東京地方裁判所 平成元年(ワ)14808号 判決
一 原告の主位的主張について
1 弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第一号証の三及び第二号証の四(本件考案(一)及び(二)の願書添付の明細書及び図面)によれば、本件考案(一)及び(二)は、いずれも紫外線灯及び赤外線灯を併設した構造を構成要件とする考案であることが明らかである。なお、右甲号各証によれば、本件考案(一)及び(二)の医療機は、これを使用する場合、紫外線灯又は赤外線灯の一方のみを点灯して照射することもできることが認められるけれども、他方、これは、あくまで本件考案(一)及び(二)の医療機を使用する場合の一態様であつて、考案の構成としては、右認定のとおり両者を併設した構造のものであることが認められる。
これに対して、被告製品は、赤外線灯であるというのであるから、本件考案(一)及び(二)の右構成要件を充足しないものといわざるをえない。
そうすると、被告製品は、本件考案(一)及び(二)の技術的範囲に属しないものというべきである。
2 右のとおりであるから、原告の主位的主張は、理由がないことに帰する。
二 原告の予備的主張について
1 前掲甲第一号証の三及び第二号証の四によれば、本件考案(一)の医療機は、骨、リンパ腺、くる病、腹膜、円形禿髪、凍傷、腎炎、慢性中耳炎、副鼻腔炎、慢性睾丸炎、前立腺炎、不眠症、更年期障害、耳鳴、腰痛、肩こり症、痛風、高血圧症、ゼンソク、百日咳、自律神経症、皮膚疾患、じんましん、五十肩、筋肉痛等の諸症に効果があるほか、新陳代謝を促進してシミ、ソバカス、小ジワ等を徐々に薄れさせて除去し、また、枝毛等を防止し毛生を促進する養毛効果がある医療機であるとして実用新案登録出願されたものであること、本件考案(二)の医療機は、右の効果があるばかりか、水虫、神経炎、神経痛、関節、筋肉リウマチ、皮膚炎等にも著しい効果がある医療機であるとして実用新案登録出願されたものであることが認められる。
他方、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第三号証の一ないし四によれば、原告主張の被告らの赤外線灯の貸付行為は、平成元年八月一九日の新聞紙上に報道されたものであるが、右報道によると、被告らは、被告製品は近視の治療に効果がある旨宣伝広告したものであることが認められる。
前一1認定の事実及び右認定の事実によれば、実施品(一)及び(二)と被告製品とは、前者は紫外線灯及び赤外線灯を併設したものであるのに対し、後者は赤外線灯のみであるという構造上の相違があるばかりか、前者が販売される場合には、右認定の諸症の治療等に効果がある旨宣伝広告されるものと推測されるのに対し、後者については、右諸症の中に含まれていない近視の治療に効果がある旨宣伝広告したというのであるから、実施品(一)及び(二)を購入しようとする者は、実施品(一)及び(二)と被告製品とを十分区別して購入するものと認められるところであつて、被告らのした宣伝広告の内容が新聞紙上に報道されたからといつて、原告主張のように、実施品(一)及び(二)が右諸症の治療等に効果がないとの逆宣伝がされたことになつたとは認められない。
2 そうすると、原告の予備的主張も、理由がないことに帰する。
三 よつて、原告の本訴請求は、これを棄却することとする。