大判例

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札幌高等裁判所 昭和56年(ネ)136号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

1 本件記録によれば、控訴人は、被控訴人南ら(訴訟承継前は、亡二郎。以下同じ。)に対する請求の趣旨として、「控訴人と被控訴人南らの間の本件土地の賃貸借契約にもとづく賃料は、昭和五四年三月一九日以後一か月金二五万円であることを確認する。」との判決を求め、その請求の原因として、原審においては、原判決事実摘示の主張欄一項1ないし6のとおり主張していた(当審においては、その主張を、別紙第一の一項1ないし3のとおり改めた。)から、これによると、その申立は、本件土地につき控訴人と被控訴人南らとの間に賃貸借の契約関係が存在することを前提とするものとみられるのに、その原審における主張では、本件土地につき控訴人を賃貸人、森川光雄を賃借人兼転貸人、被控訴人南らを転借人とする賃貸借と転貸借の各契約関係があつて、控訴人と被控訴人南らとの間には直接の賃貸借の契約関係は存しないとされているので、この点に申立と主張の間に矛盾があるが、本件記録上、原審は、その点につき申立または主張の変更等について釈明をした形跡はないのに、原判決では、その請求の趣旨(申立)が、「控訴人と被控訴人、南らとの間において、本件土地にかかる控訴人と森川光雄の間の賃貸借契約にもとづく賃料は、昭和五四年三月九日以後一か月金二五万円であることを確認する。」との判決を求めるものと事実摘示したうえ、この申立があることを前提に、控訴人の被控訴人南らに対する請求は、賃借人以外の者を相手方として賃料額の確認を求めるものであるから確認の利益を欠くと説示して、その請求にかかる訴を不適法として却下したことがそれぞれ認められる。

2 しかしながら、控訴人は、原審においては、当初からその申立としては、被控訴人南らとの間の本件土地についての賃貸借契約にもとづく賃料額の確認を求めているものであつて、その当事者以外の者との間の賃貸借契約にもとづく賃料額の確認を求めているわけではないから、たとえその請求の原因として主張されたところからみれば当事者間の賃貸借契約を否定する趣旨のものであり、あるいは証拠上その賃貸借契約が否定されるべき場合であつても、当該請求が主張自体失当または立証なしにより排斥されることはあつても、その請求にかかる訴が確認の利益を欠くことにはならないというべきであり、ほかにもその訴を不適法とすべき事由を見出すことはできないものである(念のため付言するに、当審において当事者が整理して陳述した事実によれば、原判決の説示するような確認の利益を欠くような法律関係を主張するものでないことは明らかであるが、訴訟判決に対する控訴審手続でかかる請求の原因の変更が許されるかどうかの問題があるが、その点は暫くおき、後記のように右請求部分が取消、差戻を受けるべき以上、かかる請求の原因の変更の当否は、差戻後の第一審において通常の訴の変更の当否として処理さるべきことになる。)。しかるに原判決は、控訴人の申立を控訴人と森川光雄との間の賃貸借契約にもとづく賃料額の確認を申立てたものと誤解して、その請求が賃借人を相手方とするものでないことを理由に、確認の利益を欠くものとして訴を不適法として却下したものであつて、その判断は法令に違背し、失当であり、右請求に関する原判決は、この点において既に取消を免れない。

(奈良次郎 澁川滿 藤井一男)

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