札幌高等裁判所 昭和58年(ネ)23号 判決 1986年10月16日
控訴人
宮下国夫
被控訴人
木古内町
右代表者町長
安川亨
右訴訟代理人弁護士
平沼高明
同
関沢潤
同
堀井敬一
同
野邊寛太郎
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実
一 当事者の求めた裁判
1 控訴の趣旨
(一) 原判決を取り消す。
(二) 被控訴人は、控訴人に対し、金一〇〇〇万円及びこれに対する昭和五五年四月一〇日から支払ずみまで年五分の割合による金員を支払え。
(三) 訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。
2 控訴の趣旨に対する答弁
主文同旨
二 当事者双方の主張及び証拠の関係は、原判決の事実摘示及び本件訴訟記録中の当審における証人等目録の記載と同一であるから、これを引用する。
理由
一当裁判所は、当審における新たな証拠調べの結果を斟酌しても、控訴人の本訴請求は失当と判断するものであつて、その理由は、原判決七枚目裏七行目の「遠位部を」から同八行目末尾までを「遠位部のプレートは、当初四本の螺子で固定しようとしたが、そのうちの一本がどうしても骨折面に入ることとなるので、これを抜去し、残りの三本でも可動性はなく、充分な固定性が得られたため、三本で固定した。なお、遠位部は顕著な斜骨折であつたことから、右三本のうちの二本が骨折線に入る状態で固定された。」と同八枚目裏五行目の「三〇日」を「三一日ころ」と、同一一枚目裏四行目から同九行目までの全文を「斜骨折の場合、骨折線が長いので、螺子が骨折線に入らないよう離すとすれば、その固定力が非常に弱まる結果となるので、骨折線に入らないように螺子を打つことは困難であるし、斜骨折は、横骨折に比して、骨折面が広いだけに癒合しやすい。本件の遠位部の骨折は、顕著な骨折であつたため、これらの事情が考慮された結果、遠位骨折部の螺子二本が骨折線に入る状態で固定された。」と、同一二枚目表一行目の「骨折線と交わる」を「あり、右骨折部分の近位端から」と、同裏三行目の「他方において」から同五行目の「考慮すると」までを、「前記(二)に認定した森医師が骨折線と交わるよう螺子を入れた理由にも十分合理性が存すると考えられるので、大島証言(原審)の」をそれぞれ改めるほかは、原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。
二以上によれば、控訴人の被控訴人に対する本訴請求は失当であるから、これを棄却した原判決は相当であつて、控訴人の本件控訴は理由がないのでこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき民事訴訟法八九条、九五条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官丹野益男 裁判官松原直幹 裁判官岩井 俊)