札幌高等裁判所 昭和57年(う)166号 判決 1982年12月27日
本店
札幌市中央区北五条西二五丁目一五番地
サン・ミート株式会社
右代表者代表取締役
亦野一晴
右の者に対する法人税法違反被告事件について、昭和五七年八月一〇日札幌地方裁判所が言い渡した判決に対し、弁護人から適法な控訴の申立があったので、当裁判所は、次のとおり判決をする。
主文
本件控訴を棄却する。
理由
本件控訴の趣意は、弁護人猪股貞雄提出の控訴趣意書に記載されたとおりであるから、これを引用する。
量刑不当の論旨にかんがみ、記録を精査して諸般の情状を検討すると、本件は、被告人会社の代表取締役において、被告人会社が和議認可の決定を受けていて銀行から融資を受けることを期待することができないため不況時に備え又は新工場の建設資金の用意としていわゆる裏金を捻出し、かつ役員らに支払ういわゆる裏報酬の資金を作ること等の目的で、被告人会社の業務に関し、原判示の方法によって、二事業年度を通じ合計四、三六二万七、六〇〇円の法人税をほ脱したという事案であって、犯行の動機、態様等において酌むべき事由が乏しく、犯行の方法も巧妙であり、ほ脱額を考慮し、この種事犯に対する量刑の一般的実情に照らすと、所論指摘の諸事情を参酌しても、原判決の科刑が重すぎて不当であるとは認められず、論旨は理由がない。(なお、原判決は「適条」の項において、被告人会社の判示各所為は各事業年度ごとに「昭和五六年法律第五四条脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条一項」に該当するとの記載があるが、右は「昭和五六年法律第五四号脱税に係る罰則の整備等を図るための国税関係法律の一部を改正する法律による改正前の法人税法一六四条一項、一五九条」の誤記と認める。)
よって、刑事訴訟法三九六条により本件控訴を棄却し、主文のとおり判決する。
検察官寺西賢二公判出席
(裁判長裁判官 渡部保夫 裁判官 仲宗根一郎 裁判官 大渕敏和)
○ 控訴趣意書
昭和五七年一一月一八日
右弁護人 猪股貞雄
札幌高等裁判所
御中
控訴趣意書
本件については、原判決の刑の量定についてご再考願いたく、控訴の申立をしたものです。
即ち、本件については、被告人が道義的、法律的責任を感じ、自発的に脱税の申告をなし、加算税を含めて全額支払を済ませています。
よって、右加算税により、国庫はかえって増収となり、その分被告人は経済的制裁を受けています。
更に、本件については、その総収入に比べて脱税額の比率は小さく、被告人の反規範性も小さく犯情も軽いものと思われます。
よって、罰金刑の金額について、更に軽減されるよう、お願い申し上げます。