大判例

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東京地方裁判所 平成10年(特わ)2509号

被告人

本店の所在地

東京都墨田区両国四丁目二番八号

株式会社協進コーポレイション

右代表者代表取締役

若林雅

本籍

東京都中央区日本橋小網町一六番

住居

東京都墨田区錦糸一丁目二番六号

アルカハビタ一一〇二号室

会社役員

若林雅

昭和三四年一二月二六日生

出席検察官 福垣内進

弁護人(私選) 大西清

高橋幸二

安田道夫

主文

被告人株式会社協進コーポレイションを罰金一二〇〇万円に処する。

被告人若林雅を懲役一〇か月に処する。

被告人若林雅に対し、この裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予する。

理由

【犯罪事実】

被告人株式会社協進コーポレイション(以下被告会社という)は、東京都墨田区両国四丁目二番八号(平成六年一〇月二四日以前は東京都墨田区千歳三丁目一七番一三号)に本店を置いて、鉄製建具等の据え付け工事の請負等を目的とする資本金一〇〇〇万円の株式会社であり、被告人若林雅(以下被告人という)は、被告会社の代表取締役として、被告会社の業務全般を統括していたものである。

被告人は、被告会社の業務に関し、法人税を免れようと考え、架空の外注加工費を計上するなどして、所得を秘匿した上、次のとおり法人税を免れた。

第一  被告人は、平成六年四月一日から平成七年三月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額が四二二八万二八五四円(別紙1の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三一日、東京都墨田区業平一丁目七番二号所轄本所税務署において、本所税務署長に対して、所得金額が四七九万〇二一一円であり、これに対する法人税額が七三万九一〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成一〇年押第一五八八号の1)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社の前記事業年度における正規の法人税額一四四九万三七〇〇円と申告税額との差額一三七五万四六〇〇円(別紙3のほ脱税額計算書参照)を免れた。

第二  被告人は、平成七年四月一日から平成八年三月三一日までの事業年度において、被告会社の所得金額が九〇五〇万二四五四円(別紙2の修正損益計算書参照)であったにもかかわらず、同年五月三〇日、前記本所税務署において、本所税務署長に対して、その所得金額が四三五万八五九〇円であり、これに対する法人税額が六九万八〇〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書(平成一〇年押第一五八八号の2)を提出し、そのまま法定納期限を徒過させ、不正の行為により、被告会社の前記事業年度における正規の法人税額三二六五万六〇〇〇円と申告税額との差額三一九五万八〇〇〇円(別紙3のほ脱税額計算書参照)を免れた。

【証拠】(括弧内の甲乙の番号は証拠等関係カードにおける検察官請求証拠の番号を示す。)

全事実について

一  被告人の公判供述

一  被告人の検察官に対する供述調書(七通、乙二ないし八)

冒頭の事実について

一  被告人の検察官に対する供述調書(乙一)

一  履歴事項全部証明書

第一、第二の各事実について

一  被告人の大蔵事務官に対する質問てん末書(乙九)

一  生亀規矩志、山口智一(二通、甲一二、一三)、石井利一、織田貴代子、内田章子(二通)の検察官に対する各供述調書

一  原材料仕入高調査書、通信交通費調査書、受取利息調査書、損金の額に算入した道府県民税利子割調査書、

一  捜査報告書(五通、甲一、四、八、一〇、二四)

第一の事実について

一  雑給調査書、

一  笹本章夫、市橋亜希子の検察官に対する各供述調書

一  法人税確定申告書一袋(平成一〇年押第一五八八号の1)

第二の事実について

一  厚生費調査書

一  山口智一(甲一四)、光井寛、深井眞樹、細井まさ子の各検察官調書

一  法人税確定申告書一袋(平成一〇年押第一五八八号の2)

【法令の適用】

被告人の判示各所為は、いずれも平成一〇年法律第二四号による改正前の法人税法一五九条一項に該当するところ、各所定刑中いずれも懲役刑を選択し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、刑法四七条本文、一〇条により犯情の重い判示第二の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役一〇か月に処し、刑法二五条一項を適用して、情状によりこの裁判確定の日から三年間右刑の執行を猶予することとし、さらに、被告人の判示各所為は、被告会社の業務に関して行われたものであるから、被告会社については、判示各所為についていずれも法人税法一六四条一項により平成一〇年法律第二四号による改正前の法人税法一五九条一項の罰金刑に処せられるべきところ、各罪について情状により法人税法一五九条二項を適用し、以上は刑法四五条前段の併合罪であるから、被告会社について刑法四八条二項により各罪所定の罰金額を合算し、その金額の範囲内で被告会社を罰金一二〇〇万円に処することとする。

【量刑の事情】

本件は、被告会社の代表取締役であった被告人が、被告会社の所得について、二事業年度にわたり、合計四五七一万二六〇〇円の法人税を免れたという事案であり、脱税税額は低額ではなく、免れた税額の合計が正規の税額の合計に占める割合も九七パーセントであり、見過ごすことができるものではない。

本件の所得秘匿行為は、被告人が、知人らに依頼して架空の請求書、領収証を作成させて、架空の原材料仕入高、外注加工費を計上し、それに見合う金額について、小切手を振り出しあるいは知人らの名義の預金口座に入金して、小切手を現金化したり、知人らの預金口座から現金を降ろして、それらの簿外資金を定期預金として留保していたほか、交際していた女性の生活費等に充てており、また、被告会社から個人的な飲食費を支出するため、それに見合った架空の請求書、領収証を作成させて、架空の外注加工費を計上したというものであり、これらの態様に照らすと、被告人の刑事責任は決して軽視できるものではない。

他方において、被告会社は、免れていた法人税について、修正申告の上、平成一〇年中には、その本税、延滞税、加算税のすべてを納付する予定である上、経理処理を改めて、定期的に税理士の監督を受けることとしており、被告人は、短期間で被告会社の事業の発展を成し遂げ、本件が発覚した後は、業績の低下を招かないよう取引先に謝罪するなどし、本件について反省の態度を示して、再び同様の行為に及ぶことはない旨申し出ているなど、被告会社、被告人にとって有利な事情もある。

そこで、これらの事情を総合して考慮し、被告会社を主文の罰金刑に処し、被告人を主文の懲役刑に処した上、被告人に対する懲役刑の執行を猶予することとした。

(裁判官 山口雅髙)

別紙1

修正損益計算書

自 平成6年4月1日

至 平成7年3月31日

株式会社協進コーポレイション

<省略>

修正製造原価報告書

自 平成6年4月1日

至 平成7年3月31日

<省略>

別紙2

修正損益計算書

自 平成7年4月1日

至 平成8年3月31日

株式会社協進コーポレイション

<省略>

修正製造原価報告書

自 平成7年4月1日

至 平成8年3月31日

<省略>

別紙3

ほ脱税額計算書

自 平成6年4月1日

至 平成7年3月31日

株式会社協進コーポレイション

<省略>

自 平成7年4月1日

至 平成8年3月31日

<省略>

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