札幌高等裁判所 昭和58年(ネ)241号 判決 1986年5月15日
控訴人(原告) 清水昭司 外四六五名
被控訴人(被告) 帯広市
主文
本件控訴をいずれも棄却する。
控訴費用は控訴人らの負担とする。
事実
一 控訴人らは、控訴の趣旨として、「原判決を取り消す。被控訴人は、控訴人らに対し、それぞれ別紙一請求金額目録記載の各金員を支払え。訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。」との判決並びに仮執行の宣言を求め、被控訴人は、控訴の趣旨に対する答弁として主文同旨の判決を求めた。
二 当事者双方の主張及び証拠の関係は、主張につき次のとおり付加、訂正、削除し、証拠につき原・当審における書証目録及び証人等目録の記載を引用するほかは、原判決の事実摘示と同一であるからこれを引用する。
1 原判決三枚目表七行目の「所属する者である」の次に「(以下控訴人又は原告という場合、一部の控訴人又は原告については、訴訟承継前の第一審原告を指す場合と、訴訟承継後の控訴人を指す場合とがある。なお、一部の控訴人らの承継関係は別紙二承継関係目録記載のとおりである。)」を加える。
2 同六枚目表一行目の「施行規定」を「施行規程」に改め、同行目の「による。また」を削る。
3 同七枚目裏四、五行目の「被告」を「被告の」に改める。
4 同九枚目表三行目及び同四行目の各「本件各裁定」の次にそれぞれ「書の」を加える。
5 同一一枚目裏末行の次に改行の上、「(三)仮に、市職労に仲裁申請資格が存しないとしても、その瑕疵は重大かつ明白であるとはいえないので、本件各裁定は無効であるとはいえない。」を加える。
6 同一四枚目三行目の「義務があり」の次に「(それゆえ、労働協約の実施に関し、経費の流用及び予備費の充用につき予算執行者の裁量を問題とすべき余地はなく、したがつて、この点の予算執行者の経費の流用及び予備費の充用の決定は不要である。このことは、仲裁裁定の実施に関しても妥当するものである。)」を加える。
理由
一 請求原因1(当事者)及び2(協定の成立と仲裁裁定)の各事実(控訴人らに対する調整手当支給の根拠規定の点は除く。)は、いずれも当事者間に争いがない。
二 そこで、判断するに、本件は、本件協定及び本件各裁定が、いわゆる混合組合たる市職労の労働協約締結権及び仲裁申請資格との関係でそれぞれ労働協約ないし仲裁裁定としての効力を有するか否かをも争点とするものであるが、当裁判所は、仮に、本件協定中の本件差額分及び本件各裁定が控訴人らに関する限りそれぞれ労働協約ないし仲裁裁定としての効力を有するとしても、本件協定中の本件差額分及び本件各裁定は、予算上又は資金上の実施可能性の点から、その効力を有しないものと判断するところ、その理由は、次のとおり付加、訂正するほかは、原判決二七枚目表八行目から同三四枚目表末行までの理由説示と同一であるからこれを引用する。
1 原判決二八枚目裏末行の「流用するこち」を「流用すること」に改める。
2 同三二枚目裏一行目の「混合組合」の前に「いわゆる」を加え、同四行目の「相当である。」の次に「仮に、右のように市議会により不承認とされたものであるとまでいえないとしても、本件協定中の本件減額分について市議会により承認がなされていないことには変わりがない。」を加える。
3 同三二枚目裏一〇行目の「主張するが、」の次に「既に述べたとおり、本件協定中の本件減額分が予算上実施可能か否かは右協定締結時を基準とすべきであり、したがつて、その後不用額が生じたとしても、当然には予算上執行可能となるものではないところ、」を加える。
三 以上の次第であつて、本件協定中の本件差額分及び本件各裁定はその効力がないから、これが有効であることを前提とする控訴人らの本訴請求はその余の点について判断するまでもなく理由がない(なお、本件において、本件協定及び本件各裁定がいわゆる混合組合たる市職労の労働協約締結権及び仲裁申請資格との関係でそれぞれ労働協約ないし仲裁裁定としての効力を有するか否かをも重要な争点とし、立証活動も行われたものであるが、当裁判所としては、控訴人らの本訴請求は、前記の理由により失当であることが明らかであると判断するので、右争点については更に判断しないこととする。)のでこれを棄却すべきところ、これと結論を同じくする原判決は相当であるから本件控訴はいずれも理由がないので民事訴訟法三八四条によりこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき同法八九条、九三条及び九五条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判官 奈良次郎 柳田幸三 中路義彦)
(別紙一請求金額目録、別紙二承継関係目録 省略)