大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

札幌高等裁判所 昭和59年(行コ)1号 判決 1984年8月09日

控訴人 納谷興平

被控訴人 北見税務署長坂下弘志

<ほか一名>

右被控訴人ら指定代理人 金田茂

<ほか三名>

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は、「一、原判決を取消す。二、主位的請求、1、被控訴人北見税務署長(以下「被控訴人署長」という。)が昭和五三年一月二〇日付で控訴人の昭和四五年分贈与税に係る過誤納金のうち八八万四、〇〇〇円を控訴人の同年分所得税の税額に充当した処分を取消す。2、被控訴人札幌国税局長(以下「被控訴人局長」という。)が(一)、昭和五三年二月三日付で控訴人の昭和四五年分贈与税に係る過誤納金のうち一五万五、一〇〇円を控訴人が被相続人納谷大次郎(以下「大次郎」という。)から相続により法定相続分の割合に応じて承継した同人の昭和四五年分所得税の税額(以下「本件承継税額」という。)に充当した処分を取消す。(二)、昭和五三年四月二〇日付で控訴人の昭和四五年分贈与税に係る過誤納金の還付加算金四四万一、八〇〇円を本件承継税額に充当した処分を取消す。(三)、昭和五三年四月二〇日付で控訴人の昭和四五年分所得税に係る過誤納金のうち六万四、四三三円を本件承継税額に充当した処分を取消す。三、予備的請求、1、被控訴人署長がした前項1記載の充当処分が無効であることを確認する。2、被控訴人局長がした前項2、(一)ないし(三)記載の各充当処分がいずれも無効であることを確認する。四、訴訟費用は第一、二審とも被控訴人らの負担とする。」との判決を求め、被控訴人らは主文と同旨の判決を求めた。

当事者双方の主張及び証拠の関係は、原判決の事実摘示及び本件記録中の当審における書証目録の記載と同一であるからこれを引用する。

理由

当裁判所も、控訴人の主位的請求1の訴及び予備的請求の各訴をいずれも不適法として却下し、その余の主位的請求を失当として棄却すべきものと判断するものであって、その理由は、原判決二枚目表七行目「求めている」の次に、「ところ、過誤納金の充当は抗告訴訟の対象となる処分にあたると解される」を付加し、同二枚目裏四行目「その取消を」の次に、「求めると共に、これと全く同一の事由を無効原因にあたるとして」を付加し、同三枚目裏六行目の「旨の主張立証はない。」を「ことの具体的な事実についての主張、立証はない。控訴人主張の別件訴訟が係属し、または、その訴訟において更正処分及び無申告加算税賦課決定処分の無効事由が述べられたとしても、本件訴訟において右更正処分及び無申告加算税賦課決定処分が無効であると抽象的に主張するのみで、具体的に右該当事由を主張しない以上、本件訴訟において重大かつ明白な瑕疵がある旨の主張があったものと解することもできない。」と改め、同四枚目表七行目の「後記のとおりであるから、」の次に、「その方法は必ずしも十全なものとはいいがたいものがあるということはいえても、」を加え、同五枚目裏七行目の「前掲」を「成立に争いのない」と、同七枚目表一〇行目<八〇頁四段三行目>の「記載した」を「記載し、必ずしも望ましいものとはいえない」とそれぞれ改めるほかは、原判決の理由説示と同一であるから、これを引用する。

よって、控訴人の主位的請求1の訴及び予備的請求の各訴をいずれも却下し、その余の主位的請求を棄却した原判決は相当で、本件控訴は理由がないから、民事訴訟法三八四条一項によりこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法八九条、九五条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 奈良次郎 裁判官 松原直幹 中路義彦)

<以下省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例