東京地方裁判所 平成10年(ワ)2447号 判決
原告 A
原告 B
右両名訴訟代理人弁護士 小薗江博之
同 阿部哲二
同 小沢年樹
被告 株式会社マルエツ
右代表者代表取締役 川一男
右訴訟代理人弁護士 関口保太郎
同 脇田眞憲
同 冨永敏文
同 吉田淳一
主文
一 原告らの請求をいずれも棄却する。
二 訴訟費用は原告らの負担とする。
事実及び理由
第一請求
被告は、各原告に対し、それぞれ金一〇五〇万円及びこれに対する平成一〇年二月一九日から支払済みまで年五分の割合による金員を支払え。
第二事案の概要
本件は、被告の従業員であったC(以下「C」という。)の相続人である原告らが、被告に対し、被告が保険会社との間でCを含む被告の全従業員を被保険者として締結したAグループ団体定期保険契約に基づき、受領した死亡保険金とCの死亡後に被告がCの妻に支払った弔慰金との差額に相当する金員の支払を求めた事件である。
一 争いのない事実等(認定事実については末尾に証拠等を掲記する。)
1 原告AはCの父であり、原告BはCの母である。
被告は、食料品、衣料品、雑貨品、家具、電気器具、化粧品、医薬品等の百貨の製造、販売を行うスーパーマーケットを経営する会社である。
C(昭和三五年二月二三日生)は、昭和五七年ころ被告に入社し、被告の販売店において勤務していた(弁論の全趣旨)。
2 被告は、平成四年五月一日、協栄生命保険株式会社(以下「協栄生命」という。)、第一生命保険相互会社、第百生命保険相互会社、千代田生命保険相互会社、明治生命保険相互会社、朝日生命保険相互会社及び日本生命保険相互会社(以下、併せて「協栄生命外六社」という。)との間で、Cを含む被告の全従業員を被保険者、被告を保険金受取人、保険金額を二二〇〇万円とする勤労団体保険契約(Aグループ団体定期保険契約)を締結した(以下「本件契約」という。)。
3 Cは、平成四年九月五日、休暇中に、タイ国において死亡した。
4 被告は、Cの死亡により、平成四年一〇月一六日ころ、協栄生命外六社から、本件契約に基づく死亡保険金として二二〇〇万円(以下「本件保険金」という。)の支払を受けた。
5 被告は、Cの死亡後、同人の妻に対し、業務外の死亡による弔慰金として一〇〇万円を支払った。
6 原告らは、遺産分割協議により、本件保険金に関する請求権をそれぞれ二分の一の割合で取得した(甲二一)。
二 争点に関する当事者の主張
1 原告らの主張
(一) 主位的請求(本件保険金相当額の引渡しの合意)
被告は、他人の生命の保険契約である本件契約の締結につき、Cから商法六七四条一項本文所定の被保険者の同意を得るに当たり、同人との間で、同人の死亡後、本件契約に基づいて協栄生命外六社から被告に支払われる保険金をCの相続人に引き渡す旨の合意(以下「本件合意」という。)をした。
仮に、Cと被告との間に明示の本件合意がなかったとしても、本件契約は、勤労団体保険契約という名称によって、その締結の目的が保険金を被保険者の相続人への支払に充てるものであることが示されていること、被告と協栄生命との間で締結された協定(以下「本件協定」という。)に基づいて作成された協定書(以下「本件協定書」という。)にも勤労団体保険契約に基づいて支払われる保険金を弔慰金として支払う旨が明示されていること、商法六七四条一項本文が他人の生命の保険契約を締結する場合には、被保険者の同意を要すると定めた趣旨は、契約者が不当な利得を得ることを防止しようとするところにあること、事業主が従業員を被保険者とする保険契約を締結した場合には、事業主が負担した保険料について、当該被保険者の福利厚生を目的とするものとして税法上の優遇措置が採られていることなどにかんがみると、特段の合理的な事情がない限り、Cと被告との間で、本件契約に基づいて支払われる保険金の相当額を被保険者又は被保険者の相続人に支払う旨の黙示の合意があったものと推認すべきである。
なお、被告は、本来、被保険者から個別的に同意を得るべき立場にあり、協栄生命外六社に対して被保険者の同意を得たとして本件契約を締結した上で、本件保険金を請求し、受領しているのであるから、被告がCの個別的な同意がなかったと主張することは、信義則、禁反言の法理から許されない。
(二) 予備的請求(1) ないし(8)
仮に、本件合意の成立が認められないとするならば、以下の(1) ないし(8) のいずれかの理由により、被告は、原告らに対し本件保険金相当額の金員又はその相当部分を支払う義務を負うと解すべきである。なぜならば、被保険者の個別的な同意を得ることなく締結された本件契約は、強行法規である商法六七四条一項本文に違反し形式的には無効と解さざるを得ず、本件保険金を被告が取得することは公序良俗に反し許されないが、以下の(1) ないし(8) のいずれかの理由により、被告の原告らに対する保険金相当額又はその相当部分の支払義務が認められるならば、本件契約は、従業員の福利厚生を図るという被保険利益、付保必然性の存在が明確な保険契約となり、公序良俗に違反する危険性が存在しないため、同意の省略が許されることになるということができるからである。
(1) 黙示の弔慰金規程
本件協定書の記載からすると、本件契約に基づいて支払われる保険金の使途が、福利厚生一般ではなく、死亡した従業員の弔慰金の支払に充てることにあることは明らかである。そして、事業主が従業員を被保険者として、通常の定期保険契約を締結する場合には、保険会社は、右契約締結の趣旨、目的として、「この生命保険契約に基づき支払われる保険金の全部又はその相当部分は、退職金又は弔慰金の支払いに充当するものとする。」との記載のある事業主と被保険者たる個々の従業員が連署した「生命保険契約付保に関する規定」と題する文書(以下「付保規定」という。甲九)を徴求するが、本件協定書も本件契約の趣旨、目的を明らかにするものであって、記載されている文言も付保規定とほぼ同一であるから、本件協定書を付保規定と対比させれば、本件協定は保険金額に相当する弔慰金規程が被告の社内に存在するとの前提で締結されていると解すべきであり、本件協定書に被保険者の署名押印がないのは、団体的取扱いの便宜のために被保険者である個々の従業員の署名押印を省略しているにすぎないものと解すべきである。そうであれば、本件協定は、付保規定と同一の性格、内容を有するものというべきであり、被告が受領する保険金全額、少なくともその相当部分を弔慰金の給付に充てる旨の条項を含む弔慰金給付規程が黙示的に存在すると解すべきである。
(2) 第三者のためにする契約
被告は、協栄生命外六社との間で、被保険者である従業員が在職中に死亡した際の遺族の生活保障のために本件契約に基づいて支払われる保険金を弔慰金、死亡退職金等の支払に充てることを目的として本件契約を締結した以上、協栄生命外六社との間で、協栄生命外六社を要約者、被告を諾約者、従業員の遺族である原告らを受益者とする第三者のためにする契約を締結したというべきであるから、右契約に基づき、原告らに対して本件保険金相当額の金員を支払う義務を負う。
(3) 事務管理
本件契約は、被保険者である従業員が在職中に死亡した際の遺族の生活保障を目的とするという意味で、個々の従業員の福利厚生のために締結されたものであるから、本件契約の締結は、被告にとって他人の事務に当たること、本件契約締結の際、被告にCのためにする意思があったことは明らかであること、被告にはCのために協栄生命外六社との間で本件契約を締結すべき法律上の義務はないこと、本件契約が従業員の福利厚生という目的に従って利用されれば個々の従業員の意思や利益に適合することを考慮すれば、本件契約の締結は、Cを含む被告の全従業員のための事務管理として行われたものというべきであるから、民法六九七条、七〇一条、六四六条により、被告は原告らに対し本件保険金を引き渡す義務を負う。
(4) 準事務管理
被告が自ら本件契約に基づいて支払われる保険金をすべて取得する意図で本件契約の締結を行ったとすれば、被告は被保険者の同意を得ることなく被保険者の人格権を著しく侵害したことになるから、準事務管理の法理により、被侵害者たるC又は原告らは、侵害者たる被告が本件契約の締結により取得した利益の引渡しを請求することができる。
(5) 不当利得
被告が本件契約に基づいて支払われる保険金を原告らに引き渡さず、その一部でも自ら取得することは、雇用契約における使用者の地位を濫用し、従業員の遺族の生活保障という本件契約の目的に反して不法な利得を得るものであり、しかも被告が右保険金の一部でも自ら取得することを認めれば、死亡した従業員の遺族の生活保障を目的とする本件契約に基づいて被告が払い込む保険料を税制上全額損金として計上することを認めた制度の濫用をも認めることになるから、被告を本件契約の保険金受取人とする保険金受取人の指定は、公序良俗に反して無効である。したがって、本件契約は保険金受取人の指定が存在しない保険契約となり、団体定期保険普通保険約款第三五条により、Cの相続人である原告らが本件契約の保険金受取人となる。それにもかかわらず、被告は本件保険金を受領してこれを原告らに引き渡さないから、原告らは、被告に対し、本件保険金相当額の不当利得返還請求権を有する。
なお、被告が本件保険金の受領に先立って本件契約に基づき保険料を支払ったことが受益の有無の判断に影響すると考えるのは相当ではなく、また、被告が支払った保険料は、被告の従業員約九〇〇〇人分のものであって、C分の保険料はわずかにすぎないから、被告が払い込む保険料の方が被告が受領する保険金と配当金との合計を上回っていることをもって、C又は原告らとの関係において被告に利得がないとはいえない。
(6) 信義則上の引渡義務
使用者が労働者の生命、健康を侵害することは許されず、むしろ、使用者は、労働契約に付随する義務として、労働者に対する安全配慮義務を負っているのであるから、使用者が労働者の生命を保険会社との取引材料としたり、労働者を被保険者とする団体定期保険契約を悪用して不労な利得を得たりすることは本来許されない。したがって、使用者が自ら雇用する労働者を被保険者として団体定期保険契約の契約者兼保険金受取人となった場合には、労働契約に付随する信義則上の義務として、特段の事情のない限り、使用者は、当該労働者又はその相続人に対し、受け取った保険金相当額を支払う義務がある。
(7) 商法第六七四条一項ただし書
団体定期保険契約が従業員又はその遺族の生活保障を目的とするものである以上、右契約に基づいて支払われる保険金は、団体的事務処理の都合から、通過点として保険会社から企業に引き渡されるにすぎず、最終的には被保険者である従業員又はその遺族に帰属すべきものである。本件契約の締結に当たって、個々の従業員から個別的な同意を得ていないという被告の対応及びそれを容認してきた協栄生命外六社の対応は、本件契約に基づく保険金を受け取るべき者を被保険者である従業員又はその相続人であると解し、本件契約を商法六七四条一項ただし書所定の被保険者の同意が不要な他人の生命の保険契約であると解することによって初めて許容されるものである。したがって、本件契約は、商法六七四条一項ただし書所定の保険契約であり、被告は、原告らに対し、本件保険金を引き渡すべき義務を負うと解すべきである。
(8) 無効行為の転換
被告が個々の従業員の同意をとっていない以上、本件契約は、本来無効となるはずである。しかし、被告が協栄生命ないし協栄生命外六社との間で、契約申込書に弔慰金支払目的と記載して団体定期保険契約の締結を繰り返し、本件契約に関しても、被告と協栄生命外六社は、本件契約に基づく保険金を弔慰金として支払う旨の本件協定を締結しており、その上で、協栄生命外六社が被告に本件保険金を支払い、被告はこれを受領しているのである。そうであれば、協栄生命外六社としては、弔慰金としてCの相続人に支払われることを予定して本件保険金を被告に支払ったものと解すべきであり、被告も原告らに本件保険金を支払う意思で本件契約を締結したものと考えるべきであって、本件契約を無効として従業員又はその遺族の生活保障という本件契約の目的を実現できなくすることは本件契約の当事者の意思に合致しない。このような場合には、無効行為の転換の理論により、本件契約を被保険者の同意が必要とされない商法六七四条一項ただし書所定の保険契約と認めるべきである。
(三) 予備的請求(9) (慰謝料)
商法六七四条一項本文において、被保険者の同意が他人の生命の保険契約の効力要件とされた目的には、被保険者の人格権の侵害を防止することも含まれており、右規定は強行法規であるから、仮に、被告が本件契約の締結に当たりCの個別的な同意を得ていないとすれば、他人の同意を得ずに他人の生命の保険契約を締結したことになり、本件契約の締結行為は、明らかにCの人格権を侵害する不法行為に当たる。
被告が、Cに対し、一〇年間にわたり一度も団体定期保険契約の内容を知らせず、その同意を得ようともしなかったこと、労働者の生命、私生活までも支配、利用しようとしたこと、Cの生命を同人に無断で被告における資金の回転や被告の大株主である保険会社に対する安定株主対策の取引材料として利用したこと、被告がCの生命の取引材料としての価値を保険金相当額として認めたこと、人格権を侵害した被告に不当な利益を残すことは許されないこと、本訴提起前に原告らが申し立てた調停において、被告は本件保険金の金額すら明らかにしなかったために、原告らの心情が傷つけられたことなどをも考慮すれば、C及び原告らが本件契約の締結により被った精神的損害に対する慰謝料は、本件保険金から被告が弔慰金としてCの妻に支払った額を控除した残額とするのが相当である。
2 被告の主張
(一) 主位的請求について
被告は、本件契約の締結に当たって、被告の従業員によって組織された労働組合(以下「本件労働組合」という。)の代表者に対する通告により被保険者の同意があることを確認したものであり、Cが個別的に同意の意思表示をしたことはないから、本件契約に基づいて支払われる保険金の引渡しについて本件合意が成立する余地はない。
本件契約の当事者ではないCは、本件契約の内容の一つである本件保険金の受取人を変更するに等しい意思表示をする地位にはないし、また、本件契約と弔慰金、死亡退職金等の制度は、全く別の制度であるから、本件契約についてのCの同意が、弔慰金等、Cの死亡により給付される各種金員に関する合意の意思表示であるということはできない。
被告は、その福利厚生制度として、労働災害給付金の制度を設け、従業員が業務上死亡した場合に遺族見舞金として二五〇〇万円を支払うことにしているほか、本件労働組合との合意により、従業員が業務外の事由により死亡した場合にも、遺族に弔慰金として一〇〇万円を支払うことにしているし、これら狭義の弔慰金とは別に、死亡退職金の制度も定めている。被告は、以上のような福利厚生制度に基づく各種給付の支払原資として本件契約に基づいて支払われる保険金を充てることにして本件契約を締結したものであるから、Cとの間で、本件労働組合との間で合意し、労働契約の内容となっている右弔慰金等以外に、個別に本件契約に基づいて支払われる保険金の引渡しを合意するはずがない。
(二) 予備的請求(1) ないし(8) について
予備的請求(1) ないし(8) の主張はすべて争う。
被告は、前述のとおり福利厚生制度を整備し、これを従業員に周知した上、これら福利厚生制度に基づく各種給付の支払原資を確保するために本件労働組合に対して通告をして、本件契約を締結しているのであり、これを賭博的に利用したり、不労の利益を目的として不正に利用したりする意図やその危険性は全くない。したがって、原告らの予備的請求は、すべて前提を欠く。
なお、個別の反論は以下のとおりである。
(1) 予備的請求(2) (第三者のためにする契約)について
本件協定が第三者のためにする契約であるというためには、受益者が特定され、かつ、受益者が諾約者に対して取得する給付請求権の内容について明確であるとともに、契約者である被告が、第三者に対し、本件契約に基づいて支払われる保険金全額を給付する意思を明確にしている必要がある。しかし、本件協定によれば、保険金を弔慰金制度に則って給付する旨が定められているにとどまるのであって、保険金の中から遺族に対して給付されるべき金員は弔慰金制度の基準により決定されるものであることが明確であるし、かつ、保険金全額を第三者に対して給付する旨の定めもない。したがって、本件協定が第三者のための契約であるともいえない。
(2) 予備的請求(5) (不当利得)について
被告が協栄生命外六社との間で締結している団体定期保険契約は、被告が全従業員の保険料全額を負担し、一年ごとに清算が行われるが、被告が平成四年から平成八年までに締結した各団体定期保険契約の一年間の平均収支をみると、被告は、保険会社から払込保険料を超える金額の保険金を受領しているものではないから、被告が従業員の死亡により保険金を受領して経済的な利益を得ているという実態はなく、被告には利得がない。
(3) 予備的請求(6) (信義則上の引渡義務)について
右(2) に記載のとおり、被告が保険金を「不労所得」し、不当な利得を得たとはいえないから、被告に不当な利得があることを前提とする原告らの主張は失当である。被告は、従業員が業務上死亡した場合には二五〇〇万円を遺族見舞金として、業務外の事由で死亡した場合には一〇〇万円を弔慰金として、それぞれ給付することとしているのであるから、本件保険金二二〇〇万円と業務上死亡した場合に支払われる遺族見舞金二五〇〇万円とを比較すれば、本件契約の保険金額は、不当なものではなく、まさに右各給付を行うための支払原資として予定されているものといえる。
(4) 予備的請求(7) (商法第六七四条一項ただし書)について
原告らの主張は、本件協定が第三者のためにする契約であることをいうものであるが、右(1) に記載のとおり、右協定が第三者のためにする契約でないことは明らかであるから、原告らの主張は失当である。
(5) 予備的請求(8) (無効行為の転換)について
無効行為の転換の理論を適用するには、その結果が契約当事者の意思に反しないことが必要であるが、被告と協栄生命外六社とは、いずれもが、保険金受取人は被告であると明確に認識しており、保険金受取人を被保険者又はその相続人とするという認識は全くないのであるから、原告らの主張は失当である。
(三) 予備的請求(9) (慰謝料)について
原告らの主張する抽象的な人格権は、不法行為の法理により保護すべき具体的な利益とはいえない。また、本件契約は、被告の全従業員を被保険者とし、本件保険金を前述した福利厚生制度に基づく各種給付の支払原資とする目的で締結されたものであるから、本件契約の締結には、その目的からみて違法性がない。さらに、被告には、Cの人格権を侵害するという認識はなく、むしろ弔慰金を給付することによりCの人格を尊重しているというべきであるから、故意、過失もない。
第三判断
一 証拠(後記のもののほか、乙一六、一九、証人石川達彦、同井上覚)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。
1 被告は、昭和五三年一月一日、協栄生命との間で、被告の全従業員を被保険者、被告を保険契約者兼保険金受取人、保険期間を一年間とする勤労団体保険契約(いわゆるAグループ団体定期保険契約)を締結し(乙三の一及び二、乙一〇の一)、その後も、昭和五七年度まで、毎年、被保険者たる従業員数や保険金額を変更して同様の保険契約を締結してきた(乙一〇の二ないし五)。さらに、昭和五八年からは、協栄生命との間で締結してきたAグループ団体定期保険契約を変更し、協栄生命外六社との間で、協栄生命を幹事会社とする団体定期保険共同取扱契約とすることを合意し、以後協栄生命外六社との間で、毎年Aグループ団体定期保険契約の締結を続けている(乙四、乙一〇の六ないし一二)。
2 いわゆるAグループ団体定期保険契約は、保険会社が、個々の被保険者の健康状態等を審査してその危険度に応じて生命保険契約を締結するか否かを決定する個人保険と異なり、共通の性格を持つ人的集団の危険度に応じて生命保険契約を締結するか否かを決定し、当該人的集団の構成員全員を被保険者とし、保険料は、保険契約者である事業主が全額負担し、保険会社は、事業主が一年間に支払った保険料から付加保険料(保険会社の手数料)及び当該一年間に支払った保険金を控除して剰余金がある場合には、これに一定の配当率を乗じて算定した配当金を保険契約者である事業主に支払い、一年ごとに清算する仕組みになっており、右のようなAグループ団体定期保険契約としての性質上、被保険者たる従業員が死亡した場合、その死因が業務上のものであるのか業務外のものであるのかなどの個別的事情に応じて個別に保険金受取人に支払う保険金額を査定することは予定されていない(乙五)。
3 団体定期保険契約については、これを直接規制する特別の法律は存在せず、「団体定期保険の運営基準」と題する通達(昭和二六年八月七日付け蔵銀第三七六六号)に従って運営されているが、大蔵省は、昭和五三年ころから、本件契約のような全員加入制のAグループ団体定期保険契約について、企業の弔慰金制度など従業員に対する福祉制度の一環となるとの位置付けに沿ってその運営が適正に行われるように、生命保険業界に対する行政指導を強化したため、生命保険業界各社は、次のような内容を含む申合せ(以下「昭和五三年度申合せ」という。)を行い、同年からAグループ団体定期保険契約の締結に際し、右申合せの内容を実施することとした(甲一七)。
(1) 新規契約締結時に当該契約と当該企業の福利厚生制度との関連を契約申込書において確認する。
(2) 被保険者数が一〇〇〇名以上の規模の契約については、付保目的を記載した協定書を取り交わす。
4 被告は、昭和五三年以降、多数の従業員が業務上死亡した場合に備えることを主眼としてAグループ団体定期保険契約を締結していたものであるが、昭和五七年一月一日、協栄生命との間で、昭和五三年度申合せに従い、Aグループ団体定期保険契約を締結する趣旨について、被告の福利厚生制度との関連においてこれを締結したものであって、被告は、保険金の全部又は一部を被告の弔慰金規程に則って支払う金額に充当することとする旨の本件協定を締結し、その趣旨を明らかにするために本件協定書を作成した(乙三の三)。
なお、生命保険業界各社は、大蔵省の行政指導を受けて、昭和五八年四月から、被保険者が一〇人以下の比較的小規模な団体において、事業主が、被保険者を従業員、保険金受取人を事業主とする定期生命保険契約を締結する場合には、従業員が死亡した際に当該従業員に対して死亡退職金又は弔慰金を支払う場合に備えて右契約を締結し、右契約に基づいて支払われる保険金の全部又はその相当部分は、退職金又は弔慰金の支払に充当する旨の約定が記載され、事業主と右約定により付保することに合意した従業員が被保険者として連署した付保規定(例えば甲九)を徴求することを申し合わせ、これを実施しているが、本件契約のように被保険者を一〇〇〇人以上とするAグループ団体定期保険契約の締結に際しては、付保規定が作成されることはない。
5 生命保険業界各社は、平成三年一二月、Aグループ団体定期保険契約の趣旨が企業の福利厚生制度のためのものであることを契約当事者に一層徹底させるため、昭和五三年度申合せに加え、さらに次のような申合せを行い、これを平成四年三月から実施した(甲一五ないし甲一七)。
(1) 契約締結時に企業の弔慰金規程の写しを取り寄せる、申込書に弔慰金、死亡退職金等の企業の福利厚生措置の内容を記入させるなどの方法により、弔慰金規程等の確認を行う。
(2) 右(1) により、企業の福利厚生措置を確認し、保険金額の設定は、右措置との関係で社会通念上問題のない金額とする。
(3) 被保険者の同意の確認方法について、従来の申込書による企業側の報告に基づく確認に加え、保険契約締結の際、その旨の連絡文書を企業と協力して従業員に配布する、掲示文書の写しを取り寄せる、就業規則等に団体定期保険契約を特定の福利厚生制度の財源確保のために締結することを記載してもらうなどの対応を採る。
6 被告は、社員就業規則付則に基づき、死亡による退職の場合は、退職時における勤続年数に応じて定められる勤続点と資格に応じて定められる職能点を在籍年数に応じて累積した点数を合計したものに一万五一五〇円と一・二を乗じた金額を死亡退職金として給付する旨の社員退職金規則を定めており(以下「本件退職金規程」という。乙八の四)、本件退職金規程によれば、Cの死亡により死亡退職金として給付される金額は一五〇万円と算出される。また、被告は、かねてより労働災害給付制度を有していたが、平成三年四月二三日、本件労働組合との間で、従業員が業務上死亡した場合の遺族見舞金について、従来の給付水準を改訂し、扶養家族のある者に対しては二五〇〇万円、扶養家族のない者に対しては二〇〇〇万円を給付する旨の労働協約(以下「本件労働災害給付金協約」という。乙一三の一及び二)を締結した。さらに、被告は、平成四年三月ころ、本件労働組合との間で、従業員が業務外の事由により死亡した場合の弔慰金の支給及びその支給基準につき合意し(以下、右弔慰金の支給基準を「本件弔慰金支給基準」という。乙八の一)、従業員に対して、本件労働組合の会報により右合意及び本件弔慰金支給基準を周知させた(乙八の一ないし三、一一)。本件弔慰金支給基準によれば、資格が三級から一級の従業員が業務外の事由により死亡した場合の弔慰金は一〇〇万円とされている。
7 被告は、協栄生命外六社との間で、平成四年五月一日、一五歳から五〇歳の被保険者七九二〇人については、一人当たりの保険金額を二二〇〇万円(保険金総額一七四二億四〇〇〇万円)、五一歳から五九歳の被保険者一四八二人については、一人当たりの保険金額を二〇〇万円(保険金総額二九億六四〇〇万円)、被保険者合計九四〇二人、保険金総額合計一七七二億〇四〇〇万円とする本件契約を締結した(乙一〇の一三)。
8 被告は、従業員が業務上死亡した場合の遺族見舞金を初めとする前記福利厚生制度を運用する財源を確保するために本件契約を締結することを前提として、福利厚生制度をめぐる本件労働組合との交渉に当たっており、その交渉の過程を通じて、本件契約の締結及びその内容を本件労働組合の代表者に通告し(乙一〇の一三)、個々の従業員に対しても、本件契約が企業の福利厚生制度の一環であることなどを記載したパンフレット(乙六)を配布するなどの方法により、本件契約に関する情報を提供してきたが、本件契約の締結に対して、本件労働組合の代表者や個々の従業員から異議が述べられたことはなかった。
9 被告は、Cの死亡後、同人の妻に対し、本件弔慰金支給基準に則って、業務外の死亡の場合の弔慰金として一〇〇万円を、本件退職金規程に基づき、死亡退職金として一五〇万円を支払った。
10 被告が協栄生命外六社との間で締結した平成四年度から平成八年度のAグループ団体定期保険契約の一年間の収支の平均額は、払込保険料が二億二六八九万三二九〇円、付加保険料が二九三八万一九六一円、受取保険金が六三六〇万円、配当金が一億二七二一万五七六二円であり、受取保険金と配当金の合計額は、払込保険料額を約三六〇〇万円下回っている。
二 主位的請求について
前記認定事実によれば、被告は、本件契約の締結に当たり、本件労働組合の代表者に対する通告の方法により、商法六七四条一項本文所定の被保険者の同意の存在を確認することとしていたことが明らかであり、Cが、被告又は協栄生命外六社に対し、個別に同意の意思表示を行ったことを認めるに足りる証拠はなく、本件記録を精査しても、本件契約の締結に当たって、被告とCとの間で、右個別の同意に伴い、本件合意が成立したとの事実を認めるに足りる証拠はない。
かえって、前記認定事実、とりわけ本件協定書の記載によれば、被告は、その保険金を従業員に給付する弔慰金等の支払原資に充てるために本件契約を締結したのであり、従業員が業務外の事由により死亡した場合には、被告が本件契約に基づいて協栄生命外六社から保険金を受領した上、本件弔慰金支給基準に則って、その範囲内において弔慰金を給付する意思を有していたことが明らかであるから、原告らが主張するその他の事実関係を考慮しても、黙示の本件合意の成立を推認することはできない。そして、被告はCから個別的に同意を得て本件契約を締結したと主張するものではないから、被告がCの個別的な同意の不存在を主張することが禁反言、信義則の法理に反するものではない。
したがって、本件合意の成立を前提とする原告らの本件保険金引渡請求の主張は理由がない。
三 予備的請求(1) ないし(8) について
1 原告らは、被保険者であるCの個別的な同意を得ることなく本件契約が締結されたのであれば、予備的請求(1) ないし(8) のいずれかの理由により、被告の原告らに対する本件保険金相当額の支払義務を認めるべきであり、そうでなければ本件契約は、強行法規である商法六七四条一項本文に違反するものといわざるを得ず、被告が本件保険金を取得することは、公序良俗に反し許されないと主張する。
2 そこで、まず、前記事実関係の下において、被告を保険金受取人とする本件契約が商法六七四条一項本文の要件を欠くか否かについて検討する。
商法六七四条一項本文において、他人の生命の保険については、被保険者の同意が必要であるとされている趣旨は、被保険者の同意を徴することにより、賭博の目的のために他人の生命に保険を付するという反道徳的かつ公序良俗に反する契約の締結を防止し、又は保険金取得のために故意に被保険者である他人の生命に危害を加えるなどの危険が発生するのを防止することにあると解されるところ、本件のように約九四〇〇人もの従業員を擁する企業の全従業員を被保険者とするAグループ団体定期保険契約が締結される場合には、個人を被保険者とする保険契約と異なり、一般に、賭博目的のために保険契約が締結され、又は故意に、被保険者である他人の生命に危害が加えられるなどの危険が発生する可能性は、ほとんど存在しないものといえる。
そして、前記認定事実によれば、被告が締結するAグループ団体定期保険契約に関しては、監督官庁の行政指導に対応した生命保険業界各社の申合せに従って本件協定が締結され、本件協定により、団体定期保険契約は被告の福利厚生制度との関連で締結されたものであって、被告は、保険金の全部又は一部を弔慰金規程に則って従業員の相続人に対して給付する弔慰金の支払原資とすることが明確にされている。そして、本件協定にいう弔慰金には、「弔慰金」の名目の給付金のみならず従業員の死亡に伴って被告が従業員の遺族の福利厚生を目的として給付する各種金員が含まれると解されるところ、被告は、勤続年数及び職能資格に応じた一定の基準により給付金額が算出される本件退職金規程を定めているほか、本件労働組合との間で、従業員が業務上死亡した場合には、扶養家族がある者に対しては二五〇〇万円を、扶養家族のない者に対しては二〇〇〇万円を遺族見舞金として給付する旨の本件労働災害給付金協約を締結し、また、従業員が業務外の事由により死亡した場合であっても本件弔慰金支給基準に従った弔慰金を給付する旨を合意しているのである。本件契約を含む被告と協栄生命外六社との間で締結されたAグループ団体定期保険契約の保険料は、被告が全額負担しているが、被告の従業員が業務上死亡した場合には、被告は、本件労働災害給付金協約に基づく遺族見舞金として二〇〇〇万円ないし二五〇〇万円を支給するほか、本件死亡退職金規程に基づく死亡退職金を支給することになり、被告が受領する保険金二二〇〇万円を超える部分については、被告が固有に負担することになる。そして、被告と協栄生命外六社との間で締結されるAグループ団体定期保険契約については、一年ごとに、収支の清算がされているが、平成四年度から平成八年度までの平均値を取れば、各年度の清算時までに被告が協栄生命外六社から受領した保険金及び配当金の合計額は、払込保険料の額を下回る結果になっている。以上にみた本件協定に定められたAグループ団体定期保険契約締結の目的、従業員死亡時の被告の福利厚生制度の内容、被告における過去のAグループ団体定期保険契約の運用の実績等にかんがみると、本件契約は、被告の福利厚生制度との関連において、右各種給付の支払原資確保のために締結されたものと評価することができ、契約当事者であり保険金受取人である被告が、本件契約を賭博目的のために締結し、被保険者である従業員の生命に何らかの危険が発生する可能性があるとは認め難い。
被告が締結しているAグループ団体定期保険契約が、右のように、福利厚生制度に基づく各種給付の支払原資確保のために締結されたものであることに、前記の商法六七四条一項本文の趣旨を併せ考慮すると、右のような団体定期保険契約の締結に当たっては、その効力要件として、必ずしも、個人を被保険者とする他人の生命の保険契約を締結する場合と同様に、厳格な意味における個々の被保険者の同意を得ることまで要するとはいえず、労働組合の代表者に対し、保険金を被告が定める福利厚生制度に基づくどの給付の支払原資に充当するのかを明らかにした上で、保険契約の締結及びその内容を通告することにより、これらを従業員に周知し、これに対し、労働組合の代表者ないし個々の従業員から異議のないことをもって、商法六七四条一項本文所定の被保険者の同意があったものと評価することも許されないものではないというべきである。
これを本件についてみるに、前記認定事実によれば、従業員死亡時における被告の前記福利厚生制度の内容が従業員に周知されていたことは明らかである上、被告は、福利厚生制度をめぐる交渉の過程を通じて、本件労働組合の代表者に対し、従業員が業務上死亡した場合の遺族見舞金を初めとする前記福利厚生制度を運用する財源を確保するために本件契約を締結すること及びその内容を通告し、個々の従業員に対しても、本件契約に関するパンフレットの配布等により、本件契約に関する情報を提供したが、本件労働組合の代表者や個々の従業員から異議が述べられたことはなかったというのであるから、本件契約の締結に当たって、直接個々の被保険者の同意を得ていなくとも、本件契約は商法六七四条一項本文の要件を欠くものではないと解することができる。
3 次に、本件の場合、Cが業務外の事由により死亡し、被告が協栄生命外六社から受領した本件保険金の額と被告が本件弔慰金支給基準に則ってCの妻に給付した金員との間に二一〇〇万円の差額が生じているため、原告らは、団体保険である本件契約から被保険者の一人であるCに関する部分のみを切り離してとらえ、被告がCの相続人である原告らに対し、右差額分を支払わないことにより、被告が本件契約の趣旨、目的に反する利益を享受し、このような利益の享受を認めることは公序良俗に違反すると主張するので、この点を検討する。
前記認定事実によれば、被告は、従業員死亡時の福利厚生制度として死亡退職金、業務上の死亡時に支給される遺族見舞金、業務外の事由による死亡時に支給される弔慰金の制度を設けており、その支払原資を確保しつつ、その給付額が多額にのぼる不測の事態に備え、右制度の実施の確実性を高める一種のリスク管理の手段として、被告自らの経営判断に基づき被告の出捐によりAグループ団体定期保険契約を締結しているものということができる。右福利厚生制度は、その支払原資確保の手段であるAグループ団体定期保険契約とは別個の制度であり、従業員が業務上死亡した場合と業務外の事由により死亡した場合とで給付金額に大きな差があること自体は、被告が従業員の死亡に際し弔意を表し、金員を給付する弔慰金制度として何ら不合理なものではない。これに対し、共通の性格を持つ人的集団を被保険者として契約する団体保険としての特性を有するAグループ団体定期保険契約は、被保険者たる従業員が死亡した場合、その死因が業務上のものであるか業務外のものであるかという個別的事情によって保険金額を査定することを予定するものではない。そうすると、ある特定の従業員の死亡という事態に即してみると、本件弔慰金支給基準に則って支払われる弔慰金の額と本件契約に基づいて支払われる保険金の額に前記のような差額が生じることは、被告が自らの出捐と経営判断により、従業員の業務上の死亡の場合の給付額を下回り、業務外の事由による死亡の場合の給付額を上回る金額を保険金額とするAグループ団体定期保険契約を締結したことに伴って生じる論理必然的な現象にすぎないといわざるを得ず、これを不当視する理由はない。しかも、被告が協栄生命外六社との間で締結したAグループ団体定期保険契約に基づき、平成四年度から平成八年度までの各年度の清算時までに被告が協栄生命外六社から受領した保険金及び配当金の合計額を平均すれば、払込保険料の平均額を下回る結果になっていることは前記のとおりであるから、現実に被告に利得が生じているとも認められない。
したがって、原告らに対して前記差額分を支払わないことにより、被告が本件契約の趣旨、目的に反する不当な利益を享受しているとはいえない。
4 以上によれば、本件契約は、被告の経営判断に基づき、前記福利厚生制度に基づく各種給付の支払原資を確保するために、すべて被告の出捐をもって締結されたものであって、商法六七四条一項本文の要件を欠くものとはいえず、Cの死亡により被告が協栄生命外六社から受領する本件保険金と被告が給付した弔慰金等の金員との差額を原告らに支払わないことが本件契約の趣旨、目的、ひいては公序良俗に反するとはいえないものというべきである。被告がCの遺族ないし相続人に対してどのような給付をする義務を負うのかは、被告とCとの間の労働契約、なかんずく前記福利厚生制度によって定まるものというほかはない。これと異なり、本件契約が商法六七四条一項本文の要件を欠き、被告が本件保険金を取得することが、本件契約の趣旨、目的、ひいては公序良俗に反することを前提として、被告の原告らに対する本件保険金相当額又はその相当部分の支払義務の発生をるる主張する原告らの予備的請求(1) ないし(8) は、いずれもその前提を欠くものであって、その余の点について判断するまでもなく、理由がない。
四 予備的請求(9) (慰謝料)について
本件契約が商法六七四条一項本文の要件を欠くものでもなければ、被告が本件契約に基づき受領する保険金と弔慰金等の給付金額との差額を原告らに給付しないことが本件契約の趣旨、目的に反し、公序良俗に違反するものでもないことは既に説示したとおりであり、被告がCから個別的な同意を得ることなく本件契約を締結し、これに基づいて本件保険金を受領したことには違法性がないことが明らかである。のみならず、本件契約の締結によって、C及び原告らが具体的に何らかの損害ないし不利益を被るとも解されず、原告らが主張するその他の事情も被告の行為の違法性を基礎付けるものとはいえない。
よって、その余の点について判断するまでもなく、原告らの予備的請求(9) は理由がない。
五 結論
以上によれば、原告らの請求にはいずれも理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 綿引万里子 裁判官 生野考司 裁判官 金築亜紀)