東京地方裁判所 平成元年(ワ)15152号 判決 1992年1月23日
原告
甲野一郎
右訴訟代理人弁護士
上林博
被告
乙川春子
右訴訟代理人弁護士
中田早苗
主文
一 被告は原告に対し、金二〇万円及びこれに対する平成元年一二月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 原告のその余の請求を棄却する。
三 訴訟費用は、これを一〇分し、その一を被告の負担とし、その余を原告の負担とする。
四 この判決は、第一項に限り、仮に執行することができる。
事実
第一 当事者の求めた裁判
一 請求の趣旨
1 被告は原告に対し、金五〇〇万円及びこれに対する平成元年一二月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
2 被告は、ニューシティタイムス株式会社発行の新聞「ニューシティタイムス」に別紙記載の謝罪広告を一面下段広告欄二段抜き、表題をゴシック体五号活字、その他を明朝体六号活字をもって一回掲載せよ。
3 訴訟費用は被告の負担とする。
4 第一項について仮執行宣言。
二 請求の趣旨に対する答弁
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
第二 当事者の主張
一 請求原因
1 原告は、東京都新宿区西新宿に本店を置き不動産売買・仲介等を業務とする訴外A不動産株式会社(以下「A不動産」という。)の代表取締役である。
2 A不動産の地元である新宿における旬刊タウン紙であるニューシティタイムス株式会社発行にかかる新聞「ニューシティタイムス」の昭和六三年一一月一一日号、同月二一日号、同年一二月二一日号、平成元年二月一・一一日号の各一面に、「A不動産に女の怨み」、「A不動産への疑惑」、「悪いぞ、A不動産」、「不動産取引には弁護士を、乙川学院長が手記を発表」などとの見出しの下に、「大黒様のような顔をした甲野社長に欺されて安く買われた」、「形式的だと思ってハンを押したらとられてしまった」、「あのバカ社長は早く目覚めないと、いいことはない」、「甲野社長のいうことは何事も反対にきけばいい。このような人物だと知っていたら、良心も誠意も、反省しない人間だと知っていたら」、「甲野一郎さん、人の財産と生活をメチャクチャにしておいて、何を思っているのか」などの文章を含む記事が掲載されている。
3 被告は、ニューシティタイムス株式会社に右記事を掲載させ、いずれも発行直後ころに日刊紙の折り込みとして地元新宿周辺の住民に配布させたうえ、A不動産の取引先である中央信託銀行本店や同行幹部職員方自宅、同業者の団体である社団法人東京都宅地建物取引業協会新宿支部役員、新宿区広報課等の、原告ないしA不動産の関係者多数に郵送した。
4 被告は、昭和六三年一一月ころ、宮城県伊貝郡丸森に居住する原告の実母甲野夏子に対し、電話で「お宅の息子さんに騙されて土地をとられた」「あの山猿は人間ではない」などと告げ、さらに同年一二月ころ「悪いぞ、A不動産」と見出しのあるニューシティタイムス昭和六三年一二月二一日号の記事を同封したうえ、「そうやって人々を泣かせてAは大きくなった」「人間ではない」「四〇年も住んでいた土地を身内ではないか、悪いようにはしないといって捺印させられてしまった」などと書いた手紙を郵送した。
5 被告は、昭和六三年一二月ころ、数回にわたり大和市つきみ野に居住する原告の叔父丙沢太郎に対し、ニューシティタイムス昭和六三年一二月二一日号の記事を同封したうえ、「契約書は誰がみても詐欺だ」「夫婦して礼儀を知らない。」「『一郎』私は今、馬鹿社長といっている」「一郎には誰も言つてくれる者がいないと好き勝手なことをしている。評判が悪くAには売らんと一番かんじんな所があかない」「甲野一郎は知れば知るほど人間ではない。言うことはすべて反対にとればいい。言ったことは責任もなく恥知らず勿論他も沢山している。又、そのうち新聞にのる」などと書いた手紙を郵送した。
6 被告は、昭和六四年一月、甲府市下河原に居住する原告の実弟甲野二郎に対し、「同じ御兄弟でもあれは人間ではない」「あやまらないどころかでたらめなことを言っている」などと書いた手紙を郵送した。
7 原告は、前記記事及び被告の手紙等により、銀行関係者や同業者にとどまらず実母や親戚等の間でも、著しく名誉を毀損され、この結果約七年も務めてきた新宿区の区民相談員も辞せざるを得なかったなど、多大の精神的損害を蒙った。その精神的損害は金五〇〇万円を下らない。
8 よって原告は被告に対し、不法行為に基づき損害賠償金五〇〇万円及び訴状送達の日の翌日である平成元年一二月一日から支払済みまで民法所定の年五分の割合による遅延損害金並びに名誉回復のため別紙記載の謝罪広告をニューシティタイムス株式会社発行の新聞ニューシティタイムスに掲載することを求める。
二 請求原因に対する認否
請求原因1、2の事実は認める。
同3の事実は否認する。被告は昭和六三年一一月一一日号が発行された当時、ニューシティタイムスの存在を知らなかった。発行者であるニューシティタイムス株式会社は、被告に取材することなく原告のみに取材して同号を発行したものである。昭和六三年一一月二一日号、同年一二月二一日号、平成元年二月一・一一日号については、被告は、発行者であるニューシティタイムス株式会社から取材を受けて被告の言い分を述べ、かつ、被告の手記を作成して交付しているが、発行者は自らの責任と判断においてこれらを記事にして掲載したものである。被告が右タウン紙を原告主張の関係者らに郵送した事実はない。
同4のうち、電話での会話の内容は否認し、その余の事実は認める。
同5及び同6の事実のうち、被告が丙沢太郎に対してタウン紙の記事を同封した手紙を、甲野二郎に対して手紙を、それぞれ郵送したことは認め、その余の事実は否認する。
同7の事実は否認する。ニューシティタイムスの記事として掲載された事実は、その大筋においてニューシティタイムスに掲載される前にすでに地域社会において風聞、噂として伝藩されていた事実であり、原告の名誉が毀損されたとすればニューシティタイムスの記事掲載前にすでに生じていたことである。
三 抗弁
1 被告は、昭和六一年七月二一日、原告に対し、被告が所有する新宿区西新宿八丁目一七四番一三所在の宅地二四〇平方メートル及び右土地上の建物(以下「本件土地建物」という。)をA不動産に売却する契約を締結した。
2 被告は、当時、本件土地建物で、Bドレスメーカー女学院(以下「学院」という。)を経営しており、学院を閉鎖廃業したり、本件土地建物を売却する考えは全くなかったが、原告が被告の夫と血縁関係にあることを利用して、「親戚の間柄ではないか。悪いようにはしない。」と執拗に本件土地建物の売却を求めてきたことに押し切られ、A不動産の作成してきた土地付建物売買契約書(以下「本件契約書」という。)に署名押印してしまった。
3 被告は学院経営を諦めることができず、本件契約書に押印した後、直ちに原告に対し本件土地のうち二〇坪だけは売ってもよいが、あとは売ることができないから二〇坪に減らしてもらいたい旨再三再四要請したが全くとりあってもらえなかった。
4 被告は、本件契約書に署名押印したとき、原告が、A不動産が本件土地を買い取ったあとはここにビルを建築するからその中から二億円相当の床面積の部屋を被告に無償提供するといっていたので、そうすれば被告の経営する学院を廃校しても、被告の終生の仕事であった学院の足跡を記念館または資料館等の形で永く残すことができると考え、原告の事業に協力する意味も含めて本件契約書を認めることもやむをえないと考えるようになったがそれは全く諦めの心境であった。
5 本件契約書によれば、A不動産は本件土地に建築すべきビルの建築確認申請と残代金の支払を昭和六二年五月末日までになし、これと引換えに被告は本件土地建物をA不動産に引渡すこととなっていたところ、A不動産がビルの建築を予定どおり実行できないため、昭和六二年三月三日になって右期限を同年九月末日まで延期した。ところが、昭和六二年九月末日になってもビル建築のめどがたたず、建築確認申請ができない状態がつづき、現在も建築確認申請の手続はとられていない。しかるところ、A不動産は被告に対し、昭和六三年、本件土地建物の引渡しを求める訴えを提起してきた。そして、同年三月一八日、原告は金四〇〇〇万円の営業補償金を支払うから弁護士抜きで話をしようと被告の選任した訴訟代理人を臨席させず強引に営業補償契約書に被告と被告の夫の押印を求めてきた。営業補償金については金額は未定であったが当初から予定されていたものであり原告の提案は何ら譲歩を意味するものではなかったが、被告夫婦は原告の強引さに圧倒されてやむなく押印し、同月三一日に本件土地建物をA不動産に引渡した。
6 被告は、A不動産が本件土地に建築するビルのうちの二億円相当の床面積の部屋の無償提供を受けそこに学院の歴史を残すために記念館または資料館を作ることを生きがいとしていたが、A不動産はいまなおビルの建築に着手しないばかりか、二億円相当の床面積を被告に譲渡する旨の特約事項は当事者の合意により昭和六三年三月一八日の営業補償契約締結によりなくなつたと主張している。また、そもそも右特約は無償譲渡を約したものではなく有償譲渡を約したものであると主張しているが、本件土地建物の昭和六一年七月二一日当時の時価は金一七億八八〇〇万円であり売却代金一三億四三〇〇万円は時価より四億四五〇〇万円も低額であるから、二億円相当の床面積の譲渡が無償譲渡であることはあきらかである。
7 原告は、A不動産が被告に支払うべき本件土地建物の売却代金の支払いに代えて居宅及び共同住宅を被告に提供したが、昭和六一年七月二三日に提供された国分寺市所在の二階建共同住宅は時価相当額であったものの、立川市所在の三階建共同住宅と中野区上高田所在の居宅は時価よりもかなり高い価格で提供された。本件土地建物の価格は、現在では売買契約時の価格の数倍にもなっているが、被告が原告から提供を受けた土地建物はもともと時価以上の価格で買わされたうえその後値下がりがあつて現在の時価は被告が買い受けた価格の二分の一程度である。
8 被告が以上のような事実関係のもとで原告の親族に原告主張のような手紙を出したことはまことにやむをえないことであり、被告の行為には違法性がない。
四 抗弁に対する認否
抗弁1の事実は認める。
同2ないし同4の事実は否認する。
同5の事実のうち、昭和六二年九月末日になってもビル建築のめどがたたず、現在なお建築確認申請の手続がとられていないこと、A不動産が被告に対し本件建物の明渡しを求める訴えを提起したこと、昭和六三年三月一八日営業補償契約書を調印したこと、被告が同月三一日本件土地建物をA不動産に引渡したことは認め、その余の事実は否認する。
同6の事実のうち、A不動産がビルの建築等に着手していないこと、本件土地建物売買契約の特約が有償譲渡を意味するものであることを主張していること、右特約が解消されたことは認め、その余の事実は否認する。
同7の事実は否認する。
同8の主張は争う。
第三 証拠
一 原告
1 甲第一ないし第四号証、第五号証の一ないし三、第六号証の一、二、第七号証の一、二、第八号証の一ないし三、第九号証の一、二、第一〇号証の一、二、第一一ないし第二四号証、第二五号証の一、二、第二六号証、第二七号証
2 原告本人
3 乙第一号証の成立は認める。
二 被告
1 乙第一号証
2 被告本人(第一、二回)
3 甲号各証の成立は認める(第一八、第二〇、第二三、第二四号証については、原本の存在とその成立を認める。)。
理由
一 請求原因1、2の事実は当事者間に争いがない。
請求原因4の事実のうち被告が甲野秋子に対し電話で「原告に土地をとられた」「原告は人間ではなく山猿である」といった事実は、被告本人尋問の結果により認めることができる。請求原因4のその余の事実は当事者間に争いがない。
請求原因5、6の事実のうち、被告が丙沢太郎にタウン紙の記事を同封した手紙を、甲野二郎に手紙を、それぞれ郵送した事実は当事者間に争いがなく、いずれも成立に争いのない甲第六ないし第一〇号証の各一、二によれば、これらの手紙に原告主張の記載があることが認められる。
二 以上の事実により、ニューシティタイムスに掲載された各記事及び被告の原告の親族に対する電話ないし手紙が原告の名誉を毀損するものであるか否かを検討する。
ニューシティタイムスの見出し「A不動産に女の怨み」、「A不動産への疑惑」、「悪いぞ、A不動産」、「不動産取引には弁護士を、乙川学院長が手記を発表」との記載及びそれらに続く「大黒様のような顔をした甲野社長に欺されて安く買われた」、「形式的だと思ってハンを押したらとられてしまった」、「あのバカ社長は早く目覚めないと、いいことはない」、「甲野社長のいうことは何事も反対にきけばいい。このような人物だと知っていたら、良心も誠意も、反省しない人間だと知っていたら」、「甲野一郎さん、人の財産と生活をメチャクチャにしておいて、何を思っているのか」との記載からすれば、ニューシティタイムスの読者において、A不動産の代表取締役である原告が被告との本件土地建物売買契約において不正な取引を行なったと受け取ることが明らかである。かかる事実が流布されれば原告の社会的評価は当然低下するものと考えられる。したがって、右各記事を掲載したニューシティタイムスの頒布により原告はその名誉を毀損されたといえる。
また、被告が、原告の実母甲野秋子に対し、電話で「お宅の息子さんに騙されて土地をとられた」「あの山猿は人間ではない」と告げた内容、さらに、同女に郵送した手紙の「そうやって人々を泣かせてAは大きくなった」「人間ではない」「四〇年も住んでいた土地を身内ではないか、悪いようにはしないといって捺印させられてしまった」との記載、原告の叔父丙沢太郎に対し郵送した手紙の「契約書は誰がみても詐欺だ」「夫婦して礼儀を知らない」「『一郎』私は今、馬鹿社長といっている」「一郎には誰も言ってくれる者がいないと好き勝手なことをしている。評判が悪くAには売らんと一番かんじんな所があかない」「甲野一郎は知れば知るほど人間ではない。言うことはすべて反対にとればいい。言ったことは責任もなく恥知らず勿論他も沢山している。又、そのうち新聞にのる」との記載、及び、原告の実弟甲野二郎に対し郵送した手紙の「同じ御兄弟でもあれは人間ではない」「あやまらないどころかでたらめなことを言っている」との記載からすれば、電話を受けた甲野夏子、手紙を受け取った右各人において、A不動産の代表取締役である原告が被告との本件土地建物売買契約において不正な取引を行ったと受け取ることが明らかである。かかる事実を口頭ないし書面で伝えられれば原告の社会的評価は当然低下するものと認めるのが相当である。したがって、被告による右電話及び各手紙により原告はその名誉を毀損されたと認められる。
三 次に請求原因3について判断する。原告は、被告がニューシティタイムス株式会社をして、請求原因2記載の内容の記事を掲載、頒布させたことが不法行為になると主張するが、被告がニューシティタイムスの編集方針を事実上決定するような影響力を有し、あるいは被告の提供する情報をそのまま記事にすることを免れないような関係にあった等の事情を認めるに足りる証拠はない。かえって、被告本人尋問の結果によれば、被告はニューシティタイムス株式会社に積極的に情報提供したわけではなく、同社の取材に応じて情報提供をしたにすぎないものであって、同社は、被告から提供された事実関係をそのままで掲載することなく、独自に内容の記事としての適当性を判断し、記事の配置、活字の大きさ、見出し等すべて同社の権限と責任において決定したものと認められる。
右事実によれば、ニューシティタイムスに掲載された各記事は、ニューシティタイムス株式会社の独自の編集を経て掲載頒分されたものであり、被告に対する取材が右各記事掲載の契機となったとはいえ、これをもって被告の行為と右各記事による名誉毀損との間に相当因果関係があるということはできない。
また、原告は、本件各記事の掲載されたニューシティタイムスを被告がA不動産の取引先等に郵送した旨主張するが、被告が原告ないしA不動産の取引先に右ニューシティタイムスを送付したことを認めるに足りる証拠はなく、かえって、原告本人尋問の結果によれば、A不動産の取引先等に対しては、発行元であるニューシティタイムス株式会社から、日頃の頒布宣伝活動の一環として、直接送付されていたものと認められる。
よって、原告のニューシティタイムスに掲載された各記事に関する請求は理由がない。
四 被告の抗弁について検討する。被告の主張は要するに、被告は原告から騙されて本件土地建物売却させられて多大な経済的及び精神的損害を被っているのだから、原告の親族に対し原告の名誉を毀損する内容の電話をしたり手紙を郵送しても、違法性が阻却されるというものである。しかるに、名誉毀損の不法行為において違法性が阻却されるのは、事実が公共の利害に関するものであり、かつその表現が専ら公益をはかる目的でなされた場合に、摘示された事実が真実であると証明されたときに限られるところ、本件において認められる被告による名誉毀損行為は、前記認定のとおり原告の親族に対して原告を中傷する内容の電話や手紙を出したというものであるから、右名誉毀損行為の態様自体からいっても、これが公共の利害に関する事実について専ら公益をはかる目的でなされた表現にあたらないことは明らかであり、他にこの点についての立証を認めるべき証拠もないから、被告の抗弁は理由がない。
よって、被告は電話及び手紙によって原告の名誉を毀損したというべきである。
五 そこで、被告が原告に賠償すべき慰謝料の額について判断する。
原告が、被告の電話及び手紙によつて名誉を毀損されたのは、原告の親族三人という特定少数人との間でのことであり、原告のA不動産の代表取締役としての地元の社会的評価の低下や、新宿区の区民相談員の職を辞したことによる精神的損害は、被告の電話及び手紙によって生じたものとは認められない。また、被告の電話・手紙により右親族らが原告の事業活動につき疑念・不安を持ったことは窺われるものの、実母・実弟・叔父という近親者であることからすれば、原告が右疑念・不安を解消することに大きな困難はなかったであろうと推認される。これらの事情を総合して考慮すれば、原告の精神的苦痛に対する慰謝料は金二〇万円を相当と認める。
六 以上の次第で、原告の請求は金二〇万円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成元年一二月一日から完済まで民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める限度において理由があるからこれを認容し、原告のその余の請求は失当であるからこれを棄却し、訴訟費用の負担につき民訴法八九条、九二条本文を、仮執行宣言につき同法一九六条一項を各適用して主文のとおり判決する。
(裁判官三村量一)
別紙謝罪広告
本誌昭和六三年一一月一一日号、同年一二月二一日号、平成元年二月一・一一日号に掲載されたA不動産株式会社と私との間の不動産売買契約をめぐる紛争に関する記事のうち、私が同会社の菊地社長に欺されて安く買われた旨述べた部分は、全く事実に反し、同氏に対する世人の認識を誤らせ、同氏の名誉を著しく傷つけるものであります。
よってここに右記事中同氏に関して述べた部分を全て取消すとともに、同氏に対して深くお詫び申し上げます。
乙川春子
甲野一郎殿