札幌高等裁判所函館支部 昭和28年(う)66号 判決
弁護人主張の要旨は、被告人の行為は偶々一個の職業紹介行為をなしたもので、これを事業としてなしたものではないから職業安定法第三十二条に該当しない。というのであるが、職業安定法第三十二条に、いわゆる職業紹介事業を行うとは反覆継続する意思をもつて職業紹介を行うことをいうものであつて、原判決挙示の被告人の検察官に対する供述調書によると、被告人は昭和二十六年八月頃函館市新川町の阿部ユリ子外一名の女を酌婦として就労の斡旋をなし、その報酬として金九千円を受領し、同年十月職業安定法違反罪により函館簡易裁判所で罪金五千円に処せられ、更に被告人は松坂綱子と共謀の上海老原美代子を接客婦として就労される目的で斡旋し、その報酬として金七千円を受領し、昭和二十七年十二月職業安定法違反罪により同裁判所で罰金一万円に処せられた事実が認められ、これとその他の原判決挙示の証拠を綜合すると、被告人は反覆継続の意思をもつて原判示の職業の紹介をなし、その報酬として金一万円を受領したことが十分認められる。従つて原判決が職業安定法第三十二条第一項第六十四条第一号に問擬したのは当然であつて、原判決には法令の解釈適用を誤つた違法はない。論旨は理由がない。