札幌高等裁判所 昭和58年(行ケ)1号 判決
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【判旨】
そこで、請求の原因3の事実(本件選挙の無効原因)が認められるか否かについて判断する。
1請求の原因3(一)(1)について
原告らが請求の原因3(一)(1)において本件選挙の無効を基礎づける根拠法令としてあげる法五三条、令四三条の各規定は、選挙の当日の投票終了後の投票箱の閉鎖に関する規定であるから、これをもつて選挙当日前になされる不在者投票期間中の不在者投票の送致及び措置の違法を主張する根拠法令となしえないことは明らかであつて、この点の原告らの主張は失当というべきである。
また、そもそも、原告ら主張の事実中、本件選挙において不在者投票の保管に際し、町選管の職員による投票用紙の改ざん等の不正行為ないしそのおそれがあつたとの点については、これを認めるに足りる証拠はなく、かえつて<証拠>によれば、次の事実が認められ、他にこの認定を覆すに足りる証拠はない。
本件選挙に際し、余別支所及び入舸支所において行われた不在者投票については、選挙の期日の告示の日である昭和五七年七月一八日から選挙の期日の前日である同月二四日までの期間中、余別支所において不在者投票事務に従事した町選管の書記が、取扱い時間終了後、当日分をとりまとめ、入舸支所の分と併せて本庁に持ち帰り、その際、持ち帰つた職員と不在者投票を受領した職員が、本庁において当日分の枚数及び異状の有無を確認し、「不在者投票事務処理簿」に記録したうえ、引き渡しが行われた。そして、不在者投票は、期間中小型の投票箱に入れて三個の鍵で施錠し、それをさらに大型の投票箱に入れて同じく三個の鍵で施錠し、それらの鍵は町選管書記長の渡辺仁吉が所持し、町選管の書記次長の益子清美がこれを退庁時には積丹町コミュニセンター婦人研修室に保管し、同室を施錠し、その鍵は同人が所持していた。
したがつて、右事実によれば、町選管の職員によつて、不在者投票期間中、不在者投票用紙が怠りなく適切に管理されておりその改ざん等の不正行為ないしそのおそれがあつたと認めることはできなく、令六〇条、六二条の規定に違反するものとはいえないので、この点において、本件選挙に違法はない。
2請求の原因3(一)(2)について
法三八条は選挙当日の投票所における投票立会人の資格、数等について規定したものであつて不在者投票における立会人の数については令五六条二項の規定するところであるから、法三八条の適用はない。したがつて、この点、不在者投票の立会に関し、法三八条の適用があることを前提とする原告らの主張は失当である。
そして、令五六条二項は、不在者投票管理者は、不在者投票において選挙権を有する者を立ち会わせなければならないとしているが、これは、立会人として選挙権を有する者が一人以上立ち会えば足りるとの趣旨であつて、そうした者が一人でも立ち会えばその者が選挙管理委員会の職員としての立場にあるものであつても必ずしも違法とされるものではないところ、<証拠>によれば、本件選挙における不在者投票に際し、各投票所には不在者投票管理者の職務を代行する者が在席したほか、町選管の職員を含めて選挙権を有する者が一人以上立ち会つていることが認められ、これによれば、本件選挙の不在者投票に際し、立会の手続に関し違法となるべき事由は認められない。
3請求の原因3(一)(3)について
証人林欣司は、この点について、昭和五七年七月二五日、第一投票区投票所において、取り集められた不在者投票の投函に際し、町選管の職員である菊谷祐二は、不在者投票用紙を外部から見える状態で、開いたまま投票箱に投函したと証言するが、右証言は、<証拠>に照らして、たやすく信用することができず、他に右事実を認めるに足りる証拠はない。
かえつて、<証拠>によれば、昭和五七年七月二五日の本件選挙の第一投票区投票所における不在者投票の開封、投函に際し、送致を受けた不在者投票につき、投票所事務従事者は投票管理者及び投票立会人の面前で開封すると同時に、投票管理者及び投票立会人に外封筒、内封筒及び投票用紙の各枚数の確認を受けた後、二つ折りのまま、これを閉じた状態で投票箱に投函したことが認められる。したがつて、本件選挙において選挙人の投票の秘密が侵害されたとの事実及び開票の手続に違反したとの事実は認められないので、この点は違法は存しない。
4請求の原因3(一)(4)について
<証拠>によれば、本件選挙において無効投票中白紙投票が一〇票あつたことが認められるが、右白紙投票が町選管の担当職員によりすりかえられたとの点については、本件全証拠によつてもこれを認めるに足りない。したがつて、原告らのこの点の主張は理由がない。
(奈良次郎 柳田幸三 中路義彦)