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札幌高等裁判所函館支部 昭和43年(ラ)1号 決定 1968年4月02日

抗告人 瀬戸芳蔵

主文

本件抗告を棄却する。

理由

本件抗告の趣旨および理由は別紙記載のとおりである。これに対し当裁判所は次のとおり判断する。

本件において抗告人は有限会社丸高組につき有限会社法四条、商法五八条所定の会社解散命令を求めているのであるが、抗告人が同会社の社員細川喜一に対する損害賠償債権の債務名義に基き同人の右会社に対する持分を差し押えたにすぎないものであることはその主張自体に徴し明らかである。しかし、商法五八条一項所定の会社解散命令を請求できる利害関係人は、公益の維持を目的とする会社解散命令制度の趣旨に鑑みれば、同項に例示する株主(有限会社においては社員)、会社債権者と同様、当該会社の存立につき直接法律上の利害関係を有する者に限られ、有限会社の場合単にその社員に対する債務名義に基き同人の持分を差し押えたにすぎない者はこれに該らないと解するのを相当とする。そして本件記録を精査しても他に抗告人が右会社の存立につき直接法律上の利害関係を有する者と認めるに足る的確な資料を見出すことはできない。したがつて抗告人は本件会社解散命令申立の適格を欠くものといわなければならない。

してみれば抗告人の本件申立は不適法として却下すべく、これと同旨の原決定は相当である。

よつて非訟事件手続法二五条民事訴訟法四一四条三八四条により主文のとおり決定する。

(裁判官 鈴木潔 山口繁 今枝孟)

(別紙)

抗告の趣旨

原決定を取消し抗告人の本件会社解散命令申立は理由ありとの裁判を求むる。

抗告の理由

抗告人は該有限会社丸高組の資本金(細川喜一の出資金)を差押えしているので右会社に対し利害関係を有する者なることは明かである処が原決定は之を「含まれないと解するのが相当である」とし而してその「申立の資格を欠く者である」としているが利害関係人の資格についての類例として民事訴訟法第六百四十八条に「左に掲くる者を競売手続に於ての利害関係人と為す」としその第一項に「差押債権者及び執行力ある正本により配当を要求する債権者」との明文あり即ち差押債権者が利害関係人であることを認めているのである之を類推して抗告人が其資格を有するものであるのに之を却下したる原決定は法律の解釈と事実の認定を誤りたるものにして失当なりと信じその取消を求むる為本件抗告する。

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