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東京地方裁判所 平成10年(ワ)15688号・平9年(ワ)25151号・平10年(ワ)21077号・平10年(ワ)21084号・平10年(ワ)21080号・平10年(ワ)21078号・平10年(ワ)21083号・平10年(ワ)6456号・平10年(ワ)21081号・平10年(ワ)21082号・平10年(ワ)21079号・平10年(ワ)21085号 判決

主文

一  原告らのうち別紙「差止認容一覧表」記載の者は、それぞれに対応する同一覧表の「店舗名」欄記載の各店舗において、別紙「カラオケ楽曲リスト」及び同「カラオケ楽曲リスト(追録)」各記載の音楽著作物(以下「本件著作物」という。)を、次の方法により使用してはならない。

1  カラオケ装置を操作して又は顧客に操作させて伴奏音楽を再生(演奏・上映)する方法

2  カラオケ装置を操作して又は顧客に操作させて伴奏音楽に合わせて顧客に歌唱(演奏)させる方法

二  原告らのうち別紙「差止認容一覧表」記載の者は、それぞれに対応する同一覧表の「店舗名」欄記載の各店舗から、別紙「物件目録」記載のカラオケ関連機器を撤去せよ。

三  原告らのうち原告有限会社原田、原告ベルショウ及び反訴被告原田栄治以外の者は、各自、被告協会に対し、それぞれに対応する別紙「認容金額一覧表」の「認容金額合計」欄記載の金員及びうち「使用料相当額及び弁護士費用の合計」欄記載の金員に対する平成一二年九月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

四  原告有限会社原田及び反訴被告原田栄治は、被告協会に対し、連帯して、別紙「認容金額一覧表」の原告有限会社原田についての「認容金額合計」欄記載の金員及びうち「使用料相当額及び弁護士費用の合計」欄記載の金員に対する平成一二年九月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

五  原告ベルショウ及び反訴被告鈴木は、被告協会に対し、連帯して、別紙「認容金額一覧表」の原告ベルショウについての「認容金額合計」欄記載の金員及びうち「使用料相当額及び弁護士費用の合計」欄記載の金員に対する平成一二年九月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

六  原告らのうち別紙「差止認容一覧表」記載の者は、被告協会に対し、それぞれに対応する同一覧表の「店舗名」欄記載の各店舗において、平成一二年九月一日から本件著作物の使用を停止するに至るまで、一か月当たりそれぞれに対応する同一覧表の「一か月当たりの損害額」欄記載の金額の割合による金員を支払え。

七  被告協会のその余の請求を棄却する。

八  原告ら(ただし、反訴被告原田栄治、同ヒロプランニング及び同鈴木を除く。)の被告協会に対する請求をいずれも却下する。

九  訴訟費用の負担については、第一事件ないし第一二事件を通じて、次のとおり定める。

1  原告後藤、同ジャパン・マシーン、同浅見、同秋村、同平沼、同滝田、同定山、同安田、同ダック、同田中、反訴被告ヒロプランニング、原告トーヨー、同多田伸一商店、同イースペース、同山本、同みやま、同滝澤総合商事、同まつしま開発及び同ゲンキハウスに生じた各費用については、いずれもこれを一〇分し、それぞれその一を被告協会の負担とし、その余を右原告及び反訴被告ら各自の負担とする。

2  原告及川、同大東通商、同ロイヤル興業及び同コミックロードに生じた各費用については、いずれもこれを五分し、それぞれその一を被告協会の負担とし、その余を右原告ら各自の負担とする。

3  反訴被告鈴木、原告賀屋及び同ベルショウに生じた各費用については、いずれもこれを一〇分し、それぞれその三を被告協会の負担とし、その余を右反訴被告及び原告ら各自の負担とする。

4  原告じゅん及び同有限会社原田に生じた各費用については、いずれもこれを二分し、それぞれその一を被告協会の負担とし、その余を右原告ら各自の負担とする。

5  反訴被告原田栄治に生じた費用については、これを五分し、その三を被告協会の負担とし、その余を同反訴被告の負担とする。

6  被告協会に生じた費用については、これを一〇〇分し、その八を原告安田の負担とし、その六ずつをそれぞれ原告トーヨー及び同ロイヤル興業の負担とし、その五ずつをそれぞれ原告秋村、同平沼及び同みやまの負担とし、その四ずつをそれぞれ原告滝澤総合商事及び同ゲンキハウスの負担とし、その三ずつをそれぞれ原告後藤、同ジャパン・マシーン、同浅見、同イースペース、同山本及び同まつしま開発の負担とし、その二ずつをそれぞれ原告滝田、同定山、反訴被告原田栄治、原告田中、同多田伸一商店、同賀屋及び同有限会社原田の負担とし、その一ずつをそれぞれ原告ダック、同じゅん、反訴被告ヒロプランニング、同鈴木、原告及川、同ベルショウ、同大東通商及び同コミックロードの負担とし、その余を被告協会の負担とする。

一〇  この判決のうち、第一項ないし第六項は、仮に執行することができる。

事実及び理由

第一  請求の趣旨

一  第一事件及び第三事件の関係

原告ら(ただし、反訴被告原田栄治、同ヒロプランニング及び同鈴木を除く。)の被告協会に対する平成八年一一月二一日から平成九年一一月二〇日までの間における音楽著作物の使用に関するそれぞれに対応する別紙「債務額一覧表」記載の各金額の支払債務が、いずれも存在しないことを確認する。

二  第二事件及び第四事件ないし第一二事件の関係

1  原告らのうち別紙「差止請求一覧表」記載の者は、それぞれに対応する同一覧表の「店舗名」欄記載の各店舗において、本件著作物を、次の方法により使用してはならない。

(一) カラオケ装置を操作して又は顧客に操作させて伴奏音楽を再生(演奏・上映)する方法

(二) カラオケ装置を操作して又は顧客に操作させて伴奏音楽に合わせて顧客に歌唱(演奏)させる方法

2  原告らのうち別紙「差止請求一覧表」記載の者は、それぞれに対応する同一覧表の「店舗名」欄記載の各店舗から、別紙「物件目録」記載のカラオケ関連機器を撤去せよ。

3  原告らは、各自、被告協会に対し、それぞれに対応する別紙「損害金等支払請求一覧表」の「請求金額合計」欄記載の金員及びうち「使用料相当額及び弁護士費用の合計」欄記載の金員に対する平成一二年九月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。

4  原告らのうち別紙「差止請求一覧表」記載の者は、被告協会に対し、それぞれに対応する同一覧表の「店舗名」欄記載の各店舗において、平成一二年九月一日から本件著作物の使用を停止するに至るまで、一か月当たりそれぞれに対応する同一覧表の「一か月当たりの損害額」欄記載の金額の割合による金員を支払え。

第二  事案の概要

第一事件及び第三事件は、カラオケボックスを経営している者又は経営していた者合計二六名が、音楽著作物についての著作権を管理する団体である被告協会に対し、その著作権の管理に係る音楽著作物の使用について、使用料相当額の不法行為に基づく損害賠償債務ないし不当利得返還債務の不存在確認を求めている事案である。

第二事件及び第四事件ないし第一二事件は、第一事件及び第三事件についての反訴として、被告協会がカラオケボックスの経営者合計二九名(ただし、一部の者は、自らが店舗経営者であることについて争っている。)に対し、右各店舗においてカラオケ装置を使用して音楽著作物を再生し、客に歌唱させることについて、その管理に係る著作権の侵害を理由として、カラオケ装置による再生等の方法による本件著作物の使用の差止め及びカラオケ装置の撤去を求める(ただし、一八名に対する請求)とともに、使用料相当額の損害賠償又は不当利得返還を求め(損害賠償請求と不当利得返還請求とは、選択的請求である。)、また、右二九名のうちカラオケボックスを経営していた有限会社二社の各取締役であった者二名(反訴被告原田栄治及び反訴被告鈴木)に対しては、右二社と共同でカラオケボックスを経営していたという主張と併せて、有限会社法三〇条の三第一項に基づき、右二社が支払うべき金員につき連帯支払を求めている事案である。

一  争いのない事実等

1  被告協会は、著作権に関する仲介業務に関する法律(以下「仲介業務法」という。)に基づく許可を受けた音楽著作権仲介団体であり、内外国の音楽著作物の著作権者から著作権及びその支分権(演奏権、録音権、上映権等)につき信託的譲渡を受けるなどしてこれを管理し、国内の放送事業者を始め、レコード、映画、出版、興行、社交場、有線放送等各種の分野における音楽の使用者に対して音楽著作物の使用を許諾し、その対価として使用者から著作物使用料を徴収するとともに、これを内外の著作権者に分配することを主たる目的とする社団法人であり、本件著作物を含む音楽著作物の各著作権者から、その著作権の信託的譲渡を受けて、これを現に管理し、あるいは管理していた(以下、被告協会の管理する著作権を「本件著作権」といい、その音楽著作物を「管理著作物」という。本件著作物は、管理著作物の一部である。)。

2  原告ら(ただし、反訴被告原田栄治及び反訴被告鈴木を除く。)は、別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の店舗のうち原告ら各人に対応する各店舗(以下「対応店舗」という。)において、客にカラオケ関連機器を備え付けた歌唱用の部屋を使用させるとともに飲食物を提供する、いわゆるカラオケボックス(以下、単に「カラオケボックス」という。)の営業を行っていた者であり(ただし、原告ロイヤル興業については、「カラオケプラザピープル中浦和店」を除く。)、そのうち別紙「差止請求一覧表」記載の者(ただし、原告じゅん及び原告賀屋を除く。)は、同一覧表の「店舗名」欄記載の店舗(なお、これらはいずれも別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の店舗に含まれる。)のうちそれぞれに対応する各店舗(以下、これも「対応店舗」という。)において、別紙「物件目録」記載のカラオケ関連機器(全部又は一部)を備え付けて、現在もカラオケボックスの営業を行っている者である(なお、反訴被告原田栄治及び反訴被告鈴木がカラオケボックスの営業を行っていたかどうか、原告ロイヤル興業が「カラオケプラザピープル中浦和店」の営業を行っていたかどうか、原告じゅん及び原告賀屋が現在もカラオケボックスの営業を行っているかどうかについては、争いがある。)。

二  被告協会の主張

1  被告協会の許諾を受けることなく、カラオケ装置を使って管理著作物を公に再生することは、著作権の支分権の一つである演奏権(著作権法二二条)を侵害するものである。また、被告協会の許諾を受けることなく、カラオケ装置を使って管理著作物を公に歌唱することも、演奏権を侵害するものである。さらに、いわゆるレーザーディスクカラオケにより、録画された映画を上映することにより、映画において複製されている管理著作物たる歌詞及び伴奏音楽を公に再生することは、上映権(同法二六条二項)を侵害するものである。

2  カラオケボックスは、客にカラオケ関連機器を備え付けた歌唱用の部屋を使用させ、右カラオケ関連機器を操作させて管理著作物であるカラオケ伴奏音楽を再生(演奏・上映)し、伴奏音楽に合わせて客に歌唱させることを営業内容とするものであり、カラオケボックスでの音楽著作物の利用主体は、音楽著作物を再生(演奏・上映)する場合はもちろん、客がカラオケ装置を操作して歌唱する場合についても、カラオケスナックにおける場合(最高裁第三小法廷昭和六三年三月一五日判決・民集四二巻三号一九九頁参照)と同様、その店舗の経営者である。

3  原告らのうち別紙「差止請求一覧表」記載の者は、現在、それぞれの対応店舗において、別紙「物件目録」記載のカラオケ関連機器を備え付け、被告協会の許諾を得ることなく右カラオケ関連機器で本件著作物を再生(演奏・上映)して客に歌唱させる営業を行い、本件著作権を現に侵害している。したがって、被告協会は、原告らのうち別紙「差止請求一覧表」記載の者に対し、著作権法一一二条一項に基づき、カラオケ関連機器を使用しての本件著作物の再生(演奏・上映)及び歌唱を差し止める請求権を有する。

また、右カラオケ関連機器は、同条二項の「もっぱら侵害の行為に供された機械若しくは器具」に該当するので、被告協会は、同項の「廃棄その他の侵害の停止又は予防に必要な措置」として、原告らのうち別紙「差止請求一覧表」記載の者に対し、それぞれの対応店舗から、右カラオケ関連機器を撤去することを求める権利を有する。

4  原告らは、それぞれの対応店舗において、被告協会の許諾を得ることなくカラオケ装置で管理著作物を再生(演奏・上映)して客に歌唱させる営業を行い(殊に、「カラオケスタジオ上福岡店」については、平成二年四月一日から反訴被告原田栄治が経営し、平成五年七月八日からは反訴被告原田栄治と原告有限会社原田が共同して経営して、カラオケボックスの営業を行っていた。また、「サウンドパラダイス」については、平成二年一二月一五日から反訴被告鈴木が経営し、平成五年二月一七日からは反訴被告鈴木と原告ベルショウが共同して経営して、カラオケボックスの営業を行っていた。)、本件著作権を侵害した。したがって、被告協会は、原告ら各自に対し、民法七〇九条(共同経営の場合は同法七一九条)、著作権法一一四条二項に基づき、使用料相当額を損害として、その賠償(これに対する遅延損害金の支払を含む。)を請求することができる。

また、原告らは、それぞれの対応店舗において、被告協会の許諾を得ることなく、かつ、許諾を得ていないことを知りながら、カラオケ装置で管理著作物を再生(演奏・上映)して客に歌唱させ、その使用料相当額の利益を受け、被告協会は、これにより同額の損失を被った。したがって、被告協会は、原告ら各自に対し、民法七〇三条、同法七〇四条に基づき、使用料相当額及びこれに対する利息の返還を請求することができる。

5  原告らが賠償又は返還すべき損害又は利益の額

(一) 管理著作物の使用料相当額

(1) 平成九年八月一〇日までのカラオケボックスにおける一か月当たりの管理著作物の使用料(消費税別)は、昭和五九年六月一日に認可された著作物使用料規程(以下「旧使用料規程」という。)第二章第二節「演奏等」の3「演奏会以外の催物における演奏」の(7)「その他の演奏」の規定に基づいて定められた「カラオケ歌唱室の使用料率表」(以下「本件使用料率表」という。)により、定員が一〇名までの歌唱室において、ビデオカラオケ(伴奏音楽の再生と共に映像を連続して再生するもの。ビデオグラムの上映を伴う場合のほか通信カラオケを含む。)を使用する場合は一室四〇〇〇円、オーディオカラオケ(伴奏音楽の再生の際、映像の再生を伴わないもの、あるいは静止画を同時に再生するもの)のみを使用する場合は一室三〇〇〇円、定員が一〇名を超え三〇名までの歌唱室においてビデオカラオケを使用する場合は一室八〇〇〇円、定員が三〇名を超え五〇名までの歌唱室においてビデオカラオケを使用する場合は一室一万二〇〇〇円、定員が三名までで面積が六平方メートル未満の歌唱室においてビデオカラオケを使用する場合は一室三二〇〇円である。したがって、右各金額に平成元年四月分から平成九年三月分までは三パーセントの、同年四月分以降は五パーセントの消費税相当額を加算した金額が、当該歌唱室の同年八月一〇日までの一か月当たりの管理著作物の使用料相当額である。

平成九年八月一一日以降のカラオケボックスにおける一か月当たりの管理著作物の使用料(消費税別)は、同日に一部変更認可・施行された著作物使用料規程(以下「新使用料規程」という。)第二章第二節「演奏等」の4「カラオケ施設における演奏等」の規定により、ビデオカラオケ使用の場合、オーディオカラオケ使用の場合ともに、歌唱室の定員が一〇名までのときは一室九〇〇〇円、一〇名を超え三〇名までのときは一室一万八〇〇〇円、三〇名を超え五〇名までのときは一室二万七〇〇〇円である。したがって、右各金額に五パーセントの消費税相当額を加算した金額が、当該歌唱室の同日以降の一か月当たりの管理著作物の使用料相当額である。

(2) 別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗が営業された期間、すなわち原告らがそれぞれの対応店舗において管理著作物を使用した期間は、別紙「店舗の営業に関する被告協会の主張一覧表」記載のとおりである(なお、「開始日」欄記載の日は、新規開業や営業再開などにより、営業すなわち管理著作物の使用が開始された日を意味し、「終了日」欄記載の日は、廃業や営業休止などにより、営業すなわち管理著作物の使用が終了された日を意味する。ただし、「終了日」とその次の「開始日」が連続している場合は、歌唱用の部屋の数の変更などがあったものの、営業すなわち管理著作物の使用自体は終了せずに継続されていたことを意味する。また、「終了日」欄が「営業中」と記載されている場合は、現在も営業すなわち管理著作物の使用が継続されていることを意味する。)。

(3) 別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗には、別紙「店舗の営業に関する被告協会の主張一覧表」記載の各使用期間に対応して、同一覧表の「室数」欄記載の数の歌唱室があった。右歌唱室の本件使用料率表及び新使用料規程第二章第二節4の規定に従ったカラオケ装置の種類、定員及び面積による区分は、同一覧表の「区分」欄記載のとおりである(なお、「ビ」はビデオカラオケを使用している歌唱室、「オ」はビデオカラオケを使用せずにオーディオカラオケのみを使用している歌唱室を意味し、「ビ1」欄及び「オ1」欄は定員が一〇名まで、「ビ2」は定員が一〇名を超え三〇名まで、「ビ3」は定員が三〇名を超え五〇名までの歌唱室を意味し、「ビ特」は定員が三名まででかつ面積が六平方メートル未満の歌唱室を意味する。)。

(4) 管理著作物の別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗における一か月当たりの使用料相当額(消費税相当額を含む。)は、別紙「店舗の営業に関する被告協会の主張一覧表」記載の各使用期間に対応して、同一覧表の「月額使用料相当額」欄記載のとおりである。

(5) 以上に基づき、原告らの対応店舗の営業期間、すなわち対応店舗における管理著作物の使用期間に応じて計算した管理著作物の使用料相当額(消費税相当額を含む。)の合計は、別紙「損害金等支払請求一覧表」の①「使用料相当額」欄記載のとおりである(なお、平成九年八月分の使用料相当額については、同月一日から同月一〇日までの金額と同月一一日から同月三一日までの金額をそれぞれ日割計算によって算出して合算した。また、管理著作物の使用の開始日又は終了日が月の途中の場合には、当該月の使用料相当額は、日割計算によって算出した。)。

(二) 平成一二年八月三一日までに確定した遅延損害金又は利息の額

原告らが被告協会に支払うべき遅延損害金又は利息のうち、平成一二年八月三一日までに確定したものの額は、別紙「損害金等支払請求一覧表」の②「遅延損害金又は利息」欄記載のとおりである。右金額は、右(一)の管理著作物の使用料相当額の各月毎の金額に対する翌月一日から平成一二年八月三一日までの年五分の割合による金員を合算したものである。

(三) 弁護士費用

被告協会は、本件反訴請求訴訟の提起を弁護士に依頼せざるを得なかった。本件反訴請求訴訟のための弁護士費用は、別紙「損害金等支払請求一覧表」の③「弁護士費用」欄記載の金額を下らない。

6  仮に「カラオケスタジオ上福岡店」が平成五年七月八日以降、原告有限会社原田の単独経営であったとしても、反訴被告原田栄治は、同日から平成一二年一月一〇日までの間、原告有限会社原田の代表取締役ないし唯一の取締役として、右店舗の営業を管理支配し、業務を執行していた者であり、法令を遵守して同社の業務執行をなすべき義務があるところ、悪意又は重過失により、著作権法に違反して本件著作権を侵害した。したがって、反訴被告原田栄治は、右期間の本件著作権侵害によって被告協会が被った損害について、有限会社法三〇条の三第一項により、原告有限会社原田と連帯して賠償すべき責任がある。

また、仮に「サウンドパラダイス」が平成五年二月一七日以降、原告ベルショウの単独経営であったとしても、反訴被告鈴木は、同日から平成一〇年五月一四日までの間、原告ベルショウの代表取締役として、右店舗の営業を管理支配し、業務を執行していた者であり、法令を遵守して同社の業務執行をなすべき義務があるところ、悪意又は重過失により、著作権法に違反して本件著作権を侵害した。したがって、反訴被告鈴木は、右期間の本件著作権侵害によって被告協会が被った損害について、有限会社法三〇条の三第一項により、原告ベルショウと連帯して賠償すべき責任がある。

7  被告協会は、原告らのうち別紙「差止請求一覧表」記載の者がそれぞれの対応店舗において本件著作物の使用を停止するまで、平成一二年九月一日以降も一か月当たり別紙「差止請求一覧表」の「一か月当たりの損害請求額」欄記載の金額の割合による損害を被る。

8  よって、被告協会は、原告らに対し、前記第一「請求の趣旨」二のとおりの判決を求める。

三  原告らの主張

1  店舗の営業主体について

「カラオケスタジオ上福岡店」については、平成五年七月九日から原告有限会社原田が経営し、それ以前は有限会社三進企画が使用していたものであり、反訴被告原田栄治は、カラオケボックスの営業を行っていない。また、「サウンドパラダイス」については、平成二年一二月一五日から原告ベルショウが経営しており、反訴被告鈴木は、カラオケボックスの営業を行っていない。さらに、原告ロイヤル興業は、「カラオケプラザピープル中浦和店」について、営業の指導・助言を行っただけであり、その営業を行っていない。

2  管理著作物の利用主体について

原告らは、それぞれの対応店舗において、自ら客にカラオケ関連機器を操作させて管理著作物を再生し、これに合わせて客に歌唱させたものではなく、管理著作物の利用主体ではない。

3  使用許諾について

被告協会は、管理著作物の業務用カラオケソフトの製作をその製作者に許諾し、その対価を製作者から受けているが、飲食店等において業務用カラオケを再生し、客がその伴奏音楽に合わせて歌唱するという営業上の利用形態を当然に予定した上で右許諾を行っているのであるから、管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱についても同時に許諾したものであって、その対価は既に業務用カラオケソフトの製作者から受けている対価に含まれている(別途対価を請求することは、二重取りに当たる)というべきである。このことは、被告協会が業務用カラオケソフトの製作を許諾した昭和四五年ころ以降、一〇年以上の長期にわたって別途演奏についての対価を徴収しなかった事実に照らしても明らかである。したがって、被告協会は、原告らに対し、本件著作権の侵害を理由とする差止め及び損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることはできない。

4  著作権法附則一四条の適用について

平成一一年一二月三一日までのカラオケボックスにおける管理著作物の演奏については、平成一一年法律第七七号によって改正(削除)される前の著作権法附則一四条の適用があり、自由に行い得るものである。したがって、被告協会は、原告らに対し、同日までのカラオケボックスにおける管理著作物の演奏について、本件著作権の侵害を理由とする損害賠償請求又は不当利得返還請求をすることはできない。

5  本件使用料率表に基づく請求について

(一) 仲介業務法三条は、被告協会による使用料徴収の根拠となる著作物使用料規程の設定及び変更について文化庁長官の認可を受けるべきものとし、仲介業務法施行規則四条は、著作物使用料規程には著作物の使用料率に関する事項を定めるべきものとし、著作物使用料率について著作物の種類及び利用方法の異なる毎に格別に定めて表にするべきものとしている。しかるに、被告協会が本件使用料率表について認可を受けたのは平成九年八月一一日であり、本件使用料率表は、同月一〇日以前には効力が発生していないものであるから、被告協会は、同日以前のカラオケボックスにおける管理著作物の使用について、本件使用料率表に基づく使用料を徴収することができない。そして、本件使用料率表に基づく使用料の支払を内容とする契約は、公序良俗に反し無効であり、右契約に基づく使用料の請求は、権利濫用又は信義則違反として許されない。

(二) 被告協会は、本件使用料率表について、旧使用料規程第二章第二節「演奏等」の3「演奏会以外の催物における演奏」の(7)「その他の演奏」の規定に基づいて定められたものである旨を主張するが、カラオケボックスにおけるカラオケ伴奏による歌唱は、「催物における演奏」ではないし、また、右の(7)「その他の演奏」の規定は、「催物における演奏」の一形態として定められており、演奏等の利用分野においてどの規定にも当てはまらない新たな利用形態をすべて含むものではない。さらに、本件使用料率表自体、その内容等に照らして、合理性・相当性を有するものとは到底いえない。

カラオケボックスの営業は、むしろ、客に飲食させる営業を行う施設において、当該営業と共に著作物を演奏等する場合に当たり、カラオケ喫茶やカラオケスナックと同様、「社交場営業」にほかならないから、旧使用料規程第二章第二節「演奏等」4の「社交場における演奏等」の「カラオケ伴奏による歌唱」の使用料率が適用されるにすぎないというべきである。そして、その場合、各個の歌唱室の面積が五坪(16.5平方メートル)以下あるいは一〇坪(三三平方メートル)以下のときは、使用料の支払が免除されるものである。

(三) このように、被告協会が平成九年八月一〇日以前のカラオケボックスにおける管理著作物の使用について本件使用料率表に基づく金額の使用料を徴収できない以上、右金額を「著作権……の行使につき通常受けるべき金銭の額」として損害算定をすることはできないし、被告協会に右金額の損失が生じたということもできないから、被告協会は、本件使用料率表に基づく使用料相当額の損害賠償請求ないし不当利得返還請求をすることはできない。

6  店舗の営業期間及び歌唱室数等について

別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗(ただし、「カラオケプラザピープル中浦和店」を除く。)が営業された期間、右各期間に対応する歌唱室の数、右歌唱室の本件使用料率表及び新使用料規程第二章第二節4の規定に従ったカラオケ装置の種類、定員及び面積による区分(ただし、カラオケ装置の種類による区分は、被告協会の主張に基づく。)は、別紙「店舗の営業に関する原告らの主張一覧表」記載のとおりである(「開始日」欄、「終了日」欄、「区分」欄の各記載の意味は、別紙「店舗の営業に関する被告協会の主張一覧表」と同様である。)。殊に、「カラオケ天国じゅん」及び「アルファ館」においては、現在、カラオケボックスの営業は行なわれていない。

右各店舗においては、通信カラオケが使用されている場合もあるところ、通信カラオケは、レーザーディスクカラオケと異なり、ビデオグラムに固定された映像が再生されて映し出されるものではないから、本件使用料率表においては、「ビデオカラオケ」としてではなく、「オーディオカラオケ」として区分されるべきものである。

7  被告協会の原告ら各自に対する各請求の日より三年以上前の管理著作物の使用に関する損害賠償請求については、時効期間が経過しているので、原告らは消滅時効を援用する。

8  被告協会の反訴被告原田栄治及び反訴被告鈴木に対する有限会社法三〇条の三第一項に基づく損害賠償請求は、時機に遅れた攻撃防御方法であり、却下されるべきである。

四  原告らの主張に対する被告協会の反論

1  使用許諾について

カラオケソフトを製作する行為と製作されたカラオケソフトを再生したりこれに合わせて歌唱する行為とは、別個の行為であり、カラオケソフトがカラオケボックス営業等での利用が予定されていたとしても、被告協会は、カラオケソフトの製作を許諾する際に、管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱についても許諾したということはなく、その対価が既に収受されている対価に含まれているということもない。

2  著作権法附則一四条の適用について

カラオケ装置は、著作権法施行令附則三条一号の「客に音楽を鑑賞させるための特別の装置」に当たり、カラオケボックスにおける管理著作物の演奏については、平成一一年法律第七七号によって改正(削除)される前の著作権法附則一四条は適用されず、自由に行い得るものではない。

3  本件使用料率表に基づく請求について

原告らは、カラオケボックスにおけるカラオケ伴奏による歌唱は「催物における演奏」ではないと主張するが、一般に「催物」とは、人が集って行う会合を意味する広い概念であり、旧使用料規程第二章第二節「演奏等」の3「演奏会以外の催物における演奏」における「催物」とは、その表現が盛り込まれた経緯に照らし、演奏会形式によらない演奏の総称であって、カラオケボックスにおける音楽著作物の再生・歌唱も、「催物における演奏」に当たるというべきである。

旧使用料規程第二章第二節「演奏等」の3「演奏会以外の催物における演奏」の(7)「その他の演奏」の規定は、演奏等の利用分野においてどの規定にも当てはまらない新たな利用形態が現われた場合に、著作物使用料規程が改正されるまでの間の管理著作物の新たな態様による利用に適時・適切に対応するために、被告協会において一定の範囲内で管理著作物の具体的な利用状況等に応じた合理的な使用料額を決定することを認め、もって著作物の適法で円滑な利用の促進を図ったものである(なお、これは白紙委任と評されるものではない。)。カラオケボックスは、飲食又はダンスが営業上不可欠の要素となっていない以上、これに社交場の規定を適用することはできない。そこで、カラオケボックスにおける管理著作物の使用について、旧使用料規程第二章第二節「演奏等」の3「演奏会以外の催物における演奏」の(1)の使用料額の範囲内で、一室当たりの定員数や他の業種とのバランス(殊に、カラオケボックスにおいては管理著作物が社交場よりも多く利用されること)等を参酌し、カラオケボックスの経営者の意見を代表する者として株式会社第一興商と一〇回程度協議した上、社交場におけるのと同程度の合理的な使用料額を定めたものが、本件使用料率表である。この使用料額の合理性は、右金額がカラオケボックス営業において包括的使用許諾契約を結ぶ場合の使用料として平成九年八月一一日に認可された金額と同一であることからも裏付けられる。

したがって、本件使用料率表は、文化庁長官の認可を受けた著作物使用料規程に基づいて定められたものであり、被告協会は、平成九年八月一〇日以前のカラオケボックスにおける管理著作物の使用について、本件使用料率表に基づく金額の使用料を徴収できる。

著作権法一一四条二項は、著作権侵害を受けた権利者に対し、最低限度の損害賠償額を保証した規定であり、その額は、著作権者が侵害行為と同種の利用を許諾するとすれば合意したであろう使用料の額であるとされている。被告協会は、平成元年以降、日本全国のカラオケボックス業者との間で本件使用料率表に基づいて使用許諾契約を締結しており、その数は数万件に上る。したがって、本件使用料率表に定めた使用料額が被告協会において「通常受けるべき金銭の額」に相当することは明らかであり、原告らは、被告協会に対し、平成九年八月一〇日以前のカラオケボックスにおける管理著作物の使用について、本件使用料率表に基づく金額の使用料相当額を支払うべき義務を有する。

五  本件における主な争点

1  反訴被告原田栄治、反訴被告鈴木及び原告ロイヤル興業が、それぞれ「カラオケスタジオ上福岡店」、「サウンドパラダイス」及び「カラオケプラザピープル中浦和店」の営業主体かどうか。すなわち、

(一) 「カラオケスタジオ上福岡店」について、平成二年四月一日から反訴被告原田栄治が経営し、平成五年七月八日からは反訴被告原田栄治と原告有限会社原田が共同して経営していたかどうか。

(二) 「サウンドパラダイス」について、平成二年一二月一五日から反訴被告鈴木が経営し、平成五年二月一七日からは反訴被告鈴木と原告ベルショウが共同して経営していたかどうか。

(三) 「カラオケプラザピープル中浦和店」について、原告ロイヤル興業が経営していたかどうか。

2  原告らがそれぞれの対応店舗における管理著作物の利用主体かどうか。

3  被告協会が、管理著作物の業務用カラオケソフトの製作をその製作者に許諾した際、飲食店等において管理著作物を再生し、これに合わせて歌唱することについても許諾したものであり、その対価は既に業務用カラオケソフトの製作者から受けている対価に含まれているかどうか。

4  平成一一年一二月三一日までのカラオケボックスにおける管理著作物の演奏について、平成一一年法律第七七号による改正前の著作権法附則一四条の適用があるかどうか。

5  原告らが賠償又は返還すべき損害又は利益の額

(一) 被告協会は、平成九年八月一〇日以前のカラオケボックスにおける管理著作物の使用について、本件使用料率表に基づく金額の使用料を徴収できるかどうか。殊に、本件使用料率表が、文化庁長官の認可を受けた旧使用料規程第二章第二節「演奏等」の3「演奏会以外の催物における演奏」の(7)「その他の演奏」の規定に基づいて定められたものであるかどうか。

(二) 別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗が営業された期間、右各期間に対応する歌唱室の数、各歌唱室の本件使用料率表及び新使用料規程第二章第二節4の規定に従ったカラオケ装置の種類、定員及び面積による区分は、どのようなものか(なお、別紙「店舗の営業に関する争点部分一覧表」は、この点に関して当事者間に争いのある部分を対比させたものである。)。

6  仮に「カラオケスタジオ上福岡店」が平成五年七月八日以降、原告有限会社原田の単独経営であり、また、「サウンドパラダイス」が平成五年二月一七日以降、原告ベルショウの単独経営であったとした場合、反訴被告原田栄治及び反訴被告鈴木が有限会社法三〇条の三第一項に基づく損害賠償責任を負うかどうか。

第三  当裁判所の判断

一  争点1について

1  「カラオケスタジオ上福岡店」について

(一) 乙す第一号証(埼玉県カラオケ事業者協会基本台帳)には、反訴被告原田栄治が平成二年四月一日から「カラオケルームスタジオ上福岡店」なる店舗を経営していたことを示す記載があるが、「埼玉県カラオケ事業者協会基本台帳」なるものの記載が正確であることを裏付ける証拠はない。また、反訴被告原田栄治は、原告後藤らと共に第一事件を提訴したが(その後取下げ)、そのことから直ちに反訴被告原田栄治が「カラオケスタジオ上福岡店」の経営者であったと認めることはできない。同店舗所在のビル二階部分については、平成二年三月から平成五年二月まで有限会社三進企画がこれを賃借し、「カラオケ広場」という名称でカラオケボックスを営業していた旨の甲す第一号証及び第九号証の記載等に照らせば、「カラオケスタジオ上福岡店」については、反訴被告原田栄治が平成二年四月一日から経営していたものと認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

(二) 平成五年七月九日から平成一二年一月一〇日までの間については、原告有限会社原田が同店舗を経営していたことには争いがないが、右の期間、反訴被告原田栄治が原告有限会社原田と共同して同店舗を経営していたことについては、これを認めるに足りる証拠はない。

(三) したがって、反訴被告原田栄治が「カラオケスタジオ上福岡店」の営業主体であることを前提とする被告協会の請求は、理由がない(なお、以下において、「原告ら」とは、特に断らない限り、反訴被告原田栄治を含めないものとする。)。

2  「サウンドパラダイス」について

(一) 乙ち第二号証によれば、反訴被告鈴木は、「サウンドパラダイス」についての食品衛生法に基づく食品営業許可申請名義人であったことが認められる。

この点、甲ち第三号証(反訴被告鈴木の陳述書)には、同店舗は、反訴被告鈴木の子である鈴木利美が平成二年一二月から経営していたものであり、信用力や取引関係から有利であるという理由により反訴被告鈴木名義で許可申請した旨の記載がある。しかし、右陳述書は、それ以上に反訴被告鈴木が許可申請名義人となったことの具体的理由を明らかにするものではなく、弁論の全趣旨によれば、平成五年二月に原告ベルショウが設立された後も、反訴被告鈴木がその代表取締役に就任し、鈴木利美は平成一〇年五月に「サウンドパラダイス」が営業を終了するまでの間、単なる取締役にすぎなかったと認められること、反訴被告鈴木の陳述するところに従えば、真の経営者である鈴木利美が原告後藤らと共に第一事件を容易に提訴し得たにもかかわらず、あえてその父親で、飲食営業許可申請名義人にすぎない反訴被告鈴木がこれを提起したという不合理が生じること(この点は、真の経営者が自らとは直接関係のない会社であると陳述する反訴被告原田栄治の場合と異なる。)などに照らせば、鈴木利美が平成二年一二月から同店舗を経営していたと認めることは困難であり、右陳述書の記載を直ちに信用することはできない。

右の事実に弁論の全趣旨を総合すれば、「サウンドパラダイス」については、反訴被告鈴木が平成二年一二月一五日から平成五年二月一六日まで経営していたというべきである。

(二) 平成五年二月一七日から平成一〇年五月一四日までの間については、原告ベルショウが同店舗を経営していたことには争いがないが、右の期間、反訴被告鈴木が原告ベルショウと共同して同店舗を経営していたことについては、これを認めるに足りる証拠はない。

(三) したがって、反訴被告鈴木が「サウンドパラダイス」の営業主体であることを前提とする被告協会の請求は、平成五年二月一七日から平成一〇年五月一四日までの間の同店舗の営業に関しては理由がない。

3  「カラオケプラザピープル中浦和店」について

乙ね第三号証によれば、原告ロイヤル興業は、「カラオケプラザピープル中浦和店」についての食品衛生法に基づく食品営業許可申請名義人であったことが認められる。

しかし、甲ね第四号証(原告ロイヤル興業代表者の陳述書)には、同店舗は、自らの重要な取引先の一つが経営していたものであり、その営業開始に当たり、原告ロイヤル興業が指導・助言を行ったにすぎず、原告ロイヤル興業が飲食店営業許可申請名義人であったことについては、原告ロイヤル興業が既に飲食店営業許可を取得した経験があったことから、担当者が便宜的に原告ロイヤル興業名義で申請した可能性が考えられる旨の記載がある。確かに、右陳述書は、それ以上に原告ロイヤル興業が営業許可申請名義人となったことの具体的理由を明らかにするものではなく、同店舗の経営者についても、単に「重要な取引先の一つ」と述べるにとどまり、その具体的な名称等を明らかにするものではないが、被告協会自身、「カラオケプラザピープル中浦和店」における営業の実態等を明らかにする証拠を一切提出していない以上、その信用性を直ちに否定すべき理由はない(この点は、少なくとも自らが代表者を務める会社あるいは自らの子が店舗を営業していたことを自認している反訴被告鈴木の場合と異なる。)。

右陳述書の記載に加え、原告ロイヤル興業は、「カラオケプラザピープル浦和店」ないし「ゲンキハウス浦和店」の経営者であることを自認する一方、自らが「カラオケプラザピープル中浦和店」の経営者でない旨を第二事件が提起された時から一貫して主張していることなどを併せみれば、原告ロイヤル興業が飲食店営業許可申請名義人であったことから、同原告が「カラオケプラザピープル中浦和店」の経営者であると直ちに認めることはできないというべきであり、他にこれを認めるに足りる証拠はない。

したがって、原告ロイヤル興業が「カラオケプラザピープル中浦和店」の営業主体であることを前提とする被告協会の請求は、理由がない(なお、以下において、「別紙『損害金等支払請求一覧表』の『店舗名』欄記載の各店舗」あるいは「対応店舗」とは、特に断らない限り、「カラオケプラザピープル中浦和店」を含めないものとする。)。

二  争点2について

甲ね第二号証、乙い第一号証ないし第三号証、乙う第二号証、乙え第一号証及び第二号証、乙き第一号証、乙く第一号証、乙こ第一号証ないし第三号証、乙さ第一号証、乙す第二号証、乙ち第一号証、乙て第一号証、乙ぬ第一号証、乙ね第一号証、乙ひ第一号証並びに弁論の全趣旨によれば、別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗の歌唱用の各部屋においては、主として客が自ら右各部屋に設置されたカラオケ装置を操作して伴奏音楽を再生し、また、再生された伴奏音楽に合わせて歌唱していたものであるが、他方、原告らは、それぞれの対応店舗の歌唱用の各部屋にカラオケ装置を設置し、来店した客が容易にカラオケ装置を操作できるようにした上で、客を右各部屋に案内していたこと、右各部屋に楽曲索引を備え置いて客の選曲の便に供していたこと、客から求められれば原告らの従業員がカラオケ装置を操作して操作方法を教示していたこと、客は、指定された歌唱用の部屋において、定められた時間の範囲内でその時間に応じた料金を原告らに支払い、原告らが用意したカラオケソフトに収納されている曲目の範囲内で選曲して歌唱していたことが認められる。

右認定の事実関係からすれば、原告らは、それぞれの対応店舗において、客の選曲に従って自ら直接カラオケ装置を操作する代わりに客に操作させているということができ、また、客による歌唱についても、原告らの管理の下で行われていたものというべきであって、それぞれの対応店舗において伴奏音楽の再生及びこれに合わせた歌唱によって管理著作物の利用(演奏ないし上映)を行っている主体は、その経営者である原告らにほかならず、原告らは、公衆(不特定多数の客)に直接聞かせ、見せることを目的として管理著作物の演奏ないしその複製物を含む映画著作物の上映を行ったものというべきである。

三  争点3について

右のとおり、原告らは、それぞれの対応店舗の歌唱用の各部屋において、管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱を行っていたものと認められるところ、原告らは、被告協会がカラオケボックス店舗における管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱についても許諾をしており、その対価は既に業務用カラオケソフトの製作者から受けている対価に含まれている旨を主張する。

そこで検討するに、カラオケソフトを製作する行為と、製作されたカラオケソフトをカラオケボックス店舗において公に再生する行為及びこれに合わせて歌唱する行為とは、明らかに別個の行為であり、それぞれについて別個に許諾がされ、著作物使用料が支払われるべきものである。そして、甲第六号証及び第七号証の各一、二、第九号証並びに弁論の全趣旨によれば、被告協会と業務用カラオケソフト製作者との契約では、管理著作物の複製のみが許諾の対象とされていたものと認められる。当時、業務用カラオケソフトについてカラオケボックス営業等で利用されることが予定されており、また、被告協会が業務用カラオケソフトの製作を許諾した昭和四五年ころから長期にわたって別途演奏についての対価を徴収しなかったという事実が存したとしても、右認定が左右されるものではない。

したがって、被告協会がカラオケボックス店舗における管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱についても許諾をしたということはできず、原告らの右主張は失当である。

四  争点4について

平成一一年法律第七七号による改正前の著作権法附則一四条は、適法に録音された音楽の著作物の演奏の再生について、当分の間自由に行い得るものと規定していたところ、原告らは、同年一二月三一日までのカラオケボックスにおける管理著作物の演奏については、同条が適用される旨を主張する。しかし、他方、同条は、公衆送信に該当するもの及び営利を目的として音楽の著作物を使用する事業で政令で定めるものにおいて行われるものについては、当分の間自由に行い得るものから除外する旨を規定し、これに基づく政令として著作権法施行令附則三条が定められていた。

そこで検討するに、原告らは、それぞれの対応店舗において、客にカラオケ関連機器を備え付けた歌唱用の部屋を使用させるとともに飲食物を提供していたものであり、原告らの営業は、著作権法施行令附則三条一号の「喫茶店その他客に飲食させる営業」に該当するというべきである。また、客がカラオケボックスにおいてカラオケの伴奏音楽を再生してこれを聴くこと及び再生された伴奏音楽に合わせて歌唱を行ってこれを聴くことは、いずれも同号の「音楽の鑑賞」に当たり、乙い第一号証ないし第三号証、乙う第二号証、乙え第一号証及び第二号証、乙き第一号証、乙く第一号証、乙こ第一号証ないし第三号証、乙さ第一号証、乙す第二号証、乙ち第一号証、乙て第一号証、乙ぬ第一号証、乙ね第一号証、乙ひ第一号証並びに弁論の全趣旨によれば、原告らは、いずれもそれぞれの対応店舗において、右各店舗がカラオケボックスであることを表示して営業していたと認められるから、同号所定の「客に音楽を鑑賞させることを営業の内容とする旨を広告し」ていたものといえ、カラオケ歌唱用の各部屋にカラオケ関連機器を設置することにより同号所定の「客に音楽を鑑賞させるための特別の設備を設けてい」たものというべきである。

したがって、原告らの対応店舗における営業は、著作権法施行令附則三条一号の事業に該当するというべきであり、平成一一年一二月三一日までのカラオケボックスにおける管理著作物の演奏については、同年法律第七七号による改正前の著作権法附則一四条が適用されるものではない。

五  小括

以上検討したところによれば、反訴被告原田栄治を除く原告らは、それぞれの対応店舗の歌唱用の各部屋において、管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱を行い、故意又は過失により本件著作権を侵害したというべきであり、被告協会は、反訴被告原田栄治を除く原告ら各自に対し、民法七〇九条、著作権法一一四条二項に基づき、「著作権……の行使につき通常受けるべき金銭の額」、すなわち使用料相当額を本件著作権侵害による損害として、その賠償(これに対する本件著作権侵害の日からの遅延損害金の支払を含む。)を請求することができる。

ところで、原告らは、被告協会の原告ら各自に対する各請求の日より三年以上前の管理著作物の使用に関する損害賠償請求について、消滅時効を援用する。そうすると、反訴被告原田栄治を除く原告らのうち、第一事件原告兼第二事件反訴被告ら合計一六名については平成一〇年三月三〇日、その余の九名については同年九月一六日に、本件著作権の侵害を理由とする損害賠償請求訴訟(本件反訴請求訴訟)が提起がされているから、それぞれ右訴訟提起の日の三年前の日以前の本件著作権の侵害を理由とする損害賠償請求権は、時効により消滅したものというべきである。

もっとも、時効により損害賠償請求権が消滅した期間の本件著作権の侵害については、原告らは、本件著作権の侵害により、法律上の原因なくして管理著作物の使用料相当額の利益を受け、他方、被告協会は、これにより同額の損失を被ったものであるから、被告協会は、原告ら各自に対し、民法七〇三条に基づき、使用料相当額の返還を請求することができるというべきである。そして、これまでに判示したところによれば、反訴被告原田栄治を除く原告らは、自らの不当利得について悪意の受益者に当たると認められるので、民法七〇四条に基づき、被告協会に対し、利息を付してこれを返還すべきである。

六  争点5について

1  争点5(一)について

(一) 被告協会は、平成九年八月一〇日以前のカラオケボックスにおける管理著作物の使用について、本件使用料率表に基づく金額を使用料相当額として損害賠償ないし不当利得返還の請求をする。これに対し、原告らは、本件使用料率表は文化庁長官の認可を受けたものではなく、被告協会は本件使用料率表に基づく金額の支払を請求し得ない旨を主張する。

そこで検討するに、昭和五九年六月一日に文化庁長官の認可を受けた旧使用料規程においては、管理著作物についての新しい利用方法が出現した際、著作権が及ぶにもかかわらず使用料の徴収ができないという事態を避けるため、直接の規定がない利用方法であっても、第二章第二節3(7)や第一二節の規定により、被告協会において一定の範囲内で管理著作物の具体的な利用状況等に応じた合理的な使用料額を決定し、使用料を徴収し得るように、手当てされているところ(乙第三号証、第九号証によって認められる。)、カラオケボックスにおける管理著作物の演奏等については、旧使用料規程第二章第二節「演奏等」の3「演奏会以外の催物における演奏」の(7)「その他の演奏」に該当すると解するのが相当である。なぜなら、ここでいう「催物」の意味については、同節3(6)が「航空機、鉄道、自動車、船舶等各種交通機関における演奏」について規定していること(乙第三号証によって認められる。)や、昭和五九年四月に従前の著作物使用料規程中の「演奏会形式によらない演奏」という表題が「演奏会以外の催物における演奏」という表題に改められた際、単に表現を変更しただけで、区分の方法は何ら変わらないと説明されていたこと(乙第一一号証によって認められる。)などから明らかなように、限定的にとらえるべきものではなく、同節3(7)の規定は、演奏等の利用分野においてどの規定にも当てはまらない新たな利用形態に対応した規定と解すべきであるところ、カラオケボックスにおける管理著作物の演奏等は、演奏等の範疇に属する利用形態でありながら、上演及び演奏会の形式による演奏にも、飲食又はダンスを営業上不可欠の要素とする「社交場における演奏等」にも当てはまらないものと認められるからである。

甲第九号証、第一〇号証及び第一五号証、乙第四号証、第五号証及び第一六号証の一ないし四並びに弁論の全趣旨によれば、被告協会は、カラオケボックスにおける管理著作物の使用について、平成元年四月一日、旧使用料規程第二章第二節「演奏等」の3「演奏会以外の催物における演奏」の(1)「レビューショー、ファッションショー、サーカス、舞踏会、アイススケートショー、フィギアスケート、シンクロナイズド・スイミング、体操競技等舞踊、演技、衣装が重要な要素となる催物における演奏」の使用料額の範囲内で、カラオケボックスにおける管理著作物の具体的な使用状況や、営業等に占める著作物利用の重要性、著作物が聴衆・観衆に与える効果等を参酌し、当時カラオケボックスを大規模に経営していた第一興商と協議を重ねた上、その使用料額を同節4「社交場における演奏等」と同程度と定めた本件使用料率表を作成し、以後、本件使用料率表に基いた使用料額により、管理著作物の使用許諾契約を多数締結し、その使用料を徴収していたこと、平成九年八月一一日、新使用料規程が文化庁長官の認可を受け、カラオケボックスにおける管理著作物の使用については、新使用料規程第二章第二節「演奏等」の4「カラオケ施設における演奏等」に該当するものとして規程が整備されたが、カラオケボックスにおいて包括的使用許諾契約を結ぶ場合の使用料額については、本件使用料率表に基づく金額と同一であったこと(同節4の「カラオケ施設における演奏等の備考」の⑤参照)が認められる。右事実によれば、本件使用料率表は、平成元年四月一日、旧使用料規程に基づいて定められた合理的な使用料額であり、被告協会は、以後平成九年八月一〇日までの間、本件使用料率表に基づく金額の使用料を徴収できたものというべきである。

したがって、被告協会は、平成九年八月一〇日以前のカラオケボックスにおける管理著作物の使用について、本件使用料率表に基づく使用料相当額の損害賠償ないし不当利得返還の請求をすることができるものであって、原告らの右主張は、失当である。

(二) なお、本件使用料率表の「ビデオカラオケ」には、通信カラオケが含まれると解するのが相当である。本件使用料率表の「ビデオカラオケ」の意味については、本件使用料率表自体が新しい利用形態に対応して作成されたものである以上、従前の使用料規程における定義に従って解釈する必要はなく、ビデオカラオケの使用料がオーディオカラオケのそれと比べて高額である点についても、前記のとおり、使用料額の決定に当たっては著作物の具体的な使用状況、営業等に占める著作物利用の重要性、著作物が聴衆・観衆に与える効果等を参酌しており、単に上映権の有無という面のみを考慮して決定されるものではないから、通信カラオケが「ビデオカラオケ」に含まれないとする理由にはならない。通信カラオケは、伴奏音楽・歌詞映像とともに動画映像を再生するものであり、右の使用料額の決定に当たって参酌される諸要素においては、レーザーディスクカラオケに類似するものであって、新使用料規程第二章第二節「演奏等」の4「カラオケ施設における演奏等」において、通信カラオケがレーザーディスクカラオケと共に「ビデオカラオケ」に該当するものとしてその定義がされていることに照らしても、本件使用料率表の「ビデオカラオケ」には、通信カラオケが含まれるというべきである。

2  争点5(二)について

(一) 甲え第一号証、甲く第一号証ないし第四号証、甲さ第一号証、甲す第七号証ないし第九号証、甲つ第一号証ないし第三号証、第五号証及び第八号証、甲て第三号証、甲ね第二号証、乙第一五号証、乙い第一号証ないし第三号証、乙う第二号証、乙え第一号証及び第二号証、乙き第一号証、乙く第一号証、乙こ第一号証ないし第四号証、乙さ第一号証、乙そ第一号証、乙た第一号証ないし第三号証、乙て第一号証、乙ぬ第一号証、乙ね第一号証、乙ひ第一号証並びに弁論の全趣旨によれば、別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗について、原告らがこれを営業した期間、右各期間に対応する歌唱室の数、各歌唱室の本件使用料率表及び新使用料規程第二章第二節4の規定に従ったカラオケ装置の種類、定員及び面積による区分は、当事者間に争いのない部分も含めて、別紙「店舗の営業に関する認定一覧表」記載のとおりであり(「開始日」欄、「終了日」欄、「区分」欄の各記載の意味は、別紙「店舗の営業に関する被告協会の主張一覧表」と同様である。)、右認定を覆すに足りる証拠はない。

(二) 右認定について補足して説明すれば、以下のとおりである。

(1) 「カラオケハウスやまびこ」については、乙う第一号証(埼玉県カラオケ事業者協会基本台帳)に平成元年四月一日から営業していたことを示す記載があるが、「埼玉県カラオケ事業者協会基本台帳」なるものの記載が正確であることを裏付ける証拠はなく、これを直ちに採用することはできない。

(2) 「サザエ」については、乙え第一号証には平成一〇年三月の時点で、甲え第一号証には平成一二年二月の時点で、それぞれ定員又は座席数が四名以上の歌唱室が九室あった旨の記載があるが、他方、甲え第一号証には定員が一〇名までである旨の記載があり、また、乙え第一号証には、三階に座席数一五の歌唱室があるとしながら、三階にある五室については観察不可能であった旨の記載があることからすれば、定員が一〇名を超える歌唱室の存在を認めることはできず、同店舗には営業開始以来、「ビ1」に区分される歌唱室が九室あるものと認められる。

(3) 「チャンピオン」については、乙え第一号証に平成一〇年三月当時、三階に座席数二五名の歌唱室があった旨の記載があるが、この点については、実際に観察したものではなく、店長の話から確認したにすぎないものであって、この記載部分を直ちに採用することはできない。

(4) 「カラオケひまわり」については、甲く第一号証ないし第四号証により、乙く第一号証の記載のうち四号室に係るものは、これを採用することができない。

(5) 「カラオケホリデー」については、乙さ第一号証には平成一〇年一月の時点で、甲さ第一号証には平成一二年二月の時点で、それぞれ定員が一〇名までで面積が一二平方メートルを超える歌唱室が一二室、定員が一〇名を超え三〇名までの歌唱室が二室あった旨の記載があり、同店舗には営業開始以来、「ビ1」に区分される歌唱室が一二室、「ビ2」に区分される歌唱室が二室あるものと認められる。

(6) 「カラオケスタジオ上福岡店」については、平成五年七月九日から平成一二年一月一〇日までの間、原告有限会社原田が経営していたことに争いはないが、同原告が平成五年七月八日からこれを経営していたことを認めるに足りる証拠はない(なお、反訴被告原田栄治が平成二年四月一日から経営していたものと認めることができないことは、前記のとおりである。)。また、乙す第二号証の記載のうち歌唱室の数及び区分に関する部分は、甲す第七号証ないし第九号証により、これを直ちに採用することができない。

(7) 「カラオケ天国じゅん」については、乙そ第一号証及び第二号証によっても、原告じゅんが平成一〇年一〇月一日以降も同店舗を営業していることを認めるに足りない(かえって乙そ第二号証には、平成一〇年八月ころに経営者が変わったことを示す記載がある。)。

(8) 「サウンドパラダイス」については、平成五年一二月一日以降の歌唱室の区分に争いがあるところ、乙ち第一号証には、座席数二〇の歌唱室が一室、座席数一四の歌唱室が二室あった旨の記載があるが、他方、パーティルームの定員について二〇名と一〇名以下の二種類があったことを示す料金表も添付されており、この食い違いについて特段の説明がされていない以上、同号証をもって「ビ1」に区分される歌唱室が七室、「ビ2」に区分される歌唱室が三室あったと直ちに認めることはできない(なお、平成二年一二月一五日から平成五年二月一六日までは反訴被告鈴木が、同月一七日から平成一〇年五月一四日までは原告ベルショウが同店舗を経営していたと認められることは、前記のとおりである。)。

(9) 「歌の広場わくわくランド」については、甲て第三号証により、乙て第一号証の記載のうち六号室に係るものは、これを採用することができない。

(10) 「アルファー館」については、乙な第一号証によっても、同店舗の営業が平成一〇年九月一日に再開されたことを認めるに足りない。

(11) 「ゲンキハウス浦和店」については、乙ね第一号証(調査会社株式会社オリファ作成の報告書)に、同店舗には座席数四〇の歌唱室が二室、座席数一六の歌唱室が二室、座席数八の歌唱室が七室あり、四階には座席数四の歌唱室が一一室あった旨の記載がある。

しかし、乙第一五号証(被告協会訟務部長作成の陳述書)によれば、調査会社による座席数の報告については、その座席数から二割差し引いた数を当該歌唱室の定員(座席数)としたことが認められ、そうすると、座席数四とされる歌唱室の定員は三名と解すべきであり、これと反する取扱いをすべき理由は見当たらない。他方、甲ね第二号証には、同店舗の四階にある歌唱室一〇室について、定員が三名、面積が4.86平方メートル(1.8メートル×2.7メートル)である旨の記載があり、他に右歌唱室の面積を示す証拠はない。右の点に加え、被告協会が同店舗の前身である「カラオケプラザピープル」について、平成六年五月まで「ビ特」に該当する歌唱室が一〇室あったことを認めていること、その後の店舗改装の際、右一〇室の面積が変更されたことを示す証拠がないこと、甲ね第二号証には、四階の一〇室については改装前のソファーを利用している旨の記載もあることなどを併せ考えれば、「ゲンキハウス浦和店」の四階にある歌唱室一〇室は、本件使用料率表によって使用料額が定められる平成九年八月一〇日までは「ビ特」、新使用料規程が適用される同月一一日以降は「ビ1」に区分されるというべきである。

その余の一二室については、乙ね第一号証及び弁論の全趣旨により、うち八室が「ビ1」に、うち二室が「ビ2」に、うち二室が「ビ3」に区分されるものと認められる。

3  右認定の事実を前提とすると、管理著作物の別紙「損害金等支払請求一覧表」の「店舗名」欄記載の各店舗における一か月当たりの使用料相当額(消費税相当額を含む。)は、各使用期間に対応して、別紙「店舗の営業に関する認定一覧表」の「月額使用料相当額」欄記載のとおりであり、右各店舗における各使用期間に対応した使用料相当額の合計は、同一覧表の「使用料相当額合計」欄記載のとおりであると認められる(なお、平成九年八月分の使用料相当額については、同月一日から同月一〇日までの金額と同月一一日から同月三一日までの金額をそれぞれ日割計算によって算出して合算し、管理著作物の使用の開始日又は終了日が月の途中の場合には、当該月の使用料相当額は、日割計算によって算出した。)。

4  反訴被告原田栄治を除く原告らは、被告協会に対し、民法七〇九条及び著作権法一一四条二項、あるいは民法七〇三条及び同法七〇四条に基づき、それぞれの対応店舗における管理著作物の再生及びこれに合わせた歌唱について、その使用料相当額及びこれに対する本件著作権侵害の日からの遅延損害金又は利息を支払うべき義務を有するところ、これまでに判示したところを総合すれば、原告らが支払うべき使用料相当額(消費税相当額を含む。)は、それぞれ別紙「認容金額一覧表」の「使用料相当額」欄記載のとおりであり、また、原告らが支払うべき遅延損害金又は利息のうち、平成一二年八月三一日までに確定したものの額(管理著作物の使用料相当額の各月毎の金額に対する翌月一日から平成一二年八月三一日までの年五分の割合による金員を合算したもの)は、それぞれ同一覧表の「遅延損害金又は利息」欄記載のとおりであると認められる。

5  被告協会は、本件反訴請求訴訟の提起を弁護士に依頼しているところ、本件反訴の事案及び請求の内容を総合すれば、被告協会が賠償を請求する弁護士費用相当額のうち、原告らの前記著作権侵害行為(不法行為)と相当因果関係のある損害として原告らが負担すべき弁護士費用の額は、それぞれ別紙「認容金額一覧表」の「弁護士費用」欄記載の金額を下らないものと認められる。

6  以上によれば、反訴被告原田栄治を除く原告らは、被告協会に対し、それぞれ別紙「認容金額一覧表」の「認容金額合計」欄記載の金員及びうち「使用料相当額及び弁護士費用の合計」欄記載の金員に対する平成一二年九月一日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払う義務を負うものというべきである。

七  争点6について

1  被告協会の反訴被告原田栄治及び反訴被告鈴木に対する有限会社法三〇条の三第一項を理由とする損害賠償の請求は、第一七回口頭弁論期日において被告協会により新たに追加して請求されたものであるが、その審理のために新たに人証の取調べ等を要することもなく、第一八回口頭弁論期日には本件全部についての証拠調べを終了して口頭弁論が終結されていることに照らせば、右追加請求が時機に遅れた攻撃防御方法とまでは認められない。

2  「サウンドパラダイス」については、前記のとおり、平成五年二月一七日以降、原告ベルショウの単独経営であったと認められる。

しかし、平成二年一二月一五日から平成五年二月一六日までは、反訴被告鈴木がこれを経営していたことは前判示のとおりであり、弁論の全趣旨によれば、平成五年二月一七日に原告ベルショウが設立されて以来、反訴被告鈴木がその代表取締役を務めていたこと、「サウンドパラダイス」においては、原告ベルショウ設立後も反訴被告鈴木が経営していたのと何ら変わらない態様でカラオケボックスの営業が継続されていたことが認められる。甲ち第三号証(反訴被告鈴木作成の陳述書)には、名目上の代表取締役にすぎない旨の記載があるが、これを採用することはできない。

右事実関係の下では、反訴被告鈴木は、原告ベルショウの取締役として「サウンドパラダイス」におけるカラオケボックスの営業に関わった際、悪意又は重大な過失がある任務懈怠によって本件著作権を侵害したものというべきである。

したがって、反訴被告鈴木は、有限会社法三〇条の三第一項に基づき、被告協会に対し、平成五年二月一七日から平成一〇年五月一四日までの間の「サウンドパラダイス」における本件著作権侵害によって被告協会が被った使用料相当額等の損害について、原告ベルショウと連帯(不真正)して賠償すべき責任があるというべきである。

3  「カラオケスタジオ上福岡店」については、前記のとおり、平成五年七月九日以降、原告有限会社原田の単独経営であったと認められる。

しかし、甲す第九号証及び第一〇号証並びに弁論の全趣旨によれば、反訴被告原田栄治は、平成五年七月九日に原告有限会社原田が設立されて以来、その代表取締役又は単独の取締役を務め、同店舗におけるカラオケボックスの営業に主体的に取り組んでいたこと、原告有限会社原田は、カラオケボックスの経営を開始したころ、「カラオケ業防犯協会入間支部」に加入しており、反訴被告原田栄治は、カラオケ装置を使用した営業をしている業種の経営者と交流があったことなどが認められる。

右事実関係の下では、反訴被告原田栄治は、原告有限会社原田の取締役として「カラオケスタジオ上福岡店」におけるカラオケボックスの営業に関わった際、悪意又は重大な過失がある任務懈怠によって本件著作権を侵害したものであるというべきである。

したがって、反訴被告原田栄治は、有限会社法三〇条の三第一項に基づき、被告協会に対し、平成五年七月九日から平成一二年一月一〇日までの間の「カラオケスタジオ上福岡店」における本件著作権侵害によって被告協会が被った使用料相当額等の損害について、原告有限会社原田と連帯(不真正)して賠償すべき責任があるというべきである。

八  被告協会の差止請求等について

これまでに判示したところによれば、原告らのうち「差止認容一覧表」記載の者は、それぞれの対応店舗において、別紙「物件目録」記載のカラオケ関連機器を備え付け、右カラオケ関連機器で本件著作物を再生して客に歌唱させる営業を行い、本件著作権を現に侵害していると認められるから、被告協会は、これらの者に対し、著作権法一一二条一項及び二項に基づき、カラオケ関連機器を使用しての本件著作物の再生(演奏・上映)及び歌唱の差止め及びそれぞれの対応店舗からの別紙「物件目録」記載のカラオケ関連機器の撤去を求めることができ、また、以後これらの者がそれぞれの対応店舗において本件著作物の使用を停止するまで、使用料相当額(同一覧表の「一か月当たりの損害額」欄記載の金額の割合による金員)の支払を求めることができるというべきである。

しかし、原告じゅん及び同賀屋に対する本件著作物の使用差止め等の請求については、理由がない。

九  第一事件及び第三事件に係る請求について

被告協会の本件反訴請求の内容に照らせば、原告ら(反訴被告原田栄治、同ヒロプランニング及び同鈴木を除く。)の被告協会に対する債務不存在確認請求(第一事件及び第三事件)は、被告協会の給付請求に係る債権と同一の債権について不存在確認を求めるものと認められるから、右債務不存在確認請求は、確認の利益を欠くというべきである。

一〇  結論

以上によれば、原告ら(反訴被告原田栄治、同ヒロプランニング及び同鈴木を除く。)の請求は、いずれも不適法であるのでこれを却下し、被告協会の請求は、主文第一項ないし第六項記載の限度で理由があるので認容し、その余は理由がないので棄却することとする。

よって、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官・三村量一、裁判官・村越啓悦、裁判官・中吉徹郎)

別紙<省略>

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