東京地方裁判所 平成元年(特わ)215号 判決 1989年6月02日
本籍
東京都荒川区東尾久一丁目一二六番地
住居
東京都荒川区東尾久一丁目八番三号
会社役員
角田惣七
大正四年五月七日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官渡辺咲子出席のうえ審理し、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一年六月及び罰金四八〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金一〇万円を一日に換算した期間、被告人を労役場に留置する。
この裁判の確定した日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、角田工業株式会社の代表取締役としてその経営に従事するかたわら、営利の目的で継続的に有価証券売買を行っていたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、右有価証券売買の一部を他人名義で行う等の方法により所得を秘匿したうえ、昭和六一年分の実際総所得金額が二億九〇三九万六二六七円であった(別紙1修正損益計算書及び別紙2脱税額計算書参照)のにかかわらず、同六二年三月一二日、東京都荒川区西日暮里六丁目七番二号所在の所轄荒川税務署において、同税務署長に対し、同六一年分の総所得金額が一〇七四万二八八〇円で、これに対する所得税額が一三一万八七〇〇円である旨の虚偽の所得税確定申告書(平成元年押第三七五号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同年分の正規の所得税額一億八九三二万八三〇〇円と右申告税額との差額一億八八〇〇万九六〇〇円(別紙2脱税額計算書参照)を免れたものである。
(証拠の標目)
一 被告人の当公判廷における供述
一 被告人の検察官に対する供述調書三通
一 収税官吏作成の次の各調査書
1 有価証券売買益調査書
2 雑費調査書
3 医療費控除額調査書
一 収税官吏作成の領置てん末書
一 押収してある六一年分の所得税の確定申告書等一袋(平成元年押第三七五号の1)
(法令の適用)
一 罰条
所得税法二三八条一、二項
一 刑種の選択
懲役刑と罰金刑の併科
一 労役場留置
刑法一八条
一 懲役刑の執行猶予
刑法二五条一項
(求刑 懲役一年六月及び罰金五〇〇〇万円)
よって、主文のとおり判決する。
(裁判官 稲田輝明)
別紙1
修正損益計算書
角田惣七
自 昭和61年1月1日
至 昭和61年12月31日
<省略>
別紙2
脱税額計算書
昭和61年分 角田惣七
<省略>