭和四一年五月二日付でなした昭和三八年分の控訴人の所得税額を金三七四、一四〇円とする更正及び過少申告加算税額を金一八、七〇〇円とする賦課決定を取消す。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決を求め、被控訴代理人は控訴棄却の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠関係は、次に付加するほか、原判決事実摘示と同一であるからこれを引用する。

1  被控訴代理人は次のとおり述べた。

「本件係争年度分の青果物卸売業の収入金額の認定にあたり被控訴人が採用した同業者差益率の算定経緯は次のとおりである。

まず業種の同一性については、玉ねぎ、馬鈴しょを主な取扱品目とし、これらを移出している業者で組織され、且つ、控訴人自身も加入している北海道青果物移出商業組合に所属する組合員を対象とし、次いで立地条件を考慮して控訴人と同様札幌市に所在する同業者として控訴人を除く一八者を選定したが、このうち個人営業者である六者はいずれも白色申告者で記帳不備のために係争年度分の同業者率を求めるに足る資料がないのでこれを除外した。更に、その余の法人企業一二社中一社は営業主体が他業種であったためこれも除外し、残る一一社について控訴人との営業規模の類似性を求めるため仕入金額が控訴人と比較的近似する三法人を選出し、この三法人の確定申告書に添付の損益計算書により売買差益率を算出し、なお、本件のような玉ねぎを主体とした青果物卸売業は投機的な要素も多分に含まれていることを考慮し、本件係争年度のそれぞれに、右三法人中の最低の差益率を適用したのである。

従って、推計上他によるべき資料がないため被控訴人が右同業者の差益率を適用したことには合理性があり、これによる本件係争年度分の控訴人の収入金額の認定に違法はない。」

2  控訴代理人は、当審における新たな立証として、当審証人石見信雄の証言を援用した。

理由

一  当裁判所は、当審証人石見信雄の証言を考慮しても、控訴人の本訴請求は理由ないものと判断するものであってその理由とするところは、次のとおり付加、訂正するほか、原判決理由一ないし三(原判決一枚目裏四行目から九枚目表八行目まで)の記載と同一であるからこれを引用する。

1  原判決三枚目裏末行「第二〇号証の各記載」の次に、「当審証人石見信雄の証言」を加入する。

2  原判決六枚目裏五行目の「一七三、二〇七円」とある部分及び同六行目冒頭から同七行目の「認められる。」とある部分までをいずれも削り、同一四行目の末尾に続けて「しかし、成立に争いのない乙第一九号証の三には減価償却費として金一七三、二〇七円の計上記載があるものの、右は控訴人において単に結論的に右金額を記載しているに過ぎないものであるからこれのみでは減価償却の事由が具体的に存在していたか否かは明らかでないところ、他にこれを認めるに足る証拠はない。」を加える。

3  原判決六枚目裏末行に「<ソ>の必要経費額合計九、三二七、五三八」とあるのを<レ>の必要経費額合計九、一五四、三三一」と改める。

4  原判決七枚目表二行目に「二、六三八、二三五円」とあるのを「二、八一一、四四二円」と、同四行目に「(9,327,538)=2,638,235」とあるのを「(9,154,331)=(2,811,442)」と、同八行目に「三三七三、六六七」とあるのを三、五四六、八七四円」とそれぞれ改め、さらに、同九行目に「(2,638,235)」とあるのを「(2,811,442)」と、同じく「3,373,667」とあるのを「3,546,874」とそれぞれ改める。

5  原判決八枚目裏三行目の「三〇三、〇四六円」とある部分及び同四行目冒頭から同五行目の「認められる。」とある部分までをいずれも削り、同七行目末尾に「同様である。」とあるのを「同様である(ただし、「乙第一九号証の三」とあるのは「乙第二〇号証の三」と、「金一七三、二〇七円」とあるのは「金三〇三、〇四六円」と読み替える。)。と改める。

6  原判決八枚目裏八行目に「<ソ>の必要経費額合計八、〇四九、七三六」とあるのを<レ>の必要経費額合計七、七四六、六九〇」と、同一〇行目に「一、五五六、六六一円」とあるのを「一、八五九、七〇七円」と、それぞれ改め、さらに同一二行目に「(8,049,736)=1,556,661」とあるのを「(7,746,690)=1,859,707」と改める。

7  原判決九枚目表一行目に「二、二九二、〇九三円」とあるのを「二、五九五、一三九円」と改め、さらに、同二行目に「(1,556,661)」とあるのを「(1,859,707)」と、同じく「2,292,093」とあるのを「2,595,139」と、それぞれ改める。

8  原判決九枚目表三行目から四行目にかけて「三、三七三、六六七円」とあるのを「三、五四六、八七四円」と、同四行目に「二、二九二、〇九三円」とあるのを「二、五九五、一三九円」と、それぞれ改める。

二  よって、控訴人の本訴請求は失当であって本件控訴は理由がないから民事訴訟法第三八四条に従いこれを棄却し、控訴費用の負担につき同法第九五条、第八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 小河八十次 裁判官 落合威 裁判官 山田博)

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