東京地方裁判所 平成元年(ワ)443号 判決 1993年8月30日
東京都港区北青山一丁目二番三号
甲事件原告、乙事件原告
新キャタピラー三菱株式会社
(以下「原告キャタピラー」という。)
右代表者代表取締役
小西秋雄
長崎市深堀町一丁目二番地一
乙事件原告
三菱長崎機工株式会社
(以下「原告長崎機工」という。)
右代表者代表取締役
伊達勇助
右両名訴訟代理人弁護士
石井芳光
同
松丸渉
右両名輔佐人弁理士
西良久
神奈川県茅ケ崎市白浜町三番二二号
甲事件被告
株式会社技奉工業
(以下「被告技奉工業」という。)
右代表者代表取締役
水野勝男
東京都中央区京橋二丁目一一番一号
乙事件被告
真企機工株式会社
(以下「被告真企機工」という。)
右代表者代表取締役
須藤猛
右両名訴訟代理人弁護士
玉井眞之助
被告技奉工業輔佐人弁理士
羽鳥修
主文
一 原告らの請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第一 請求
一 甲事件
1 被告技奉工業は、別紙物件目録記載のイ号製品(チップコンベア及び無端リンクチエン。以下「被告製品」という。)を製造し、販売し、保守修理してはならない。
2 被告技奉工業は、原告キャタピラーに対し、金七一三万六七六〇円及びこれに対する平成三年九月二八日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
二 乙事件
被告真企機工は、被告製品を製造し、販売し、保守修理してはならない。
第二 事案の概要
一 本件は、原告キャタピラーが被告両名に対し、後記二の各特許権及び意匠権に基づき、原告長崎機工が被告真企機工に対し、後記二の各特許権の独占的通常実施権に基づき、それぞれ被告製品の製造、販売、保守修理の差止を求め、また、原告キャタピラーが被告技奉工業に対し、同被告による平成元年一月から同二年一二月ころまでの間の別紙販売明細一覧表記載の被告製品の製造販売行為(販売合計額一億一八九四万六〇〇〇円)について、後記二1(一)の特許権、同(二)の特許についての仮保護の権利又は意匠権侵害による実施料相当額の損害七一三万六七六〇円(前記販売合計額に六パーセントの実施料率を乗じた金額)の賠償を請求している事案である。
二 基礎となる事実
1 原告キャタピラーは、次の(一)及び(二)の特許権(以下その各特許発明を「本件発明(一)」「本件発明(二)」という。)を有している。(争いがない。)
(一)(1) 特許番号 一三九〇〇七五号
(2) 発明の名称 チツプコンベア
(3) 出願日 昭和五五年一一月四日
(4) 公告日 昭和六一年一二月五日
(5) 登録日 昭和六二年七月二三日
(二)(1) 特許番号 一六一〇四一六号
(2) 発明の名称 多目的形コンベア装置
(3) 出願日 昭和五七年五月七日
(4) 公告日 平成二年五月三〇日
(5) 登録日 平成三年七月一五日
2 本件発明(一)及び(二)の各特許出願の願書に添付した明細書の各特許請求の範囲の記載は、本判決添付の各特許公報の該当欄記載のとおりである。(争いがない。)
3 本件発明(一)及び(二)の構成要件は、次のとおりである。(右2の事実及び甲二、三〇の一)
(一) 本件発明(一)
A 長短の直管、曲管、折曲管を金属加工機械群のレイアウトに応じ連結し、金属加工機内或いはその近傍を別々に順次通過する二つの蛇行管路を敷設し、
B 上記両蛇行管路の各一端部を斜め上向きにして上下に揃え、各他端部も斜め上向きにし、且つ前記一端部で下になった管路を上、上になった管路を下にして上下に揃えると共に、
C 各端部の上になった一方の管路の先方には動力で駆動される駆動ローラ、他方の管路の先方には従動ローラを配置し、
D 卵形リンクを交互に縦向き、横向きに連結すると共に適宜の間隔で上記両蛇行管路内を移動できる大きさの円形ブレードの縁部を取付けたリンクチエンを両蛇行管路内に一連に通して無端に連結し、
E この無端リンクチエンを上記駆動ローラと従動ローラに掛けて前記両蛇行管路内でほぼ最短コース沿いに張設し、上記駆動ローラにより両蛇行管路の各端部で下に重なった管路から出て上の管路に入る様に前記無端リンクチエンを循環動させる
F ことを特徴とするチツプコンベア。
(二) 本件発明(二)の構成要件は、次のとおりである。
A 無端状の管形通路中に、卵形リンクを交互に向きを90度変えて無端に連結し、一方向に循環駆動されるチエンを貫通し、このチエンの循環駆動により管形通路中で物質を搬送する多目的形コンベアにおいて、
B 上記管形通路を直管、曲管をつなぎ、上下、左右及びその複合方向に屈曲させて構成し、上記管形通路中には上下に揃って斜上向きに固定された上端開放の二本の直管を設けると共に、
C 上記両直管の上端の先方に、前記チエンを懸け、下側の直管の上端から出たチエンを上側の直管の上端内部に導く誘導輪を夫々配置し、
D 上記チエンにはリンクの複数個置きに、前記通路部材の管の内径よりも直径が少し小さい円板の周縁部を一個所で固定した
E ことを特徴とする多目的形コンベア装置。
4 原告キャタピラーは、次の意匠権(以下その登録意匠を「本件意匠」という。)を有している。(争いがない。)
(一) 登録番号 六一〇五三五号
(二) 出願日 昭和五六年四月六日
(三) 登録日 昭和五八年七月二九日
(四) 意匠に係る物品 搬送チエン
(五) 登録意匠 本判決添付の意匠公報のとおり
5 被告は、被告製品を製造し、販売し、保守修理している。(争いがない。)
6 被告製品の構造は、別紙物件目録の記載によれば、次のとおりである。(争いがない。)
a 往路の蛇行管路と復路の蛇行管路とからなる搬送管路が敷設されているチップコンベアである。この往復の蛇行管路は、並行する一対の長短の直管と中途箇所でそれぞれと連設された略L状の曲管と、これらと接続されて水平に延びる直管をU字状の折曲管で連設しており、この折曲管部分を折返し部分としている。この折返し部分側の上面にはシュートが配置されており、水平に延びる直管の上面に穿設された開口部からチップ等の被搬送物が蛇行管路内に投入されるようになっている。
b この蛇行管路は、端部側を斜め上向きに立ち上がらせてから並列にして水平方向に揃えている。
c 蛇行管路の並列する端部の先方には、動力源となるモーターで駆動される駆動ローラーを横向きに配置している。
d 蛇行管路内には、卵形リンクを交互に縦向き、横向きに連結する無端リンクチエンを設け、このリンクチエンに適宜の間隔で上記両蛇行管路内を移動できる大きさの略円形で広面が外方に湾曲して略球面状としたバケット型ブレードをその縁部で固着している。
e このように形成された無端リンクチエンは、前記駆動ローラに掛け渡され、蛇行管路内をほぼ最短コースに張設されて循環動される。
三 争点
1 被告製品は、本件発明(一)又は本件発明(二)の技術的範囲に属するか。
2 被告製品の意匠(以下「被告意匠」という。)は、本件意匠に類似するか。
3 原告の損害額。
四 争点に関する当事者の主張
1 争点1について
(一) 原告ら
(1) 本件発明(一)の構成要件B及びE並びに本件発明(二)の構成要件B及びCは、蛇行管路ないし管形通路の端部を上下に揃え、無端リンクチエンの反転を上下に行って同チエンを循環動させる構成であるのに対して、被告製品は、蛇行管路の端部を左右に水平に揃え、無端リンクチエンの反転を左右に行って同チエンを循環動させている点で差異が見られるが、右の差異は、単なる設計上の微差にすぎない。すなわち、本件発明(一)及び(二)は、両蛇行管路ないし管形通路中に往復路となる一対の直管を設け、該直管を上下に揃えて下から上にチエンを移送する構成を採り、これにより排出された切粉が下の管路中に入ることがなく、また、それを防止するために上の管路を下の管路よりも長く突出させる必要もないものであるところ、被告製品も、一対の直管を左右に揃えて復路となる一方の直管から往路となる他方の直管にチエンを移送するという構成を採っているだけであり、これにより排出された切粉が他方の管路中に入ることがなく、また、それを防止するために他方の管路を一方の管路よりも長く突出させる必要もない点で、本件発明(一)及び(二)と作用効果において同一である。また、無端リンクチエンの循環動を、本件発明(一)及び(二)のように縦方向になるように下から上向きに反転させる構成を、被告製品のように横向きに左右一方から他方に反転させる構成とすることは、本件発明(一)及び(二)の出願時における当業者であれば、容易に考案できるものである。
また、被告製品は、無端リンクチエンを横向きで反転させる構造であるから、駆動ローラから無端リンクチエンが外れやすい欠点を有するだけで、縦方向に反転する場合に比べて特段の効果がないので、本件発明(一)及び(二)を不完全利用したものにすぎない。
(2) 本件発明(一)の構成要件Dの「円形ブレード」及び本件発明(二)の構成要件Dの「円板」は、蛇行管路の内面と衝合し、チエンを軸として旋回可能どなるように外周形状が円形となっていればよいところ、被告製品のブレードは、搬送チエンとの連結部分が僅かに切り欠かれているだけで外周形状が略円形であるから、蛇行管路の内面と衝合し、チエンを軸として旋回可能であり、本件発明(一)の構成要件Dの「円形ブレード」及び本件発明(二)の構成要件Dの「円板」の要件を充足する。また、被告製品のブレードは、後面が緩やかな凸球面となっているが、これは、右の作用と有機的な関連のない付加的な構成にすぎない。
(3) 本件発明(一)の構成要件Cは、二つの蛇行管路の各端部の上になった一方の管路の先方に駆動ローラ、他方の管路の先方に従動ローラを配置して無端リンクチエンを循環させているのに対し、被告製品は、無端リンクチエンの循環時の折り返しのために、従動ローラに代えてU字状の曲管を使用している点で差異があるが、従動ローラに代えて、U字状の曲管を使用することは、本件発明(一)の特許出願時に自明で、容易に置換可能な技術である。
(4) 被告製品のその余の構造は、本件発明(一)及び(二)のその余の構成要件をいずれも充足する。
(二) 被告ら
(1) 本件発明(一)の構成要件Bは、「両蛇行管路の各一端部を斜め上向きにして上下に揃え、各他端部も斜め上向きにし、且つ前記一端部で下になった管路を上、上になった管路を下にして上下に揃える」こと、また、本件発明(二)の構成要件B及びCは、「上下に揃って斜上向きに固定された上端開放の二本の直管を設けると共に、上記両直管の上端の先方に、前記チエンを懸け、下側の直管の上端から出たチエンを上側の直管の上端内部に導く誘導輪を夫々配置」することをそれぞれその必須の構成としており、いずれも、両蛇行管路又は管形通路の両端部を斜め上向きにして上下に揃える構成であるのに対し、被告製品は、「両蛇行管路の端部を並列にし、水平方向に同一の高さで揃えている」ものであって、本件発明(一)の構成要件B並びに本件発明(二)の構成要件B及びCを充足しない。
なお、原告らは、前記相違点について、設計上の微差と主張するが、本件発明(一)の特許出願が拒絶査定された後、審判請求時の補正可能期間内に補正を行い、それまで、蛇行管路の各一端部の配置関係については、特段の制限をしていなかったところ、前記のとおり「両蛇行管路の各一端部を・・・上下に揃え」ることを本件発明(一)の構成要件としたものであり、また、審判請求理由補正書において、蛇行管路の一端部を上下に揃えたことにより、「斜め上向きの上下に重なった管路の下の管路の端部から切粉を排出するため、上に重なった管路から排出する場合に排出した切粉が下の管路中に入ることがありません。又、それを防止するために上の管路を下の管路よりも長く斜めに上向きに突出させる必要もありません。」として、管路の端部を上下に限定したことによる作用効果にも言及しているのであり、更に、本件発明(二)の明細書においても、右構成による作用効果を明確に述べているものであるから、原告らの右主張は、失当である。
(2) 本件発明(一)の構成要件Cは、「各端部の上になった一方の管路の先方には動力で駆動される駆動ローラ、他方の管路の先方には従動ローラを配置」するものであるのに対し、被告製品は、駆動ローラを横向きに配置しているが、従動ローラを配置しておらず、本件発明(一)の構成要件Cを充足しない。
(3) 本件発明(二)の構成要件Cの「下側の直管の上端から出たチエンを上側の直管の上端内部に導く誘導輪を夫々配置」するとの構成は、「夫々配置し」との記載から明らかなように、誘導輪が、一つではなく、二つ配置されるものであるが、被告製品は、駆動ローラのみを具備しているが、このような二つの誘導輪を具備していない。
(4) 本件発明(二)の構成要件Dは、「管の内径よりも直径が少し小さい円板」であるのに対し、被告製品のブレードは、バケット型でチエンとの連結部分を切り欠いているものであり、この要件を充足しない。
2 本件意匠と被告意匠との類否について
(一) 原告ら
(1) 本件意匠の構成は、次のとおりである。
A 卵形リンクを縦向きと横向きに交互に直交して連結してチエンを形成している。
B このチエンの一定間隔毎にブレードをその広面がチエンの延出方向と直交するように起立状に配置する。
C ブレードは、円形からなっており、広面が偏平面となっている。
D このブレードの周縁部に横向きのリンクを嵌合する嵌合凹部を設け、この嵌合凹部に所定の横向きのリンクをその中央で嵌込み、ブレードの縁部にリンクが一体になるように固着している。
(2) 被告意匠の構成は、次のとおりである。
a 卵形リンクを縦向きと横向きに交互に直交して連結してチエンを形成している。
b このチエンの一定間隔毎にバケット型ブレードをその広面がチエンの延出方向と直交するように起立して配する。
c バケット型ブレードの外周形状は、底部が僅かに切り欠かれた略円形からなっている。また、このバケット型ブレードの広面は、そのほぼ中央がチエンの搬送方向に対して後方向へ向かって球面状に湾曲した面となっている。
d このバケット型ブレードの切り欠かれた端面に横向きの卵形リンクを嵌合する嵌合凹部を設け、この嵌合凹部に前記リンクの横向きリンクの一つをその中央位置で嵌込み、バケット型ブレードの縁部にリンクが一体になるように固着している。
(3) 本件意匠と被告意匠との類否
ア 本件意匠の構成A、Bとこれに対応する被告意匠の構成a、bとは、同一である。
イ 本件意匠の構成Cは、ブレードの広面が偏平面に設定されているのに対し、被告意匠の構成cは、バケット型ブレードの広面をゆるやかな球面状に湾曲させている。しかし、本件意匠は、ブレードの外周形状を円形とすること及びそのブレードの外周縁に卵形リンクを連結したチエンを取付けた形状が、従来の搬送チエンにない新規性及び創作性がある部分であって、看者の注意を惹く要部である。すなわち、従来の搬送チエンの意匠では、ブレードの外周形状が円形の場合には、リンクは、ブレードの端部に固着することなく、ブレードの中央近傍に固着しているのであって、円形ブレードの外周縁に卵形リンクを連結したチエンを取付けた形状が、本件意匠の要部である。したがって、被告意匠は、この基本的形状において、本件登録意匠と同一であり、バケット型ブレードが球面状であるとの相違点は、僅かな差異にすぎない。
ウ 被告意匠の構成c及びdは、本件意匠の構成C及びDと異なり、真円形の一部を切り欠いているが、その切り欠かれた部分が円形全体に占める割合は、僅かであり、しかも、切り欠かれた位置は、横向きの卵形リンクが固着される位置となっているので、看者の注意を惹く部分ではない。
(二) 被告ら
(1) 本件意匠の卵形リンクチエンは、極めてありふれた形状であるから、本件意匠の要部は、同チエンを除いたブレード部分にあるというべきである。
(2) 本件意匠のブレードは、その広面が平板な板状であるのに対し、被告製品のバケット型ブレードは、その広面が分厚い拡大レンズのように円形の中心部分で大きく膨れ上がっている形態であり、両者は、その要部において明確に相違するものである。
また、本件意匠のブレードは、真円形であるが、被告意匠のバケット型ブレードは、真円形ではなく、バケットの直径の三分の一に相当する長さが切り欠かれているものである。
(3) 本件意匠のブレードの縦の長さと各ブレード間の長さの比は、約一対五・三であるのに対し、被告意匠のバケット型ブレードの縦の長さと各バケット型ブレード間の長さの比は、約一対三・三である。本件意匠と被告意匠を全体観察すると、右の長さの比率の差異が、一般需要者に対し本件意匠と被告意匠とが別異のものであるとの印象を与えるものである。
第三 争点に対する判断
一 被告製品は、本件発明(一)の技術的範囲に属するか。
1 本件発明(一)の目的及び作用効果
本件発明(一)は、金属加工工場等において配置されている多数の金属加工機械の機内あるいは機外に排出される切粉を搬送して集めるチップコンベアに関するものである。チップコンベアとしては、従来からローラチエンにスクレーパやヒンジプレートを取付けて搬送トラフ中で移動させ、搬送トラフ内に排出される切粉を搬送するものが公知であるが、スクレーパやヒンジプレートを取付けるための加工が複雑で高価になるばかりか、搬送トラフは直線状にしか敷設することができないので、トラフから離れた金属加工機械が排出する切粉は、作業員が手で持って搬送トラフに捨てに行くか、サブコンベアで搬送トラフに運ぶことが必要であった。更に、ローラチエンは、無端状に張設されているが、実際に搬送トラフ内を移動して切粉を搬送するのは、チエン全長の略二分の一であり、残りの二分の一は、回帰帯域として搬送機能を営まないという欠点があった。そこで、本件発明(一)は、配置されている金属加工機械のレイアウトに応じ、長短の直管、曲管、屈曲管を連結して、機械内又は機械の近傍を別々に順次通過する二つの蛇行管路を敷設し、この両蛇行管路中には、適当な間隔で前記管路中を移動できる円形ブレードを取付けた無端リンクチエンを通して循環動させることにより、無端リンクチエンの全長で切粉を搬送できるようにしたものである。したがって、本件発明(一)のチップコンベアは、金属加工機械のレイアウトに応じ、水平方向、垂直方向に自由に屈曲して機械内又は機械の近傍を順次通過するため、作業員が切粉をチップコンベアに運んで捨てたり、サブコンベアを設置したりする手間が省けると共に、無端リンクチエンの全長を使って搬送を行うため、チエンの長さに無駄を生じない。また、本件発明(一)は、蛇行管路の各一端部、他端部をそれぞれ斜め上向きにして上下に揃え、下に重なった管路から切粉を排出するようにしたため、上に重なった管路から排出する場合に排出した切粉が下の管路中に入るようなことはなく、また、上の管路を下の管路よりも長く斜め上向きに突出させる必要もないとの効果も奏するものである。(甲二、乙二)
2 本件発明(一)と被告製品との対比
(一) 別紙物件目録の記載によれば、被告製品は、適宜の間隔でバケット型ブレード204がその縁部で固着されている無端リンクチエンが、動力源となるモーターで駆動される駆動ローラ106に掛け渡され、蛇行管路内をほぼ最短コースで張設されて循環し、同管路内の被搬送物を右バケット型ブレード204で押しながら、端部105まで搬送し、排出するものであり、蛇行管路の端部105が斜め上向きに立ち上がりその後水平方向に並列に設置され、また、右端部105の先には、駆動ローラ106が横向きに配置されていて、無端リンクチエンが、水平方向に並列に設置されている蛇行管路の一方の端部から出て他方の端部へ入るように循環動する構造となっているものである。これに対し、本件発明(一)は、前記1の目的及び作用効果を奏するため、「両蛇行管路の各一端部を斜め上向きにして上下に揃え、各他端部も斜め上向きにし、且つ前記一端部で下になった管路を上、上になった管路を下にして上下に揃え」(構成要件B)、「上記駆動ローラにより両蛇行管路の各端部で下に重なった管路から出て上の管路に入る様に前記無端リンクチエンを循環動させる」(構成要件E)との構成を採っているものであり、被告製品の前記構造は、蛇行管路の端部が上下ではなく、水平方向に揃えて設置されていて、無端リンクチエンが水平方向に並列に設置されている右蛇行管路の一方の端部から出て他方の端部へ入るように循環動する構造となっている点で、本件発明(一)の右構成要件B及びEを充足しないものである。
また、別紙物件目録の記載によれば、被告製品の蛇行管路は、一対の直管101aと中途箇所でそれぞれ連設された略L状の曲管101bと、右一対の直管101aを連結するU字状の折曲管101cで構成され、右折曲管101cを折返し部分108とし、蛇行管路の端部105の先方には動力源となるモータで駆動される駆動ローラ106を横向きに配置する構造であるところ、本件発明(一)は、両蛇行管路の「各端部の上になった一方の管路の先方には動力で駆動される駆動ローラ、他方の管路の先方には従動ローラを配置し」(構成要件C)との構成であり、被告製品の前記構造は、他方の端部がU字状の折曲管で一対の直管を連結している点で、蛇行管路の一端部に駆動ローラを、他端部に従動ローラを設置するとの本件発明(一)の構成要件Cを充足しないものであることは明らかである。
(二) 原告らは、蛇行管路の端部を上下に揃え無端リンクチエンの反転を上下に行って同チエンを循環動させる本件発明(一)の構成と、蛇行管路の端部を左右に水平に揃え無端リンクチエンの反転を左右に行って同チエンを循環動させる被告製品の構造とは単なる設計上の微差にすぎず、また、被告製品は、無端リンクチエンを横向きで反転させる構造であるから駆動ローラから無端リンクチエンが外れやすい欠点を有するだけで、本件発明(一)のように縦方向に反転する場合に比べて特段の効果がないので、本件発明(一)を不完全利用したものにすぎない旨主張する。
しかし、特許請求の範囲は、本来、「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した」ものでなければならないのであるから、蛇行管路の端部を上下に揃えること(構成要件B及びE)を特許請求の範囲に記載した以上は、原則としてこれを本件発明(一)の構成に欠くことができない事項と解するのが特許法の趣旨にそうところである。
のみならず、原告キャタピラーは、本件発明(一)の出願公開当時の特許請求の範囲の記載において、蛇行管路の端部を上下に揃えることをその要件として記載してはいなかったのであるが、拒絶査定を受けた後に審判手続において提出した昭和六一年四月一六日付けの手続補正書により、特許請求の範囲の記載を現在のものに補正して、蛇行管路の端部を上下に揃えること及び無端リンクチエンを下の管路から上の管路に循環動させること等をその内容として記載し、また、同日付けの審判請求理由補充書において蛇行管路の端部を上下に揃えることによる作用効果を強調しているものである。(乙一、二)
また、別紙物件目録の記載及び甲二四、二六によれば、被告製品は、無端リンクチエンを横向きで反転させる構造となっているから、本件発明(一)の構成と比較して駆動ローラから無端リンクチエンがやや外れやすい欠点を有するものの、逆に、本件発明(一)は、無端リンクチエンが下に重なった端部から出て上の管路に入るように循環動していて、無端リンクチエンに取付けられた円形ブレードが端部近傍において上に引き上げられる構成となっているから、無端リンクチエンが横向きで反転するためバケット型ブレードが端部近傍において上に引き上げられる構造とはなっていない被告製品と比較して、切粉を残さず搬送するというブレードの機能においてやや劣っているものであり、したがって、本件発明(一)の蛇行管路の端部を上下に揃えるという構成と被告製品の蛇行管路の端部を左右に水平に揃えるという構造とは、右の点で技術的に相異なるものである。
以上によれば、本件発明(一)においては、蛇行管路の端部を上下に揃えること及び無端リンクチエンを下の管路から上の管路に循環動させること等を規定している構成要件B及びEは、同発明の必須の要件であるというべきであり、原告らの設計上の微差及び不完全利用であるとの前記主張を採用することはできない。
また、原告らは、従動ローラに代えて、U字状の曲管を使用することは、本件発明(一)の特許出願時に自明で、容易に置換可能な技術である旨主張するが、本件発明(一)は、従動ローラを用いた折り返し機構を採ることにより従動ローラ側でも切粉の搬出を可能としているものであり(甲二)、これに対し、被告製品のU字状の曲管を用いた折り返し機構においては、同曲管における切粉の搬出はできないのであるから、被告製品は、本件発明(一)の右構成とは、明らかに作用効果を異にするものであり、原告らの前記主張もまた採用することはできない。
(三) 以上によれば、被告製品は、本件発明(一)の技術的範囲に属しないものである。
二 被告製品は、本件発明(二)の技術的範囲に属するか。
1 本件発明(二)の目的及び作用効果
本件発明(二)は、無端状の管形通路中を一方向に循環駆動されるチエンを使用し、金属物質、紙製品、木、土等の物質を含む広い範囲での物質の搬送を行うことが可能な多目的形コンベア装置に関するものであり、従来からの無端チエンを用いたコンベアは、いずれもリンクの構造が複雑で製作に手間がかかるものであったため、チエンとして最も簡素な卵形リンクチエンを利用したコンベアを提案するものである。また、本件発明(二)は、直径が一定の直管、曲管をつなぎ、上下、左右及びその複合方向に屈曲させて管形通路を構成し、右チエンには、リンクの複数個おきに管の内径よりも直径が少し小さい円板の周縁部を一個所で固定したものであり、これにより、搬送物を管形通路の端部において排出し、また、上下に揃えた管形通路の下側の端部から搬送物を排出し、チエンを上側の端部へ循環動させることにより、上に重なった端部から排出した物質の一部が下に重なった端部に入ることを防止することができるものである。(甲三〇の一)
2 本件発明(二)と被告製品との対比
(一) 別紙物件目録の記載によれば、被告製品は、適宜の間隔でバケット型ブレード204がその縁部で固着されている無端リンクチエンが、動力源となるモーターで駆動される駆動ローラ106に掛け渡され、蛇行管路内をほぼ最短コースで張設されて循環し、同管路内の被搬送物を右バケット型ブレード204で押しながら、端部105まで搬送し、排出するものであり、蛇行管路の端部105が斜め上向きに立ち上がりその後水平方向に並列に設置され、また、右端部105の先には、駆動ローラ106が横向きに配置されていて、無端リンクチエンが、水平方向に並列に設置されている蛇行管路の一方の端部から出て他方の端部へ入るように循環動する構造となっているものである。これに対し、本件発明(二)は、前記1の目的及び作用効果を奏するために、「上記管形通路中には上下に揃って斜上向きに固定された上端開放の二本の直管を設けると共に」(構成要件B)、「上記両直管の上端の先方に、前記チエンを懸け、下側の直管の上端から出たチエンを上側の直管の上端内部に導く誘導輪を夫々配置」(構成要件C)するものであり、被告製品の前記構造は、蛇行管路の端部が上下ではなく、水平方向に揃えて設置されていて、無端リンクチエンが水平方向に並列に設置されている右蛇行管路の一方の端部から出て他方の端部へ入るように循環動する構造となっている点で、本件発明(二)の構成要件B及びCを充足しないものである。
(二) 原告らは、管形通路の端部を上下に揃え無端リンクチエンの反転を上下に行って同チエンを循環動させる本件発明(二)の構成と、蛇行管路の端部を左右に水平に揃え無端リンクチエンの反転を左右に行って同チエンを循環動させる被告製品の構造とは単なる設計上の微差にすぎず、また、被告製品は、無端リンクチエンを横向きで反転させる構造であるから、駆動ローラから無端リンクチエンが外れやすい欠点を有するだけで、本件発明(二)のように縦方向に反転する場合に比べて特段の効果がないので、本件発明(二)を不完全利用したものにすぎない旨主張する。
しかし、特許請求の範囲は、本来、「特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載した」ものでなければならないのであるから、管形通路の端部を上下に揃えること(構成要件B及びC)を特許請求の範囲に記載した以上は、原則としてこれを本件発明(二)の構成に欠くことができない事項と解するのが特許法の趣旨にそうところである。
のみならず、本件発明(二)の出願の経過をみると、次のような事実がある。すなわち、原告キャタピラーは、本件発明(二)の特許出願後、昭和六一年六月六日付けで拒絶理由通知を受け、同年八月二九日に手続補正書を提出しているが、同補正書において特許請求の範囲の記載を補正し、管形通路の端部を上下に揃えるとの構成について、「上記チェンを通す管形通路には前記循環駆動されるチェンが露出する斜め上向き端部と、前記斜め上向き端部の上に重なり、斜め上向き端部から出たチェンが引込まれる斜め下向き端部を設けたことを特徴とする多目的形コンベア装置」と補正した。その後、昭和六二年二月一三日付けで再度拒絶理由通知を受けたのに対し、同年五月二五日に手続補正書を提出して、特許請求の範囲を全面的に補正し、管形通路の端部を上下に揃える構成については、特許請求の範囲の記載から全て削除し、管形通路の端部を上下に揃える構成を本件発明(二)の構成要件とはしないこととしたが、同年八月四日に拒絶査定を受けた。そこで、同年九月二日、審判請求すると共に、同年九月三〇日手続補正書を提出して、特許請求の範囲の記載を現在のものに補正し、管形通路の端部を上下に揃えるとの内容を含む前記構成要件B及びCを追加したものである。このように、原告キャタピラーは、管形通路の端部を上下に揃えるとの構成要件について、一度は特許請求の範囲からこれを削りながら、拒絶査定を受けた後に審判手続で再度特許請求の範囲にこれを記載したものである。(甲三〇の二、三六及び三七の各一・二、三八、三九、四一)
また、別紙物件目録の記載及び甲二四、二六によれば、被告製品は、無端リンクチエンを横向きで反転させる構造となっているから、本件発明(二)の構成と比較して駆動ローラから無端リンクチエンがやや外れやすい欠点を有するものの、逆に、本件発明(二)は、無端リンクチエンが下に重なった端部から出て上の管路に入るように循環動していて、無端リンクチエンに取付けられた円形ブレードが端部近傍において上に引き上げられる構成となっているから、無端リンクチエンが横向きで反転するため、バケット型ブレードが端部近傍において上に引き上げられる構造とはなっていない被告製品と比較して、切粉を残さず搬送するというブレードの機能においてやや劣っているものであり、したがって、本件発明(二)の蛇行管路の端部を上下に揃えるという構成と被告製品の蛇行管路の端部を左右に水平に揃えるという構造とは、右の点で技術的に相異なるものである。
以上によれば、本件発明(二)においては、蛇行管路の端部を上下に揃えること及び無端リンクチエンを下の管路から上の管路に循環動させること等を規定している構成要件B及びCは、同発明の必須の要件であるというべきであり、原告らの前記主張を採用することはできない。
(三) 以上によれば、被告製品は、本件発明(二)の技術的範囲に属しないものである。
三 被告意匠は、本件意匠に類似するか。
1 本件意匠と被告意匠との比較
(一) 本件意匠の構成は、次のとおりである。(甲五)
A 卵形リンクを縦向きと横向きに交互に直交して連結してチエンを形成している。
B このチエンの一定間隔毎にブレードをその広面がチエンの延出方向と直交するように起立状に配置する。
C ブレードは、円形からなっており、広面が偏平面となっている。
D このブレードの周縁部に横向きのリンクを嵌合する嵌合凹部を設け、この嵌合凹部に所定の横向きのリンクをその中央で嵌込み、ブレードの縁部にリンクが一体になるように固着している。
(二) 別紙物件目録の記載によれば、被告意匠の構成は、次のとおりである。
a 卵形リンクを縦向きと横向きに交互に直交して連結してチエンを形成している。
b このチエンに適宜の間隔でバケット型ブレードをその広面がチエンの延出方向と直交するように起立状に配置する。
c バケット型ブレードの外周形状は、底部が一部切り欠かれた略円形からなっている。また、このバケット型ブレードの広面は、そのほぼ中央がチエンの搬送方向に対して後方向へ向かって球面状に湾曲した面となっている。
d このバケット型ブレードの切り欠かれた端面に横向きの卵形リンクを嵌合する嵌合凹部を設け、この嵌合凹部に前記リンクの横向きリンクの一つをその中央位置で嵌込み、バケット型ブレードの縁部にリンクが一体になるように固着している。
(三) 右(一)、(二)によれば、被告意匠の構成a及びbは、本件意匠の構成A及びBとほぼ同一の構成であるが、被告意匠の構成cは、バケット型ブレードの広面がチエンの搬送方向に対して後方向へ向かって球面状に湾曲した面となる点で、ブレードの広面が偏平面となっている本件意匠の構成Cと異なること、並びに、被告意匠の構成c及びdは、バケット型ブレードの外周形状の一部が切り欠かれた略円形からなる点で、ブレードが円形の外周形状である本件意匠の構成C及びDと一部異なることが認められる。
2 本件意匠の要部と被告意匠との類否
意匠の類否は、登録意匠と被告意匠とを全体的に観察して、物品の取引者及び需要者において両者を混同するほどに似ているかどうかを基準にして判断すべきところ、右判断においては、意匠の要部(見る人の注意を強く惹く部分)における両者の類似性ないし非類似性を重視して判断すべきである。そして、登録意匠の要部は、第一に、物品の性質、用途、技術的機能、使用態様等を考慮し、第二に、意匠法が、出願時の公知意匠に類似する意匠を除いた、工業上利用することができる意匠のみを登録することができる旨規定していることに鑑み(意匠法三条一項)、意匠出願時の公知意匠をも参酌したうえで、これを認定すべきである。
(一) 公知意匠について
本件意匠は、昭和五六年四月六日に出願されているものであるが、右出願時の公知意匠としては、本件発明(二)の特許出願に対する昭和六二年二月一三日付けの拒絶理由通知書において引用されている昭和五二年三月一日に公開された公開特許公報(特開昭五二-二七一七八、発明の名称「チューブコンベア」)の第3図及び第4図に示されている別紙公知意匠目録(一)の意匠(以下「公知意匠(一)」という。)及び昭和五〇年二月二一日に公告された特許公報(特公昭五〇-四五八二、発明の名称「給餌パイプ内における給餌搬送用チエーンの引き張り方法」)の第3図、第4図に示されている別紙公知意匠目録(二)の意匠(以下「公知意匠(二)」という。)がある。(甲三七の一、三九)
(二) 本件意匠の要部と被告意匠との類否
本件登録意匠に係る物品である搬送チエンは、工場その他の場所で物質の搬送を目的として購入されるものであり、その取引者及び需要者は、一般の消費者ではなく、この搬送チエンを工場その他の場所に設置する目的でこれを購入する企業等の担当者ないしはその取引関係者であり、この場合、右取引者及び需要者は、物品の技術的機能、コスト等を同種の他社製品と比較検討した上で購入するものである。したがって、チエンの形状のみならず、ブレードの形状、ブレードとチエンの取付方法等が、その技術的機能も含めて、取引者及び需要者の注意を惹く部分になることは明らかである。また、前記(一)の公知意匠によれば、(1)搬送チエンにおいては、本件意匠の構成A、Bにみられる卵形リンクを縦向き、横向き交互に直角に連結したチエンの一定間隔毎に、ブレードをその広面がチエンの延出方向と直交するように起立状に配置する構成は、公知のものであり、かつ、本件意匠を構成する基本的な形状であること、(2)公知意匠(二)のようにブレードとして外周形状が円形で広面が偏平な円板を用いる形状、及び、公知意匠(一)のようにブレードの下側の縁をリンクチエンに取付ける形状は、公知のものであることからすれば、本件意匠は、右二つの公知の形状を組合わせたもの、すなわち、外周形状が円形で広面が偏平な円板をブレードとして用い、かつ、そのブレードの下側の縁をチエンに取付ける形状を組合わせた点に特徴があるというべきである。
以上によれば、外周形状が円形で広面が偏平な円板をブレードとして用い、かつ、そのブレードの下側の縁をチエンに取付けるとの形状の組合せもまた、前記(1)の基本的な形状と並んで本件意匠の要部となるものというべきである。
これに対し、被告意匠は、別紙物件目録の第6図に示されるように、卵形リンクを縦向き、横向きに交互に直角に連結したチエンの適宜間隔毎にブレードをその広面がチエンの延出方向と直交するように起立状に配置する構成を取っている点、及び、ブレードの下側縁部をチエンに取付ける構成を取り、ブレードの外周形状を円形としている点は、本件意匠の前記構成とその要部において同一であるが、ブレードの広面が偏平ではなく、その中央が外方に向かって球面状に湾曲している点では、本件意匠とその要部において異なっているものであるといわざるをえない。すなわち、本件物品の取引者及び需要者は、前記のとおりチエン及びブレードとチエンの取付方法のみならず、ブレードの形状にも注目して本件の物品を取引きするのであるから、右のようなブレードの形状の差異は、見る人の注意を強く惹く部分であり、本件物品の取引者及び需要者をして本件登録意匠と被告意匠とを明確に識別させるものであり、したがって、被告意匠は、全体として本件登録意匠とは美観を異にし、これに類似しないものである。
四 以上によれば、原告らの請求は、甲事件、乙事件を通じて、いずれも理由がない。
(裁判長裁判官 西田美昭 裁判官 設樂隆一 裁判官 櫻林正己)
物件目録
イ号製品の参考図面第1図(a)~(c)のチップコンベアについての説明書
このチップコンベアは、往路の蛇行管路101-Ⅰと復路の蛇行管路101-Ⅱとからなる搬送管路101を敷設している。
この往復の蛇行管路101-Ⅰ及び101-Ⅱは、(a)図に示すように並行する一対の長短の直管101aと中途個所でそれぞれと連設された略L状の曲管101b(C-1、C-3)と、これらと接続されて水平に延びる直管101aをU字状の折曲管101c(B-1)で連設しており、上記折曲管101c(B-1)部分を折返し部分108としている。
そして上記折返し部分108側の上面にはシュートが配置されており、水平に延びる直管101aの上面に穿設された開口部102からチップ等の被搬送物が蛇行管路101内に投入されるようになっている。
この蛇行管路101は(c)図に示すように端部105、105’側を斜め上向きに立ち上がらせてから並列にして水平方向に揃えている。
また蛇行管路101の並列する端部105、105’(A部)の先方には動力源となるモータで駆動される駆動ローラ106を横向きに配置している。
このように構成された蛇行管路101内には、イ号製品の参考図面第5図及び第6図に示すように卵形リンクを交互に縦向き(103a)、横向き(103b)に連結する無端リンクチエン103を設け、この無端リンクチエン103に適宜の間隔で上記両蛇行管路101-Ⅰ、101-Ⅱ内を移動できる大きさの略円形のバケット型ブレード204をその縁部で固着している。
このように形成された無端リンクチエン103は前記駆動ローラ106に掛け渡され、蛇行管路101内をほぼ最短コース沿いに張設されて循環動される。
上記構成からなっているので、駆動ローラ106で無端リンクチエン103が蛇行管路101内を循環し、蛇行管路101内の被搬送物をバケット型ブレード204で押しながら端部105まで搬送し、排出することができる。
そして上記バケット型ブレード204は屈曲する管路101bまたは101cに沿ってほぼ最短距離に張設された無端リンクチエン103で牽引されるので各コーナ部で回転しながらスムーズに循環動することができ、無端リンクチエン103の全長を使って搬送を行なうことができる。
以上
イ号製品の参考図面
<省略>
イ号製品の参考図面第2図(a)~(c)のチップコンベアについての説明書
このチップコンベアは、往復の蛇行管路101-Ⅰ及び101-Ⅱが、(a)図に示すように並行する一対の長短の直管101aと中途個所でそれぞれと連設された略L状の曲管101b(C-1~C-3)と、これらと接続されて水平に延びる直管101aをU字状の折曲管101c(B-3)で連設しており、上記折曲管101c(B-3)部分を折返し部分108としている。
そして上記折返し部分108側の上面にはシュートが配置されており、水平に延びる直管101aの上面に形成された開口部102からチップ等の被搬送物が蛇行管路101内に投入されるようになっている。
この蛇行管路101は(c)図に示すように端部(A部)を斜め上向きに立ち上げて水平に並列して揃えている。
また蛇行管路101の並列する端部105、105'(A部)の先方には動力源となるモータで駆動される駆動ローラ106を横向きに配置している。
このように構成された蛇行管路101内には、イ号製品の参考図面第5図及び第6図に示すように卵形リンクを交互に縦向き(103a)、横向き(103b)に連結する無端リンクチエン103を設け、この無端リンクチエン103に適宜の間隔で上記両蛇行管路101内を移動できる大きさの略円形のバケット型ブレード204をその縁部で固着している。
このように形成された無端リンクチエン103は前記駆動ローラ106に掛け渡され蛇行管路101内をほぼ最短コース沿いに張設されて循環動される。
上記構成からなっているので、駆動ローラ106で無端リンクチエン103が蛇行管路内を循環し、蛇行管路内の被搬送物をバケット型ブレード204で押しながら端部105まで搬送し、排出することができる。
そして上記バケット型ブレード204は屈曲する管路に沿ってほぼ最短距離に張設された無端リンクチエン103で牽引されるので各コーナ部で回転しながらスムーズに循環動することができ、無端リンクチエン103の全長を使って搬送を行なうことができる。
以上
イ号製品の参考図面
<省略>
<省略>
イ号製品の参考図面第3図のチップコンベアについての説明書
このチップコンベアは、往復の蛇行管路101-Ⅰ、101-Ⅱが、並行する一対の長短の直管101aと中途個所でそれぞれと連設された略L状の曲管101b(C部)及び折曲管101c(B部(B-2)に準じる)と、これらと接続されて折返し部分108となる折曲管B-1とを連設している。
そして上記蛇行管路101の適宜個所の上面にはシュートが配置されており、管路に形成された開口部102からチップ等の被搬送物が蛇行管路101内に投入されるようになっている。
この蛇行管路の端部105、105’(A部)は斜め上向きにして水平方向に揃えている。
またこの端部105、105’(A部)の先方には動力源となるモータで駆動される駆動ローラ106を横向きに配置している。
このように構成された蛇行管路101内には、イ号製品の参考図面第5図及び第6図に示すように卵形リンクを交互に縦向き(103a)、横向き(103b)に連結する無端リンクチエン103を設け、この無端リンクチエン103に適宜の間隔で上記両蛇行管路内を移動できる大きさの略円形のバケット型ブレード204をその縁部で固着している。
このように形成された無端リンクチエン103は前記駆動ローラ106に掛け渡され蛇行管路101内をほぼ最短コース沿いに張設されて循環動される。
上記構成からなっているので、駆動ローラ106で無端リンクチエン103が蛇行管路内を循環し、蛇行管路101内の被搬送物をバケット型ブレード204で押しながら端部105まで搬送し、排出することができる。
そして上記バケット型ブレード105は屈曲する管路に沿ってほぼ最短距離に張設された無端リンクチエン103で牽引されるので各コーナ部で回転しながらスムーズに循環動することができ、無端リンクチエン103の全長を使って搬送を行なうことができる。
以上
第3図
<省略>
イ号製品の参考図面第4図のチップコンベアについての説明書
このチップコンベアは、往復する蛇行管路101-Ⅰ及び101-Ⅱを2つ直列に接続した場合であって前方の(往復する)蛇行管路101の開口部102に後続の(往復する)蛇行管路101の端部105、105’を配置して、後続の蛇行管路101で搬送した被搬送物を前方の蛇行管路101に投入する構成からなっている。
即ち、前方及び後続のそれぞれ往復する蛇行管路101は、並行する一対の長短の直管101aと中途個所で方向を転換するために連設された略L状の曲管101b(C部)乃至折曲管101c(D部等)と、これらと接続された折返し部分108とを連設しており、後続の蛇行管路101の端部105、105’(A部)が前方の蛇行管路の折返し部分108の一個所に形成された開口部102上に配置されている。
更に上記各蛇行管路101の適宜個所の上面にはシュートが配置されており、管路に形成された開口部102からチップ等の被搬送物が蛇行管路内に投入されるようになっている。
これら前方及び後続の蛇行管路の各端部105、105’(A部)は斜め上向きになって水平方向に並列に揃えている。
また各蛇行管路の並列する端部105、105’(A部)の先方には動力源となるモータで駆動される駆動ローラ106を横向きに配置している。
このように構成された蛇行管路101内には、イ号製品の参考図面第5図及び第6図に示すように卵形リンクを交互に縦向き(103a)、横向き(103b)に連結する無端リンクチエン103を設け、この無端リンクチエン103に適宜の間隔で上記両蛇行管路101内を移動できる大きさの略円形のバケット型ブレード204をその縁部で固着している。
このように形成された無端リンクチエン103は前記駆動ローラ106に掛け渡され蛇行管路内をほぼ最短コース沿いに張設されて循環動される。
上記構成からなっているので、駆動ローラ106で無端リンクチエン103が蛇行管路101内を循環し、蛇行管路101内の被搬送物をバケット型ブレード204で押しながら端部105まで搬送し、排出することができる。
そして上記バケット型ブレード204は屈曲する管路に沿ってほぼ最短距離に張設された無端リンクチエン103で牽引されるので各コーナ部で回転しながらスムーズに循環動することができ、無端リンクチエン103の全長を使って搬送を行なうことができる。
以上
第4図
<省略>
イ号製品第5図の無端リンクチエンについての説明書
この図は蛇行管路の一部となる直管101aの一部を切欠いて、内蔵されている無端リンクチエン103を示した斜視図であり、卵型のリンクを縦向き(103a)と横向き(103b)に交互に直交状に連結した無端リンクチエン103の一定間隔毎にバケット型ブレード204をその広面が無端リンクチエン103の延出方向と直交するように起立して配している。
該バケット型ブレード204は一側を直径と直交する線で切欠いた略円形状からなっており、且つゆるやかな凸球面状としている。
そして、上記バケット型ブレード204の切欠かれた端面を水平にして横向きの無端リンクチエン103の中央に溶着している。
また、バケット型ブレード204はゆるやかな凸球面状であるため、蛇行管路内101での搬送方向は凹部側が前向きになって移動する一方向に限られている。
イ号製品の参考図面
<省略>
イ号製品第6図の無端リンクチエンについての説明書
このリンクチエンは、卵型の枠形状からなる卵型リンクを縦にして縦向き卵型リンク103aとし、また卵型リンクを横にして横向き卵型リンク103bとし、これら縦向き卵型リンク103aと横向き卵型リンク103bとを交互に直交するように連続して多数を連結している。
そして、そのうちの任意の、図面上では横向き卵型リンク103bの中央に略円形の輪郭を有し、中央に外方に湾曲して略球面状としたバケット型ブレード204を直立させその縁部を溶着している。
このバケット型ブレード204は連続するリンクチエンに等間隔に溶着されている。
以上
イ号製品
<省略>
背面図は正面図と対称
イ号製品第7図の無端リンクチエンについての説明書
このチップコンベアは、往復の蛇行管路101-Ⅰ及び101-Ⅱが、(a)図に示すように並行する一対の長短の直管101aと中途個所でそれぞれと連設された略L状の曲管101bとで連設している。
そして蛇行管路の上面には所定位置にシュートが配置されており、水平に延びる直管の上面に形成された開口部102からチップ等の被搬送物が蛇行管路101内に投入されるようになっている。
この蛇行管路101は(b)図に示すように端部105、105’側を垂直に起立して左右に揃えている。
また蛇行管路101の並列する端部105、105’の先方には動力源となるモータで駆動される駆動ローラ106を横向きに配置している。
このように構成された蛇行管路101内には、イ号製品の参考図面第5図及び第6図に示すように卵形リンクを交互に縦向き(103a)、横向き(103b)に連結する無端リンクチエン103を設け、この無端リンクチエン103に適宜の間隔で上記両蛇行管路101内を移動できる大きさの略円形のバケット型ブレード204をその縁部で固着している(図示省略)。
このように形成された無端リンクチエン103は前記駆動ローラ106に掛け渡され蛇行管路101内をほぼ最短コース沿いに張設されて循環動される。
上記構成からなっているので、駆動ローラ106で無端リンクチエン103が蛇行管路101内を循環し、蛇行管路101内の被搬送物をバケット型ブレード204で押しながら端部105まで搬送し、排出することができる。
そして上記バケット型ブレード204は屈曲する管路に沿ってほぼ最短距離に張設された無端リンクチエン103で牽引されるので各コーナ部で回転しながらスムーズに循環動することができ、無端リンクチエン103の全長を使って搬送を行なうことができる。
以上
イ号製品の参考図面
<省略>
イ号製品A部~D部についての説明書
A部について
往復の蛇行管路の端部105、105’は水平方向に揃えられており、その間に配置されて横方向に回転可能な駆動ローラ106に無端リンクチエン103が掛止められており、該駆動ローラ106の回転駆動により無端リンクチエン103が蛇行管路内を循環動する。
B部について
B部はU状の折曲管101cを用いて折返し部分108等の蛇行管路の方向転換に用いられる構成であって、その両端から延出する管路の折曲方向によって最短距離に配置される無端リンクチエン103の張設位置が異なり、B-1~3の態様を有することを示す。
C部について
C部はL状の曲管101bを用いて蛇行管路の方向転換に用いられる構成であって、その両端から延出する管路の折曲方向によって最短距離に配置される無端リンクチエン103の張設位置が異なり、C-1~3の態様を有することを示す。
D部について
曲管101b乃至折曲管101cを組み合わせて蛇行管路を方向転換する場合の一例を示す図である。
以上
イ号製品 A部
切粉排出側から見た正面図
A部
<省略>
イ号製品 B部
u状コーナー部分(折返し部分)の断面図
無端リンクチエンはu状曲管の一端側が外向きに曲がっている場合の配設例を示す
B-1
<省略>
イ号製品 B部
u状コーナー部分(折返し部分)の断面図
無端リンクチエンはu状曲管の両端側が外向きに曲がっている場合の配設例を示す
B-2
<省略>
イ号製品 B部
u状コーナー部分(折返し部分)の断面図
無端リンクチエンはu状曲管の両端側が内向きに曲がり又は直線状に延びる場合の配設例を示す
B-3
<省略>
イ号製品 C部
蛇行管路のし状コーナー部分の断面図
無端リンクチエンはコーナー部分の一端側が外向きに曲がっている場合の配設例を示す
C-1
<省略>
イ号製品 C部
蛇行管路のL状コーナー部分の断面図
無端リンクチエンはコーナー部分の両端側が外向き曲がっている場合の配設例を示す
C-2
<省略>
イ号製品 C部
蛇行管路のL状コーナー部分の断面図
無端リンクチエンはコーナー部分の両端側が内向きに曲がり又は直線状に延びる場合の配設例を示す
C-3
<省略>
イ号製品
L状コーナー部分の複合した一例
D部
<省略>
パイプコンベア・パイコン21販売明細一覧表
(平成元年~2年)
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
<省略>
価格算出基準表
算出の対象となる費用は据付工事・電気工事・その他付帯工事を除いて、パイプコンベヤ本体価格とする。
計算式 P={L×+n×+m×
P:価格
L:機長
・ブレード付チェーン
・点検口・サポート数
・塗装
n:コーナ数(n=1/10+1)
1辺を10mとし少数値切上数を
コーナ数としてカウント
+1は駆動部の立ち上げ分
:コーナ単価 ベンド管・ライナー
フランジ+パッキン+ボルト
m:ホッパー数(マシーン数×2+1)
各マシーンからの切粉出口を2ヶ所とし
+1は手投入予備分
1.3:設計を含む諸費用・経費
<省略>
<19>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告
<12>特許公報(B2) 昭61-57249
<51>Int.Cl.4B 65 G 19/14 B 23 Q 11/00 識別記号 庁内整理番号 A-6662-3F S-7226-3C <24><44>公告 昭和61年(1986)12月5日
発明の数 1
<54>発明の名称 チツプコンベア
前置審査に係展中 <21>特願 昭55-153837 <65>公開 昭57-83337
<22>出願 昭55(1980)11月4日 <42>昭57(1982)5月25日
<72>発明者 石井靖 神奈川県津久井郡藤野町沢井214
<72>発明者 宮本武 町田市高ケ板830-26-86
<72>発明老 小野桂一 相模原市相模原2丁目19-12
<72>発明者 河井健次 町田市野津田町1803-2
<72>発明者 石塚修三 相模原市光ケ丘3丁目11-5-6
<72>発明者 本橋久男 相模市若松3丁目19-21
<71>出願人 キヤタピラー三菱株式会社 東京都港区北青山一丁目2番3号
<74>代理人 弁理士 福田信行 外2名
審査官 松木禎夫
<56>参考文献 特開 昭52-27178(JP、A) 特開 昭53-66685(JP、A)
実開 昭51-6685(JP、U)
<57>特許請求の範囲
1 長短の直管、曲管、折曲管を金属加工機械群のレイアウトに応じ連結し、金属加工機内或はその近傍を別々に順次通過する二つの蛇行管路を敷設し、上記両蛇行管路の各一端部を斜め上向きにして上下に揃え、各他端部も斜め上向きにし、且つ前記一端部で下になつた管路を上、上になつた管路を下にして上下に揃えると共に、各端部の上になつた一方の管路の先方には動力で駆動される駆動ローラ、他方の管路の先方には従動ローラを配置し、
卵形リンクを交互に縦向き、横向きに連結すると共に適宜の間隔で上記両蛇行管路内を移動できる大きさの円形ブレードの縁部を取付けたリンクチエンを両蛇行管路内に一連に通して無端に連結し、この無端リンクチエンを上記駆動ローラと従動ローラに掛けて前記両蛇行管路内でほゞ最短コース沿いに張設し、上記駆動ローラにより両蛇行管路の各端部で下に重なつた管路から出て上の管路に入る様に前記無端リンクチエンを循環動させることを特徴とするチツプコンベア。
発明の詳細な説明
この発明は金属加工工場等において配置されている多数の金属加工機械の機内或は機外に排出される切粉を搬送して集めるチツプコンベアに関する。
チツプコンベアとしては従来からローラチエンにスクレーパやヒンジブレートを取付けて搬送トラフ中で移動させ、搬送トラフ内に排出される切粉を搬送するものが公知であるが、スクレーパやヒンジブレートを取付けるための加エが複雑で高価になるばかりか、搬送トラフは直線状にしか敷設することができないのでトラフから離れた金属加工機械が排出する切粉は作業員が手で持つて搬送トラフに捨てに行くか、サブコンベアで搬送トラフに運ぶことが必要であつた。更に、ローラチエンは無端状に張設されているが実際に搬送トラフ内を移動して切粉を搬送するのはチエン全長の略々1/2であり、残りの1/2は回帰帯域として搬送機能を営まない。
そこで本発明は配置されている金属加工機械のレイアウトに応じ長短の直管、曲管、屈曲管を連結して機械内或は機械の近傍を別々に順次通過する二つの蛇行管路を敷設し、この両蛇行管路中にはチエンとして最も構造が簡単な卵形リンクを交互に縦向き、横向きにして直交状に連結すると共に、適当な間隔で前記管路中を移動できる円形ブレードを取付けた無端リンクチエンを通して循環動させることにより無端リンクチエンの全長で搬送を行う様にしたのである。
従つて本発明によれば搬送トラフは金属加工機械のレイアウトに応じ自由に屈曲して機械内或は機械の近傍を順次通過するため作業員が切粉を搬送トラフに運んで捨てたり、サブコンベアを設備したりする必要が省けると共に、無端リンクチエンの全長を使つて搬送を行い、チエンの長さに無駄を生じない。
本発明の上記した特長、利点、その他の特長、利点は以下の図示の一実施例を参照した説明で明らかになる。
1は二つの蛇行管路1-Ⅰと1-Ⅱからなる搬送管路で、各蛇行管路は必要長さの長短の直管1a、直角或はその他の角度で曲つた曲管1b、一端が直角或はその他の角度でアングル形に曲つたり、両端が直角その他の角度でクランク形、カスガイ形に曲つた屈曲管1cを金属加工機械のレイアウトに応じて使い分け、管端のフランジ同志をボルト締め、溶接などで連結し、切粉が機内に排出される加工機M1に対しては機内を貫通させ、貫通部には排出される切粉を受入れる開口部2、切粉が機外に排出される加工機M2に対しては機外の切粉排出位置を通過させ、そこに開口部2を設けて切粉をシユート2’で受入れる様にする。各管1a、1b、1cは丸パイプ、例えば市販の配管用炭素銅鋼管(通称ガス管)をそのまゝ用いることができ、この口径は全加工機が排出する切粉の大きさ、量等に応じ適切に定める。
この様に各蛇行管路1-Ⅰ、1-Ⅱは長短の直管1aのほか、曲管1b、折曲管1cを連結することにより構成されるので水平方向、垂直方向に自由に屈曲させ、金属加工機のレイアウト、各加工機の切粉排出位置の高さに合わせて敷設できる。
こうして自由に屈曲させて敷設した両蛇行管路中にはほゞ最短コース沿いに一通の無端のリンクチエン3を張設する.リンクチエン3は縦向きのリンク3aと横向きのリンク3bを交互に直交状に連結すると共に、適当な間隔で円形ブレード4の縁部を溶接などで固定してある。
両蛇行管路1-Ⅰ、1-Ⅱは、搬送管路1の一端部5では夫々斜め上を向き、管路1-Ⅱを下、1-Ⅰを上にして架台8て斜めに支持された支持体9に溶接などで固定し、搬送管路1の他端部5’では逆に管路1-Ⅰを下、1-Ⅱを上にして斜め上向きに上下に揃え、同様に架台8で斜めに支持された支持体9に溶接などで固定してある。そして、一方の支持体9には上の管路1-Ⅰの先方に動力で回転させられる駆動ローラ6、他方の支持体には上の管路1-Ⅱの先方に従動ローラ6’を配置し、前記無端リンクチエン3を張設する。
駆動ローラ6、従動ローラ6’は外周にリンクチエン3の縦向きリンク3aの一半部を収容する環状溝6aと、環状溝6aの両側に横向きリンク3bと噛合う卵形溝6bを有する(第8図)。この様に駆動、従動両ローラは環状溝6aと卵形溝6bを有し、リンクチエンの縦向きリンク3aの一半部を環状溝6aに収容し、横向きリンク3bの前後狭幅部を除いた略々全体を卵形溝6bに収容し、これによつてリンクチエンと強力に噛合い、リンクチエンを循環動させる.そして、前述のブレード4は横向きリンク3bの両側二個所に縁部を溶接で固定して外向きにし、各ロール6、6’の卵形溝6bの両側にはブレード4が係入る溝6cが連通して設けてある。
ブレード4の形状は搬送トラフ1の断面形状と略々相似で、搬送トラフの断面積の略々60~80%程度の大きさの円形とする。
この様に両蛇行管路1-Ⅰ、1-Ⅱ中を一連に通つた無端のリンクチエン3は搬送管路1の一端部5では下に重なつた管路1-Ⅱから出る際にそれまで管路1-Ⅱ中で円形ブレードにより搬送した切粉を管端から排出し、それから駆動ローラ6の回りを半周回つて折返し、上の管路1-Ⅰ中に入つて行く。又、管路1の他端部5’では下に重なつた管路1-Ⅰから出る際にそれまで管路1-Ⅰ中で円形ブレードにより搬送した切粉を管端から排出し、それから従動ローラ6’の回りを回つて折返し上の管路1-Ⅱ中に入つて行く。従つて、端部5では管1-Ⅱの管端から、端部5’では管1-Ⅰの管端から夫々排出される切粉を各架台8のなかに入り込む切粉運搬台車7で受けて取出す。そして、下に重なつている管路の管端から切粉を排出するので、上になつている管端から排出した場合に下の管端内に切粉が入ることを防止できる.尚、各支持体9には排出される切粉を架台8のなかに入り込んだ台車7中に投入するためのシユート10を設けて置くとよい。
各支持体9は例えば第7図に示す様に前溝形断面に構成し、その相対向した側壁9a間には取付板9’を渡設し、斜上向きの上下に重なつた管路の各端部を取付板9’に貫通させ溶接で取付板に固定する。その支持体9には同様に倒溝形断面の補助枠11を摺動可能に跨らせ、支持体9の側壁9aの欠除部9a'に位置して補助枠11の対向した側壁11a間にリンクチエン3を折返し状にかける駆動ローラ6、従動ローラ6’を渡説すれば補助枠11を支持体9に対して前俵させることによりリンクチエン3のテンシヨンを適宜に調節することができる。このためには補助枠11の両側壁11aには補助枠を摺動させる方向に長孔11bを設けて支持体9の各側壁9aから外向きに突設したネジ9bを通し、且つ支持体9と補助枠11の端部間をボルト11’で連結し、ネジ9bに螺装したナツトを弛め、ボルト11’を回して支持体に対し補助枠11を前後に移動させ、リンクチエン3の張力を調節し、調節後はナツトをネジ9bに締付け、補助枠を固定する様にするとよい。
この実施例では搬送管路1の一端部5に配置された支持体9に補助枠11を跨らせ、駆動ローラ6を補助枠11の側壁間に支持し、チエンの張力を調節する様にしてある。そして、駆動ローラ6は補助枠11に支持してあるので、これを回転駆動するためのモータ、減速機12も補助枠11に設置してある.又、従動ローラ6’は他端部5’に配置した支持体9の両側壁間に支持してあるが、勿論、この支持体にも補助枠11を跨らせ、従動ローラを補助枠11の両側壁間に支持し、リンクチエンの張力を調節する様にしてもよい.尚、各端部5、5’においてリンクチエンをスムースに導くため駆動ローラ、従動ローラ以外にガイドローラ6’を支持体の両側壁間に支持することもある.このガイドローラ6’には縦向きのリンクの一半部を通す環状溝と、必要ならば卵形溝を設ける。
又、切粉の排出は蛇行管路1-Ⅰの一端と、1-Ⅱの他端以外に管路の途中に下向きの排出口を開設し、そこからも排出してもよい。
更に、例えば各蛇行管路の機械内貫通部に設けられた開口に切粉と一緒に切削油等の液が流入する様な場合は第9、10図に示す如く貫通部の両端に山形の起ち上り部分1’、1’を設けて流入した液を貫通部に滞まらせると共に、貫通部の適当位置にドレン口13を設けてこゝから液溜14中に液を流出させ、循環使用する様にする.
以上で明らかな様に本発明によれば各蛇行管路1-Ⅰ、1-Ⅱは長短の直管、曲管、屈曲管を連結し、立体的に自由に蛇行させることができるので加工機械内を貫通させたり、その近傍を通過させて全体として加工機械群のレイアウトに応じ敷設できる。そして両蛇行管路中を一連に循環動する。無端リンクチエン3には適当間隔で管路中を移動できる大きさの円形ブレードの縁部を固定してある。
従つて、このブレードはリンクチエンの循環動に伴つて一体に各管路中を移動し、リンクチエンと協同してトラフ中に入れられた切粉を移動させ、蛇行管路1-Ⅱの一端と、1-Ⅰの他端から排出する。
リンクチエンは搬送トラフ中に一定の緩みをもつて張つてあるが、第11図に示す如く各蛇行管路にある多数の屈曲した角(かど)の間を略々短絡し、略々最短コースに沿つて循環動する.この場合、ブレード4は縦向き、或は横向きのリンクに取付けられた外向きの状態では通ることができない角にさしかゝると管路の内面に押され、リンクチエンを捩りならが向きを変えて角を通過し、外向きになれる状態になるとチエンを捩り戻して元の向きになる。勿論、その間も管路内で切粉を支障なく移動させ続ける.この様に、ブレード4は固定された向きでは通過できない角に来ると管路の内面で押され、チエンを捩つて向きを自動的に変えつゝ、切粉を移動させながらそこを通過するためリンクチエンは管路中で略々最短コースに沿つて延び、長さの変動を起さないので一且張力を最適に調整したらその後の再調整は不要で、駆動ローラに対しスリツプなど起さず、円滑に循環動するる。
そしてリンクチエンはローラチエンなど他のチエンに較べて構造が簡素なため低廉であること、又、各蛇行管路は市販の前述したガス管などが使用できることによつて道中が立体的に蛇行し、全長が極めて長くても比較的低廉に提供することができる。
尚、実験機として全長約40m宛の蛇行した一部を第1、2図で示す蛇行管路を直径約150mmのガス管を連結して作つた。
この各蛇行管路の最短コースは設計上約30mである。これに短径28mm、長径43mmのリンクが交互に直交状に連結された長さ約70mのリンクチエンを通し、無端とした。リンクチエンには横向きリンクの5つ置きに直径約110mmのブレードの縁部を取付けてある。
このリンクチエンを毎分約5.5mで循環動させ好結果を得ることができた。
リンクチエンのリンクの寸法は蛇行管路の径と長さ、搬送すべき切粉の量に応じて最適に定るが一般的には短径15~25mm、長径20~40mm程度であり、管路の管径は150mm程度である。
尚、各管路の弯曲部分の内面はリンクチエンで揩られ、又、ブレードが摺接するので滲炭焼入を施して置くことが寿命の点で好ましい。
尚、ブレードはこの実施例では横向きリンクの各側部に対し固定してあるため搬送すべきチツプが多量であつても倒されることはないが、勿論、縦向きリンクのローラにある環状溝6aに収容されない他半部3a'に固定してもよい.
図面の簡単な説明
図面は本発明の一実施例を示すもので、第1図は一部を省略した平面図、第2図は同上の側面図、第3図は第2図を左側かち見た一部の拡大図、第4図はチエンとブレードを示す側面図、第5図はチエンとブレードが管路中に通つている状態を示す断面図、第6図は駆動ローラの支持体兼張力調整装置を示す第2図の左側の拡大図、第7図は同上の縦断面図、第8図は駆動ローラ及び従動ローラを示す拡大正面図、第9図は蛇行管路の一部の拡大平面図、第10図は同上の側面図、第11図はリンクチエンが各蛇行管路中を短絡的に通り、ブレードが向きを自動的に変えて移動する状態を示す説明図で、図中1-Ⅰと1一Ⅱは蛇行管路、1aは直管、1bは曲管、1cは屈曲管、3はリンクチエン、3aは縦向きリンク、3bは横向きリンク、4はブレード、6は駆動ローラ、6’は従動ローラを示す。
第4図
<省略>
第5図
<省略>
第1図
<省略>
第2図
<省略>
第3図
<省略>
第6図
<省略>
第7図
<省略>
第8図
<省略>
第10図
<省略>
第9図
<省略>
第11図
<省略>
<10>日本国特許庁(JP) <11>特許出願公告
<12>特許公報(B2) 平2-24729
<51>Int.Cl.3B 65 G 19/14 B 65 F 5/00 B 65 G 19/20 19/24 E 04 G 21/02 識別記号 A A 庁内整理番号 8819-3F 8818-3E 8819-3F 8819-3F 6539-2E <24><44>公告 平成2年(1990)5月30日
発明の数 1
<54>発明の名称 多目的形コンベア装置
審判 昭62-15334 <21>特願 昭57-75373 <65>公開 昭58-193806
<22>出願 昭57(1982)5月7日 <43>昭58(1983)11月11日
<72>発明者 石井靖 神奈川県津久井郡藤野町沢井214
<72>発明者 宮本武 東京都町田市高ケ坂830-26-86
<72>発明者 小野桂一 神奈川県相模原市相模原2丁目19-12
<72>発明者 河井健次 東京都町田市野津田1803-2
<72>発明者 石塚修三 神奈川県相模原市光ケ丘3丁目11-5-6
<72>発明者 本橋久男 神奈川県相模原市若松3丁目19-21
<71>出願人 新キヤタピラー三菱株式会社 東京都港区北青山1丁目2番3号
<74>代理人 弁理士 福田信行 外2名
審判の合議体 審判長 唐沢勇吉 審判官 長瀨成城 審判官 吉国信雄
<56>参考文献 特開 昭52-27178(JP、A) 特開 昭56-52151(JP、A)
実開 昭55-90619(JP、U) 特公 昭39-16530(JP、B1)
特公 昭50-4582(JP、B2) 特公 昭46-12374(JP、B1)
実公 昭53-54062(JP、Y2)
<57>特許請求の範囲
1 無端伏の管形通路中に、卵形リンクを交互に向きを90°変えて無端に連結し、一方向に循環駆動されるチエンを貫通し、このチエンの循環駆動により管形通路中で物質を搬送する多目的形コンベアにおいて、
上記管形通路を直管、曲管をつなぎ、上下、左右及びその複合方向に屈曲させて構成し、上記管形通路中には上下に揃つて斜上向きに固定された上端開放の二本の直管を設けると共に、上記両直管の上端の先方に、前記チェンを懸け、下側の直管の上端から出たチエンを上側の直管の上端内部に導く誘導輪を夫々配置し、
上記チエンにはリンクの複数個置きに、前記通路部材の管の内径よりも直径が少し小さい円板の周縁部を一個所で固定したことを特徴とする多目的形コンベア装置.
発明の詳細な説明
この発明は卵形リンクを向きを直交伏に変えて交互に連結し、無端状に張設したチエンを使用し、金属物質(切粉、金属製品、鉱物原料)、紙製品(古新聞、古雑誌、紙屑)、木(木製品、木材屑、チツブ)、土(砂利、コンクリート)、皮革・ゴム・ブラスチツク製、放射性物質、鳥獣肉・魚貝頬、殻物頬、各種工業用原料(固体、粉体)、雪、及び生ゴミ類、石粉等の物質を含む広い範囲での物質の搬送を行うことが可能な多目的形のコンベア装置に関する。
従来から無端チエンを用いたコンベアには各種のものがあるが、そのいずれもリンクの構造が複雑で、製作に手数がかゝる。
本発明はチエンとして最も簡素な卵形リンクを向きを交互に90°宛違えてつないだ卵形リンクチエンが、充分な強度を有するほか、各種のサイズのものを、必要長さ容易に入手できることに着目し、これを利用したコンベアを提案するもので、
そこで本発明は、無端状の管形通路中に、卵形リンクを交互に向きを90°変えて無端に連結し、一方向に循環駆動されるチエンを貫通し、このチエンの循環駆動により管形通路中で物質を一方向に搬送する多目的形コンベアにおいて、上記管形通路を直径が一定の直管、曲管をつなぎ、上下、左右及びその複合方向に屈曲させて構成し、上記チエンにはリンクの複数個置きに、前記通路部材の管の内形よりも直径が少し小さい円板の周縁部を一個所で固定したことを特徴とする。
以下、図示の実施例を参照して本発明を説明すると、1は縦向きと横向きの卵形リンク1aと1bを交互に直交状に連結して無端に構成したチエン、2は直径が一定な長短種々な直管2aや、曲管2bをフランジ結合などで連結してほヾ無端状に構成した管形通路、3は上記管形通路を構成する管の内径よりも直形が少し小さい円板、4は管形通路中に設けた斜め上向き端部、5は上記端部上に重なつた斜め下向き端部を示す。
第1~4図の第1実施例は第1、第2二組の管形通路2-Ⅰ、2-Ⅱを構成し、第1組と第2組の各一端同志と他端同志を近接させ、両通路中に一連の無端チエン1を通す。このチエンにはリンクの複数置きに管の内径より少し直径が小さい円板3の周縁部を溶接などで固定してスクレーバとする。
チエン1は一方の通路2-Ⅰの一端4から出て駆動輪6にかゝり、向きを反転して他方の通路2-Ⅱの一端5中に入つて行き、他方の通路の他端4から出て従輪7にかゝり、向きを反転して一方の通路2-Ⅱの他端5に入る。そして、スクレーパは管に内径より直径が少し小さい円板であつて、周縁の一部でチエンのリンクに溶接されているため通路中の直管の部分は無論、エルポ管、屈曲管など屈曲した部分の内部も自由に移動することができる。従つて、各組2-Ⅰ、2-Ⅱの通路の必要個所に搬送物の供給口8を適宜開設し、こゝから管内に搬送物を供給すると、第1通路中に供給した搬送物はその一端4から排出され、第2通路中に供給した搬送物はその他端4から排出され、チエンの全長を有効に利用して二個所に搬送物を集めることができる。
また、この装置では通路の双方側に投棄部9を形成してあるが、後述する実施例の如く投棄部9の設置個所は通路の一方側に形成することも場所によるレイアウト上自由に設計できる事項である。
第5~7図の第2実施例は前記実施例を更に発展したものを示している。
建造物10の厨房11等で発生する生ゴミ類を屋外の集積所(処理施設、運搬車等を含む)12へ搬送する場合である。
具体的には第7図に示す通り、壁13を貫通する通路2と、該通路2に形成した供給口14とからなり、通路2には円板3付きの無端チエン1を屋外の集積所12へ循環させることによつて迅速且つ、衛生的に生ゴミ類を搬送することができる。
この例では生ゴミ類を例示的に記述したがデパート等の商品類を一定の場所へ集荷させることも可能である。又、地上より階下へ物質を搬送することも本実施例の態様の一部に含まれている。
第8~12図の実施例は豪雪地帯での除雪システムに関する。即ち、路面15に適宜長さの通路2を埋設し、マンホール16を有する供給口17を適宜間隔をおいて設け、この供給口17を通じて人為的または機械(除雪車)等を介して雪の投棄を行う。
通路2のエンドレスな他方端4、5側を地上へ露出させ、モータで回転する駆動輪6によりチエン1を循環駆動させてダンブトラツク等の移送手段を介して雪を一時的に且つ、大量に搬送することができる。
第10図、第11図は、通路2中を貫通する無端チエン1の円板3の背面側に形成したブレース18を示す。
このブレース18は一方端をチエン1に固定され、他方端は前方へ向つて斜めに立上つており、円板3の裏面側に接触するか否かの僅かな間隔を設けるよう形成され、且つ、ブレース18の上端部か円板3の上身の半分以上を支える程度の長さに設定せられるT形ブレースである。
斯る措置は、雪等のように容積を縮少され、その重量を増加させる物質又は比較的重量である物質を搬送する場合の後倒する円板3に加わるロードを該ブレース18により支える役割を果すことができる。
次に第12図は、第8図に示す投棄部19の詳細を示す図面であつて、下方の通路部材2-Ⅰのチエン1及び円板3によつて搬送される物質を下に重なつた端部4から投棄口20に没棄し、チエン1を介して再び上方の通路部材2-Ⅱの上に重なつた端部5から循環させる。これにより上に重なつた端部5から投棄し、下に重なつた端部4からチエン1を引込んで循環させる場合に、上に重なつた端部5から投棄した物質の一部が下に重なつた端部4に入ることを完全に防止できる。
尚この除雪システムで雪の搬送を例示したが雪のないシーズンにはゴミ類の搬送手段として利用することができること多言を要しないであろう。
因みに、本実施例では道路巾8m、長さ250m、隆雪量0.75m/12Hrsとした場合、鋼管径0.5m、チエンスピード10m~15m/分とすれば12Hrsの間の降雪量は充分に搬送することが可能である。
この場合の円板の間隔は0.5~0.7m位が好適である。斯して雪の投棄場所に苦慮する地域での除雪システムとして極めて有用である。
そして、搬送物の供給位置に応じ直管、屈曲管、エルボ管を選択してつなぎ、水平面内ばかりでなく垂直方向及び斜め方向にも通路を自由にレイアウトすることができる。
かくして本発明によれば卵形リンクをつないだリンクチエンによつて搬送物に応じた種々な構造のコンベア装置を提供できる。
図面の簡単な説明
図面は本発明の第1実施例の概略側面図、第2図は同上の平面図、第3図は第1図の一部の拡大断面図、第4図は第3図のチエンの拡大側面図、第5図は第2実施例をスケツチ的に示した平面図、第6図は第5図の側面図、第7図は第6図の投棄口付近の断面図、第8図は他の-実施例の側面図、第9図は第8図のⅨ-Ⅸ線断面図、第10図は第9図のⅩ-Ⅹ線断面図、第11図は第10図のⅩⅠ-ⅩⅠ線断面図、第12図は第8図の投棄部の正面拡大図である。
図中、1はチエン、1a、1bはその卵形リンク、2は管形通路、2a、2bは管、3は円板を示す。
第3図
<省略>
第4図
<省略>
第5図
<省略>
第1図
<省略>
第2図
<省略>
第6図
<省略>
第7図
<省略>
第8図
<省略>
第9図
<省略>
第10図
<省略>
第11図
<省略>
第12図
<省略>
日本国特許庁
昭和58年(1983)10月19日発行 意匠公報 (S)
G1-194
610535 意願 昭56-14291 出願 昭56(1981)4月6日
登録 昭58(1983)7月29日
創作者 石井靖 神奈川県津久井郡藤野町沢井214
創作者 宮本武 町田市高ケ830-26-86
創作者 小野桂一 相模原市相模原2丁目19-12
創作者 河非健次 町田市野津田町1803-2
創作者 石塚修三 相模原市光ケ丘3丁目11-5-6
創作者 本橋久男 相模原市若松3丁目19-21
意匠権者 キヤタピラー三菱株式会社 東京都港区北青山1丁目2番3号
代理人 弁理士 福田信行 外2名
意匠に係る物品 搬送チエン
説明 この意匠は正面図において左右にのみ連続するものである。背面図は正面図と対称にあらわれる。
<省略>
公知意匠目録(一) 原審引用例
<19>日本国特許庁
公開特許公報
<11>特開昭 52-27178
<43>公開日 昭52.(1977)3.1
<21>特願昭 50-104789
<22>出願日 昭50.(1975)8.26
審査請求 未請求
庁内整理番号 7502 38
<52>日本分類 23(5)031
<51>Int.Cl2B65G 19.16
特許願
昭和50年8月26日
特許庁長官 騰英
1.発明の名称
チユーブコンベヤ
2.発明書
住所東京府中央区日本室町3丁目3番2号(チユウオウクニホンバシウローチ)
久保田筑工程式会社東京社内(クボタテツコウトウキヨウホンシヤナイ)
氏名鈴木直則(スズキナオノリ)
3.特許出願人
住所大阪府大阪市区出町2丁目22番地(オオサカシナニワクフナテーチ)
名称 (ISO)久保田筑工株式会社(クボタチツコウ)
代表者太(ヒロケイクロウ)
4.代理人
〒542 大阪府大阪市南区日本橋崩1丁目31番地
(446) 弁理士 田喜之
電工{(代) (代)
5.添書の目録
(1) 明細書 1通
(2) 図面 1通
(3) 図書副本 1通
(4) 委托状 1通
(5) 出 1通
(同日事号任状)
明細書
1 発明の名称
チユーブコンベヤ
2 特許請求の
上下にした横問円筒状のチユープのをターンケースとドウイブケースにて連させ、該両ケース円に々投けた伝スブロクツトとスブロケツトに両の折返えしを受舎さぜたシヨートリンクチエンの上下を該各チユープ内にせしめると共に、チエンにはチユーブ内のを押送するスクレーバのをその宜間爾で付け、チユーブの所には搬送の投人口と出口とを設けたことをとるチユープコンベヤ.
3 発明の説明
本発明はから出されるダストの如くしい状体又は整状体の如き送を送するチユープコンベヤにするもので円筒状のチユープ内を移動するチエンに双付けたスクレーバによりチユーブ内の粉状搬送を押送するものであるから囲への飛がないと共にチユープ内に固した搬送物もスクレーバみチエンにより妙して押送するものてあるからチユープ内で詰ることがない等の効果を有するものであるが、その詳細な説明すればのりである.
図において、1、2に横円筒状の上下のチユープであり、3はターンケース、4はドライプケースで、該ケース3、4の上下の相対する筒状の連結5、6、7、8に該チユープ1、2の両を連結するものである.該ターンケース3内にはテークアツブ9により位置可能の連転スブロケツト10を設け、ドライブケース4内にはモータ11にてされるスブロケツト12を設けてスブロケツト10、12にシヨートリンクチエン13のの折返しを変台させる.又、このチエン13は上下のチユープ1、2内をし、スケレーバ14を一定の間隔で外向きに固定する.15は上のチユープ1の一上にけた入口16上のがツバ、17はチユーブ1の下にけた出口13設けた出て、チユーブ2をさけるためにせしめてある.
本発明は上てわり、スプロケツト12を2矢印方向に発明しつつツバ1にダストの応状搬送を人すると、上チユーブ1内に入つたはチユーブ1内を移切するチエン13のスクレーバ14に押送されて移切し排出17から排出される。
本発明は上記をのように上下の円筒状チユーブ内に無シヨートリングチエンをしてこれを走行させ、このチエンに設けたスグレーバにより粉状等の搬送物やを搬送すらものであるから、搬送中に周囲に粉体等が飛れがない.又、チユーブ内をチエンが動し、スクレーバていて行くものであるから、体等がしてまるようなおそれがなく、時間連結を停止したためにチユーブ内に等がした合てもチエンとスクレーバとがした体等をして行くのでのもてある.メ、本発明はチユーブか円筒状であり、チエンがシヨートリンクチエンで各リンクが円状であるためきわめて円にチエンか走行し、チユーブ内の体等は完全に云されてされるものである。
4 図面の簡単な説明
第一図は本発明チユーブコンベヤの一平面図、第2図は向上の一出版側面図、第3図は向上のチユーブの拡大断面図、第4図はチエンの一切側面図である.
1、ーチユーブ、3ターンクース、4-ドライプケース、10、12-スプロケツト、13一シヨートリンクチエン、14ースクバ、10-投入口、1d一山口
特許出願人 久保田鉄工株式会社
同 代理人 田嘉之
第1図
<省略>
第2図
<省略>
第3図
<省略>
第4図
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公知意匠目録(二)
<51>Int.cl2A 01 K 39/01// B 65 G 19/28 <52>日本分類 6 C 23 83(5)D 02 <19>日本国特許庁 <11>特許出願公審 昭50-4582
特許公報
<44>公告 昭和50年(1975)2月21日
発明の数 1
<54>給餌パイプ内における給餌搬送用チエーンの引き張り方法
<21>特願 昭47-2603
<22>出願 昭46(1971)12月24日
公開 昭48-67063
<43>昭48(1973)9月13日
<72>発明者 出願人に同じ
<71>出願人 三島康弘
名古屋市中村区畑江通1の21
<74>代理人 弁理士 佐竹弘
<57>特許請求の範囲
1 給餌パイブ内に内在させた搬送用チエンを移動させることによりそのパイプ内の餌を搬送するようにしている装置において、上記の搬送用チエーンがたるんだ際にこれを引き張るに当り、給餌パイプの一部に介設した伸長パイプを伸すことによつて、上記給餌パイプの実質的な長さを増加させて、この給餌パイプ内のチエーンを引張ることを特とする給餌パイプ内における給餌搬送用チエーンの引き張り方法。
発明の詳細な脱明
この発明は多数配設した養鶏用ゲージに餌を送る給鶴パイプ内の搬送用チエーンが長期使用によつてゆるんだときに、このチエーンを適正に引き張る方法に関する。
従来より上記の搬送用チエーンがゆるんだときには、まずチエーンを送る機械を一旦止めてこのチエーンを構成する環を2~3個切り取つてから再びつなくことによりチエーンの長さを短縮して該チエーンを引き張つていた。このような場合、上記頭の切断個数が多過ぎるとチエーンを再びつなくことが不可能となり、逆に切断個数が少な過ぎるとチエーンを引き張るという目的を達成し得ない欠点があつた。又このようにテエーンの引き張りに当つて機械を止めることは、その間は給餌作業が行なわれず、さらにはすでに給餌パイプ内にある餌が固まる難点もあつた。
これを解決するものとしてチエーン駆動用のスプロケツトを変位移動調節自在にして、チエーンの引き張りを行つてみた。しかしチエーン駆動用のスプロケツトを移動させるにはこれに伴つてモーター等の伝動機械の連緊も可動調節しなければならず、これでは構造が複雑、かつ高価になる上にチエーンの引き張り作業に当つては、やはりチエーンの搬送動作を止めなければならない。
そこで本発明は給餌動作中において、安全、かつ適性なチエーンの引き張り調節ができるようにした給餌パイプ内における給餌搬送用チエーンの引き張り方法を提供しようとするものである。
以下本願の実施例を示す図面について説明する。1は多数個に区画並設された養鶏用の飼育ケージ、2は飼育ケージ1の各区画を通つた循環路を形成するように配設した給餌パイプ、3は上記給餌パイプ内へ餌を供給する供給ホツパーである。4はパイプ内に内装させた無端状の搬送用チエーン、5は一定間隔毎にチエーンに固設した餌搬送用の搬送円板、7はチエーンの方向転換用のブーリー、6はそれらのケースである。なお、第1図の左端部に示すチエーン移動用の装置において8はチエーン4と噛合う駆動用スプロケツト、9はブーリー、11はモーター10のブーリー、12は連動ベルトである。次に給餌パイプ2の循環路の対向二個所に介設した伸長パイプ23において、13は連結パイプ22によつて給餌パイプの一端に連結した固定パイプ、14はその外管で、表面にはネジ部15を形成している。16は内管、17は上記外管14と内管16の間に進退自在に貫挿させた被動パイプで、その端部17’は上記給餌パイプ2の他方端に連結している。18は被動パイプ17に一体形成した当接接、19及び21は上記外管14のネジ部15に螺合させた作動ナツトとその補助ナツト、20は当接18とナツト19の間に介在された介在パイブである。
次に餌の供給について説明する。まず、モーター10を回動させプーリー11及び9を介して駆動スプロケツト8を回動させる。この状態では搬送用チエーン4は給餌パイブ2内を第1図に示す矢印方向へ無端回動する。そこで供給ホツパー3からパイブ2内へ餌を入れると、その餌は搬送用チエーン4の搬送円板5に押されて給餌パイプ2内を移動し、飼育ケージ1の各区面内におけ餌箱附近に穿設されている孔から適宜量宛順次配布される。
次に上述のようにして使用しているうちに上記の搬送用チエーン4が引き伸ばされて全体的に緩んだときの引き張り調整について説明する。まずこの張り調整は搬送用チエーン4が上述の如く搬送移動している通常の状態で行なえる。いま伸長パイプ23は第4図の実線で示す状態(最も短寸の状態)にあるものとする。そこで補助ナット21を弛めてから作動ナット19を回動させ、介在パイプ20を介して被動パイプ17の当接18を矢印X方向へ移動させる。これに伴つて第4図に示すパィプは、被動パイプが二点鎖線の状態に移動してYの区間の寸法が実質上Yの区間まで伸長したことになる。なお、この場合上記伸長パイプ23は第1図に示す対厄二個所で伸長されるため、搬送用チエーン4は結果的にはパイプ2内に位置した状態で大巾に引き張られることになる。又この作業はチエーン4を移動させつつ、その張り具合を見ながら作動ナツト19を回動するだけで実行できる。なお、このようにして介在パイプ20を伸長した後は補助ナット21を作動ナツト19に密着するように締付け、その位置を二重ナット効果によつて規制する。
この発明にあつては伸長パイプ23を伸し調節することにより搬送用テエーン4の通路である給餌パイプ2の実質的な長さを伸ばして、上記チエーン4の引き張りを行うようにしたものであるから、この搬送用チエーン4の引き張りに当つては、該チエーン4を搬送作動させたまでその張り具合を観察しながら引き張り作業を正確に行える利点がある。
さらに上述したようにチエーン搬送作動させたまでチエーンの引き張り作業が行えることは、この引き張り作業中でも給餌作業を連続して行うことができ、給餌時間のロスや、チエーンの移動が止まることによつてパイプ内で餌が固まることを防止することのできる使用上の利点がある。
しかも上記チエーン4の引き張り調節は、上述したように搬送作動するチエーン4とは関係なく、このチエーン4の通路である給餌パイプ2の伸ばし隅節によつて行うものであるから、チエーン4が強大な張力で回動していてもこれに直接触れることなく非常に楽もと、しかも安全にチエーンの引き張りが行える特長がある。
図面の簡単な脱明
図面は本願の実施例を示すもので、第1図は一部破断平面図、第2図は斜視図、第3図はチエーンの斜視図、第4図は伸長パイプの縦断面図。
2……給餌パイプ、4……搬送用チエーン、23……伸長パイプ。
第1図
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第2図
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第3図
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第4図
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特許公報
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特許公報
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意匠公報
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公開特許公報
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特許公報
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