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東京地方裁判所 平成10年(ワ)18411号 判決 1999年12月20日

原告

右訴訟代理人弁護士

加藤博史

被告

被告

被告

被告

被告

主文

一  「原告の請求」第一項ないし第三項に係る訴えをいずれも却下する。

二  「原告の請求」第四項ないし第六項をいずれも棄却する。

三  訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第一  原告の請求

一  原告が別紙著作物目録通番1ないし383記載の各著作物(以下「本件各著作物」という。)についての著作権を有することを確認する。

二  本件各著作物について、原告と訴外G(以下「訴外人」という。)との間の昭和四九年二月一〇日付け利用許諾契約に基づく著作物利用権を、被告らが有しないことを確認する。

三  本件各著作物について、原告と訴外人との間の昭和四九年二月一〇日付け著作物利使用についての代理・媒介に関する契約に基づく著作物利用使用許諾に関する代理・媒介権を、被告らが有しないことを確認する。

四  被告らは、本件各著作物に関して、平成一〇年七月二七日までにその著作権を使用し製作された製品、複製物及び版画等の二次的著作物(ただし、別紙改題作品目録記載の改題名を付した製品、複製物及び二次的著作物を除く。)の頒布、販売を除き、新たに本件各著作物を印刷、製本、頒布、販売したり、その著作権を利用、使用した製品及び複製物を製作、頒布、販売したり、新たにその写真、版画等の二次的著作物を製作、頒布、販売したりするなどして、これらについての原告の著作権を侵害する一切の行為及び本件各著作物の著作物の利用・使用許諾に関する代理・媒介行為をしてはならない。

五  被告らは、別紙改題作品目録記載の著作物について、同目録記載の改題名を付した製品、複製物及び写真、版画等の二次的著作物の頒布、販売をしてはならない。

六  被告らは、原告に対し、別紙ポジフィルム目録記載のポジフィルムを引き渡せ。右引渡しの強制執行が不能のときは、同ポジフィルム一枚につき金五万円を支払え。

第二  事案の概要

本件は、原告が被告らに対し、概要以下のとおり主張して、「原告の請求」記載の請求をした事案である。

<1>  原告は、本件各著作物の著作権者であり、原告が著作権を有することの確認を求めた(請求第一項)。

<2>  原告は、昭和四九年二月一〇日、訴外人との間で、本件各著作物についての利用許諾契約及び著作物利使用についての代理・媒介に関する契約を締結したが、その後訴外人が死亡し、各契約は既に終了しているとして、同訴外人の法定相続人である被告らに対し、利用権等の不存在確認(請求第二、第三項)及び被告らによる複製物の販売等の差止め等を求めた(請求第四項)。

<3>  原告は、本件各著作物の著作者であるが、被告らが改題名を付して複製物を頒布等しているとして、右行為の差止めを求めた(請求第五項)。

<4>  原告は、訴外人に対し原告所有のポジフィルムを交付したが、返還されていないので、同訴外人である被告らに対し、右ポジフィルムの返還を求めた(請求第六項)。

第三  当裁判所の判断

一  「原告の請求」第一項ないし第三項について

本件全証拠によるも、被告らにおいて、原告が確認の対象としている諸権利の帰属を争っていると解することはできない(被告らは、単に、本件各著作物に関する権利を相続していないことを答弁書において述べるのみである。)。したがって、「原告の請求」第一項ないし第三項に係る訴えは、いずれも確認の利益がなく、不適法として却下すべきことになる。

二  「原告の請求」第四項ないし第六項について

本件全証拠によるも、「原告の請求」第四、五項において差止めを求めている行為について、現に被告らが行っていること又は行うおそれがあることを認めることはできず、また、「原告の請求」第六項において返還を求めているポジフィルムについて、被告らが占有していることを認めることはできない。

したがって、「原告の請求」第四項ないし第六項は理由がない。

(裁判長裁判官 飯村敏明 裁判官 沖中康人 裁判官 石村智)

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