大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京地方裁判所 平成10年(わ)1759号 1998年12月01日

本店の所在地

横浜市鶴見区鶴見中央四丁目二九番一七号下川ビル

株式会社ミエ工業所

右代表者代表取締役

西原弘明

本籍

東京都台東区浅草六丁目六番地二

住居

横浜市鶴見区上末吉五丁目二五番九号

会社役員

西原弘明

昭和六年九月一一日生

右の者らに対する各法人税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官中川きた江出席の上審理し、次のとおり判決する。

主文

被告人株式会社ミエ工業所を罰金一六〇〇万円に、被告人西原弘明を懲役一年に処する。

被告人西原弘明に対し、この裁判確定の日から三年間その刑の執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人株式会社ミエ工業所は、横浜市鶴見区鶴見中央四丁目二九番一七号下川ビルに本店を置き、鋼構造物工事請負業等の事業を営むもの、被告人西原弘明は、同会社の代表取締役として同会社の業務全般を統括していたものであるが、被告人西原弘明は、同会社の業務に関し、法人税を免れようと企て、売上の一部を除外するなどの方法により所得を秘匿した上

第一  平成六年三月一日から平成七年二月二八日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が四八五四万八二九八円(別紙(一)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年四月二八日、横浜市鶴見区鶴見中央四丁目三八番三二号所在の所轄鶴見税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一二六〇万九六八六円で、これに対する法人税額が三五三万八九〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一七〇一万六〇〇〇円と右申告税額との差額一三四七万七一〇〇円(別紙(四)ほ脱税額計算書参照)を免れ

第二  平成七年三月一日から平成八年二月二九日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が三八四八万二二二七円(別紙(二)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年四月三〇日、横浜市鶴見区鶴見中央四丁目三八番三二号所在の所轄鶴見税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が一四五三万六一七二円で、これに対する法人税額が四三八万一三〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額一三三六万一一〇〇円と右申告税額との差額八九七万九八〇〇円(別紙(四)ほ脱税額計算書参照)を免れ

第三  平成八年三月一日から平成九年二月二八日までの事業年度における被告人会社の実際所得金額が一億二五〇七万〇〇九四円(別紙(三)修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年四月二八日、横浜市鶴見区鶴見中央四丁目三八番三二号所在の所轄鶴見税務署において、同税務署長に対し、その所得金額が七四一万六六四二円で、これに対する法人税額が一九八万七二〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、そのまま法定の納期限を徒過させ、もって、不正の行為により、同会社の右事業年度における正規の法人税額四六〇五万一九〇〇円と右申告税額との差額四四〇六万四七〇〇円(別紙(四)ほ脱税額計算書参照)を免れ

たものである。

(証拠の標目)

判示全事実について

一  被告人西原弘明の当公判廷における供述

一  被告人西原弘明の検察官(五通)及び大蔵事務官(一一通)に対する各供述調書

一  杉本節子(三通)、間所保夫、小柳博、辻田英雄、舟津禮子及び甲斐誠知の検察官に対する各供述調書

一  横浜地方法務局登記官作成の履歴事項全部証明書

一  横浜地方法務局登記官作成の登記簿謄本

一  検察事務官作成の資料入手報告書及び電話通信紙

一  大蔵事務官作成の告発状、脱税額計算書説明資料(損益)、売上高調査書、外注費(製造原価)調査書、旅費交通費(製造原価)調査書、賞与手当調査書、接待交際費調査書、支払手数料調査書、受取利息調査書、雑収入調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、交際費等損金不算入調査書、事業税認定損調査書、普通預金調査書、受取手形調査書、貸付金調査書、未収入金調査書、代表者勘定調査書、短期借入金調査書、預り金調査書、未払費用調査書、未払消費税調査書及び未払事業税調査書

判示第一の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検6号証)及び法人税額計算書(検9号証)

判示第二の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検7号証)及び法人税額計算書(検10号証)

判示第三の事実について

一  大蔵事務官作成の脱税額計算書(検8号証)及び法人税額計算書(検11号証)

(法令の適用)

被告人西原弘明の判示各所為はいずれも被告人株式会社ミエ工業所の業務に関してなされたものであるから、被告人株式会社ミエ工業所については平成一〇年法律第二四号附則一二条により同法律による改正前の法人税法一六四条一項により同法一五九条一項の罰金刑に処すべきところ、情状により同法一五九条二項を適用し、以上は平成七年法律第九一号「刑法の一部を改正する法律」附則二条二項により同法律による改正後の刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四八条二項により各罰金額を合算した金額の範囲内で株式会社ミエ工業所を罰金一六〇〇万円に処し、被告人西原弘明の判示各所為はいずれも平成一〇年法律第二四号附則一二条により同法律による改正前の法人税法一五九条一項に該当するところ、所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は平成七年法律第九一号「刑法の一部を改正する法律」附則二条二項により同法律による改正後の刑法四五条前段の併合罪であるから、同法四七条本文、一〇条により犯情の最も重い判示第三の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で同被告人を懲役一年に処し、被告人西原弘明に対し、情状により同法二五条一項を適用してこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとする。

(検察官求刑、被告人会社罰金二〇〇〇万円、被告人西原弘明懲役一年)

よって、主文のとおり判決する。

(裁判官 山本武久)

別紙(一)

修正損益計算書

自 平成6年3月1日

至 平成7年2月28日

(株)ミエ工業所

No.1

<省略>

別紙(二)

修正損益計算書

自 平成7年3月1日

至 平成8年2月29日

(株)ミエ工業所

No.2

<省略>

別紙(三)

修正損益計算書

自 平成8年3月1日

至 平成9年2月28日

(株)ミエ工業所

No.3

<省略>

別紙(四)

ほ脱税額計算書

自 平成6年3月1日

至 平成7年2月28日

(株)ミエ工業所

<省略>

自 平成7年3月1日

至 平成8年2月29日

<省略>

自 平成8年3月1日

至 平成9年2月28日

<省略>

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例